事実関係の把握と損害賠償請求

従業員の横領や着服が疑われている場合は、すぐに本人を問い詰めるのではなく慎重に事実関係を把握します。被害額や横領方法などを確認して、確かに横領している証拠を確保しましょう。損害賠償請求訴訟を提起する場合や、刑事告訴をする場合は横領したことが客観的に分かる証拠が必須です。

刑事告訴の前に損害賠償請求を

証拠を確保したら、従業員に損害賠償請求を検討します。会社の財産が横領された場合、多くの企業は刑事告訴ではなく、先に損害賠償請求を行います。なぜならば、企業が従業員に横領されたことが報道されると、従業員だけでなく会社の管理監督責任や管理体制が問われるからです。

損害賠償金額は横領金と同額になることが多い

損害賠償請求を行う場合は、被害金額と慰謝料を請求することもできますが、横領する従業員の多くは経済的な余裕がないため慰謝料まで支払うことができません。ですので、被害金額の弁済のみを求めることが多い傾向です。従業員が反省しており、弁済の意思を見せている場合は、分割払いも検討しましょう。

損害賠償請求の前に身元保証人や財産の調査

横領した従業員に損害賠償を請求する前に、従業員が入社時に身元保証書を提出させているかどうかを確認します。身元保証書があれば、本人に支払い能力が無くても身元保証人に損害賠償を求めることができます。

それと平行して本人の財産を調査します。差し押さえるべき不動産の有無や生命保険契約の有無を確認します。生命保険契約は、年末調整に際に提出された生命保険控除等からどこの保険会社に契約があるかを把握することができます。差押えの際は、銀行口座や生命保険会社名が重要となりますので、できる限り把握しておきましょう。

内容証明郵便の送付と話し合い

従業員に損害賠償請求を行う場合は、請求したことを明確にしておくために内容証明郵便を送付しておきます。それと同時に、従業員と弁済についての話し合いを進めます。従業員に支払いの意思がなければ、身元保証人への請求や従業員、身元保証人の財産の差押え等も検討しましょう。