本の紹介1164(村上世彰、高校生に投資を教える。)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

N高投資部特別顧問の村上さんが高校生に投資に関する講義をした内容です。

いまだに日本では投資について消極的な方が多いですが、労働収入だけで生活することは経済情勢や税制面からしてもなかなかしんどいです。

「やっている人はやっている」

そんな感じでしょうか。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人生において究極的に幸福な状態というのは、自分なりにミッションを見つけて、それに邁進している状態だと思います。
ミッションとは『できるかどうか分からないくらい難しいけれど、一生をかけてやり遂げたいこと』、『他の誰かではなく自分がやらなくてはならないと思えるようなこと』です。そして、それは生きる意味や目的になるようなものです。」(179頁)

幸せの感じ方は人によって異なりますので、何かに邁進していなくても幸せならそれでいいのです。

死ぬ直前に有意義な人生だったと振り返ることができれば幸せなのだと思います。

ミッションらしきものがあったら、残りの人生、退屈しないだろうなと思いますので。

解雇348(センバ流通(仮処分)事件)

おはようございます。今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、コロナ禍におけるタクシー乗務員らの整理解雇に関する裁判例を見てみましょう。

センバ流通(仮処分)事件(仙台地裁令和2年8月21日・労判1236号63頁)

【事案の概要】

本件は、タクシー乗務員であるXらが、Y社に対し、Y社が令和2年4月30日付でした整理解雇は無効であるとして、労働契約上の地位保全及び賃金の仮払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効

【判例のポイント】

1 本件解雇は有期雇用契約の期間満了前の解雇であるから「やむを得ない事由」(労働契約法17条1項)が必要である。やむを得ない事由の判断にあたっては、本件解雇が整理解雇でもあることからすると、①人員削減の必要性、②解雇回避措置の相当性、③人員選択の合理性、④手続きの相当性の各要素を総合的に考慮して判断すべきである。 

2 債務者の売上については、令和2年3月ころから、新型コロナによるタクシー利用客の減少による売上の減少が始まり、4月は激減した。債務者の4月の収支は約1415万円もの支出超過、4月30日の資産は総額約3133万円もの債務超過となっている。新型コロナの影響によるタクシー利用客の減少がいつまで続くのか不明確な状況であった以上、本件解雇時において、債務者に人員削減の必要性があること及びその必要性が相応に緊急かつ高度のものであったことは疎明がある。
しかし、今後については、給与は従業員を休業させることによって6割の休業手当の支出にとどめることが可能であり、しかも、雇用調整助成金の申請をすればその大半が補填されることがほぼ確実であった。また、燃料費、修繕費、保険料、自賠責保険料は、臨時休車措置をとることにより免れることができた
これらの事情を総合すると、債務者の人員削減の必要性については、ただちに整理解雇を行わなければ倒産が必至であるほどに緊急かつ高度の必要性であったことの疎明があるとはいえない。 

3 債務者は、本件解雇に先立ち、雇用調整助成金の申請や臨時休車措置の活用はしていない。厚生労働省や労働基準監督署、宮城県タクシー協会がホームページや説明会を利用して雇用調整助成金を利用した雇用の確保を推奨していたこと、東北運輸局がホームページを利用して臨時休車措置の利用を推奨していたこと〈など〉に照らすと、債務者は、本件解雇に先立ち、これらの措置を利用することが強く要請されていたというべきである。債務者の解雇回避措置の相当性は相当に低い。 

4 本件全疎明資料によっても、債権者らが顧客からのクレームが多いこと〈など〉の疎明があるとはいえない。そうすると、人員選択の合理性の程度も低い。

5 解雇通知は、整理解雇との関連性に欠ける記載が多く、団体交渉の席上での口頭説明では十分とはいえない。そうすると、本件解雇の手続きの相当性も低い。

コロナ禍における整理解雇事案です。

雇調金等について言及されており、昨今の特殊事情を考慮した判断となっています。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介1163(35歳で夢をつかんだ「資産家」シンさんの教え)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

