本の紹介846(だから、また行きたくなる。)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。
だから、また行きたくなる。 伝説の外資系トップ営業が教える「選ばれるサービス」の本質

プルデンシャルの川田さんの本です。

さまざまなお店の「選ばれるサービス」を紹介してくれています。

こういうサービスをされると「また行きたくなる」と思ってしまいます。

やろうと思えば誰でもできることですが、多くの人がやらないほんの小さな気配りなのです。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

営業の仕事で大切なのは、スキルではなく、結局は『人』として魅力的かどうかです。人は『損得』ではなく『感動』で動く生き物です。どんなに営業トークがうまくても、商品説明が上手でも、それだけではお客さまの心は動かせません。だからこそ、人間的な成長が必要なのです。」(233頁)

著者は、後輩から「ずっと売れる人って、どういう人なんですか?」という問いにこう答えています。

落ちているゴミを、またいでいかない人」(233頁)

本に載っているような営業テクニックなんてすぐばれます。

他よりも多少安くても、売っている人が魅力的でなかったら、絶対に買いません。

この人から買いたい、この人にお願いしたいと思ってもらうために必要なのは、セールストークではなく、人間的な魅力そのものです。

だからこそ、落ちているごみをまたいでいく人は売れないのです。

労働災害94(サニックス事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、新人研修における歩行訓練後の後遺症と安全配慮義務違反の有無等に関する裁判例を見てみましょう。

サニックス事件(広島地裁福山支部平成30年2月22日・労判1183号29頁)

【事案の概要】

XがY社に入社して新人研修を受けたが、研修カリキュラムの1つである24キロメートルの歩行訓練を受けた際に、右足及び左足を負傷したとして、主位的には、Y社の安全配慮義務違反が過失を構成するとして、不法行為に基づき、損害賠償と歩行訓練の日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払いを請求したもので、予備的には、Y社の安全配慮義務違反が債務不履行を構成するとして、損害賠償とY社に対して請求した日の翌日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払いを請求した事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、2222万4145円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 健康状態チェック表等でY社は参加者の体調を把握しようとしており、業務日報の記載からa訓練であまり無理をしないよう講師が述べていることが認められ、Y社が全く参加者の体調等に配慮していなかったわけではない。
しかし、Y社は、研修参加者の外出を禁止しており、参加者が自己の意思で医療機関を受診する機会を奪っているにもかかわらず、発熱者が出たときの対応でも明らかなように、Y社側から医療機関を受診させることに積極的ではない
a訓練は、参加者全員が完歩することを目的としており、参加者の年齢が幅広く、体力にも大きな差があるにもかかわらず、個人差や運動経験の有無等に全く配慮していない点で、無理があるプログラムである
そして、Xが歩行訓練中に転倒して右足関節を痛め、歩行訓練の中断や病院受診を求めても、これを拒絶して歩行訓練を継続し、a訓練に参加させたことが、Xの現在の症状の原因となっていること等に照らすと、Y社には、債務不履行の原因となる安全配慮義務違反が存在したと認められる。
Y社は、Y社にとって望ましい社員を選別するための手段としてa訓練を用いる意向があるかも知れないが、仮にそうであれば、その際に負傷した参加者に対しては、責任を負わなければならない。
なお、上記のとおりY社が参加者の安全について一定の配慮をしていることに照らすと、不法行為の原因となる過失があったということはできない

2 Xの足関節、膝関節には、軽度の変形性関節症が認められるが、軽度であり、Y社の研修に参加する前にはXには何も症状がなかったこと、軽度の変形性関節症がXの治療の長期化とどのように影響したか不明であること等に照らすと、素因減額を要するほどの素因に該当するとはいえない。
なお、Xは、肥満体であることが認められ、体重が重いために膝関節、足関節にかかる負荷が大きくなってXの傷害の悪化、長期化に影響したことが予想されるが、病的肥満といえる程度には達していない。
したがって、Xの肥満は病的ではないから、素因には該当せず、素因減額を検討することはできない。

3 本件は、債務不履行に基づく請求であり、弁護士費用の請求は認められない。

ニュースにもなった事案です。

認容額がかなり高額ですね。

みんながみんな体育会系ではないので、このような研修(?)はやはり避けるべきですね。

本の紹介845(「稼げる男」と「稼げない男」の健康マネジメント)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
「稼げる男」と「稼げない男」の健康マネジメント (アスカビジネス)

食事、睡眠、運動、ストレスケアの4項目についてマネジメントのしかたを説いています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

