本の紹介2232 10年後に生き残る最強の勉強術#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間お疲れ様でした。

今日は、本の紹介です。

今から10年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

450以上の資格を持つ著書が、今後おすすめの資格・検定とその勉強法を説いています。

資格取得をばかにする人がいますが、気にしなくて大丈夫です。

そんなことを気にする前に、寸暇を惜しんで勉強しましょう。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

時間がないことが問題なのではなく、本質的にはモチベーションの問題なのです。本当に心の底から取りたい資格や身に付けたいスキルがあるなら、多少仕事をおろそかにしたり、残業を一切拒否したりしてでも、勉強時間をひねり出したり、スクールの講義への出席だけは絶対確保したりという行動に出られるはずです。それができないのは、単にそこまでの情熱がないだけです。」(150頁)

あらゆることは、単なる優先順位の問題です。

限られた時間を何に費やすか、ただそれだけの話です。

ないのは、時間ではなく、やる気です。

まあ、日々の仕事や家事や育児等で本当にどうしようもなく時間がない方もいますが・・。

メンタルヘルス17 労災認定後に行われた解雇が労基法19条1項本文の解雇制限に反せず有効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、労災認定後に行われた解雇が労基法19条1項本文の解雇制限に反せず有効とされた事案を見ていきましょう。

一般財団法人あんしん財団事件(東京地裁令和7年7月24日・労経速2595号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で労働契約を締結し、平成27年6月から休職をしていたXらが、令和4年5月にY社からそれぞれ解雇されたことについて、被告に対し、①上記各解雇が労基法19条1項本文に反し無効であるとして、Xらが労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、②上記各解雇が不法行為を構成し、これによって精神的苦痛をそれぞれ被ったとして、不法行為による損害賠償請求権に基づき、慰謝料及び弁護士費用相当損害金の合計各440万円+遅延損害金の各支払をそれぞれ求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 療養期間に関する医学的知見に関して、精神医学等の専門家から成る専門検討会においては、最新の医学的知見を踏まえ、業務による心理的負荷等につき適切かつ迅速に評価・判断する方法が検討され、令和5年7月にその検討結果が取りまとめられており、これによれば、一概に示すことは困難とされつつも、療養期間の目安について、「うつ病の経過は、未治療の場合、一般的に(約90%以上は)6か月~2年続くとされていること」、「適応障害の症状の持続は遷延性抑うつ反応(F43.21)の場合を除いて通常6か月を超えず、また、遷延性抑うつ反応については持続は2年を超えないとされている」との医学的知見が示されている。
そして、Xは、平成27年3月中旬に適応障害を発病したとされており、令和4年5月に被告により解雇をされた時点において、7年間余りが経過していたものである。
また、Xは、この間の平成29年6月には、Y社に対し、「復職願」を提出して復職しているところ、復職に際し、Xの主治医は、その当時のXの状態について、「心理検査:(略)病的所見は見られない。」、「業務に影響を与える可能性のある精神症状または状態像」は「特になし」、「予想される現時点での職場への適応度」は「職場として平均的な業務遂行能力を満たすと思われる」、「職場復帰への準備状況」は「総合職として社内外の関係者と連携・協力を行うなど、対人折衝等複雑な調整等にも耐え得る程度の精神状態にまで回復していることを前提にした職場復帰に関する全体的評価」に関し「81%以上:ほとんど問題なく復職可能」等と診断している。そして、復職後の就労状況については、実際に営業業務を開始した平成30年1月から同年9月までのコール数は合計782件であり、この間のアポ率は2.2%であり、平成30年度における被告の女性職員による平均アポ率1. 02%を上回るものであった

2 以上のような諸事情を総合考慮すると、平成27年3月中旬における適応障害の発症と令和4年5月の解雇当時におけるXの休業との間に相当因果関係があると認めるには足りず、当該解雇の当時、Xが労基法19条1項本文所定の「療養のために休業する」状態にあったということはできないと判断するのが相当である(なお、当該解雇が「療養のために休業する期間」「の後30日間」にされたということもできない。)。
なお、Xらが、前記のとおり、本争点については相当因果関係が問題とならない旨主張することに鑑み、ここで説示すると、労基法19条1項本文の解雇制限について、業務起因性のある疾病の療養と関わりのない療養や治ゆ後に新たに発症した疾病の療養、症状固定後の後遺障害等の療養等のために休業している場合にまで解雇を制限する趣旨であると解することはできず、このような見地から、同条項の適用においては業務と休業との間に相当因果関係が認められることを要するものと解するのが相当である。

上記判例のポイント1の「令和5年7月にその検討結果が取りまとめられており」は、「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書」です。

同種事案における検討においては必読です。

使用者としていかに対応すべきかについては、顧問弁護士の助言の下に判断するのが賢明です。

本の紹介2231 機長の「集中術」(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

著者は、「集中力はスキル」だと言います。

「年齢は関係ない」とも言います。

Age is just a number.