経済的不安から解放され、「お金から自由になる」方法が書かれています。

将来や老後に対する漠然とした不安をなくすためにいかなる準備をすればよいかがわかります。

まあ、私たちが年老いたときには、もはや「老後」なる言葉は死語になっているでしょうね。

元気なうちはずっと働くのがスタンダードな時代がもうすぐ来るのでしょう。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ある程度の自由を謳歌すれば襲ってくる『無価値観』は止めようがありません。自分が誰のためにも生きていない。信頼されていない。という感情が続くと、人は『あれ?何のために生きているんだっけ?』と生きている意味を見失ってしまうことがあります。」(277頁)

人間は、だれかの役に立っていることに幸せを感じます。

お金がいくらあっても、それだけで最大限の幸福を感じられるわけではありません。

将来の不安はなくなるでしょうが、ただそれだけです。

お金は幸せになる手段にはなり得ても、目的にはなりません。

賃金210(独立行政法人国立病院機構事件)

おはようございます。

今日は、相殺無効に基づく未払退職手当等支払請求に関する裁判例を見てみましょう。

独立行政法人国立病院機構事件(東京地裁令和2年10月28日・労判ジャーナル108号26頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に医師として雇用されていたXが、Y社に対し、退職手当を対象とする相殺は労基法24条1項に違反するなどと主張して、退職手当未払分2498万5928円+遅延損害金の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 労基法24条1項本文の定めるいわゆる賃金全額払の原則の趣旨とするところは、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活を脅かすことのないようにしてその保護を図ろうとするものというべきであるから、使用者が労働者に対して有する債権をもって労働者の賃金債権と相殺することを禁止する趣旨をも包含するものであるが、労働者がその自由な意思に基づき相殺に同意した場合においては、その同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは,その同意を得てした相殺は同規定に違反するものとはいえないものと解するのが相当である(最高裁平成2年11月26日第二小法廷判決)。

2 a医療センターの院長の地位にあったXが、本件差押命令に基づく支払を停止したことにより、Y社は、別件取立訴訟を提起され、本来Xが負担すべきである約1425万円もの多額の金銭の支払いを余儀なくされたことから、A理事長は、本件面談の際に、Xに対し、返済方法について質問したところ、Xが、一括での返済が不可能であるためY社から色々と提案して欲しいなどと述べたのに対し、A理事長は、丁寧な口調で本件退職手当から控除する旨提案し、Xは、特段、躊躇したり、質問したりすることなく、これに応じ、本件合意書に署名押印しているのであって、本件合意書の作成過程において、強要にわたるような事情はうかがえない
また、本件相殺合意をすることは、Xとしても、定年退職までの約9か月間、Y社に対する支払いを猶予してもらえるという利点があるし、返済の有無及び方法はXに対する懲戒処分の軽重に影響しうる事情であると考えられるのであるから、本件相殺合意をすることが、Xの一方的な不利益になるということもできない
さらに、本件合意書においては、本件退職手当から法定控除及び差押命令に基づく弁済額の合計額を差し引いた残額を相殺の対象とすることが明示されているなど、合意の内容に不明確なところはない。
以上によれば、本件相殺合意は、Xの同意を得てなされたものであり、その同意は、Xの自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在していたものというべきである。

原告が争う動機がよくわかりませんが、判決の内容からすれば、相殺合意は優に認められると思います。

本件のようなケースも、事前に顧問弁護士に相談して慎重に進めることが大切です。

 

本の紹介1162(成功する人だけが知っている小さな自分という戦略)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

「自分を知り、自分を小さくする」ことが大切だと著者は説いています。

自分を大きく見せたがりの人もいますが、ろくなことになりません。

すればするほど小物であることがばれてしまいます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

いかに情熱と目的を見失わずに進み続けるかが、成功の秘訣です。自分は小さな人間であると認識し、小さな挑戦をする。やったことに小さな幸せを感じる。才能と能力より大事なものがある。・・・才能、能力に頼るのではなく、コツコツ自分のやるべきことを続けましょう。そうすることで、あなたにしかない独自の価値を持つことができます。」(49頁)

