本の紹介2113 ウチら棺桶まで永遠のランウェイ#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から5年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

帯には、「人生は環境じゃなくて、全部やり方次第だって私が証明する」と書かれています。

環境による影響は極めて大きいです。

とはいえ、環境のせいにしたところで何ひとつ状況は変わりません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

未来に不安はあるけど、未来を左右するのって今だから、今の心配するようにしてるわ」(9頁)

未来は常に「今」の積み重ねによってつくられます。

未来が不安だ不安だと嘆きながら、たいした準備をしない人を見ると複雑な気持ちになります。

未来がそんなに不安なら、今から準備すればいいのに。

毎日、朝4時に起きて、勉強すれば、未来の不安なんてなくなります。

人が寝ているとき、遊んでいるときに死に物狂いで勉強しましょう。

未来は自分の力で切り拓くほかありません。

解雇407 頻繁に傷害事件を起こした従業員の解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、頻繁に傷害事件を起こした従業員の解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

建設会社S事件(大阪地裁令和5年10月27日・労判ジャーナル144号24頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結し、勤務していたXが、Y社による解雇が無効であると主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び未払賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、平成30年4月3日にY社の従業員に対する傷害事件を起こした後、令和2年3月6日及び同月9日に立て続けにY社の協力業者に対する傷害事件を起こし、いずれもY社の業務遂行中に起こしたものであり、Y社の企業秩序を害したものというべきであるし、特に、同月9日のGに対する傷害事件は、手術を要するものであり、結果が重大であり、Xは、Y社代表者からF及びGに対する謝罪を求められたにもかかわらず、同人らに対し、一切謝罪をせず、損害賠償についても、Y社が行い、Xは何ら対応しないなど、態度を改めることがなかったところ、Y社は、Xを直ちに解雇せず、現場作業員から営業職への配置転換を行ったものであり、これは解雇回避措置と評価できるものであるが、Xは、F及びGに対する傷害事件の約1年5か月後に実父に対する傷害事件を起こし、逮捕、勾留、起訴及び公判を経て、執行猶予付き有罪判決を言い渡されたものであるから、Xの粗暴傾向は、非常に根深く、もはや改善の余地はないと評価し得る状況であったと認められ、Y社は、保釈前にXを直ちに解雇することなく、保釈後にXと面談し、事情を聴取した上で、退職勧奨をし、Xがこれに応じなかったことから、最終的に本件解雇の意思表示をしたものであることに照らせば、本件解雇は、客観的に合理的な理由が認められ、社会通念上相当として是認できる場合に当たると認められる。

丁寧に丁寧に手続きを進めたということがよくわかります。

民事事件でありながら刑事事件の判決を見ているようです。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

 

本の紹介2112 シェアライフ#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から5年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

タイトル通り、あらゆるものをシェアすることを提唱しています。

家や車に限らず、日用品についてもシェアする時代になりつつあるのは確かです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『家』とは、人生において最も重要なものであり、生活の基礎となるものですが、一方で、人生で新しい選択をしたいときなど、ときに自由を阻む大きな制約やハードルになるのも『家』なのです。」(90頁)

賃貸と持ち家、どちらのほうがいい?みたいな論争はどうでもよくて、自分の好きにすればいいのです。

どちらのほうが自分の価値観に合うか、ただそれだけの話です。

私のようにモノを所有することに幸せを感じない人にとっては、持ち家は不要です。

荷物を持ちすぎると動きが鈍くなるのは、人生も同じだと思っています。

労働時間104 三六協定が過半数要件を満たさなかったこと等に基づく慰謝料請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、三六協定が過半数要件を満たさなかったこと等に基づく慰謝料請求に関する裁判例を見ていきましょう。

オーエスティ物流事件(大阪地裁令和5年11月16日・労判ジャーナル145号28頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社従業員であるCから職場において大声で脅されるなどの行為をされ、これに対してY社が適切な対応をとらなかった旨や、Y社が労働組合との間で締結した三六協定やいわゆるユニオン・ショップ協定について、要件を欠いているのにこのことを周知しなかったなどと主張して、Y社に対し、不法行為又は使用者責任に基づき、①Cらによるパワハラやいじめをやめさせるように求めるとともに、②慰謝料として550万円を求めた事案である。

