解雇345(日成産業事件)

おはようございます。

今日は、営業部長に対する懲戒解雇の存否等と不法行為該当性に関する裁判例を見てみましょう。

日成産業事件(札幌地裁令和2年5月26日・労判1232号32頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、①Y社がXに対してしたとされる懲戒解雇は存在せず、又は無効なものであるとして、労働契約に基づき、懲戒解雇の不存在又は無効を前提とした未払賃金及び遅延損害金の支払を求め、②懲戒解雇事由がないにもかかわらずY社がXを懲戒解雇したかのように装うなどしたため、Xが支給を受けるべき退職金共済制度に基づく退職一時金が減額されたとして、不法行為に基づき、同減額相当額の損害賠償及び遅延損害金の支払を求め、③上記②のように懲戒解雇したことを装い、上記退職一時金の受給を妨害し、不当な損害賠償請求をするなどしてXの人格権及び財産権を侵害したとして、不法行為に基づき、慰謝料等の損害賠償及び遅延損害金の支払を求め、④Y社が主張するXのY社に対する労働契約に基づく損害賠償債務は存在しないとして、その不存在の確認を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、未払賃金28万3800円+遅延損害金を支払え

Y社はXに対し、61万4760円+遅延損害金

債務不存在確認認容

【判例のポイント】

1 本件損害賠償請求の内容をみると、本件約束手形の不渡りに伴う損害のみならず、XがY社の従業員としての地位を有していた間の本件経費についても、それが損害ではないことは明らかであるにもかかわらず損害賠償を求めている。また、本件損害賠償請求の方法をみると、存在しない本件懲戒解雇に係る本件懲戒解雇通知とともにしていることや、本件回答書において本件経費について明らかな虚偽記載をしていることに鑑みると、正当な権利の行使とは評価できない。加えて、Y社は、本件訴訟において、本件取引に係る決裁等に関してあえて事実と異なる主張をしたばかりではなく、Y社内部における決裁手続を経た本件申請認可書Aを改変した本件申請認可書Bや偽造した本件申請認可書Cを書証として提出しているのであって、もはや正当な権利の行使として許容される方法を逸脱していることは明らかである。そうすると、本件損害賠償請求及びそれに関する本件訴訟におけるY社の訴訟行為は、Xに対する不法行為となるものというべきである。

提訴や訴訟行為の不法行為該当性については、要件が厳しいので、そう簡単には認められませんが、本件くらいの事情があればさすがに認められます。

本の紹介1146(マーケターのように生きろ)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは「『あなたが必要だ』と言われ続ける人の思考と行動」です。

日常生活にマーケティングの考え方を取り入れることをすすめています。

切り口がおもしろく、とてもいい本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

自分を表現するのではなく、人の期待に応えることを追求するのです。そのために、まずは相手をよく知り、相手が何を求めているかに思いをめぐらせます。そして、自分にできる精一杯でそれに応えます。・・・そんな生き方を『マーケターのように生きる』と呼んでいます。マーケティングとは、そうして『常に相手からスタートする』という考え方を体現したものだからです。」(3頁)

これは、決してビジネスだけの話ではなく、人間関係全般にいえることです。

目の前の人に喜んでほしいと思う力をどれだけ強く持っているかと密接に関連していると思います。

相手の喜んでいる姿を見て喜べるか。

結局、根本的な価値観はこれです。

有期労働契約103(日本通運事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、同一の使用者との間で、労働契約の更新を7回行った有期契約社員に、次の更新の合理的な期待が認められなかった裁判例を見てみましょう。

日本通運事件(東京地裁令和2年10月1日・労経速2438号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で、平成29年8月31日に、期間を同年9月1日から平成30年3月31日までとして労働契約を締結し、同契約を更新されずY社から雇止めさXが、XとY社の労働契約は労働契約法19条1号又は2号の要件を満たしており、雇止めについて客観的合理的な理由も社会通念上相当性もないため、従前の労働契約の内容で契約が更新されたと主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、労働契約に基づき平成30年4月分以降の賃金+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 XとY社との間の労働契約の契約期間は通算5年10箇月、有期労働契約の更新回数は7回に及ぶものの、毎回、必ず契約書が作成されており、契約日の前に、Y社の管理職からXに対し、Xの署名押印を求める契約書を交付し、管理職がXの面前で契約書を読み上げて契約の意思を確認するといった手続を取っており、更新処理が形骸化していたとはいえず、いずれかから格別の意思表示がなければ当然更新されるべき労働契約を締結する意思であったと認められる場合には当たらないというべきである。

