本の紹介1285 人生で起こることすべて良きこと#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

戦争や大きな地震で亡くなられる方を見ると、必ずしも素直にタイトルのように考えることは容易ではありませんが。

とはいえ、逆境を乗り越えるために必要なマインドであることに違いはありません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

何が起こったか それが、我々の人生を分けるのではない 起こったことを、どう『解釈』するか それが、我々の人生を分ける」(43頁)

よくこのブログでも紹介する考え方です。

事実それ自体に意味などありません。

事実は事実です。

それ自体が私たちの幸せ、不幸せ、喜怒哀楽に影響を与えているわけではありません。

当該事実をどのように解釈するかこそが、私たちの感情に影響を与えているのです。

つまり、幸せ、不幸せは、客観的な状況から決まるのではなく、純主観的なものだということです。

いかに恵まれた環境にいても、幸せを感じられない人がいることを思い浮かべれば理解できることでしょう。

つまるところ、幸せは探すものでなく、感じるものなのです。

このことに気付けるかどうかが、まさに「我々の人生を分ける」といっても過言ではありません。

決して腐らず、希望を持って前に進むことがとても大切です。

可能な限りポジティブに物事を解釈することで、人生の幸福度を上げることができると確信しています。

解雇367 診療所の閉鎖と合意退職の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、診療所の閉鎖と合意退職の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

医療法人一栄会事件(大阪地裁令和3年11月15日・労判ジャーナル121号42頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が経営する診療所に勤務する歯科医であった原告が、同診療所を閉鎖するとの通知を受けたため退職に同意したが、実際は、同診療所は閉鎖されなかったから、退職同意は錯誤によるものとして無効又は欺罔行為に基づくものであるから取り消したとして、①雇用契約に基づき、(a)雇用契約上の地位確認、(b)退職から本判決確定までの賃金及び各支払期日の翌日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求めるとともに、②Xが退職した後も管理者の変更届出を怠り、Xを同診療所の管理者としたまま放置し、診療報酬を請求する際にXの氏名を不正に利用したとして、不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)+遅延損害金を求める事案である。

【裁判所の判断】

退職同意は無効

【判例のポイント】

1 本件診療所全体の閉鎖であればもとより、仮に、Y社が主張するように本件診療所のうち外来診療のみを閉鎖する場合であったとしても、患者に対する説明やほかの歯科医院への紹介が必要になるほか、訪問診療をb診療所に集約するのであれば従業員の勤務地が変更されることになり、b診療所には集約せず、本件診療所で訪問診療のみを行うこととしたとしても、勤務体制に変更が生じるのであるから、X以外の従業員に対しても、その方針を説明することが必要となる。
しかし、本件において、患者に対して本件診療所の外来診療を閉鎖する旨の説明がなされたことやほかの歯科医院への紹介がなされたことを的確かつ客観的に裏付ける証拠はなく、本件診療所に勤務していたX以外の従業員に対し、本件診療所の廃止について説明したことを認めるに足りる証拠もない。
・・・以上を総合考慮すると、Y社は、本件診療所全体を閉鎖する意図は有していなかったが、Xに対して本件診療所全体を閉鎖する旨の説明を行い、Xは、その説明を信じて、合意退職することとしたことになる。
そうすると、Xが合意退職の前提としていた本件診療所全体の閉鎖という主要な部分が事実と異なっていたことになるから、本件合意退職には、意思表示の瑕疵(錯誤あるいは詐欺)があったといわざるを得ない

2 同期間におけるY社の本件診療所に係る診療報酬請求の内容が、実際は診療を行っていないにもかかわらず診療を行ったものとして報酬を請求する架空請求のように不正なものであったというような事情はうかがわれず、また、本件診療所の診療報酬請求に何らかの不手際があり、その管理者としてXの氏名が報じられたり、Xが保険診療を所管する機関から事情聴取を受けたというような事情もうかがわれない。
そして、Xの供述を前提としても、Xが、自らが管理者として登録されたままであることを認識したのは令和元年5月頃であり、同事実を認識した後も、Y社に対し、管理者を変更するよう求めたことはなく、Xが本件診療所の管理者とされていることでXに何らかの被害が生じたというような事実もなかったというのである。
以上に加えて、事後的ではあるものの、Y社が、本件診療所の管理者の登録を是正していることなど、本件に現れた一切の事情を総合考慮すると、Y社が、Xの退職後も原告を本件診療所の管理者としたままであったことをもって、Xに、金銭をもって慰謝しなければならない損害が発生したと認めることはできない。