【裁判所の判断】

①は却下、②は棄却

【判例のポイント】

1 三六協定が過半数要件を満たさなかったとしても、特別の事情がない限り、このことによって、労働者の権利又は法律上保護される利益が侵害されるものということはできず、本件違反がXに対する不法行為を構成するとは認められず、また、Xは、Y社が本件違反を周知しなかったことが、労働基準法106条に違反し、不法行為に当たる旨も主張するが、本件違反があったとしてもこれがXに対する権利又は法律上保護される利益を侵害するものとはいえないから、Y社がXに対して本件違反を通知する義務を負っていたとはいえず、労働基準法106条1項は、そもそも公法上の義務を定めるものであって、使用者の労働者に対する私法上の周知義務等を基礎付ける規定ではないし、その文言上、使用者が同条所定の協定を締結したなどの場合に、当該協定等を周知すべき義務を課すものであって、その効力が失われた場合にこれを周知すべき旨までを定めたものと解することはできないから、不法行為が成立するとは認められない

法律違反がすべて不法行為に該当するわけではありません。

公法と私法という視点も忘れずに押さえておきましょう。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介2111 8715692#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から9年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

箭内語録第2弾です。

相変わらずとてもいいです。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

もったいないものを捨てる。そこからしか始まらない新しい何か。いつでも捨てることのできる自分でいたい。違うと感じたら、すぐさま修正できるフットワークを持ちたい。過去にしがみつかない潔さを持ちたい。死ぬまで身軽でい続けたい。考えて考えて動くより、動いたあとで考える自分でいたい。世の中に合わせて、常に軽薄に。」(87頁)

モノや人に執着せず、依存しない。

誰からも強制されないし、誰にも押し付けない。

窮屈で窒息しそうな「べき論」が横行する国において、「自由」を維持するには勇気と覚悟が必要です。

経済的安定を求めると精神的不安定を強いられる、みたいな不自由な人生にならないように常に気を付けています。

不当労働行為318 緊急事態宣言期間中における法人の対応が団交拒否にあたらないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、緊急事態宣言期間中における法人の対応が団交拒否にあたらないとされた事案を見ていきましょう。

社会福祉法人賛育会ほか事件(東京都労委令和5年9月19日・労判1304号82頁)

【事案の概要】

本件は、緊急事態宣言期間中における法人の対応が正当な理由のない団交拒否にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

正当な理由のない団交拒否にはあたらない

【命令のポイント】

1 団体交渉は、労使双方が同席し、対面で自己の意思を円滑かつ迅速に相手に直接伝達することによって、協議、交渉を行うことが原則であり、労使双方の合意がある場合又は直接話し合う方式をとることが困難であるなど特段の事情がある場合を除いては、書面の回答のみによって団体交渉が誠実に実施されたことにはならないというべきである。

2 病院における新型コロナウイルス感染及びクラスター発生の抑止のために緊急事態宣言発令中は対面の団体交渉を実施しないとした法人の対応は、当時の状況下においては、医療機関として相応の合理性のある対応であったというべきであり、直接話し合う方式の交渉を行うことを困難とする特段の事情があったものと認められる
加えて、組合による3年6月4日付団体交渉申入れに対し、法人が緊急事態宣言が同月20日で解除される見込みであるとして翌21日に団体交渉に応ずる旨を回答し、同日に団体交渉が開催されていること、第4次緊急事態宣言が9月30日をもって終了した際は10月15日に団体交渉が開催されていることから、法人は、緊急事態宣言が終了した際は比較的早期に、対面での団体交渉に応じていたことが認められる

妥当な判断です。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介2110 871569#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から9年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

常にいろんなことを考えているんだろうな~ということがよくわかります。

今読み返しても、本当に良い本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

自分の身の丈を自分で決めてしまったら、いつまで経ってもそのサイズ通りの人間でしかいられない。ヤドカリはひと回り大きい貝殻に入れば、いつの間にかその貝殻がぴったりのヤドカリになる。貝殻が縮むのではない。ヤドカリの身体がひと回り大きくなるのだ。」(65頁)

