弁護士法人栗田勇法律事務所 > 交通事故重要判例紹介 > 【東京地判平成27年3月31日】33歳有職主婦の自転車転倒後の症状を非器質性精神障害14級認定、10年間5%の労働能力喪失、150万円の後遺障害慰謝料認定

【東京地判平成27年3月31日】33歳有職主婦の自転車転倒後の症状を非器質性精神障害14級認定、10年間5%の労働能力喪失、150万円の後遺障害慰謝料認定

1 後遺障害の内容と本件事故との因果関係について

原告は、日本語で日常会話をすることができ、本件事故が発生する前は、日常生活でコミュニケーションに困ることはなかった。

しかし、本件事故が発生した後は、A医師が、「日本語は片言であり、症状を正確に理解することは難しい」、「中国語が中心でコミュニケーションをとることが難しい」、「日本語は十分に話せず理解しにくいところもある」と診断書等に記載していることから分かるように、医師との間でコミュニケーションをとることに苦労するようになった。

上記認定事実及び前記前提となる事実を総合すれば、原告は、本件事故により頭部外傷等の傷害を負い、本件症状を訴えるようになったところ、本件症状を裏付ける他覚的所見はなかったことから本件症状について不安を感じ、さらに本件症状を医師に正確に伝えられていないという不安も相まってストレスが重なり、その結果、身体表現性障害(非器質性精神障害)になったと推認される(なお、上記認定事実を総合すれば、原告の身体表現性障害は、疼痛性障害や心気症の可能性が高いと考えられる。)。

よって、原告が身体表現性障害になったことと本件事故との間には相当因果関係があると認められる。

2 後遺障害の程度について

原告は、本件事故によって身体表現性障害(非器質性精神障害)となったことにより、症状固定後も、家事・育児だけでなく、本件事故当時行っていたK会社の仕事にも支障が生じていたと認められるから、原告の身体表現性障害は、原告の労働能力を低下させるものとして本件事故による後遺障害と認めるのが相当である。

もっとも、その程度は、家事・育児については、平成21年6月以降は、夫が仕事を休んだり、母親が中国から来日したりしなくても済む状態であったこと、K会社の仕事についても、一定の減収はあったものの、症状固定後も2年間、本件事故発生前と同様の仕事を続けることができたことに照らすと、服することができる労務が相当な程度に制限されたとは認められず、第14級に該当する程度と認めるのが相当である。

3 原告の母親の渡航費について

原告の母親は、平成21年3月24日、家事・育児を手伝うために中国から来日し、渡航費として15万6771円を要したことが認められるところ、原告の傷害の内容、通院状況、生活状況等を勘案すると、上記渡航費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。

4 逸失利益について

基礎収入は、休業損害と同額と認めるのが相当であるところ、労働能力喪失率は、原告の後遺障害の内容、程度に照らし、5%と認めるのが相当である。

そして、原告の労働能力が症状固定から5年が経過した平成27年5月頃に回復するとは認められないから、労働能力喪失期間を5年に制限するのは相当でないが、他方で、非器質性精神障害は、治療によって将来症状が大幅に改善される可能性があるから、原告が主張するように就労可能期間前部を労働能力喪失期間と認めるのも相当でない。

そこで、原告の労働能力喪失期間は、10年を相当と認める。

5 後遺障害慰謝料について

原告の後遺障害の内容、程度のほか、原告は症状固定後も一定の治療を受ける必要があること、その治療は投薬療法が中心であるところ、原告が服用している薬は、妊婦や新生児に副作用が生じる可能性があることが指摘されており、そのため原告は、本件事故によって第2子の出産を断念せざるを得なくなったとして、より一層精神的苦痛を感じていること等を勘案すると、原告の後遺障害慰謝料は150万円と認めるのが相当である。


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