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【京都地判平成27年5月27日】追突された43歳女子の神経症状を14級認定し、無症状であった頸椎椎間板ヘルニアの発症で30%素因減額

1 本件事故による受傷内容について

原告は、本件事故後、頸部から左肩にかけて痛みが出現し、本件事故翌日の平成22年5月17日、Dクリニックを受診したところ、頸椎捻挫、右肩打撲、腰部捻挫と診断され、同月24日、E病院にて頸椎MRI検査を受けたところ、C5/6で椎間板の脱出が認められ、腰椎椎間板ヘルニアと診断されたことが認められる。

しかし、外傷性による椎間板の脱出であれば、急性期特有の輝度変化があってしかるべきところ、本件事故から8日後に撮影された上記MRI画像でも、当該部位に輝度変化は認められない

このことに、当時43歳であった原告の年齢及び証拠を併せ考慮すれば、上記頸椎椎間板ヘルニアは、経年変性によるものと認めるのが相当である。

これに対し、原告は、C5/6の椎間板だけが脱出し、他の椎間板に脱出が見られないことは、経年変性が原因ではない証拠である旨主張する。

しかし、後方からの追突により頸椎に過屈曲、過伸展が生じる影響は、程度の差こそあれ、複数の椎間板に及ぶはずであり、C5/6の椎間板にのみ外力が集中し、他の椎間板に影響が及ばないといったことは考えがたく、かえって外傷性の椎間板ヘルニアでないことを裏付ける。

以上によれば、原告の腰椎椎間板ヘルニアを、本件事故により新たに生じたものと認めることはできない。

もっとも、本件事故前には、原告に、前記頸椎椎間板ヘルニアによる神経症状は現れておらず、本件事故後、頸部から左肩の疼痛、左肩から上腕にかけての重み、左手の痺れ、左手の知覚鈍麻等の神経症状が出現し、1年以上の通院治療を経てもこれらの症状が残存していることが認められる。

かかる症状の発現状況に鑑みれば、原告の前記椎間板ヘルニアは、本件事故前は神経症状が現れる以前の状態にとどまっていたものが、本件事故により、神経症状を発現する段階に至ったものと解される。

以上によれば、本件事故後に原告に残存した上記神経症状は、本件事故と相当因果関係のある後遺障害ということができ、その程度は「局部に神経症状を残すもの」として、後遺障害等級14級に該当するということができる。

ただし、かかる神経症状が経年性の頸椎椎間板ヘルニアに起因していることは前記のとおり明らかであり、このヘルニアの存在が治療期間や後遺障害の程度に相当程度影響していることもまた明らかであるから、この点は、素因減額にて斟酌すべきである。

2 素因減額について

・・・したがって、損害の公平な分担の見地から、損害賠償の額を定めるに当たっては、民法722条2項を類推適用し、損害の拡大に寄与した原告の上記ヘルニアによる影響を斟酌し、30%の素因減額を施すのが相当である。


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