思い返してみれば、香港でさまざまな企業がグローバル会議などでホテルを予約するときは、ジムがついているホテルから埋まっていきました。上級職になるほど、朝から身体を動かす習慣があるからです。
あるデンマークに本拠地を置く企業が香港で会議を行った際は、全員で朝6時からランニングをしていました。ウイニングエッジを勝ち抜くために、普段からの「準備のレベル」が違うのです。」(39頁)

前回紹介した本とも共通する内容です。

日本でも、出勤前にジムへ行き、トレーニングをするという文化がもっと広がるといいですね。

筋トレに関して言えば、30分もやれば体がパンパンです。

わずか30分を続けられるか、ただそれだけの話です。

30分のトレーニングすら続けられないのであれば、結局、何をやっても結果は出ないことは想像に難くありません。

三日坊主からは何も生まれません。

解雇279(神奈川SR経営労務センター事件)

おはようございます。

今日は、産業医意見の信用性が否定され休職期間満了に伴う退職扱いが無効とされた裁判例を見てみましょう。

神奈川SR経営労務センター事件(横浜地裁平成30年5月10日・労経速2352号29頁)

【事案の概要】

本件は、労働保険事務組合であるY社の従業員であったXらが、X1はうつ状態を、X2は適応障害を発症してそれぞれ休職したところ、休職期間満了日の時点で復職不可と判断され自然退職の扱いとされたことについて、主位的には、Xらは復職可能であったことから本件各退職扱いはY社の就業規則の要件を満たさず無効であるとして、予備的には、仮にXらが復職可能でなかったとしても、XらとY社との間の従前の経緯に照らし本件各退職扱いは信義則に反し無効であるとして、Y社に対し、X1は、①労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、②給与等の支払をそれぞれ求め、X2は、①労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、②給与等の支払をそれぞれ求める事案である。

【裁判所の判断】

退職扱いは無効

【判例のポイント】

1 X1が本件退職扱いAの時点で従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復していたことの証拠としては、うつ状態の病状改善により復職可能とのG医師の診断書(平成27年5月21日付け)があるところ、①X1は、本件休職命令Aの際には、不安、気分の落ち込み、眠れない、食欲不振、考えがまとまらない、死にたいと思う精神状態で、投薬も受けていたが、本件退職扱いAの当時は、睡眠がとれるようになり、食欲も出て、投薬も終わっており、気分の落ち込み、考えがまとまらない、死にたいと思う精神状態も認められなかったこと、②本件面談Aにおいても、X1は、体調がよく、復職の意欲があることを話し、何ら不自然不合理な点は認められず、精神障害が疑われる事情は何らうかがわれなかったこと、③X1は、平成26年10月17日、平成27年1月30日、同年5月11日に行われた第2訴訟の各期日に、何ら問題なく出廷できていることからすれば、上記診断書は、信用できる。
そして、X1は労働保険事務組合関係業務、庶務関係業務等、具体的には、窓口業務、電話対応、書類整理に従事していたところ、これらの業務の内容からすれば、X1は、同年6月7日の本件退職扱いAの当時、従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復していたものと認められる。

2 H医師は、Xらについて、①自分の行動分析も含めて客観的な振り返りができず、冷静に内省できているとは言い難い、②再発予防対策として必須の、組織の一員としての倫理観、周囲との融和意識に乏しい、③自分の症状発現には、組織の対応及び周囲の職員の言動が一義的原因であるとして一貫して組織及び職員を誹謗するに終始したと判断している。
しかしながら、上記判断は、一定の基準ないし価値判断、すなわちXら自身が、Y社や他の職員とのトラブルの原因であるとの見解を前提としたものと解されるところ、第1訴訟が本件和解条項を含む和解で終了していること、第2訴訟もX1の主張が認められ、請求認容判決が宣告され、これが確定していることからすれば、その見解には疑問がある上、本件面談A及び本件面談Bにおいて、XらにH医師の上記評価の根拠となり得るような発言があったとの事情も窺われないことからすれば、H医師の上記評価は、採用できない
H医師は、本件各退職扱いの時点において、X1については、人格障害、適応障害であり、統合失調症の症状も診られると指摘し、X2については、自閉症スペクトラム障害、うつ状態、不安症状、自律神経失調症状があり、依存性の性格傾向があると指摘する。
しかしながら、H医師自身も、上記精神障害の指摘は診断ではなく判断であると述べており、Xらは医学的には病気ではなかったと認めていること、さらに、精神科医であるJ医師が、X1について統合失調症、人格障害であることを否定し、同じく精神科医であるI医師も、X2について自閉症スペクトラム障害、人格障害であることを否定していること、そもそも本件面談Aは1回約40分、本件面談Bは3回で、各回約30分から約40分にとどまり、このような限られた時間での面談により、上記のような判断が可能であるかについても疑問が残ることからすれば、H医師の前記各指摘は、合理的根拠に基づくものであるとは認められず、採用できない
以上によると、Xらが本件各退職扱いの時点で復職不可の状態であったとするH医師の意見書及び証言は、到底信用できない。

