本の紹介765(世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~ (光文社新書)

論理的・理性的な情報処理スキルの限界から、直感と感性の時代になってきているというお話です。

全てのビジネスはファッションビジネス化する」と言っています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・このような側面から考えてみると、私たちはもはやアップルという会社をIT企業と捉えるよりも、ファッションの会社だと考えた方がいいのかもしれません。なぜなら、アップルが提供している最も大きな価値は『アップル製品を使っている私』という自己実現欲求の充足であり、さらには『アップルを使っているあの人は、そのような人だ』という記号だからです。」(104頁)

同じようなことが腕時計や車にも言えますね。

もはやファッションと言っていいですよね。

単に時間を知るだけなら携帯電話を見ればいいわけです。

単に移動するための道具でよければどんな車でもいいわけです。

この流れ、一見すると、例えば、私たち弁護士業界には全く無縁のように見えますが、私はそうは思いません。

ここでは詳しく書きませんが、私は「全てのビジネスはファッションビジネス化する」という著者の考え方は、弁護士業界にもあてはまると考えています。

賃金146(DMM.com事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、休職後の雇用の終了の有効性、賃金減額同意の成否に関する裁判例を見てみましょう。

DMM.com事件(東京地裁平成29年3月31日・労判ジャーナル70号42頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約を締結し、カラオケ映像制作及びゲーム制作等に従事していたXが、Y社から、予定されていた売上げが見込まれないとして、事業部における事業の終了を告げられた後、うつ病性障害にり患したとして休職を申請し、休職期間中に代理人を立てて和解交渉を行っていたところ、Y社から、Xの不正行為が判明したなどとして、和解交渉の打切りと休職期間満了による雇用の終了を告げられたため、Xが、かかる雇用終了は解雇に当たるとした上で、Xは取締役会長が行った不当な解雇通知や長時間労働の強要等のパワーハラスメントに起因して体調を崩しており、業務上の疾病に当たるため解雇が制限され、また、解雇権の濫用にも当たるとして雇用終了は認められないと主張し、労働契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、未払賃金、残業代、付加金及び慰謝料等を請求した事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 休職期間満了時において、退職の効果を生じさせないためには、労働者において、復職意思があり、復職可能な状態にあることの立証を行う必要があると解されるところ、同日を経過する時点において、XからY社に対し復職の申出や、復職可能な状態に回復したことを証する診断書等の提出はなく、休職理由の消滅に関して何らの立証も行われなかったものと認められ、上記就業規則の適用により、Xは、平成27年1月10日の経過によって、休職期間満了によりY社を退職したものと認めることができ、また、本件でY社がXとの間の雇用を終了させたことが実質的に解雇としての側面があると考えた場合においても、客観的に合理的な理由及び社会通念上の相当性が認められ、解雇権の濫用に当たるようなものとはいえず、さらに、Xについては、精神疾患にり患し、それによって就業できない状況にあった事実の存在自体認め難い上、仮にその事実を認めるとしても、業務上の疾病に当たるということはできず、労基法19条の要件を満たさないこと等から、Xの請求のうち、雇用契約上の権利を有する地位の確認を求め、解雇後の未払賃金の支払を求めるものには理由がない。

2 本件賃金減額は、45万8400円もの急激な減額を伴うもので、その同意の認定に当たっては慎重な判断を要するということはいえるものの、本件賃金減額以前にも、Xが自ら人員の削減も含め人件費を半減させる提案をしていた事実が認められることや、Xは事業部の責任者として人件費の削減に自ら寄与すべき状況があったといえること、Xには、人件費の削減を事業部を継続させるための説得の材料として用いたいという動機があったと考えられることなど、真意をうかがわせる事情は複数認められ、また、本件賃金減額によっても、月額50万円と事業部において最も高額で、一般的に見ても低いとは言えない賃金が確保されており、その後もXから異議が述べられるなどしていないことに照らしても、本件賃金減額はXの同意に基づいてされたものであると認めることができること等から、本件賃金減額は、労働契約法8条により適法になされたものといえ、Xの未払賃金請求のうち、本件賃金減額の違法を理由に差額の未払賃金の支払を求める部分には理由がない。