上記判例の判例のポイント1は重要なので、しっかり押さえておきましょう。

退職合意の前提となる事実について錯誤等が存在すると認定されないように、丁寧に説明することが心がけましょう。

退職合意をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

本の紹介1284 お金の科学#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

何回読んでも勉強になる、とてもいい本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

聖書の詩編に次の言葉が書き記されている。『助言のない所で、民が滅びる。助言の多さに安全がある。愚か者の道は、自分の目において正しい。しかし、助言に耳を傾けるものは賢者である』これこそ、偉大な富を入手し、これを保ち続ける人たちの道なのだ。」(362頁)

愚者は経験に学ぶとはよく言ったものです。

愚者の3つの特徴。

1 助言を求めない。

2 助言を求める適切な人がいない(結果、多数の人の意見を聞く)。

3 助言を受けても、結局、聞かない。

私のまわりのうまくいっている経営者の方々の多くは、自分の専門外のことはすべてその分野の専門家に助言を求めています。

下手の考え休むに似たり。

労働時間77 事業場外みなし労働時間制適用の可否(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、事業場外みなし労働時間制適用の可否に関する裁判例を見てみましょう。

アネビー事件(大阪地裁令和3年11月16日・労判ジャーナル121号40頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、Y社に対し、未払割増賃金として、試用期間中である平成29年9月1日から同年12月10日までの勤務分につき割増賃金元本25万0530円+遅延損害金、並びに平成29年12月11日から平成31年2月10日までの勤務分につき割増賃金元本123万1542円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、21万5712円+遅延損害金を支払え。

Y社は、Xに対し、87万4208円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Xは、常時ノートパソコンでY社のサーバーに保存された顧客情報等にアクセスすることができるようにするため、Y社からノートパソコン及びスマートフォンを貸与されていたのであり、Xは、顧客への営業活動や展示会の参加の際に、大阪支社のXの上司に相談したり、Xの上司がXに営業に関する指示をしたりすることもあったはずである。
だとすれば、Xが直行又は直帰する場合であっても、貸与したスマートフォン等により、Xが顧客のもとに到着し、営業活動を始めた時間や、営業活動を終え、顧客のもとを離れた時間を報告させることにより、Xの労働時間を管理することが十分可能であったといえる。
実際にも、Y社は、業務終了後、Xに日報メールを送信するよう指示し、これを直帰した場合のタイムカード代わりに捉え、その送信をもって業務終了と考えていたほか、証拠によれば、原告は、社用車での移動中にスピーカーフォンに切り替え、運転しながら上長に業務の相談や報告をすることもあったと認められ、原告の直帰時の終業時刻を実際に把握していたものといえる。

2 また、Xは、大阪支社に出勤した際には、その日の予定を朝礼で伝えていたものであり、朝礼に出ることができない場合についても、Xは、口頭で上長に翌日は朝から直行する旨や直行先、おおよその帰社時刻を伝えていたものと認められる。また、Xが直行後大阪支社に戻ってきた場合には、Xの上司がその結果を当然に確認するはずであるし、Xは、各案件の進捗状況等を随時案件シートに更新していくよう指示を受け、訪問日時、担当者名、次回訪問予定日、打合せ内容(具体的な会話内容)、案件の進捗状況、決定事項等を入力していたものと認められ、この認定に反する証拠はないのであって、このようなXから伝えられた情報や案件シートの記載内容を参照することによって、Y社は、Xの大まかな労働時間を把握することはできたはずである。
とりわけ、展示会の場合には、展示会の前日に現地に入る場合には、概ね午前9時頃から遊具等を会場に搬入し、大きな会場では午後6時過ぎ頃まで会場設営を行い、その後、翌日午前9時に集合し、午前10時から展示会が始まり、午後6時頃に終了することが多く、展示会の最終日には、閉会後に撤収作業を行い、多くは翌日に搬出作業を行っていたものであって、上司が営業担当者に展示会への参加を振り分けていた以上、Y社は、展示会の日程は当然に把握していたはずであるし、これにXを含む営業担当者が参加する場合には前記のようなスケジュールとなることも把握していたものと推認される

3 以上に加え、社用車を利用して出張する場合、事前に、行先、出発予定時刻及び帰社予定時刻を社内の共有システムに入力して予約することが義務付けられていたこと、レンタカーを利用する場合や新幹線を利用する場合、宿泊を伴う場合は、事前に必要経費を計算して申請し、上司の許可を得ることが義務付けられていたことなどが認められ、これらの事情によれば、Y社は、Xが出張に際して提出する各種申請内容等によっても、Xの行動予定を大まかに把握することができたものといえる。
以上の諸点を総合すると、Xが事業場である大阪支社外で業務を遂行した場合の労働時間をY社が算定することは十分に可能であり、これを算定し難いということはできない
Y社の主張は、要するに労働時間の管理は可能であるが、敢えてこれを行わないというに過ぎず、その他Y社が種々主張するところを踏まえても、前記判断を左右しない。
よって、Xの事業場外での労働につき、労働基準法38条の2第1項の適用があるということはできない。