休職期間満了時に、主治医意見と産業医意見が相反する場合に会社としてはどのように判断すべきかという問題は、判断がとても難しいですが、よく発生する問題です。

裁判所の考え方を踏まえて、慎重に対応しましょう。

言うまでもなく、弁護士に相談の上対応しましょう。

本の紹介844(30代ビジネスマンの「太らない」「疲れない」21の習慣

おはようございます。

今日は本の紹介です。
「太らない」「疲れない」21の習慣

食事、睡眠、運動に関する習慣について解説しています。

ダイエット等が成功しない理由は、シンプルです。

継続できない。 ただそれだけです。

つまりは、習慣化のしかたさえわかっていれば、勉強もダイエットもたいていのことは結果が出ます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

日本人は、頭脳だけで仕事をしている。頭に知識を入れることには一生懸命だけど、食事、睡眠、運動などには驚くほど気を遣っていない。私たちは、健康なビジネスマンでい続けることも含めて、仕事で成果を上げようとしている。長期的には、どっちがいい結果を出すだろうね?」(25頁)

これは、アラブ系のビジネスマンが著者に語った言葉です。

このビジネスマンは、日頃からドバイと香港を行き来しており、出張先にもランニングシューズを持っていき、朝はランニング、夜はホテルのジムやプールで体を動かすことを日課としているそうです。

日頃、ランニングや筋トレをするのが習慣になっている人からすると、特に驚くことではありません。

何もしていなければ、年齢とともに体力がだんだん落ちてくるのは当然のことです。

トレーニングをしているかどうかは、年齢が上がれば上がるほど一目瞭然ですぐにわかります。

忙しいのはみんな同じです。

やるかやらないか、ただそれだけの違いです。

解雇278(日本マイクロソフト事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、事前承認のない休日出勤中の事故後の解雇と労基法19条1項に関する裁判例を見てみましょう。

日本マイクロソフト事件(東京地裁平成29年12月15日・労判1182号54頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約を締結したXが、Y社に対し、平成25年6月29日付け解雇は無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 AがXに対して同月9日の休日出勤を指示したとはいえないものの、事前承認を得ずに勤務することの多いXが同月9日から同月11日までの間に宿題提出のために作業すること、すなわち休日出勤をすることは想像に難くなく、許容していたといえる。そうすると、Xは、業務遂行のためY社の支配下にある事業場で本件事故に遭ったと認められ、業務起因性があるといえる。

2 本件事故があったとされる平成25年2月9日からY社が本件解雇を通知し以後の就労を免除した同年5月29日までの間において、Xは、午前休や全休を取得したと主張するが、Xの主張する日は、所定休日あるいは、所定労働日に所定労働時間7.5時間以上の勤務実績がある日であり、休業の事実が認められない。
したがって、労働基準法19条1項の解雇制限の適用はない

3 Xは、形式的に休業していなかったとしても、身体的状態として本来欠勤して療養すべき健康状態にあった以上、労働基準法19条第1項の解雇規制が直接適用ないし類推適用されるべきであると主張する。
しかし、労働基準法19条1項はあくまで業務上の傷病の「療養のために休業する期間」の解雇の意思表示を禁止している規定であることは文理上明らかであるから、Xの上記主張は採用しない。

労基法19条1項の解雇制限は、あくまでも「療養のために休業する期間」についてのものなので、休業していない場合には同条の適用はありません。

本の紹介843(これからの時代のお金に強い人、弱い人)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
これからの時代のお金に強い人、弱い人

大富豪インド人のビリオネア思考」の著者サチン・チョードリーさんの本です。

細かいお金の稼ぎ方についてではなく、物事の考え方、人生の捉え方について書かれた本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

何かのせいにしない人は、それを自分のこととして受け止めます。だから、素直になれる。謙虚になれるし、学ぼうとする。そして、学んだことの大切さをよくわかっている。
ジム・ロジャーズさんも言っていました。『自分が知っていること、学んでいること以外のものに手を出してはいけない』と。お金は実は、すべては学びから始まるのです。」(155頁)

「自分が知っていること、学んでいること以外のものに手を出してはいけない」という教訓は投資に限らず、あらゆる仕事にもいうことができますね。

人に勧められるがままにうまい話に乗ってしまい、大やけどをするなんてことがありますが、まずは自分でしっかりその分野のことを勉強することがとっても大切です。

おいしい話のときこそ、冷静になってリサーチをする。

こんな姿勢がいざというときに役に立つのではないでしょうか。

有期労働契約82(YIDATEC日本事件)

