本の紹介2108 運のいい人、悪い人#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から5年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

運がいい人の特徴がよくわかります。

その逆もまたしかり。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

運が悪くなっていくのは、どういうことかといえば、まずエネルギーが衰えるということがあります。それまで何でもなくできていたことが、億劫になったり、できなくなっていく。それが運気がいいところから悪いほうに落ちていくときの特徴です。・・・いつまでもエネルギーを蓄えて、発散できるようにするためには、やはり健康であることが基本だし、それを維持する努力は必要だと思います。」(168頁)

これは健康なうちはわかりません。

一時的にでも、健康を害すると、このことがよくわかると思います。

運動、栄養、休養を意識し、ストレスを溜めず、前向きに生活を送ることができれば、エネルギーは自然とみなぎってきます。

年齢とともに、健康を維持するには努力が必要になってきます。

怠惰な生活を送ったり、体に悪いと分かっているながらアディクションから抜け出せないと人生の後半につけが回ってきます。

有期労働契約126 69歳時点での雇止めの適法性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、69歳時点での雇止めの適法性に関する裁判例を見ていきましょう。

エイチ・エス債権回収事件(東京地裁令和3年2月18日・労判1303号86頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で、有期労働契約を締結して内部監査業務に従事していたXが、同契約は労働契約法19条2号に該当し、Y社がXの更新申込みを拒絶することは客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められず、これを承諾したものとみなされるとして、労働契約に基づき、①労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、②令和元年4月分の賃金32万5000円並びに令和元年5月分以降本判決確定の日までの賃金月額32万5000円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、X自身として、冷却期間を置いたうえで回収部と対話の機会を見出し定期報告までに解決する必要があると考えていたことが推認され、さらに、Y社代表者から、C取締役経由で回収部と接触するよう指示されていたことを十分認識していたことが推認されるから、仮にXが、Y社代表者が社内で解決すると発言したと認識し、C取締役から回収部の監査について指導を受けたと認識していなかったとしても、Xは、回収部に対する監査実施の必要性とそのための工夫等の必要性を十分に認識していたというべきである。

2 Xは、一定の時期以降、回収部の監査について、なんらの具体的な対応策も取らないままに延期を繰り返していたといわざるを得ない。Xは、Xによる回収部の監査の延期自体がY社代表者に対する問題提起であり、Y社代表者が社内で解決すると言っていたことが実現されるのを待っていたという趣旨のことを述べるが、仮にY社代表者が社内で解決するという発言をしていたとしても、前述のとおりそもそもXの認識によってもY社代表者はXに対しC取締役を介して回収部とやり取りをするよう指示していたのであるから、Xが一方的にそれを実行せずに黙示的にY社代表者へ直接の対応を求めていたというのは、Y社代表者からすればおよそ理解不能なものである。

3 本件においては、Y社代表者やC取締役から事細かな業務改善指導がなかったとしても、前記の注意指導がなされれば、社会通念上相当な注意指導がなされたものといえると解するのが相当である。

第2定年が設定していない会社の場合、どのタイミングで雇止めにするかは悩ましいところです。

年齢にかかわらず、雇止めには合理的理由が求められますので、そう簡単に雇止めをすることはできません。ご注意を。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に有期雇用契約に関する労務管理を行うことが肝要です。

本の紹介2107 35歳からの「愚直論」。#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から5年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

愚直に何かをやり続けることがいかに大切であるかがよくわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『つまらないから辞める』という人間がとても多い中で、どんなに小さくとも楽しみを見つけ、それを継続していくことは、立派な一つの才能だからです。」(136頁)

結局のところ、「面白きこともなき世をおもしろく  すみなすものは心なりけり」ということを認識しているかどうかが、人生を楽しく、幸せに生きていくコツなのだと思います。

物事・出来事それ自体には意味はありません。

その物事・出来事に意味を与えるのは、人の解釈です。

だからこそ、同じ物を見ても、同じ出来事に遭遇しても、感じ方、捉え方は人それぞれです。

不満ばかり言っている人は、運が悪いのではなく解釈のしかたが悪いのです。

賃金279 雇用契約書に幅のある月給が記載されている場合の賃金額(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、雇用契約書に幅のある月給が記載されている場合の賃金額についての裁判例を見ていきましょう。

