重要判例【仙台地判平成26年4月24日】第1衝突の約20秒後の第2衝突を共同不法行為認定、会社の営業損害

1 共同不法行為該当性について

まず、第1事故及び第2事故をA及び被告の共同不法行為としてとらえることができるかについて検討すると、第1事故発生から第2事故発生までの時間的間隔は、…近接していたものと評価することができるというべきである。

そして、第1事故により原告車両の前部は歩道の雪山に入り込んだ状況であったというのであるから、その移動には、まず後退をする必要があったといえるところ、原告車両の右側のやや後方に、原告車両と近接してA車両が反対向きに停止している状況であったことなどからすれば、原告車両を後退させて移動することも容易なことではなかったということができる。

さらに、原告車両の損傷のうち、原告車両の右側面及び左側面の後方部分の損傷は、前記の本件事故の際の原告車両等の位置関係からすれば、いずれも、原告車両がA車両と被告車両とにはさまれる形になることにより、同損傷の程度に至ったということができ、原告車両の損傷による損害は一体的なものというべきである。原告X1の負傷についても、その原因が第1事故又は第2事故のいずれかにあると明確にいうことはできず、第1事故及び第2事故により生じた不可分の損害であるというべきである。

このように、第1事故により原告車両停止場所に停止して移動が困難な状況にあることを余儀なくされた原告車両が、当該場所において近接した時間的間隔で被告車両に衝突されるという第2事故が発生し、一体又は不可分の損害が生じたのであるから、これらのことを考慮すると、第1事故と第2事故とは共同不法行為であったと評価することが相当である。

なお、第1事故及び第2事故については、個別に交通事故証明書が作成されているが、同証明書の作成に当たって両事故の損害の一体性などの事情が厳密に考慮されたとは考え難く、個別の交通事故証明書の作成の事実によって前記の結論は左右されないというべきである。

2 営業損害について

原告会社は、資本金300万円であり、その株主は原告X1とその妻であること、原告会社の業務は経理事務を除いてすべて代表者である原告X1が担当していることが認められ、原告会社と原告X1とは、経済的一体性を有するということができ、原告X1において本件事故による負傷のため通院等をした結果生じた原告会社の営業損害については、通院治療等について本件事故と相当因果関係のある限度で、本件事故による損害として認めることが相当である。

そこで、検討すると、本件事故の前年である平成23年度の営業利益に固定費を加えた金額である1578万2306円を365日で除し、これに、原告X1の通院治療日数を4で除した数原告X1の通院の状況は、主に夕方以降の時間帯を利用したものであったものの、負傷による痛みにより事業活動に一定の制限が生じていたことが認められ、これらのことを考慮すると、通院により1日の4分の1程度の事業活動ができなくなったと認めることが相当である。)を乗じた額が営業損害になるというべきであり、その金額は、105万9360円であると認められる。