【高松家丸亀支審平成3年11月19日】被相続人が、申立人の夫の身元保証をし、同夫が不祥事を起こしたため金銭の支払をしたものの求償債権を免除した場合、この求償債権の免除を遺産分割において申立人の特別受益と認めた事例

1 寄与分について

「被相続人遺産(相続時の評価額4860万9836円)と相手方らの贈与財産(相続時の評価額4756万円)の相続時の評価額は合計9616万9836円である。

上記財産は、昭和32年の申立人の夫の不祥事で被相続人が経済的苦境に陥ってからも維持され、または、その苦境を乗り切った昭和40年ころから被相続人の死亡した昭和57年までの間に増加されたものであるが、その間の被相続人の年齢は50歳代後半から80歳に至っているので、相手方らの特別の寄与は、相当顕著なものがあったと推認されること、特に、相手方Aは夫婦で無償労働により被相続人の遺産の維持増加に寄与し、相手方Bは無償労働だけでなく自己所有の不動産収入も遺産の維持増加に役立てていた(なお、同相手方は結婚もせず被相続人に尽くし、子供の教育費等の負担もない)こと、相手方Cは昭和35年に婚姻した後低い給料ながら一応給料を受領し、昭和47年ころからは自分で給料を決定し受領しているので、無償労働を提供した昭和28年から昭和35年までの間、また被相続人の経済的苦境のもとで低い給料で労務を提供した期間、被相続人の遺産の維持増加に協力したと解されること等諸般の事情を斟酌すると、被相続人の遺産及び相手方らの贈与財産の維持増加に対する寄与割合を、相手方Aが35パーセント、同Bが10パーセント、同Cが20パーセント程度の目安で、相手方らの寄与分の有無・程度を算定することとし、相手方Aは遺産の維持増加に協力した労に報いるにふさわしい財産(合計3336万円)を贈与されていると認められるので、寄与分を定めることができないが、相手方Bは贈与財産で報われていない寄与分を200万円と、相手方Cも同様に寄与分を1200万円と定めるのが相当である。」

2 特別受益について

「申立人の夫が勤務先で不祥事を起こしたので、同夫の身元保証をしていた被相続人はその責任を問われ、右勤務先等に対し、遅くとも昭和40年までに少なくとも300万円を支払った。

被相続人は申立人の夫に対し、右支払い金額を請求することがなかったと認められるので、そのころ申立人の家族の幸せのためその支払いを免除したものと解される。

ところで、被相続人の右金銭の支払いは、自己の身元保証契約上の債務を履行したものであるから、それ自体は申立人に対する「生計の資本としての贈与」とは解することができないけれども、申立人の夫に対する求償債権の免除は、申立人に対する「相続分の前渡し」としての「生計の資本としての贈与」と解するのが相当である。」


パーマリンク

コメントは停止中です。

弁護士法人栗田勇法律事務所 〒420-0858 静岡県静岡市葵区伝馬町9-10NTビル301 TEL 054-271-2231 アクセスページへ ご相談のお申込に関するQ&A お問い合わせはこちら
営業エリア

静岡市葵区・駿河区・清水区、焼津市、藤枝市、島田市、
吉田町、牧之原市、御前崎市、菊川市、掛川市、袋井市、
磐田市、浜松市中区・東区・西区・南区・北区、湖西市、
富士市、富士宮市、裾野市、沼津市、御殿場市、三島市、
熱海市、伊豆の国市