ご覧の通り、事業場外みなし労働時間制の要件は極めて厳しく判断されるため、同制度を採用することは、非常にリスクが高いといえます。

日頃から顧問弁護士に相談の上、労働時間の考え方について正しく理解することが肝要です。 

本の紹介1283 超凡思考#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から10年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

サブタイトルは、「『当たり前』を愚直にやり抜くと、平凡は非凡に変わる。」です。

ここで重要なのは、そもそも人によって「当たり前」の定義や具体例が大きく異なるということです。

つまるところ、何を「当たり前」にするのかが決定的に重要です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

結局、発想や着想はその人の力の一割に過ぎず、九割は実際に行動できるかどうかに懸かっています。行動した人が勝つのは至極当たり前のことなのです。」(54頁)

アイデアや計画それ自体には価値はありません。

それを形にする行動にこそ価値があるのです。

5年後、10年後、どのような人生を送っていたいのか。

そのために日々、どのようなことを行っているか。

どれだけ崇高な理念、立派な目標、詳細な計画があっても、日々の行動・準備がなければ、すべては絵に描いた餅です。

やり続けられるか。

途中で投げ出してしまうか。

ただそれだけの違い。

途中で投げ出している限り、人生は1ミリも変わりません。

不当労働行為288 仮処分命令後に横断幕等を撤去したため、被保全権利がすでに存在しないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、仮処分命令後に横断幕等を撤去したため、被保全権利がすでに存在しないとされた事案を見ていきましょう。

オハラ樹脂工業事件(名古屋地裁令和3年11月25日・労経速2473号29頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が、Y社の従業員らが加入する労働組合及びその上部団体であるXらに対し、所有権、施設管理権等を被保全権利として、XらがY社本社の敷地内に設置した横断幕及びのぼり旗の撤去を求める仮処分命令の申立てをしたところ、当裁判所が、上記各物件の撤去を命じる仮処分命令をしたため、Xらが保全異議を申し立てた事案である。

【裁判所の判断】

仮処分決定を取り消す。

【判例のポイント】

1 Xらは、原決定後に本件のぼり旗等を撤去したことから、審理終結時において、本件のぼり旗等の設置により、Y社が被保全権利として主張する所有権、施設管理権が侵害され、債権者の名誉、信用が毀損されているとは認められない。
したがって、審理終結時において、Y社の所有権又は施設管理権に基づく本件のぼり旗等の撤去請求権の存在は認められない。

2 これに対し、Y社は、Xらによる撤去が仮装であり、Xらは原決定取消後、再度のぼり旗等を設置する蓋然性が高く、被保全権利はなお存在すると主張する。
しかし、Xらが撤去後にも本件のぼり旗等の設置の正当性を主張して争っていること、Xらが本件申立て以前にも、のぼり旗を設置し、Y社がのぼり旗の撤去を求める仮処分の申立てをした後に撤去したとの経緯があったとしても、本件申立ては、所有権又は施設管理権に基づく妨害物排除請求であることからすれば、現に所有権又は施設管理権が侵害されていない以上、Y社の仮処分申立てを認めることはできない

上記判例のポイント2に記載されているY社の懸念は理解できるところですが、要件事実的には上記結論になります。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介1282 優雅な肉体が最高の復讐である。#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から8年前に紹介した本ですが、再度、読み直してみました。

「なんで体を鍛えているんですか?」という質問をする方には、

「なんで体を鍛えないんですか?」と聞き返すことにしています。

「何を目指しているんですか?」と何も目指していない方から質問されるといささか照れます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

監督に『なぜ声をかけてくれたんですか?』と聞いたら、『オファーが来てから肉体を作ったり準備したりするのではなく、先が見えない中で走っている人間を評価したいし、受け止めたくなるから』と言ってくださいました。準備ができている人にチャンスは訪れます。」(25頁)

Chance favors the prepared mind.