上記判例のポイント1、2ともに重要な論点です。

裁判所が重要視する事情をしっかり主張立証することが大切です。

そのためには過去の裁判例を参考にして準備することが不可欠です。

本の紹介764(日本一の大投資家から教わった人生でもっとも大切なこと)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
日本一の大投資家から教わった人生でもっとも大切なこと

「日本一の大投資家」とは竹田製菓の竹田和平会長のことのようです。

著者が和平会長から受けた教えを本にまとめたものです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

成功したければ動機が必要だがね。動機があるやつは成功するまで気がもつけど、動機がおらん奴は成功するまで気がもたんねぇ。」(162頁)

と言われて動機を持てるほど簡単ではありませんよね。

人に言われて動機が生まれるというよりは、もともと何らかの動機を持っている人こそが強いのでしょう。

同じことをやっていても、他人にやらされている人と自ら率先してやっている人の差がはっきり出るのはそのためだと思います。

そういう意味で、やる前から動機の有無、強弱により、既に勝負は決まっているのかもしれませんね。

解雇256(シリコンパワージャパン事件)

おはようございます。

今日は、業務命令違反に基づく解雇無効地位確認等請求に関する裁判例を見てみましょう。

シリコンパワージャパン事件(東京地裁平成29年7月18日・労判ジャーナル70号29頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社との間で労働契約を締結し、その後、Xを解雇したが、この解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないものであり、権利を濫用したものとして無効であると主張して、労働契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、Y社の業務に関連する電子メールにつき、平成27年7月頃から、CCに部長のメールアドレスを入れないようになり、代表取締役から指示を受けても従わず、同年11月9日、重ねてP3から電子メールのCCに必ず部長のメールアドレスを入れるよう指示を受けた後も、これを改めず、同月11日、代表取締役から全ての電子メールのCCに必ず部長のメールアドレスを入れるよう明確に命じられた後も、その日のうちに、これに反し、あえて同じ行為を繰り返したものであり、Xが業務に関連する電子メールのCCに部長のメールアドレスを入れなかったことにより、Y社においては、現に、部長がXが既に対応していた業務を二重に行うこととなったり、Y社として対処するべき問題につき部長として営業部門とマーケティング部門を統括する立場にあった部長の耳に入るのが遅れたりするなど、その業務遂行に不利益が生じたことが認められるから、このようなXに対してY社が解雇に及んだのにはもっともな理由があったものと認められ、本件解雇に客観的に合理的な理由がないとは認められない。

再三にわたり注意指導したにもかかわらず・・・という事実を立証できるように準備することが使用者には求められています。

解雇の合理性の立証責任は使用者側にあることを忘れずに準備をしましょう。

本の紹介763(僕が最後に言い残したかったこと)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
僕が最後に言い残したかったこと

ナニワ金融道の作者である青木雄二さんの本です。

15年以上前の本ですが、目に留まったため、もう1度読んでみました。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

最後にこれだけは言っておくで。金は貯めるために存在するんやないで。時間を有意義に使うために金はあるんやで。そう、金は使うために存在するのや。死んでしまったら使えんのやからな。それが僕の今の偽らざる実感や。」(86頁)

みなさんにとって、お金は何のために存在しますか?

著者曰く「時間を有意義に使うため」だそうです。

私も著者と同じ意見です。

時間とお金、どっちが大切か。

言うまでもなく時間です。

お金は取り戻せますが、時間は過ぎていくばかりです。

だからこそ時間を有意義に使うためにこそお金を使いたいと思っています。

賃金145(東京商工会議所事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、就業規則の変更(成果主義型賃金体系導入)の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

