重要判例【神戸地判平成26年5月23日】自賠責14級9号認定の37歳女子美容師の右足関節内果骨折につき10年5%労働能力喪失認定

1 治療費(個室利用)について

被告は、個室利用の必要性を争うが、本件事故による原告の受傷内容や程度、原告は、体調不良が続いて部屋内のポータブルトイレで用を足し、入浴できず看護師に身体を拭いてもらうなどしていたことなどを考慮すると、B病院の入院期間中については、個室利用の必要性が認められ、個室利用料も本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。

2 休業損害について

原告は、本件事故当時、原告子らと3人で暮らし、子らの監護養育をしながら、美容師として稼働していたものであり、兼業主婦であるといえ、その基礎収入は、稼働収入より高額である平成22年賃金センサス産業計・企業規模計・学歴計・女性労働者全年齢平均賃金である345万9400円によるのが相当である。

原告は、原告母の手助けをある程度受けていた(そのため、基礎収入につき上記女性労働者35~39歳平均賃金371万2700円によるのは相当ではない。)が、原告母は、原告家族とは世帯を別にし、実家の家事とN店の手伝いもしていたもので、原告家族の家事全般を行っていたとは到底認められない。

3 労働能力喪失率及び喪失期間について

原告の後遺障害は14級9号に相当するものであるが、右足首の疼痛に加えて軽度の可動域制限もあること、原告は、症状固定後も2人の子を監護養育しながら、美容師として立ち仕事に従事していること、症状固定から約4年となる現時点においても、右足首の疼痛は相当程度のものが残存しており、走ることも困難であったり、仕事についても、足に体重をかける施術は代理のスタッフに代わってもらっていること、重い物が持てなくなり、家事や育児にも支障があることなどが認められ、これらの事情に、原告の年齢などをも総合考慮すると、原告の労働能力喪失率は5%、労働能力喪失期間は10年間と認めるのが相当である。