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

今、ここに集中する習慣(心の癖)をつくっていくことが大切です。これは集中力を養っていくうえで重要なことであるだけでなく、生き方そのものに大きく関わってきます。今、ここの時間を大切にすることは、命を大切にすることと同じです。」(66頁)

このことをできるだけ人生の早い時点で意識できると、人生は大きく変わります。

若いうちは、あたかも時間が無限に存在するような錯覚に陥るため、人によっては時間を大切にする意識が薄い方もいると思います。

しかし、40代、50代と年を重ねるごとに、1日1日砂時計の砂が落ちていくことを明確に意識するようになります(ならない人もいると思いますが)。

時間は人生そのものですから、とにかく時間を無駄にしたくないのです。

1日中、ぼーっとしたり、SNSを見続けるなんて、私にはとてもできません。

ジカンガモッタイナイ

解雇435 出社義務の不履行を理由とする解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れ様でした。

今日は、出社義務の不履行を理由とする解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

セールスフォース・ジャパン事件(東京地裁令和7年1月15日・労判ジャーナル160号50頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約を締結して就労したが、解雇されたXが、Y社に対し、本件解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でなく無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、労働契約に基づき、未払賃金等の支払と求めるとともに、上記解雇が不法行為を構成し精神的苦痛を被ったと主張して、不法行為に基づき、慰謝料160万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Y社は、Xが本件雇用契約上、出社義務を負っており、その不履行のみでも本件解雇の合理的かつ社会通念上相当な理由となる旨主張するところ、出社義務の不履行については、その出社回数、履行状況に加え、メールや書面などを通じ、複数回にわたり改善が求められていたにもかかわらず改善しなかったこと、また、出社していないことによって、Xの業務に関連する複数の人物から多数の懸念点が示されていたことに照らし、その程度が著しいというべきであり、上記不履行の程度に加え、Xは、いわば即戦力として採用されたものであり、その職務経歴経験等を活かした業務遂行が期待され、このことはX自身認識するところでもあり、変動賞与等とは別に基本給(年間)約1400万円との待遇も受けていたことを踏まえれば、本件解雇には、客観的合理的な理由があり、また、社会通念上も相当であるというべきであるから、本件解雇は有効である。

つまり、出社義務の不履行のみで解雇できるわけではない、ということです。

裁判例の結論部分だけを抜き出して、対応を誤らないように気を付けましょう。

日頃から労務管理については、顧問弁護士に相談しながら行うことが大切です。

本の紹介2230 プロ技術者になる!エンジニアの勉強法(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

タイトルのとおり、対象者はエンジニアですが、それ以外の職種の方にも十分参考になる内容です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

どういう技術分野でも、『不易から流行へ』進むことは容易ですが、『流行』をいくら追っても、残念ながら『不易に至る』ことは容易ではありません。したがって、最初は時間を掛けているようであっても、『不易の部分を身につけたエンジニア』の方が、『流行のみで育ったエンジニア』に比べ、さまざまな状況変化に対しても、『潰しが効く』のです。」(74頁)

これ、まさにAIとの付き合い方にも通じるところがあると思います。

AI以前にひたすら時間を掛けて、非効率で泥臭い仕事をやり続けてきたことは、決して無駄ではなかったと心の底から実感します。

どんどん人間の仕事がAIに代替されていきますが、それもまた人生です。

It is what it is.

派遣労働34 派遣労働者の休業手当支払請求が認められた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間がんばりましょう。

今日は、派遣労働者の休業手当支払請求が認められた事案を見ていきましょう。

ピックル事件(東京地裁令和7年3月26日・労判ジャーナル163号46頁)

【事案の概要】

本件は、派遣元であるY社との間で労働契約を締結し、派遣先において就労していた派遣労働者が、令和5年3月分の賃金からの銀行口座振込手数料の控除は無効であるとして賃金等の未払があり、同年4月に就労することができなかったのはY社の責めに帰すべき事由(民法536条2項又は労働基準法26条)によると主張して、Y社に対し、主位的に、同年3月分の未払賃金、未払割増賃金、通勤交通費、4月分の未払賃金等の支払を求めるとともに、予備的に(主位的請求のうち同年4月分の賃金請求の全部又は一部が認容されることを解除条件に),同年4月分の休業手当等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