2 本件のように契約書に不更新条項等が記載され、これに対する同意が更新の条件となっている場合には、労働者としては署名を拒否して直ちに契約関係を終了させるか、署名して次期の期間満了時に契約関係を終了させるかの二者択一を迫られるため、労働者が不更新条項を含む契約書に署名押印する行為は、労働者の自由な意思に基づくものか一般的に疑問があり、契約更新時において労働者が置かれた前記の状況を考慮すれば、不更新条項等を含む契約書に署名押印する行為があることをもって、直ちに不更新条項等に対する承諾があり、合理的期待の放棄がされたと認めるべきではない。労働者が置かれた前記の状況からすれば、前記行為が労働者の自由な意思に基づいてされものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在する場合に限り(山梨県民信用組合事件最高裁判決)、労働者により更新に対する合理的な期待の放棄がされたと認めるべきである。
・・・本件では、Xは、労働契約7の締結の際、管理職に対し、不更新条項等について異議を留めるメールを送っている。そうすると、労働契約5から8までの不更新条項等の契約書に署名押印する行為がXの自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が、客観的に存在するとはいえない

3 労働契約1から7までは、Q2事業所におけるQ3の商品配送業務をY社が受注する限りにおいて継続する性質の雇用であったところ、Y社が同業務を受注できず事業所を閉鎖して撤退するに至ったため、労働契約7の締結前に、Xが、Y社の管理職から、Y社がQ3の商品配送業務を失注し事業所を閉鎖する見込みとなり、次期契約期間満了後の雇用継続がないことについて、個人面談を含めた複数回の説明を受け、Y社に代わりQ3業務を受注した後継業者への移籍ができることなどを説明され、契約書にも不更新条項が設けられたことにより、労働契約7の締結の時点においては、それまでの契約期間通算5年1箇月、5回の更新がされたことによって生じるべき更新の合理的期待は、打ち消されてしまったといえる。

上記判例のポイント2は非常に重要です。

ただ単に不更新条項を入れておけばよいというほど単純ではないことを理解しておきましょう。

本の紹介1145(まぁいいか)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

斎藤一人さんの本です。

帯には「コロナ・失敗・病気・・・それでも、毎日を楽しく生きるコツ!」と書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

あなたの口から出る言葉は、まわりまわって必ず自分に戻ってきます。愛のある言葉を口にしている人には、もっと愛を出したくなるような現実がもたらされるし、愛のない言葉ばかり口にする人には地獄のような現実が待っている。あなたが口にする言葉ひとつひとつで、未来は天国にも地獄にも変わるんだ。」(80頁)

「できる」と言えばできます。

「できない」と言えばできません。

前向きな思考をするか、後ろ向きな思考をするか。

思考は現実化するというのは真実です。

正のスパイラルを作り出すか、負のスパイラルを作り出すか、すべては思考やそれに伴う発言が出発点です。

メンタルヘルス7(多摩市事件)

おはようございます。

今日は、病気休職中の産業医面談(月1回)の不実施が安全配慮義務違反には当たらないとされた裁判例を見てみましょう。

多摩市事件(東京地裁令和2年10月8日・労経速2438号20頁)

