【大阪高判平成21年5月15日】養子縁組が「縁組をする意思」を欠くことを理由に無効とされた事例

「民法802条1号にいう「縁組をする意思」(縁組意思)とは、真に社会通念上親子であると認められる関係の設定を欲する意思をいうものと解すべきであり、したがって、たとえ縁組の届出自体について当事者間に意思の合致があり、ひいては、当事者間に、一応法律上の親子という身分関係を設定する意思があったといえる場合であっても、それが、単に他の目的を達するための便法として用いられたもので、真に親子関係の設定を欲する意思に基づくものでなかった場合には、縁組は、当事者の縁組意思を欠くものとして、その効力を生じないものと解すべきである。

そして、親子関係は必ずしも共同生活を前提とするものではないから、養子縁組が、主として相続や扶養といった財産的な関係を築くことを目的とするものであっても、直ちに縁組意思に欠けるということはできないが、当事者間に財産的な関係以外に親子としての人間関係を築く意思が全くなく、純粋に財産的な法律関係を作出することのみを目的とする場合には、縁組意思があるということはできない

以上の見地から本件についてみると、仮に、Aと控訴人の双方とも、一応法律上の親子という身分関係を設定する意思があり、本件縁組届の作成及び届出が両者の意思に基づいて行われたものであったとしても、前記の事実関係に照らせば、本件養子縁組当時、Aと控訴人とは全く交流がなく、両者の間に親子という身分関係の設定の基礎となるような人間関係は存在していなかった上、本件養子縁組がされた後も、両者が親族として交流した形跡は全くなく、上記のような関係は基本的に変わっていなかったものと認められるから、Aと控訴人が親子としての人間関係を築く意思を有していたとは到底考えられないところである。

そして、控訴人又はBが、Aの死亡の翌日にその貯金を解約してこれを事実上取得し、その他のAの遺産についても速やかに相続の手続を取っていることなどを考慮すれば、本件養子縁組による親子関係の設定は、Bの主導のもと、専ら、身寄りのないAの財産を控訴人に相続させることのみを目的として行われたものと推認するほかはない

以上によれば、本件養子縁組は、当事者の縁組意思を欠くことにより、無効であるというべきである。」


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