1 本件控訴は無効
→同年3月分の未払賃金等支払請求認容
2 未払割増賃金等支払請求認容
3 通勤交通費請求棄却
4 同年4月1日以降に就労することができなくなったことについて、Y社の責めに帰すべき事由によると認められないとして、未払賃金等支払請求(主位的請求)棄却、休業手当支払請求(予備的請求)認容

【判例のポイント】

1 Xが令和5年4月1日以降に就労することができなくなったのは、本件派遣先から、Xの業務の遂行状況に照らして着台不可である旨連絡があったことを契機とするものであり、本件派遣先からその旨判定されたこと自体は、Y社に起因するものではなく、Y社は、上記連絡を受け、Xに対し、他の派遣を紹介しており、Xの就労を継続させるべく一定の努力をしたといえるから、Y社の責めに帰すべき事由を認めるに足りる事情ではないから、本体において、本件労働契約及び取引上の社会通念に照らして、Xが4月1日以降に就労することができなくなったことについて、Y社の責めに帰す
べき事由による(民法536条2項)と認めるには足りず、Xは、Y社に対し、同日以降の賃金を請求することはできない。

2 Xが4月1日以降に就労することができなくなったのは、本件派遣先からの連絡を契機とするものであり、Xに本件労働契約上の債務不履行があったと認めるに足りる証拠はないことを考慮すれば、使用者側に起因する事情によるものというべきであって、Y社の責めに帰すべき事由によると認めるのが相当であるから、Y社は、Xに対し、平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払う義務を負う。

民法536条2項と労基法26条の要件の違いがよくわかりますね。

日頃から労務管理については、顧問弁護士に相談しながら行うことが大切です。

本の紹介2229 開成番長の勉強術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

試験勉強に限らず、あらゆる勉強に通じる内容です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

しかし読んで『なるほど』と共感できた部分があれば、ぜひそれを今日から生活の中に取り入れてみて欲しいと思います。面白そう、使えそうと思ったものはまず実行してみることです。思うだけで終わってしまうか実行に移せるか、これは大きく違います。簡単そうに見えるけれどなかなか踏み出せない第一歩を踏み出すこと、これが自分の生活を改善するチャンスとなるのです。」(216頁)

これも完全に習慣の問題です。

セミナーを受けても、受けっぱなしでは時間とお金の無駄遣いです。

読書もセミナー受講も、いわば仕入れですから、売上を上げなければ意味がありません。

人生は、日々の小さな習慣の積み重ねによって作られています。

解雇434 中途採用者の試用期間中の解雇の適法性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間がんばりましょう!

今日は、中途採用者の試用期間中の解雇の適法性に関する裁判例を見ていきましょう。

北野嘉哉事務所事件(東京地裁令和7年6月13日・労判1338号55頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と労働契約を締結していたXが、Y社に対し、Y社による解雇は無効であると主張して、〈1〉労働契約上の地位確認、〈2〉民法536条2項に基づく解雇後の賃金(月額83万3333円)の支払、〈3〉解雇前の未払賃金42万5927円の支払をそれぞれ求める事案である(遅延損害金は、月額賃金の支払日の翌日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による。)。

【裁判所の判断】

1 Y社は、Xに対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
2 Y社は、Xに対し、30万円+遅延損害金を支払え。
3 Y社は、Xに対し、令和5年9月以降、本判決確定の日まで、毎月25日限り、66万6666円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Y社は、Y社の営業社員には、これまでの職歴等から、既に富裕層の人脈を持ち、さらなる人脈形成が得意な者であることを求めていたところ、Xは、本件名簿を提出して、掲載者と信頼関係があり、営業をかけることができる旨述べたが、実際はそのほとんどが知人ではなく、Xには超富裕層を紹介できる人物との人脈などないことが判明したから、留保解約権の行使には合理的理由がある旨主張する。
そこで検討するに、Y社の事業内容、営業社員の業務内容、求人広告の記載内容及びXの履歴書の記載を総合すれば、Y社は、Xを含む中途採用する営業社員に対し、従前の職歴を生かす等して、富裕層との繋がりを有する人物に接触しての営業活動を期待していたことが認められる。
しかしながら、Xは、二次面接において、本件名簿に掲載された者に対し積極的なアプローチをしていく旨述べているものの、本件名簿の掲載者との関係についてどのような説明をしていたかは、本件全証拠によっても明らかではない
また、Y社代表者は、Xが実際に知人に営業資料を渡したことを確認した後に二次面接を実施した一方で、二次面接においては、本件名簿の掲載者に営業を行うことができるかという質問をするものの、掲載者とXとの人的関係については確認していない
以上によれば、Xが、本件名簿の掲載者との間に人的関係がある旨の説明をしたと認めるには足りないし、Y社にとっても、Xと本件名簿の掲載者との人的関係の存在及び内容が、本件労働契約を締結する上で必要な条件であったとも認められない
そうすると、Xが富裕層との折衝経験を持っていなかった又は富裕層の人脈を持っていなかったとしても、そのことをもって、「従業員として勤務させることが不適格」(就業規則4条2項)であったり、「業務に適性を欠く」(本件労働契約・2条2項2号)ということはできず、留保解約権行使の客観的合理的理由ということはできない。