【事案の概要】

本件は、普通地方公共団体であるY市の職員として勤務していたXが、Y社から人事権を濫用した違法な転任処分を受けたことにより、自律神経失調症にり患して病気休職に追い込まれ、さらに、病気休職中にY社職員から違法なパワーハラスメント行為を受けたことにより、退職に追い込まれたなどと主張して、Y社に対し、民法415条又は国家賠償法1条1項に基づき、①精神的苦痛に対する慰謝料200万円、②逸失利益としてXが休職をしなければ得ることができた1年分の給与相当額418万8340円、③弁護士費用61万8834円の合計680万7174円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 一般に、産業医面談は、休職中の治療を目的とするものではなく、使用者が休職者に対して復職又は休職に係る適切な処分をするにあたり、当該休職者の体調を把握する目的で実施されるものであるところ、本件要綱も、第1条において、「心身の故障のため病気休職をする職員について、病気休職の手続、職場復帰に際しての審査等について定める」ものとされていることから、本件要綱に基づく産業医面談も上記目的で実施されるものであることを認められる。以上に加えて、本件要綱が、産業医面談を受けることを休職者の義務として規定し、Y市が休職者の病状等に応じて上記義務を免除することや正当な理由なく上記義務を履行しない休職者に対して受信命令を発令することを定めていることに照らすと、本件要綱の規定を根拠に、Y市において休職者に対して月1回の産業医面談を実施すべき義務があると解釈することはできない

2 労働契約法5条は、使用者の労働者に対する一般的な安全配慮義務を定めたものであり、労働安全衛生法13条は、事業者の産業医選任義務を定めたものであるから、これらの規定から直ちに、Y市について、休職者に対して月1回の産業医面談を実施すべきであるという具体的義務が発生すると解することはできない。

3 Y市は、Xに対し、平成29年7月に2回目の産業医面談が実施された後、平成30年6月11日までの間、Xに対して産業医面談を実施していないが、その間、Xから体調不良を理由として平成29年9月の産業医面談がキャンセルされたこと、Xは、特定の産業医による面談を希望するとともに、Y市庁舎外での面談実施を希望していたため、産業医面談の日程調整が困難であったこと、P1保健師は、上記期間中にXとの間で3か月に1回程度の頻度で電話でやり取りを行っており、その際、Xに対して体調等を確認することもあったこと、Y市は、病気休職期間の延長申出の都度、Xから提出される主治医の診断書により、Xの病状を一定程度把握することができたことが認められる。
以上で認定した事実に照らせば、Y市は、上記期間中、産業医面談以外の方法でXの体調を一定程度把握していたことが認められ、上記期間中にY社がXに対して産業医面談を実施しなかったことをもって、Y市のXに対する安全配慮義務違反があったということはできない

休職期間中の使用者の安全配慮義務について問題となっている事案です。

使用者として何をどの程度行うべきかについては、顧問弁護士の助言の下に判断するのが賢明です。

本の紹介1144(人生のダイヤモンドは足元に埋まっている)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは「強欲資本主義時代の処方箋」です。

著者は、投資信託会社の創業者で、一昨年、他界されています。

今日のグローバル資本主義の特徴がわかりやすく書かれています。

著者が考える「あるべき姿」はとても参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

金持ちになるためや、世間から名誉を得るため、力を振りかざすためだけのキャリアは、正しいキャリアではない。他人の期待に応えるためだけのキャリアも正しくない。社会の犠牲のもとで達成された成功は、正しい成功ではない。それでは、どんなものさしを使って判断すればよいのだろうか。それは自分自身の期待と、自分のもっている能力を最大限に発揮しているかどうかだ。」(199頁)

どのようなキャリアを選択するかとは、すなわち、どのような人生を選択するかとほぼ同義です。

世間体や他者からの評価を気にして、本当は自分の意に反するキャリアを選択するのは、自分の人生を生きていないのと同義です。

人生は1度きりで、かつ、とても短いです。

さまざまな理不尽に晒され、我慢を強いられ、ストレスで体も心もぼろぼろになって、本当に自分の人生を生きているといえるでしょうか。

自分の人生は自分で選び、切り開くしかありません。

労働災害106(マツヤデンキ事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、労災認定後の労災民事訴訟において、使用者の安全配慮義務違反が否定された裁判例を見てみましょう。