自分には才能がないと理解しているからこそ、人よりも努力するのです。

自分は小さな人間であるという意識を忘れず、何歳になっても努力を続けることが大切です。

毎日毎日、飽きずにコツコツ続けることができるかどうか、ただそれだけのことです。

5年10年と1つのことを続けられれば、自ずとその道の専門家になっています。

退職勧奨18(東武バス日光事件)

おはようございます。今週も一週間がんばりましょう。

今日は、上司らの退職強要発言等に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

東武バス日光事件(宇都宮地裁令和2年10月21日・労判ジャーナル107号22頁)

【事案の概要】

本件は、Y1社の正社員であるXが、その余のY2らから退職強要や人格否定、過少な要求というパワーハラスメントを受けたとして、Y2らに対して共同不法行為による損害賠償請求権に基づき、Y社に対して使用者責任による損害賠償請求権に基づき、慰謝料200万円、弁護士費用20万円+遅延損害金の連帯支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社らは、Xに対し、連帯して66万円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 本件侮蔑的表現が、職責、上司と労働者との関係、指導の必要性、指導の行われた際の具体的状況、当該指導における言辞の内容・態様、頻度等に照らして、社会通念上許容される業務上の指導を超えて、過重な心理的負担を与えたといえる場合には、違法なものとして不法行為に当たるというべきである。

2 上司であるY2がX自身を「チンピラ」「雑魚」と呼称した部分については、行動に対する指導との関連性が希薄で、発言内容そのものがXを侮蔑するものであり、発言の態様や、その後Xが傷病休暇を取得してうつ状態と診断されたこと等も併せて考慮すれば、社会通念上許容される業務上の指導を越えて、過重な心理的負担を与えたといえるから、違法なものとして不法行為に当たる。

3 Y2らの一連の発言や指示は、Xの問題行動にも一因があるといえるものの、他方、特に本件退職強要発言は悪質性が強いといえることや、それにもかかわらずY社らが違法との評価を否定していること、Xが、Y2らの共同不法行為の後、うつ状態になったと診断されていること等に鑑みると、慰謝料の額として60万円が相当である。

慰謝料の金額よりもレピュテーションダメージを考えなければなりません。

退職勧奨の際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

本の紹介1161(投資の大原則)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

タイトルのとおり、テクニカルな話は一切なく、まさに投資の「大原則」が書かれています。

極めてシンプルな原則であるため、誰でも行うことができます。

基本や原理原則が大事だということがよくわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

仕事でもスポーツでも人間が何かを成し遂げようとするときに成功の鍵となるのは、忍耐力、努力の継続、そしてミスを最小限にとどめること。」(111頁)

記載のとおり、忍耐力、努力の継続、ミスの最小化は投資にとどまらずあらゆることの成功の鍵です。

途中で投げ出さず、やり続けることさえできれば、たいていのことは成功します。

と、頭でわかっていても体が言うことを聞かないのです。

そのくらい続けることは難しいのです。

逆に言えば、だからこそ続けることさえできれば、たいていのことはうまくいくのです。

労働者性35(日本代行事件)