環境がその人の人格や考え方を形成します。

これは残酷なことですが、紛れもない真実です。

自分が選べない環境もあれば、自ら選んで身を置く環境もあります。

多くの場合、30代までに身を置いた環境、それによって形成された人格や考え方によって、その人のその後の人生が決まってしまうように思います。

労働時間103 新型コロナ蔓延期の海外渡航に対する時季変更権の行使(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、新型コロナ蔓延期の海外渡航に対する時季変更権の行使に関する裁判例を見ていきましょう。

京王プラザホテル札幌事件(札幌地裁令和5年12月22日・労判ジャーナル144号2頁)

【事案の概要】

本件は、Y社において宿泊部部長として勤務していたXが、令和2年3月に国外で行われるXの娘の結婚式に出席するため、年次有給休暇の時季を指定したが、Y社から新型コロナウイルス感染症に関する状況等を踏まえて国外への渡航を禁止するための時季変更権の行使を受けて当該結婚式に出席することができなかったところ、当該時季変更権の行使はY社の事業の正常な運営を妨げる場合に当たらないから違法であるなどと主張して、労働契約上の債務不履行又は不法行為に基づき、慰謝料及び弁護士費用として330万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、本件期間の年次有給休暇の利用目的としてハワイで行われる娘の結婚式に出席することを明示しており、ハワイに渡航できず、同結婚式にも出席できない場合にはおよそ本件期間に年次有給休暇を取得する必要がなかったものと認められることを前提に、当時の新型コロナウイルス感染症の状況のの下では、仮にXがハワイに渡航し、実際に新型コロナウイルスに感染し、帰国後に症状等が出た場合には、当該感染の事実等が大々的に報道され、Y社に対する社会的評価の低下をもたらすことでY社の事業継続に影響しかねないものであったと認められ、上記の特段の事情があると認められるから、本件時季変更権の行使に当たり、Xの本件期間の年次有給休暇の利用目的を考慮することも許されるというべきである。

娘の結婚式に出席できないとは・・・。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介2109 実験思考#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から5年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

世の中、すべては実験」とあるのように、考えたことを実験するといういわゆる「アウトプット力」が尋常ではない方です。

考え込んでいるほど人生は長くありません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『実験思考』が身につくと、世の中に課題があればあるほど、楽しくなります。不便なこと、めんどくさいことが、ぼくにとっては『宝物』になり、世界が180度違って見えてきます。しかも、すべての失敗が貴重なデータになっていくので、失敗という概念すらなくなります。」(188頁)

まあ、とりあえずやってみる、ということです。

いきなりうまくいくことのほうがむしろまれです。

途中で修正すればいいのです。

1打席目からヒットを狙うから、なかなかバッターボックスに立てないのです。

ネクストバッターズサークルでいくら素振りをしていたって、いつまでたってもヒットは打てません。

賃金280 講座受講費立替金支払請求が棄却された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、講座受講費立替金支払請求が棄却された事案を見ていきましょう。

医療法人社団響心会事件(千葉簡裁令和5年11月28日・労判ジャーナル114号18頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が、Xにが自らの自己啓発のためにY社の研修費用立替制度を利用し、本件各講座を受講したとして、同人に対する、同研修の受講料合計94万9300円から、会社の規定に基づく退職までの期間に応じた免除額を控除した合計89万9300円の支払い及びXの連帯保証人に対する、同人のXの損害賠償義務についての連帯保証契約に基づく同額の履行請求を行った事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Y社において、通常は、従業員が研修費用立替制度を利用する場合、「研修費稟議書」を提出することとなっていたというのであるから、Xからの「研修費稟議書」が存在しない以上、Xはこの「研修費稟議書」を提出していないということであり、これによれば、XがY社の研修費用立替制度を利用していたというY社の主張は認めることができず、また、XはY社に雇用されるに際して提出した誓約書に記載されている研修と前記「研修費稟議書」を提出して決済を受けなければならないとされている、本件研修費用立替制度を利用した研修とは全く別物であることが認められ、Xが誓約書に署名捺印していることによって、本件研修費用立替制度の利用に同意していたとは認められず、さらに、Y社の請求する本件各講座はY社の負担でXが受講した研修講座であることが認められるから、Xは、いかなる意味においても、Y社との間で立替金を返還する旨の合意をしていた事実は認められず、本件各講座の研修費用立替金の支払義務はない

非常に形式的な理由付けではありますが、そのように解するのが自然だということです。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。