マツヤデンキ事件(大阪高裁令和2年11月13日・労経速2437号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であるXが、勤務中に、Y社のO店店長Y2、同店副店長Y3、同店従業員Y4及びY5から暴行を受け、傷害を負ったほか、心的外傷後ストレス障害(PTSD)又はうつ病に罹患して休職を余儀なくされたなどと主張して、Y社に対しては雇用契約の債務不履行(安全配慮義務違反)又は不法行為(使用者責任)による損害賠償請求権に基づき、①Y4及びY5に対しては不法行為による損害賠償請求権に基づき、Y社に対し、634万2310円たす遅延損害金の支払を、②Y4に対し、578万3730円+遅延損害金の支払を、③Y5に対し、Y社と連帯して、633万1890円+遅延損害金の支払をそれぞれ求める等した事案である。

【裁判所の判断】

本件各控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。
Y社はXに対し、2万0700円+遅延損害金を支払え
Y4はXに対し、1万0420円+遅延損害金を支払え
Y5はXに対し、Y社と連帯して1万0280円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 平成25年6月23日より前に、上司や同僚からXに対する暴力を伴う指導があったことや、Xが、暴力を伴う指導の対象になっているとして自ら又は両親を介してY社に苦情を申し出たり、相談したりしたことがあったことをうかがわせる事情や証拠はない
また、本件不法行為1が、Xに商品券を探すよう指示した際にY4が偶発的に行ったものであり、本件不法行為2も、Xから唾をかけられるなどの対応をされるようになったY5がとっさに行ったものにすぎない。
さらに、XがY社に入社して以降、人事評価において低位の評価が続いており、注意や指導が困難な社員であると受け止められていたからといって、本件全証拠によっても、Y社において、そうしたことを理由に、Xが上司や同僚から暴力を伴うような指導や叱責等を受ける可能性があることを予見することができたとは認めるに足りない
そうすると、本件不法行為1、2当時、Y社に、Xの上司や同僚に対してXへの業務上の注意・指導を行うに当たり暴力を伴うような指導等をすることがないよう注意すべき義務があったとまでいうことはできない。

2 弁論の全趣旨によれば、P6医師は、Xあるいはこれを支援する労働組合の関係者から事情を聴いているにすぎず、職場の上司や同僚からの聴取をしていないことが認められる。そして、Xあるいはこれを支援する労働組合の関係者の陳述等は、構造化面接の際におけるXの回答を含め、次のとおり、明らかな誇張等があって到底信用できないものであるから、これらを基にした上記各意見書における意見をたやすく採用することはできない

上記判例のポイント2の視点は、労災事件や精神疾患発症事案において必須となります。

主治医の意見書に対する証拠価値をどのように評価するかは非常に重要です。

本の紹介1143(ニューノーマル時代の自分で稼ぐ力)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

いつまでもあると思うな親と年金と会社です。

いかに自分で稼ぐ力をつけるかが、この不安定な時代を生きる秘訣です。

いまだに高度経済成長期のごとき人生設計をしている人がいますが・・・。

今の時代は、できるだけ経済的・精神的依存度を下げることを意識して準備をすることが大切です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

世間には『スマホをクリックするだけで楽して儲かる』『ツールが勝手に稼いでくれる』なんて誘い文句もありますが、はっきり言います。それでは大きく稼げません。それどころか、詐欺の可能性もあります。・・・世の中に、楽して稼げるものなんて、ありません。・・・稼ぐためには、人の口車に乗ってはいけません。必ず自分の判断が必要です。わかりやすい答えを追ってはいけません。」(78頁)

何を信頼するか、誰を信用するかで人生の大半は決まってしまうのではないでしょうか。

これだけ高速で時代が変化している中で、1から10まですべて、自分で調べて判断するなんて、時間がいくらあっても足りません。

私は、自分の得意分野以外は、信頼できる人の意見に従うという生き方が効率的かつ合理的だと思っています。

結局、誰に相談するかで決まるわけです。

そう。つまるところ、ブレーンとメンターの選び方、揃え方が重要な要素になるわけです。

労働者性34(鑑定ソリュート大分ほか事件)

おはようございます。

今日は、元取締役の労働者性ならびに解雇の有効性等に関する裁判例を見てみましょう。

鑑定ソリュート大分ほか事件(大分地裁令和2年3月19日・労判1231号143頁)