おはようございます。

今日は、運転代行業に従事するドライバーの労働者性に関する裁判例を見てみましょう。

日本代行事件(大阪地裁令和2年12月11日・労判ジャーナル109号26頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が運営する運転代行業務に従事していたXらが、XらとY社との契約が雇用契約であるとの前提に立った上で、Xらが時間外労働を行ったとして、雇用契約に基づく割増賃金+遅延損害金、付加金の支払を求めるとともに、Y社が支払の際に、「共済会領収書」、「値引平日」、「クリーニング代」、「事故修理代等」の名目で控除したことが賠償予定の禁止に抵触する、賃金の全額払いの原則に反するとして、雇用契約に基づきその支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Y社においては、Xらを含むドライバーは、毎週木曜日までに翌週の出社予定について、定型の書式を用いて、各日ごとに「出社」、「連絡」、「休み」の三種類から選択して記入するという方法で連絡することになっていたところ、かかる体制から明らかなとおり、ドライバーは、出社する日を自由な意思で決定することができるとされていたものであり、Xらが出社を希望したにもかかわらず、被告から出社を拒否されたあるいはXらの意思に反して出社を命じられたというような事情はうかがわれない(このことは、Xらが「連絡」として届け出た日について、Y社から出社の打診があった場合についても同様であるといえる。)。
また、Y社においては、ドライバーのほかにオペレーター部、ビル管理部、経理部及びインターネット事業部所属の従業員がいるところ、同従業員はタイムカードを打刻することとされているのに対し、Xらを含むドライバーはタイムカードを打刻することとされていない
そうすると、Xらを含むドライバーは出社するか否かを自らの意思で自由に決定することができていたものであり、また、労働時間も把握されていなかったものであるから、勤務日・勤務時間について拘束されていなかったということができる。
また、Xらを含むドライバーは、番号札を取ったり、運転代行業務に使用する車両を手に入れるため最初に被告事務所に赴く必要があるが、その後は、Y社の事務所で待機して打診を待つことも、歓楽街等で打診を待つことも自由であったのだから(歓楽街で待機していれば、周囲の飲食店で飲酒して出てきた酔客から、直接代行業務の申込みを受けることが可能となり、番号札の順番に従って打診を受けるより早く代行業務に従事することもあり得るから、歓楽街で待機するということもあり得るといえる。)、勤務場所についても拘束されていなかったということができる。
Xらを含む各ドライバーはY社からの打診を受けて運転代行業務に従事するところ、どのような経路で顧客の指定する場所まで赴くか、運転代行業務終了後、どこで待機するか、待機場所まで戻る際に高速道路を使用するか否かなどは各ドライバーが自由に決めていたものである。
そうすると、運転代行という業務の遂行方法について、Y社から各ドライバーに対する個別具体的な指示はなされていなかったということができる。
Xらを含むドライバーが出社日を自由に決定することができていたことからすれば、Xらを含むドライバーはある日について業務を受けるか否かの諾否の自由を有していたといえる。
また、一般のドライバーではなく、Y社の本部長であるBがドライバーとして運転業務に従事したことがあるところ、Y社が、個々のドライバーに対して、具体的な個別の運転代行業務に従事することを命じることができるのであれば、「本部長」という高位の役職にあることがうかがわれるBを運転代行業務に従事させる必要はなく、ドライバーに命じて従事させれば足りるといえる。
それにもかかわらず、Bが運転代行業務に従事しているのは、Y社においては、Xらを含むドライバーが、Y社の営業時間内であっても、各ドライバーの事情(例えば、Y社での業務が副業であった場合、本業の出勤時間との兼ね合いなどが想定される。)から、一定の時間になれば自らの意思で以降の運転代行業務に従事しないこととするなどという諾否の自由を有していたからであることがうかがわれる。

2 Y社が、Xらを含むドライバーに対して支払う報酬は、運転代行業務の売上額に応じてその金額が決まる完全歩合制となっていたものであるから、労務提供時間の長さとは無関係なものであったといえる。そうすると、Xらが支払を受ける報酬は、労務対償性が弱かったことになる。
また、Y社は、各ドライバーに報酬を支払うにあたって、社会保険料及び公租公課の控除を行っておらず、事務室の談話室のトイレ横に紙を貼って、運送業一人親方特別加入を案内したり、確定申告の相談窓口として、税理士事務所を紹介するなどしているところ、これらの事情も報酬の労務対償性がなかったことをうかがわせる事情であるといえる。
Y社の営業時間が午後8時から午前4時という夜間であったこと、Y社が求人情報サイトに掲載していた情報においても「Wワークの方も歓迎」とされていたことからすれば、Y社で運転代行業務に従事するドライバーは、副業として従事している者が多かったことがうかがわれ、そうであれば、Y社で運転代行業務に従事していたドライバーには専属性がなかったことになる。

3 以上を総合考慮すれば、本件において、Xらが、Y社の指揮命令に従って労務を提供していたと評価することはできないから、XらとY社との契約が雇用契約であったということはできない。