いつ訪れるかわからない一瞬のチャンスを掴むために、毎日毎日コツコツ準備を続ける。

それを見つけてくれて、評価してくれる人が必ずいます。

ボーっと生きていたら、人生なんてあっという間に終わってしまいます。

まわりの環境や他人に対する不平不満ばかりが口から出てくる、そんな人生はまっぴらです。

自分の人生は自分の力で切り拓くしかありません。

労働者性45 元代表取締役が労災保険法上の労働者にあたるとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、元代表取締役が労災保険法上の労働者にあたるとされた事案を見ていきましょう。

国・八代労働基準監督署長事件(熊本地裁令和3年11月17日・労経速2473号29頁)

【事案の概要】

Xは、平成31年1月28日、a社が運営する本件工場において、廃タイヤ・廃プラスチック破砕機のメンテナンス業務に従事中の事故により、左肘関節開放性脱臼骨折等の傷害を負った。

本件は、Xが、上記傷害は労働者の負傷に該当するとして、八代労働基準監督署長に対し労災保険法に基づく療養補償給付及び休業補償給付の申請をしたところ、八代労働基準監督署長が令和元年6月12日付け及び同月17日付けでこれらを不支給とする決定をしたことが違法であると主張して、本件各処分の取消しを求める事案である。

【裁判所の判断】

労災不支給決定を取り消す。

【判例のポイント】

1 Xがa社の代表取締役を退任した後(本件事故当時)、本件工場に所属する従業員はXを含めて7名であり、工場長(リサイクル部の責任者)はFが務め、副責任者3名とともに本件工場の管理を行っており、Xは本件工場に所属する平社員3名のうちの1人として、Fから毎日朝礼時にその日の作業内容について指示を受け、本件工場内で重機を使用した廃タイヤの片付け作業を行い、Fから個別の指示を受けることもあった一方、Xが他の従業員に指示を出すことはなくなっていたものであり、a社の代表取締役を退任したXが以前の地位を理由にFや本件工場の副責任者から受けた業務上の指示を無視したり拒否したりした事実の存在は窺われない
また、本件工場の業務は顧客等から回収した廃タイヤを処理して製紙工場等への販売用チップに再資源化する業務であり、そのために毎月約150トンもの多量の廃タイヤが本件工場に搬入されていたこと、本件工場の業務量は年間を通じて落ち着いており、基本的にXを含む平社員の従業員の残業はなかったことからすれば、Xは本件工場の平社員として毎日継続的に発生する廃タイヤの処理業務を現場の責任者であるFの指示の下に淡々と行っていたにすぎず、X自身による業務量の調整はされていなかったことが推認されることに加え、Xが代表取締役退任後にその旨をa社の取引先等に通知した上で、専ら本件工場内で就労するようになり、外出をするときには工場長のFに報告し許可を得ていたことを併せ考慮すると、a社とXとの間で労働条件通知書や労働者名簿等が作成されていなかったことや本件事故後にXが雇用保険の被保険者であるとの確認を得られなかったことを踏まえても、Xは、使用者であるa社(直接的には本件工場の責任者であるF)から具体的な業務遂行についての指揮監督を受け、それに従って指示された業務を行っていたというべきであり、Xがその業務に対し諾否の自由を有していたものとは認められない

2 Xは、a社の代表取締役を退任した後、毎日、自宅から約6km離れた場所に所在する本件工場に通勤し、同工場の責任者であるFの指揮監督下に就業規則で定められた稼働時間(午前8時から午後5時までの時間帯)の間、本件工場内で廃タイヤの片付け作業を行っており、本件工場での業務を中断して外出することはほとんどなく、仮に外出する場合には責任者であるFにあらかじめ報告を行う必要があったことに照らすと、a社によりXの業務時間及び業務場所は管理されており、Xはa社における就労のために時間的場所的拘束を受けていたものと認められる。

3 Xが、a社の代表取締役退任の前後を通じて(本件事故発生時まで)本件工場内で重機を使用した廃タイヤの処理作業を行っていたことからすれば、Xのa社における業務(労務)の円滑な遂行がXよりも経験年数の少ない従業員により行うことが可能であったとは考え難いし、少なくともXの従事していた作業を他の者に代わって行わせることが容易であったことを窺わせる事情は認められない。

4 Xは、本件事故当時、a社から本件工場に所属する従業員として毎月基本給20万円の支給を受け、当該基本給から社会保険料の控除及び源泉徴収をされた後の金銭を受領していたことに照らすと、当時Xがa社から支給を受けていた基本給は、Xの本件工場における一定時間の労務の提供への対価たる賃金として支払われていたものと認められる。

5 本件事故の発生当時、Xがa社以外の会社で勤務して報酬を得ていたことはなく、個人的な事業(副業)も行っていなかったこと、Xが本件工場で廃タイヤの処理作業に使用していた重機や工具は、a社の所有物であり、X個人が所有するものはなかったことに加え、Xがa社の代表取締役退任後(本件事故発生の1年以上前)に約14年間加入していた労働者災害補償保険の特別加入者から脱退したことを照らすと、Xのa社における勤務には専従性が認められる一方、Xに事業者性は認められないというべきである。

