【大阪家審平成19年2月8日】認知症の症状が顕著となった被相続人に対する身上監護について特別の寄与があったことを認め、その金額については親族による介護であることを考慮し、1日当たり8000円程度と評価された事例

1 「相手方は、寄与分を主張する。すなわち、相手方は、平成元年に被相続人の妻Fが入院して以降、被相続人方の家事等生活の面倒を見てきたものであり、平成14年ころから、被相続人の認知症が進行し始めた後は、介護支援を行ってきたこと、被相続人が行っていた駐車場の経営を引き継いで管理、経営を行ったことにより、被相続人の財産の維持増加に貢献し、7366万7600円の寄与分があるとの主張である。」

2 「これに対し、申立人らは、平成14年以降の3年間については、相手方が被相続人の介護を献身的に行っていたことを認めるものの、その余の点については、相手方に特段の貢献があったものとは認められず、前記、3年間の介護についても、相手方が被相続人宅に隣接した被相続人所有地に家を建て、地代等の負担もなく、長年住み続けている事情を考慮すると、相手方の主張する7366万7600円という金額は過大に過ぎる旨,主張する。」

3 「そこで、検討するに、被相続人の妻Fは、平成元年ころから、短期の検査入院を繰り返すようになり、平成7年×月に死亡したものであるが、Fの入院中は、相手方の妻が毎日病院に通うほか(□□在住の申立人Aも週に1回程度,病院を訪れていた。)、相手方夫婦で、被相続人の家事全般の世話をしていた。

F死亡後は、相手方の妻が昼食と夕食を作り、被相続人方に届けるほか、日常的な世話を行っていた。被相続人方の周囲は広いため、除草作業や清掃作業の負担は大きく、申立人Aもときどき庭や周囲の溝の清掃を手伝っていた。

また、被相続人は、平成13年までは一人で新幹線に乗り、○○に住む申立人Bや申立人Cの家を訪問してしばらく滞在していた。

しかし、平成14年2月ころから被相続人に認知症の症状が顕著に出るようになったため、相手方は、被相続人の3度の食事をいずれも相手方方でとらせるようになり、被相続人が○○を訪問するときは、相手方が往復とも被相続人に付きそうようになった。このころから、被相続人は常時、見守りが必要な状態となり、また、被相続人の排便への対応にも相手方は心を砕いていた。

申立人らも、平成14年以降の3年間については、相手方が被相続人の介護を献身的に行っていたことを認めており、この期間については、相手方の被相続人に対する身上監護には、特別の寄与があったものと認められる。

これに対し、平成14年2月より以前の被相続人に対する日常生活上の世話は、親族間の扶養協力義務の範囲のものであると認められ、特別の寄与とまではいえない

また、駐車場の管理について、相手方が具体的に行動し始めたのは平成13年2月ころからであり、駐車場の清掃、苦情への対応、顧客離れを防ぐための賃料の減額などを行っていたものであるが、相手方が平成14年1月から駐車場管理の報酬として月額5万円を取得していたことに照らし、相手方の駐車場の管理について特別の寄与があるとまで認めるのは困難である。」

4 「相手方の被相続人に対する身上監護については、親族による介護であることを考慮し、1日当たり8000円程度と評価し、その3年分(1年を365日として)として、8000円×365日×3=876万円を寄与分として認めることとした。」


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