東京商工会議所事件(東京地裁平成29年5月8日・労判ジャーナル70号36頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が、就業規則を変更し、年齢に応じて昇給する「年齢給」等を内容とする従来のいわゆる年功序列型賃金体系から、「役割給」等を内容とするいわゆる成果主義型賃金体系を導入したことについて、Y社の正職員であるXが、かかる就業規則の変更は従業員にとって不利益変更に当たり、合理性を欠き無効であると主張して、本件変更前の就業規則に基づく賃金を受給する地位の確認を求め、あわせて本件変更により具体的に減額された給与及び賞与部分について未払賃金が発生しているとして、その支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件では、制度変更がなければ事業継続ができないという意味での高度の必要性は認められないが、本件変更により制定された新賃金体系は、成果を上げることでそれに見合った賃金が支給され、従業員を含む職員全員に対し等しく昇級・昇給の可能性が与えられるなど公平性が確保され、制度変更の必要性に見合った相当なものであり、それと一体として改正された人事評価制度にも合理性があり、また、十分とまではいいがたい面はあるものの、激変緩和措置として経過措置が講じられ、不利益を受ける者に対する一定の配慮もされており、かかる観点からも変更された制度内容の相当性は認められ、また、Y社は、本件変更を進める過程で労働組合と交渉し、その意見も取り入れながら具体的な制度設計を行い職員に対しても丁寧に説明するなど、本件変更の合理性を基礎づける事情が認められ、さらに、本件変更が会社職員におおむね受け入れられている様子がうかがわれること等から、本件変更後の就業規則は、労働組合法10条の諸要素に照らし、その合理性を肯定することができ、従業員が本件変更後の就業規則に拘束されないことを前提とした本件各請求には理由がない。

裁判所はプロセスを重要な評価要素としていますので、不利益変更をする場合にはあわてず、やるべきことをしっかりやることがとっても大切なのです。

本の紹介762(武田双雲にダマされろ)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
武田双雲にダマされろ~人生が一瞬で楽しくなる77の方法

ダマされたと思ってやってみてね、という内容です。

前向きに生きましょう、という本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

壁は自分の視野の狭さが作るものだって知ってるから。壁と感じた時ほど、新しい考え方、新しい自分を作り出すチャンス。そして壁が自分を客観視してくれる手助けをしてくれます。・・・ずっと勝ち続けられる種はありません。ずっと強いままでいられる者はいません。弱さを知り、弱さを克服するために必死にもがいた者だけが、新たなる進化を手に入れるのだと思います。」(171頁)

と思えれば勝ちです。

負けたときにどう対応するか、それこそが重要だと心に留めて、先に進むほかありません。

勝つときもあれば負けるときだってありますよ、そりゃ。

どれだけ必死にやっても結果が出ないことを知っているからこそ、結果が出なくても腐らず次に進めるのです。

勝ち方だけでなく、負け方を知っている人はとても強いですね。

解雇255(エターナルキャスト事件)

おはようございます。

今日は、休職満了後の退職扱い無効地位確認等請求に関する裁判例を見てみましょう。

エターナルキャスト事件(東京地裁平成29年3月13日・労判ジャーナル70号50頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に正社員として雇用され、経理業務等を行っていたXが、Y社の代表取締役であるA、同社の従業員であるD及びEから違法な退職強要、配転命令及び雇用条件変更命令を受けたため、うつ病を発症し、休職を余儀なくされたと主張して、本件雇用契約に基づき、Y社に対し、Y社C営業所において清掃スタッフとして勤務する雇用契約上の義務のないことの確認、平成26年8月27日から本判決確定の日までの賃金月額23万円等の支払を求めるとともに、Y社及びAに対し、不法行為に基づく損害賠償として、各自慰謝料300万円等の支払、将来の退職強要行為の差止めを求めるほか、Y社に対し、同年1月9日から同年5月19日までの間の未払割増賃金合計約32万円等の支払、並びに労働基準法114条に基づく付加金約32万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

雇用契約上の義務のないことの確認請求は却下

雇用契約上の権利を有する地位確認は認容

未払賃金等支払請求、慰謝料請求は一部認容

未払割増賃金及び付加金請求は認容

【判例のポイント】

1 Xは、業務上の事由による傷病により就業できなくなったものであり、就業規則所定の「業務外の傷病」には当たらない上、労働基準法19条1項の趣旨に照らすと、休職期間満了に伴い当然退職扱いは許されないから、Y社のXに対する本件雇用条件変更命令の発令は認められないものの、Y社は、Xが休職期間満了に伴い退職したとして、本件雇用契約の終了を主張していることからすれば、XのY社に対する地位確認請求は、Xが、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求める限度で理由があり、Xは、本件退職強要行為2ないし4により、うつ病が重篤化して就労ができなくなったのであり、本件休職期間中の労務提供の不履行は、使用者であるY社の責に帰すべき事由によるものであるから、Xは、民法536条2項に基づき、Y社に対する賃金請求権を有する。