肩書や役職等の形式面に囚われずに、働き方の実質を具体的に主張することが求められます。

労働者性に関する判断は難しいケースも中にはありますので、業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。

本の紹介1281 うまくいく人が仕事以外でやっていること99(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

タイトルの通りの内容です。

ここ最近で最も素晴らしい本です。

人生を変えたい人は、絶対に読むべきです。

うまくいっている人たちが、日頃、どんなことを考え、どんな行動をとっているのかがわかります。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

どういうわけか、僕らは何かを始めても、最初か、でなければどこか途中でやめてしまう。結果はほしいけど、結果を得るための苦労はしたくないのだ。大成功を遂げたハリウッドスターには、誰もが畏敬の念を抱く。でも、彼らは夢に全てを捧げた人たちなのだ。人生そのものよりも夢を優先し、どんな困難にあおうともけっしてあきらめなかった。なのに、僕らときたら、卵をひとつも割らずにオムレツを食べようとする。」(331頁)

「僕らときたら、卵をひとつも割らずにオムレツを食べようとする」

みなさんはいかがですか。

成功したい。

お金持ちになりたい。

でも、努力するのは嫌。

赤ちゃんみたい(笑)

人と同じ生活をしていて、人と異なる成果を得られるわけがありません。

人が寝ている時、遊んでいる時、休んでいる時にどれだけ努力を積み重ねてきたか。

ただそれだけの話。

解雇366 理事兼従業員の出向後就業拒否と懲戒解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、理事兼従業員の出向後就業拒否と懲戒解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

医療法人偕行会事件(東京地裁令和3年3月30日・労判1258号68頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の理事兼従業員であったXが、Y社から出向命令とこれに続く就業を拒否する旨の通知を受け、その後懲戒解雇されたことに関し、Y社に対し、①出向命令及び就業拒否はいずれも無効であるからXの就労不能はY社の責めに帰すべき事由によるものであり、また、懲戒解雇は無効である旨主張して、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、雇用契約に基づく賃金として平成28年12月16日から本判決確定の日まで毎月16日限り100万円+遅延損害金の支払を求め、②無効な懲戒解雇により精神的苦痛を被った旨主張して、不法行為による損害賠償として、慰謝料1000万円+遅延損害金の支払を求め、③Y社の理事長及び理事らによるXの名誉及び信用を毀損する発言等によって精神的苦痛を被った旨主張して、医療法46条の6の4及び民法715条による損害賠償請求として、慰謝料1000万円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xはそれまで約11か月にわたって体調不良を理由として就労の意思を示さず、同年8月4日頃に送付した書面にはXの体調に関しては言及されていなかったことに照らすと、同書面の送付及び本件訴訟の提起の事実のみから直ちにXに就労の意思及び能力があったと認めることはできない

2 本件懲戒解雇事由①及び③については就業規則上の懲戒解雇事由に該当するところ、本件懲戒解雇事由①は、Xへの金銭の支払を要求したものではないが、Y社から工事を受注した取引先に対して威圧的言動を用いて法的根拠のない金銭の支払を要求するものであって、その態様に照らすと規律違反の程度は軽いとはいえない。そして、何よりも、本件懲戒解雇事由③は、内容虚偽の請求書を作成してY社の関連法人であるA会を欺いて4200万円を超える損害を与えたというものであり、その態様は極めて悪質でA会に与えた損害も重大であって、これを主導したXの規律違反の程度は著しいというべきである。
したがって、本件懲戒解雇は、社会通念上相当であると認められる。

3 Y社は、Xが本件公益通報通知をする約4か月前の平成29年8月10日の時点で既にXに対して本件懲戒解雇事由①ないし③を理由とする懲戒解雇のための弁明の機会を付与する旨通知しており同日時点で既にXに対する懲戒処分を検討していたのであるから、本件懲戒解雇が本件公益通報通知と近接された時期にされたことをもって、本件懲戒解雇が本件公益通報通知を理由とされたものと推認することはできず、本件懲戒解雇は公益通報者保護法3条1号により無効であるとか、懲戒権の濫用として無効であるということはできない

公益通報や内部通報が行われた時期と近接した時期に解雇等の不利益取扱いを行うと、上記判例のポイント3のような争点が生じてしまいますが、時期の先後関係も因果関係を判断する重要なファクターとなることを押さえておきましょう。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。