バックペイの金額を考えると、被告会社としては、手痛い判決内容かと思います。

被告会社の求める内容は理解できるところですが、解雇事由として、従業員としての適格性を欠くといえるためには、もう少し厳密に特定しておく必要があったということなのでしょう。

実際はなかなか難しいと思いますが。

日頃から顧問弁護士に相談をすることを習慣化しましょう。

本の紹介2228 本当に頭がよくなる1分間勉強法#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。

13年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

反復継続すること、習慣化することの大切が説かれています。

勉強も運動も大切にすべき「基礎」は同じです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

本当は、勉強だけでなく、スポーツも仕事も人生も、すべてのものごとが、『できるかできないかではなく、継続してやり続けることができるかできないかの勝負』なのだと思います。」(198頁)

途中で投げ出さずにやり続けられるかどうか。

もう本当にただそれだけの話です。

やり続けていれば、いろんな気づきがあり、その都度、修正・改善していくことによって向上する。

言うは易く行うは難し。

だからこそ差がつくのです。

それも指数関数的に。

配転・出向・転籍60 出向命令の有効性と自由な意思に基づく同意(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、出向命令の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

図書館流通センター事件(東京地裁令和7年6月26日・労経速163号2頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であって令和2年7月1日から現在までa株式会社へ在籍出向しているXが、Y社に対し、Xのa社への出向は、XとY社との間の本件に先立つ訴訟で成立した訴訟上の和解の履行として、同日から令和5年6月30日までを出向期間とする出向命令に基づき行われたものであるが、その後の同年7月1日から令和8年7月25日までに出向期間を延長して再度された出向命令は、権利を濫用したものとして無効であると主張し、現在、a社において勤務する労働契約上の義務のないことの確認を求めるところ、これに対してY社が、Xのa社への出向はX、Y社及びa社の間で令和2年7月1日に成立した個別の出向合意に基づき現在まで有効に行われていると反論するとともに、仮に令和5年7月1日以降の出向がXの指摘する再度の出向命令に基づくものであったとしても、同命令は権利を濫用したものとはいえず有効であると反論し、Xの上記確認請求を争う事案である。

【裁判所の判断】

請求認容

【判例のポイント】

1 本件同意書は令和2年7月1日付けであるものの、Y社からXへの本件同意書の交付は、Y社の人事部長であるBによって本件辞令1と同時にXに行われていたものであって、しかも、その交付時に、Bは、Xのa社への出向に関して、出向期間が無期であることを含め、出向期間に関して特段の説明を行っていなかったことが認められる。出向期間の有無やその長さは出向する労働者にとって重要な要素であることに加え、Y社において、「出向期間は当年7月1日から令和5(2023)年6月30日までとするが、延長することがあるものとする。」との記載がされた本件辞令1をXに交付しておきながら、前件和解の履行として、Xとの間で、敢えて本件辞令1の上記記載と異なる内容として出向期間を無期とする個別の出向合意をするのであれば、単に本件同意書の契約期間欄の「2020年7月1日~」との表示のみならず、出向期間を無期とすることについての十分な説明を尽くした上でXの同意を得なければならないところ、Y社においては、本件同意書の上記交付時を含め、本件訴訟に至るまで、Xのa社への出向期間が無期であることの説明をしたことはなかったことが認められる。
そうすると、仮にY社において前件和解に至る経緯の中で出向期間を無期とすることがXとの間で共通認識となっているとの認識があったとしても、XがそのようなY社の認識を理解して自由な意思に基づく同意として本件同意書に署名及び押印をしたとは認められない
したがって、XとY社及びa社との間で、Xのa社への出向に関し、本件同意書により、本件辞令1の出向期間の記載と異なった無期の出向合意が成立したとは認めることができない。

ここでも「自由な意思に基づく同意」の有無という判断枠組みが用いられています。

配転命令を行う場合には、事前に顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。