【福岡家久留米支審平成4年9月28日】無報酬又はこれに近い状態で家業である薬局経営に従事したとはいえないが、薬局を会社組織にして業務拡張するなどの特別の寄与貢献が認められるとして、相応の寄与分が認められた事例

1 「Aは、昭和46年ころから家業の薬局経営を手伝い、昭和56年からはBに代わって経営の中心となり、昭和60年に薬局を会社組織にした後も、店舗を新築するなどして経営規模を拡大した。

その間、Aが無報酬又はこれに近い状態で事業に従事したとはいえないが、それでも、Aは、薬局経営のみが収入の途であったBの遺産の維持又は増加に特別の寄与貢献を相当程度したものと解せられる。

その程度は、本件における一切の事情を斟酌し、Bの相続開始時における遺産の評価額の総額1億2943万6880円から当時の負債3715万1256円を控除した9228万5624円の32パーセント強、金額にして3000万円と認めるのが相当である。」

2 「K薬局の出資持分全部と薬局経営に必要な○○製薬の株式はAに取得させるのが相当であり、不動産は、本件の一切の事情を勘案し、Cら4名及びAの共有とすることにする。

不動産をこのように全員の共有とすることは、後日に紛争を残すことになり好ましくないが、本件では不動産を現物分割することはできないし、不動産を単独取得するための代償金を支払う能力がある相続人は見当たらないから、選びうる他の方法としては競売を命じて換価分割することしかない。

しかしながら、この方法によるときは、不動産の時価を損なう可能性が強く、その意味でCら4名にとっても必ずしも利益にならないうえ、Aは直ちに生活の本拠を失い、また、有限会社K薬局の店舗もなくなってその営業継続に深刻な打撃を被る等その結果には忍びがたいものがある。

他方、不動産をCら4名と信夫の共有にするとしても、Cら4名の持分合計が全持分価格の過半数となるのであれば(後述のとおり、本件においてはそのような持分形態しか選択できない。)、不動産の管理方法はCら4名の意向で決定されることになるし(民法252条)、Cら4名において共有状態を解消したければ、共有物分割訴訟の途がある。

また、前記のような持分多数決になれば、むしろAに酷な結果になる可能性があるが、AにおいてはCら4名との共有を希望している。

その他、Cら4名と信夫の利害得喪等をあれこれと勘案すると、本件においては、不動産を換価する方法ではなく、共有とする方法で分割するのが相当である。」


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