おはようございます。

今日は、雇止め無効地位確認等請求が棄却された裁判例を見てみましょう。

YIDATEC日本事件(東京地裁平成30年2月1日・労判ジャーナル78号50頁)

【事案の概要】

本件は、本訴事件において、Y社との間で有期雇用契約を締結しこれに基づいて就労していたXが、契約更新の申入れをしていたがY社から雇止めをされたため、労働契約法19条1号及び2号に基づき、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、時間外労働等に係る割増賃金等の合計額である約542万円等、労働基準法114条所定の付加金約308万円等の支払を求め、さらに、会社代表者からパワーハラスメントを受けたと主張して、不法行為(会社法350条)に基づく損害賠償請求として100万円等の支払を求め、反訴事件において、Y社がXに対し、過払であった通勤交通費について、Xは通勤経路を変更した旨Y社に申告した平成24年5月7日以降、受領する法律上の原因がないことについて悪意であったにもかかわらず、これを受領していたと主張して、民法703条、704条に基づき、約40万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

雇止めは有効

未払割増賃金等請求は一部認容

損害賠償請求は一部認容(10万円)

反訴:不当利得返還請求は一部認容(24万6330円)

【判例のポイント】

1 本件雇用契約は6回更新され、契約期間も6年以上と長く、更新の際労働条件の交渉等のために雇用契約書が取り交わされる前の段階でもXが引き続き就労していたこと、就業規則4条において正社員と契約社員とで個別契約がない限り基本的な労働条件が同一とされていることは認められるものの、賃金等の労働条件は更新の際に見直され、必ず雇用契約書が作成されていることに鑑みれば、本件雇用契約を就労させることが「期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できる」(労契法19条1号)とまではいうことができない。

2 Xは通勤交通費を不正に受給し、これに関する聴聞の手続を放棄した上、法律上の原因なくして利得した通勤手当の返済に関する協議に一切応じなかったばかりか、親会社関係者にまで副部長の不正疑惑を申し出て、職場における人間関係を破壊し、会社代表者との関係においても問題のある業務指示についてそれを指摘するにとどまらず、あえて反抗的な態度をとるなど強固な反発心を示していたことからすれば、Y社においてXによる有期雇用契約の締結の申込みを拒絶することが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相違であると認められない」(労契法19条柱書)とはいえず、Xの地位確認等の請求は理由がない。

3 Xは少なくとも平成25年6月以降肩書住所地から通勤していたのであり、副部長が就業規則に反してバス通勤を認めるとは解されないこと、仮にそのようなことがあったとしても単に会社に対する同部長の業務懈怠にすぎず、Xにおいて同部長にそのような許可権限があると信頼することを正当化する事情があるとは解されないことからすれば、Xは悪意の受益者であると認めるべきであるから、Y社の反訴請求は、24万6330円等の支払を求める限度で理由がある。

上記判例のポイント1のように、更新時の手続きを行っていれば、1号事案として判断される可能性は低くなります。

これに対して、更新回数が多くなり、契約期間が長期になってくると、2号事案に該当することはほとんどですので、結局、雇止めの合理性が問題となってくるわけです。

本の紹介842(手ぶらで生きる)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
手ぶらで生きる。見栄と財布を捨てて、自由になる50の方法

著者は「ミニマリスト」の方です。

本書のサブタイトルは「見栄と財布を捨てて、自由になる50の方法」です。

帯には「お金、時間、人間関係・・・不安を手放し、自分の人生を取り戻すコツ。」と書かれています。

確かに所有物が増えてくると重くなって動きにくくなりますよね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

もっと広い家に住みたい、もっといい車に乗りたい、もっと稼ぐ夫・もっと美人な妻がよかった、子どもをもっといい学校に入れたい・・・住む家があって、お金を稼ぐ手段も確保し、家族もいて十分幸せなはずなのに、他人と比較し『最大化』が行き過ぎた結果、自ら不幸になっている。こんな人はけっこう多いと思う。」(175頁)

「足るを知る」ということでしょうか。

「見栄」と「欲」を捨てると、必要以上のお金を求めることがなくなります。

もっといい車に乗りたい、もっと高い時計をつけたい・・・

こういうことが働く動機になる人はそれでいいでしょうが、

それほど物欲がない人にとってみれば、車なんて動けばいいし、時間は携帯電話で見ればいいからそもそも時計はいらないということになるのでしょう。

こういう考えの人は、収入の多さと幸せの度合いが必ずしも比例しないことを知っています。

求めれば求めるほど幸せから遠のくという感じでしょうか。

労働災害93(学校法人武相学園(高校)事件)

