1 「控訴人らは、本件においては、会社法172条の取得価格決定の申立てによってはその利益が保護されないので、全部取得条項付種類株式を用いて100パーセント減資を行うには「正当事由」を要する旨主張する。
しかし、全部取得条項付種類株式に関する会社法の各規定(108条、111条2項、171条)は、控訴人ら主張に係る諸事情に配慮した定めを置いていないのであって、これらの規定が、種類株式発行会社に会社法461条所定の分配可能額が存するか否かに応じ、異なる規制を設けていると解することはできないから、控訴人らの上記主張は採用できない。」
2 「控訴人らは、種類株主総会の決議を欠いているため、本件各決議も無効である旨主張するが、会社法111条2項は、全部取得条項付種類株式の定めを定款に設ける場合に、定款変更に係る株主総会決議とは別に、種類株主総会の決議を経ることを求めているものの、同条項はその決議がない場合には当該定款変更の「効力が生じない」として、種類株主総会の決議を定款変更の効力要件と位置づけていることからすると、そもそも、種類株主総会の決議の存否の問題は、定款変更に係る株主総会決議の効力の問題に結びつくものではないといわざるを得ないから、控訴人らの上記主張も採用することができない。」