2 Y社は、Xが時間外労働をしていることについて認識しながら、特段これを禁止することなく、黙認しているような状況であったことからすれば、Y社のXに対する黙示の業務命令があったものと認められ、Xは、Y社に対し、業務に従事した時間について、時間外、休日及び深夜の割増賃金の請求をすることができ、また、残業時間一覧表は、Xの母がXからの帰宅の連絡を記録したメモを基にして作成されたものであり、入退館一覧表と必ずしも一致するものではないが、矛盾するところもなく十分に信用することができること等から、未払割増賃金は、合計約32万円となる。

上記判例のポイント2では、使用者の黙示の業務命令を認定した上で、残業時間について、Xの母がXからの帰宅の連絡を記録したメモに基づき認定しています。

使用者側で労働時間の管理をしっかりしていない場合には労働者側の何らかの記録に基づき認定されることがありますので注意しましょう。

本の紹介761(洞察力)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
洞察力――弱者が強者に勝つ70の極意

元ヤクルトの宮本選手の本です。

言うまでもなくこれまでの野球人生の経験談がベースとなっているものですが、業種を超えて、「洞察力」の重要さが伝わってきます。

非常に参考になる本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・ところが最近は、言われたことをやるだけの選手が増えてしまった。時代の変化なのだろうか。昔よりも真面目な選手が多いから、コーチに言われた練習はたくさんこなす。ところが1と言われたときに自分で2、3、4とは考えようとしない。5と言われれば、5まではやろうとするが、その先の6、7に考えを進めることができない。もっと自発的に考えれば結果が変わってくるのに、と思うことが多い。」(65頁)

よく言われることですが、大昔から「最近の若者は・・・」と年配の方に言われて続けているのです(笑)

いつの世もできる人はできるし、できない人はできない。 ただそれだけです。

どれだけ若かろうが、5と言われても、10、20まで考えを進めることができる人はいますし、どれだけ年を重ねようが、5と言われても、1もできない人だっています。

結果を出す人はいつの世だって、人よりも努力し、人と違うことをやり切っているのです。

解雇254(日本コクレア事件)

おはようございます。

今日は、就業態度・能率不良に基づく解雇無効地位確認請求に関する裁判例を見てみましょう。

日本コクレア事件(東京地裁平成29年4月19日・労判ジャーナル70号38頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で労働契約を締結していたXが、Y社から解雇されたところ、当該解雇は無効であると主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、当該解雇日以降の賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇は有効

【判例のポイント】

1 Xは、使用者が従業員に対して通常求める姿勢である、上司の指示、指導等に素直に耳を傾け、上司の意見を取り入れながら円滑な職場環境の醸成に努力するなどといった点に欠ける面が顕著であるといえ、再三のY社からの指示、指導及び警告にかかわらず一向に改善の意欲も認められないことからすれば、XとY社との労働契約における信頼関係は、本件解雇時点においてもはや回復困難な程度に破壊されていると評価せざるを得ず、Y社としては、職場全体の秩序、人間関係への悪影響等に鑑み、職場内の規律維持等の観点から対応せざるを得なかったといえ、本件訴訟においても、Xは、自己の考え方に固執し続けており、このことは、本件解雇以前から職制を踏まえた行動をする意思がなかったことを推認させ、Xの処遇の困難性を示していること等から、Xについては就業規則所定の解雇事由「従業員の就業態度もしくは能率が、会社にとって著しく不適当であると認められた場合」に該当するものと認められ、本件解雇は、その権利を濫用したものとして無効であるとはいえない。

よく解雇事案で、上記判例のポイントのように訴訟中の主張を取り上げて、それも考慮要素とすることがありますので、留意しましょう。

あまりに突拍子もない主張を展開すると判決理由で使われてしまいます・・・。