【事案の概要】

第1事件は、Y社の取締役として登記されていたXが、①実質はY社に雇用された労働者であり、Y社から不当に解雇された、②Y社は労働契約に基づきXが健康保険及び厚生年金保険の被保険者の資格を得たことを保険者に届け出るべき義務を負ったにもかかわらず、同義務を怠った、③Y社が本店を移転したことにより、本判決確定後に労働に従事するようになった際に通勤費用が増加する、④Y社の取締役であったAがパワーハラスメントの防止措置を講じなかったことにつき、Y社が労働契約上の職場環境配慮義務に違反したと主張し、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を、民法536条2項に基づく賃金請求として、解雇の日である平成30年1月17日から平成31年2月20日までの未払賃金合計257万4491円+遅延損害金等を求める事案である。

第2事件は、Xが、Y社の取締役であったAにおいてXに対してパワーハラスメントをしてY社に職場環境配慮義務違反をさせて任務を懈怠し、Y社の取締役であったBにおいて同パワーハラスメントの防止措置を講じずY社に職場環境配慮義務違反をさせて任務を懈怠したと主張し、A及びBに対し、会社法429条1項に基づく損害賠償請求として、慰謝料及び弁護士費用相当の損害合計220万円+遅延損害金の連帯支払い(Y社と連帯)を求める事案である。

【裁判所の判断】

労働者性肯定

解雇無効 他
→バックペイ 

【判例のポイント】

1 XについてY社の取締役就任登記がされており、Xは取締役就任の承諾書に署名押印しているが、同登記がされてから取締役解任登記がされるまでの約1年8箇月の間、XがY社の取締役としての権限を行使したことはなく、Y社の経営に関わることはなかったのであり、このことからすれば、本件契約締結に際し、Xには、Y社の取締役という立場に見合った権限はそもそも付与されておらず、取締役として活動することも予定されていなかったものと認められる
他方、Xは、Y社の取締役であったBから、大分事務所で業務を行うに当たってXが遵守すべき事項として午前9時から午後5時までを業務時間とする旨が規定された本件社内規程を交付され、実際に、兼業を除いては、基本的にその業務時間どおりに業務を行っていて、業務を行うに当たっては、その内容や納期等についてBから指示を受けるとともに、業務の進捗状況もBにより把握・管理され、業務に後れがあったときは、その遅れを取り戻すよう命じられるなどしており、また、Bにおいて、Xのスケジュールの把握が可能であった。これらのことからすれば、Xは、兼業を除いては、Bの指揮監督の下で、時間的場所的拘束を受けつつ業務に従事していたものと認められる。

2 兼業を認められていることから直ちに労働者性が否定されるものではないし、Xが依頼される業務について諾否の自由を有していたか、仮に諾否の自由を有していたとして、それがどの程度に自由であったかは証拠上明らかではなく、Xは、行うこととなった業務の遂行について、Aからの指揮命令を受けていたものであるから、Xが本件契約において裁量を有していたとしても、それが労働者性を否定するほどの広い裁量であったとは認められない

取締役にすることにより、労基法等の適用を除外するというやり方は、昔からありますが、取締役としての実態が伴っていない場合には、労働者性が肯定されますので注意が必要です。

本の紹介1142(PRIDELESS)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

オリラジ藤森さんの本です。

オリジナリティも、特別なこだわりも、そしてプライドもなくていい」というのが藤森さんの考えです。

こういう生き方も当然ありです。

詰まるところ、自分の生きたいように生きればいいのです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

確固たる自分なんて、いらない。自分を照らしてくれる、周りのほうが大事。そんな考えはぼくのなかでぶれないし、これからも変わらないだろう。」(203頁)

藤森さんはこうも言います。

『自分』をつくるのは自分じゃない。周りだ。」(196頁)

これもまたオリジナリティです。

目の前にいる人が喜んでいる姿を見るのが幸せだという人も世の中にはいます。

こうあるべきだなんていうステレオタイプの幸福論はすべて無視です。

自分の人生は自分で決めればいいです。

自分が幸せだと感じる生き方をすればそれでいいです。