【東京高決平成3年12月24日】遺産分割審判等における寄与分と遺留分との関係-農家の遺産の維持に貢献した相続人の寄与分を大きく評価した原審判が他の相続人の遺留分との関係で違法とされた事例

1 「寄与分の制度は、相続人間の衡平を図るために設けられた制度であるから、遺留分によって当然に制限されるものではない

しかし、民法が、兄弟姉妹以外の相続人について遺留分の制度を設け、これを侵害する遺贈及び生前贈与については遺留分権利者及びその承継人に減殺請求権を認めている(1031条)一方、寄与分について、家庭裁判所は寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して定める旨規定していること(904条の2第2項)を併せ考慮すれば、裁判所が寄与分を定めるにあたっては、他の相続人の遺留分についても考慮すべきは当然である

確かに、寄与分については法文の上で上限の定めがないが、だからといって、これを定めるにあたって他の相続人の遺留分を考慮しなくてよいということにはならない。

むしろ、先に述べたような理由から、寄与分を定めるにあたっては、これが他の相続人の遺留分を侵害する結果となるかどうかについても考慮しなければならないというべきである。」

2 「このような寄与分の定めは、抗告人の遺留分相当額(約683万円)をも大きく下回るものであって、一郎が三郎の遺産の維持ないし増殖に寄与したとしても、前認定のように、ただ家業である農業を続け、これら遺産たる農地等の維持管理に努めたり、父三郎の療養看護にあたったというだけでは、そのように一郎の寄与分を大きく評価するのは相当でなく、さらに特別の寄与をした等特段の事情がなければならない。

しかしながら、原審判には、その判文上からもそのような点を考慮した形跡は少しも窺われないから、原審判は寄与分の解釈を謝ったか、あるいは理由不備の違法があるものというべく、本件は、改めて右の点をも考慮した上で寄与分を定め、遺産を分割すべきものといわなければならない。

なお、相続財産が主として農地など農業経営に必要な資産である場合、永年農業経営の維持継続に尽力してきた相続人に対し、その寄与分を考慮することは十分考えられるところであるが、寄与分は相続人間の衡平を図るために設けられた制度であるから、農業経営の近代化、合理化に資する途であるからといって、農業経営の承継者のみを格別に扱うことは、その制度の趣旨にそぐわないものといわなければならない。」


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