非常に参考になる裁判例です。

裁判所がどのような要素を考慮して労働者性を判断しているのか理解しておきましょう。

労働者性に関する判断は本当に難しいです。業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。

本の紹介1160(妄想する頭 思考する手)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

著者は、東京大学大学院教授・ソニーコンピュータサイエンス研究所副所長の方で、これまでに世の中に存在しなかった新しい技術を生み出すことが仕事だそうです。

新しいモノを生み出す方法が書かれています。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

本当にイノベーションを起こしたいなら、『こうあらねばならない』的な真面目路線のほかに、『非真面目』な路線を確保することが必要だと私は思う。・・・役に立つかどうかよくわからないアイデアでも、とりあえずやってみる。それが、妄想に寛容な社会だ。・・・与えられた問題の正解を模索するだけでは、真面目一辺倒の社会になってしまう。それによって社会全体に悲壮感のようなものが漂っているのが、今の日本ではないだろうか。」(229頁)

日本は寛容でない国であるため、真面目であること、失敗しないことが過度に重視されています。

芸能人や政治家のスキャンダルがその典型ではないでしょうか。

テレビ番組がどんどんつまらなくなるのは当然の流れです。

テレビを見なくなる理由がよくわかります。

そりゃ多くの芸能人がユーチューバーに転身するわけですよ。

賃金209(東雲事件)

おはようございます。

今日は、警備員の待機時間の労働時間性に関する裁判例を見てみましょう。

東雲事件(大阪地裁令和2年12月22日・労判ジャーナル109号18頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員として警備業務に従事していたXが、Y社に対し、①未払の割増賃金として、別紙原告金額シートの「割増賃金未払額」欄記載の額の合計697万3488円+遅延損害金の支払、②労働基準法114条に基づく付加金として697万3488円+遅延損害金の支払、③Y社がXから修繕費名目で差し引いたことが無効であるとして、未払賃金請求、不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求として60万3186円+遅延損害金の支払をそれぞれ求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、289万1450円+遅延損害金を支払え

Y社は、Xに対し、付加金289万1450円+遅延損害金を支払え

Y社は、Xに対し、60万3186円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 原告を含む各警備員は,報告書の作成のほかは,被告から待機時間中に行うべき特段の業務を指示されておらず,交通事故,倒木等が発生するなどの連絡を受けた場合には現場に向かうこととなっていたものの,午後11時30分から午前5時までの5時間30分の仮眠時間において実際に業務に従事することはほとんどなく,私服に着替えて仮眠を取っており,午後零時30分から午後4時まで及び午後6時30分から午後8時までの合計5時間の待機時間中についても,連絡を受けることは月1回程度しかなく,各警備員は,食事を取ったり,新聞を読んだりするなどして過ごしていたものであって,これらの事情によれば,午後11時30分から午前5時までの仮眠時間帯だけでなく,午後零時30分から午後4時まで及び午後6時30分から午後8時までの合計5時間の待機時間帯についても,労働から解放されており,基本的に休憩時間とみるのが相当である。

2 本件全証拠によっても,平成30年4月1日から平成31年3月31日までの間において,原告が午後11時30分から午前5時までの仮眠時間帯に作業に従事したことを認めるに足りる証拠はない。一方で,原告は,午後零時30分から午後4時まで及び午後6時30分から午後8時までの合計5時間の待機時間帯において,報告書の作成に加え,他の警備員作成のものを含めて報告書の整理を行っていたほか,月1回程度は連絡を受けて対応に当たっていたものであり,これらの事情によれば,原告は,平均して1日1時間の限度で,労務に従事していたものと推認するのが相当であって,この認定を左右するに足りる他の証拠はない。なお,始業時刻である午前8時30分から午前9時までは制服への着替え等の準備作業を,終業時刻が午後5時30分である場合の午後4時から午後5時30分までの間は巡回作業の一部や片づけ等の作業を,終業時刻が午前8時30分である場合の午前8時から午前8時30分までの間は片づけ等の作業を,それぞれ行っていたものと推認されるから,これらの時間帯は労働時間に当たるというべきである。

警備員の仮眠時間の労働時間性についてはよく裁判で争点となるところです。

労働からの解放を判断する上で、当該時間中の呼び出し頻度が重要な考慮要素となります。

拘束時間の長い職種のため、事前に適切に労務管理をしていないと支払金額が高額になるのが特徴です。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが最も重要です。