【会社清算⑩】債権申出期間中の弁済が許される場合とは?

清算手続において、債権申出期間中に債務の弁済が許される場合とはどのような場合ですか。

清算会社は、債権申出期間中に、債務の弁済をすることができないことは、既に【会社清算⑨】で解説したとおりです。
しかしながら、この原則を貫くと、例えば、公共料金等の支払いすらすることができず、清算業務に支障を来す可能性があります。
そこで、会社法は、例外的に、一定の債権について、裁判所の許可を得て弁済することができるようにしています。
すなわち、少額債権、清算会社の財産につき存する担保権等によって担保される債権、その他弁済しても他の債権者を害するおそれがない債権に関する債務は、裁判所の許可を得て弁済することができます
なお、清算人が複数いる場合、裁判所の許可の申立てには、清算人全員の同意が必要とされています。
また、清算会社は、条件付債権、存続期間が不確定な債権その他その額が不確定な債権に係る債務も弁済することができます。
ただし、この場合、総債権者に対する公平な弁済を確保するため、裁判所に債権評価のための鑑定人選任の申立てを行い、鑑定人の鑑定評価に従って当該債務の弁済を行うことが必要です。