カウカウフードシステム事件(大阪地裁令和5年10月12日・労判ジャーナル143号30頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのない労働契約を締結して就労していたXが、Y社に対し、本件労働契約に基づく未払賃金、未払割増賃金及び労働基準法114条に基づく付加金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 Y社の人事担当者は、本件採用面接において、製造業務であれば採用する可能性がある旨を説明し、Xはこれに異論を述べることなく採用手続を経て採用されたことが認められ、以上に加え、月給16万5500円から25万円という記載内容の本件雇用契約書が作成され、本件労働契約締結後の試用期間中は1か月当たり賃金額が25万円であったことが認められ、本採用時に特段の手続きがとられたことをうかがわせる事情は見当たらないし、豊中工場でX以外に従事する従業員の中に月額25万円を超える基本給を受けている者や課税支給合計額で35万円以上の支給を受けている者はいないことからすると、試用期間時の賃金額が本採用時に増額されていないとしても不自然とはいえないから、Xの賃金額は試用期間開始時の時点では25万円であり、本採用時においても特段これを変更する旨の合意は認められないから、25万円であると認められる。

基本的な事実認定のしかたですね。

裁判所がどのような点に着目して事実認定をしているかをチェックすると勉強になります。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介2106 資本家マインドセット#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から5年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

帯には「さらばサラリーマン。」と書かれています。

今の時代は、誰でも「資本家」としての生き方を選択することができます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

会社の名前でしか呼ばれないようなサラリーマンは、もはや生き残れない。活躍できるのは、自分の名前で仕事のオファーや注文が来るような人材だ。その人にしか打ち出せない価値や仕事があるなら、スーツやネクタイを着用していようがいまいが関係なく、取引先から求められるだろう。」(189頁)

ここ最近、スーツやネクタイを着用しない職種がものすごく増えてきましたね。

労働力の減少による超売り手市場がゆえに、昔のような堅苦しいルールはどんどんなくなり、服装も髪型も髪の色もピアスも髭もタトゥーも、もうなんでもOKなのでとにかく働いてください、という時代です。

そんなことはもう好きにすればいいと。

「べき論」が強い昔気質の会社は、今後ますます人が集まらなくなっていくことでしょう。

解雇406 業務によって貯まったポイントの私的費消を理由とする解雇が有効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、業務によって貯まったポイントの私的費消を理由とする解雇が有効とされた事案を見ていきましょう。

中央建物事件(大阪地裁令和5年10月19日・労判ジャーナル143号28頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結して就労していたXが、Y社による解雇は無効であるとして、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、解雇後の未払賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、総務部における勤務中、上司から、担当業務であった酒類購入によって貯まった本件ポイントを当該酒類の購入に充てるように指示があったにもかかわらず、Xは、酒類購入業務によって貯まった本件ポイントを私的に費消しているところ、その使途が美容用品や家電製品等の多岐にわたることに照らすと、本件ポイントには、現金に類似する通用性・利便性があったと考えられ、本件ポイント費消は、Y社に対し、Xが業務上委ねられていた現預金を私的に利用することと同等の経済的損害を与えるものであって、これと同様の信頼関係の破壊をもたらすものであったといわざるを得ないから、本件ポイント費消の性質及び経緯、費消額及び用途並びに回数及び期間に照らすと、本件ポイント費消は、XのY社従業員としての職務上の義務に反するものであり、本件解雇についての客観的に合理的な理由に当たるものと認められる。

魔が差したというか出来心というか・・・とはいえ、ポイントの私的利用は、上記のとおり、現預金の私的流用に類似することから考えれば、懲戒解雇を選択することもやむを得ないと思います。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介2105 持たざる者の逆襲(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間頑張りましょう。

今日は、本の紹介です。

まだ何者でもない君へ」送る「自分の手で自由な未来を掴み取るための指南書」です。

とてもいい本です。おすすめです。

著者が努力の人であることがよくわかります。

成功は、努力の異名です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

この本は、ここまで自由を掴むことをテーマに書いてきた。・・・そして、その自由を掴むために重要なこととして『選択』『成長』『運と縁』『解釈』『勇気』の五章に分けて記した。」(168頁)

各章のタイトルだけを見ても、自分の手で自由を獲得するために必要な要素がわかります。

経済的にも精神的にも自由であり続けるためには、この5つの要素を常に意識する必要があります。

自分の人生は自分で切り拓くほかないという事実を受け入れ、日々、努力するほかありません。

現状に対する愚痴・不満を言っているだけでは何一つ変わらないことは、自分が一番わかっているのですから。

競業避止義務34 退職した従業員の競業行為に対する損害賠償請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、退職した従業員の競業行為に対する損害賠償請求に関する裁判例を見ていきましょう。