おはようございます。

今日は、うつ病で休職中の懲戒解雇と労基法19条1項違反の有無に関する裁判例を見てみましょう。

学校法人武相学園(高校)事件(東京高裁平成29年5月17日・労判1181号54頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の設置するa高等学校(以下「a高校」という。)の教諭であり水泳部の顧問であったXをY社が解雇したことが、労働基準法19条(業務上疾病により休業中の労働者の解雇禁止)の規定に違反するかどうかが争われる事案である。

原判決は、Y社に対して労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるXの請求を、Xのうつ病が業務上の疾病とはいえないことを理由として棄却した。

これを不服としてXが控訴したのが、本件控訴事件である。

【裁判所の判断】

原判決を取り消す。
→Xが、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

【判例のポイント】

1 Y社は、B医師は、簡単な問診をしただけで、軽度うつ病で3か月程度の休業を要する旨の診断を行っており、科学的検査を実施しておらず、Y社との面談も実施しないなど、精神科医のとるべき対応として不十分であるとして、B医師の診断が信用できない旨を主張する。
しかしながら、B医師は、Xには、日内変動、抑うつ、制止のうつの徴候が深刻であり、激しい不安焦燥、不穏、自殺念慮、自棄的破壊的激情噴出等の精神的症状と、不眠、7kgの体重減少等の身体的症状があり、これらの具体的症状に基づきうつ病エピソードと診断したと認められ、その症状の把握や診断手法に不合理な点は認められない。平成24年7月6日にXを診断した済生会横浜市南部病院のI医師も、精神運動抑制と認知の歪みが目立つとして、B医師と同様のうつ病診断をしていることが認められる
Y社は、自らの主張に沿う証拠としてH医師作成の意見書を提出する。しかしながら、H医師は、Xを診察した上で意見を述べているものではない上、うつ病診断における科学的検査(血液検査や画像診断所見等)は研究段階にあり有用性は現在のところ確立されていない旨述べ、また、医師による使用者からの事情聴取は寛解を目指して長期的に診療を続ける場合にストレス要因を明らかにするという意味で大切であるが、患者の主観面を確認し当面の症状を改善させ落ち着かせることと比べれば重要度は落ちるという趣旨を述べているにとどまる。H医師の意見書は、B医師の診断自体の信用性に影響を及ぼす余地はない。したがって、Xがうつ病を発症したとするB医師の診断は、採用できる。

2 Y社は、Xが平成23年8月に休職するまで体調不良を訴えることもなく通常どおり業務をこなしていたこと、休職後もa高校のOB会の宴会に出席して飲酒したり、平成24年6月に5日間の講習を受講して教員免許を更新するなどしたことを指摘する。
しかしながら、平成23年6月初めに水泳部顧問や授業の禁止処分を受ける前後からXの精神が衰弱して不眠、希死念慮の症状が出ていたことは、前記認定のとおりである。また、うつ病の回復過程にある平成24年6月に教員免許更新のため5日間の講習を受講したからといって同年7月のI医師のうつ病との診断が否定されるものではない。
休職中の宴会出席は、うつ病の回復過程において主治医の助言に従い治療の一環として出席したことが認められる。その他Y社が主張する事情を併せ考慮しても、前記認定(Xが平成23年6月上旬から同年8月下旬までの間にうつ病を発症したこと)を左右するには足りない。

2 C校長及びD副校長らによる進退や重大な処分という発言を伴う聴取調査は、「会社の経営に影響を与えるなどの重大な仕事上のミスをした場合」に該当し、これによりXに課された心理的負荷は大きく、平均的な教諭であってもうつ病を発症させる程度のものであった。
そして、発症前6か月間のXの月平均100時間を超える時間外労働は、Xに非常に大きな心理的負荷を課するものであり、前記聴取調査による心理的負荷を増大させた。
そして、うつ病発症の有力原因となり得るような他の原因が認められない本件においては、C校長らによる聴取調査及びXの時間外労働とうつ病発症との間に相当因果関係がある。
うつ病はY社における業務に起因して発症したものであり、Xは、本件解雇当時、うつ病により休職中であった。そうすると、本件解雇は労働基準法19条に反し無効である。
したがって、Xは、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にある。 

この種の訴訟では、主治医と産業医の意見の食い違い、いずれの意見を採用すべきかが問題となります。

形式的にどちらの意見を尊重すべきかを判断するのではなく、いずれの意見がより合理的な根拠に基づくかを判断することになります。