重要判例【神戸地判平成26年10月31日】19歳女子教員志望大学生の死亡逸失利益

1 基礎収入について

①亡Xは、中学生のころから、生涯の仕事として、原告A(高等学校教員)と同じく教員になることを目指し、本専攻の2回生に在籍しており、平成23年9月には、E県内の小学校において3週間の教育実習を行っていたこと、

②本専攻の在籍者は、卒業要件単位を取得することにより小学校教員免許を取得でき、卒業要件以外の単位を併せて履修することにより強化ごとの中学校及び高等学校教員免許を取得できること、亡Xは、小学校教員免許に加え、英語の高等学校教員免許の取得を希望していること、

③平成23年度の本専攻(小学校教員養成課程及び中学校教員養成課程に分類)卒業生406名のうち244名(約60%)が教員(ただし、小中高校の内訳は不明)として就職していること、

④平成24年度の本専攻卒業生387名のうち、ア253名(約65%)が公立学校(小中高校)及び公立学校以外の教員として就職しているところ、イ32名は公立学校の高等学校教員(ただし、うち13名が期限付講師等であり、常勤者19名と考えるとその割合は全体の約5%として就職し、ウ221名は公立学校の小中学校教員及び期限付講師等として就職していること、上記の期限付講師等については、当初は期限付講師等であっても、後に常勤者として稼働することも十分考えられることなどが認められる。

これらの事情に照らすと、亡Xの将来の蓋然性については、高等学校教員として就職することまでは認め難いが、小学校教員として就職することは認められるというべきであり、男女間格差を考慮するのは相当ではなく、平成23年賃金センサス第3巻第4表・職業別・企業規模計・男女計・各種学校・専修学校教員・全年齢平均賃金503万7200円(月額34万8100円×12ヶ月+86万円)を基礎収入とすべきである。

2 就労可能年数及び生活費控除率について

亡Xは、死亡当時19歳であったから、その就労可能年数は、大学卒業時の22歳から67歳までの45年とし、生活費控除率は、男性とのバランスを考慮し45%とするのが相当である。