創育事件(東京地裁令和5年6月16日・労判ジャーナル143号48頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が、Y社の元従業員Bらに対し、Bらが、会社退職後、競業行為に及んだなどと主張して、債務不履行(競業避止義務違反)又は不法行為に基づく損害賠償として、Bに対し、学力テストの実施事業、Bらに対し、会社在職中に知り得た顧客との取引の各差止めを求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件就業規則は、従業員に周知されていたと認めるのが相当であり、本件規定1は、Y社の従業員のうち役職者等がY社退職後にY社と競業する業務を行ってはならないという内容、本件誓約事項は、CがY社退職後にY社と競業する業務を行わず、在職中に知り得た機密情報又は業務遂行上知り得た特別の技術的機密を利用してY社と競業的又は競合的行為を行わないことを誓約する内容、本件規定2は、役職者等がY社退職後に会社在職中に知り得た顧客と取引をしてはならないという内容になっているところ、営業担当者であるBらについてY社の顧客との取引を禁止する必要性が大きい上、従業員に対する制約が大きいとまではいえないことからすれば、Bらが代償措置を受けていないことを考慮しても、Y社在職中に知り得たY社の顧客との取引を禁止することに合理性があると認められないとはいえず、そして、本件各規定の役職者は、Y社において係長以上の役職を有する者と認められるから、Bらのうち、係長以上の役職にあるC及びDは本件規定2に基づきY社に対し会社在職中に知り得た顧客とY社退職後1年間は取引をしてはならない義務を負うが、Bは「役職者」及び「企画の職務に従事していた者」のいずれにも当たると認められないから、Bは、本件規定2が適用されず、Y社に対し上記義務を負わない。

2 Bらが学力テスト事業や取引をしたと認められず、他にBらが社会通念上自由競争の範囲を逸脱した違法な態様でY社の顧客を奪取するなどの行為に及んだと認めるに足りる的確な証拠はないから、Bらは、Y社に対し、不法行為を行ったとはいえない。

競業避止義務違反を理由とする損害賠償請求は、この「自由競争の範囲」が壁となることがとても多いです。

よほど目に余る違法な態様による顧客奪取が認められない限り、一般的には自由競争と言われてしまいます。

競業避止義務の考え方については顧問弁護士に相談をし、現実的な対策を講じる必要があります。

本の紹介2104 「300億円赤字」だったマックを六本木のバーの店長がV字回復させた秘密#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から5年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

物語形式のマーケティング本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

往々にして企業は『予算がない』とか『そのアイデアを実現するにはこれが足りない』と言い訳をしたり、逃げに走ったりしてしまう。実行したいアイデアを決めたら、そこから逃げずに考え抜けば、多少の失敗はあっても勝率は上がっていく。」(189頁)

これは決して企業に限った話ではありません。

やらない理由探しばかりしていると、それがいつの間にか癖になって、新しいことに挑戦できない体になってしまうのです。

リスクがあるだの、前例がないだの、先行きが不透明だの・・・そんなもん新しい挑戦すべてにあてはまりますから。

計画ばかり練っていないで、分析ばかりしていないで、評論ばかりしていないで、どんどんやってみればいいのです。

不当労働行為317 職種変更、賞与不支給等の不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、職種変更、賞与不支給等の不当労働行為該当性に関する事案を見ていきましょう。

ヒガシトゥエンティワン事件(大阪府労委令和5年8月18日・労判1302号91頁)

【事案の概要】

本件は、職種変更、賞与不支給等が不当労働行為に該当するかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 会社と組合との間の労働協約には、「組合員を大量に異動させるとき及び組合役員を異動するときは労使協議会で協議の上行う」と規定があるところ、会社は、令和2年職種変更組合員17名を総合職に職種変更するに当たり、労使協議会を開催していないのであるから、かかる会社の対応は、本件労働協約違反とみるのが相当である。

2 会社は、労使関係が緊張関係にある中で、運転職以外の従業員については、令和3年度夏季賞与を支給する一方で、運転職のみ支給しなかったのであるから、会社の行為は、運転職が組合の組合員であるが故になされたものであるとみるのが相当である。

上記命令のポイント1のように組合との間で労働協約を締結している場合には、その内容に反する行為はできませんので注意しましょう。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。