Author Archives: 栗田 勇

本の紹介1275 ジョブズの哲学#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から10年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

ジョブズが残した40の教えが書かれています。

今読み返しても、全く色褪せない普遍的な内容です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

偉大な成功を成し遂げた人は、『好きなことを仕事にした』と口々に語っている。・・・『自分の仕事に惚れなければ、絶対に成功しません。素晴らしい仕事などできるわけがないのです』」(180頁)

まあ、そりゃそうだという内容です。

逆に言えば、自分の仕事が辛くて嫌いでやりたくないというのは悲劇です。

自分の仕事が好きだからこそ苦労も楽しいわけです。

山登りが嫌いな人がいやいや登山をするのは地獄です。

楽しい仕事など存在しません。

自分の仕事を楽しめるかどうか。

ただそれだけの話です。

解雇364 旅費の不正受給を理由とする懲戒解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、旅費の不正受給を理由とする懲戒解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

日本郵便事件(札幌高裁令和3年11月17日・労経速2475号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間の労働契約に基づいて業務に従事していたXが,被控訴人による平成30年3月22日の控訴人の懲戒解雇は、懲戒事由が認められず、懲戒事由があるとしても客観的合理的理由を欠き、社会通念上の相当性を欠くものであるから無効であるなどと主張して、Y社に対し、①雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、②平成30年5月分の未払給与42万7574円+遅延損害金の支払、③同年6月から本判決確定の日まで、毎月24日限り、月額45万2680円の給与+遅延損害金の支払、④同年6月から本判決確定の日まで、毎年6月30日限り賞与(夏期手当)60万円及び毎年12月10日限り賞与(年末手当)70万円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

原審が、本件懲戒解雇は有効であるとして、Xの請求を全て棄却したところ、これを不服として控訴人が控訴した。

【裁判所の判断】

1 懲戒解雇無効

 Y社は、Xに対し、1685万1767円+遅延損害金を支払え。

3 Y社は、Xに対し、令和3年9月から本判決確定の日まで、毎月24日限り44万0320円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 本件非違行為は、Xが、100回という非常に多数回にわたり、旅費の不正請求を繰り返したというもので、その不正受給額(クオカード代金を含む。)も合計約54万円にのぼっている上、Xが広域インストラクターという営業インストラクターの中でも特に模範となるべき立場にあったことなどを踏まえると、その非違の程度が軽いとはいえない
他方で、多数の営業インストラクターがXと同様の不正受給を繰り返していたなどY社の旅費支給事務に杜撰ともいえる面がみられることや、Xに懲戒歴がなく、営業成績は優秀でY社に貢献してきたこと、本件非違行為を反省して始末書を提出し、利得額を全額返還していることなど酌むべき事情も認められる。
そして、本件非違行為の態様等は、本件服務規律違反者らの中で最も重い停職3か月の懲戒処分を受けた者と概ね同程度のものであるといえ、本件非違行為に対する懲戒処分として懲戒解雇を選択すれば、本件非違行為に係る諸事情を踏まえても、前記停職3か月の懲戒処分を受けた者との均衡も失するといわざるを得ない。
これらを併せ考えると、本件非違行為は、雇用関係を終了させなければならないほどの非違行為とはいえず、懲戒標準の1(3)「服務規律違反」の9「虚偽の申告をなしあるいは故意に届出を怠る等して、諸手当、諸給与金を不正に利得し又は利得せしめた者」のうち「基本」に該当するものとして処分を決するのが相当というべきであって、懲戒解雇を選択とすることは不合理であり、かつ相当とはいえない。
したがって、本件懲戒解雇は、その余の手続面等について検討するまでもなく、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当なものとして是認することができないものであり、懲戒権を濫用するものとして無効と認められる。

懲戒処分をする際に、同種事案における他の従業員との均衡を考える必要があります。

もっとも、全く同じ事案は存在しないため、均衡に関する解釈は非常にファジーになります。

今回の事案でも、まさに地裁と高裁で判断が割れており、どちらの結論にでも判決が書けてしまいます。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

本の紹介1274 世界で1000年生きている言葉(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

タイトルのとおり、全国各地で語り継がれていることばが紹介されています。

非常にシンプルながら、語り継がれるだけの含蓄があります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

幸せの時に浮かれすぎてはいけない。不幸な時に卑下し過ぎてはいけない。 セルビア共和国」(76頁)

大金が入った途端にはぶりがよくなる方、いますよね(笑)

人生も仕事も、当然、良い時も悪い時もあります。

仮に今、順調であったとしても、この状況が未来永劫、続くなんて保証はどこにもありません。

その逆もまたしかり。

何事も、欲張らず、見栄を張らず、抱え込まず、ありのままで生きていくのが一番です。

解雇363 就業状況不良等を理由とする解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、就業状況不良等を理由とする解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

産業と経済・やまびこ投資顧問事件(東京地裁令和3年9月24日・労判ジャーナル120号54頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約を締結していたXが、Y社に対し、Y社による普通解雇が無効であるとして、Y社に対する雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認及び同契約に基づく未払賃金等支払、同契約に基づき、同解雇前の令和元年12月支払分の給与のうち欠勤に伴い支払われなかった13万円の支払、並びにY社がXに金融商品取引法に違反する取引を共用したことや同解雇が不行為に当たるとして、不法行為による損害賠償請求権に基づき、慰謝料700万円の賠償を求めるとともに、A社に対し、A社がY社を実質的に支配していたなどとして、Y社に対するのと同内容の各請求をした事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、違法取引を強要されたとは認められないにもかかわらずこれを強要されたと言って監督官庁への告発を示唆して和解の名目で金銭的要求を行った上、その後、14日間欠勤し、その多くが無断欠勤であったばかりか、その間にA社およびY社を非難する旨のSMSを送り続け、Y社に対する反抗的な態度を明らかにし、このようなXの言動については、就業規則所定の解雇理由である従業員の就業状況が著しく不良で、就業に適しないと認められたときに当たり、Xを解雇することについての客観的に合理的な理由があるというべきであり、そして、以上のような労働者の言動については、Y社も不適切な取引関係の形成に関与したことがうかがわれることは否定し難いものの、Y社に対し金銭的要求を行うなどしていることからすれば、その是正を求めるための正当な言動とは解し難い上、正当な理由なく就労を拒否し、反抗的な態度を明らかにしたものであって、Y社との信頼関係を著しく損ねたものというべきであり、また、Y社は、Xに対し、適切に弁明の機会を付与し、Xもこれに応じて弁明をするなどしており、本件解雇については手続的にも相当性を欠くというべき点は見受けられないから、本件解雇は、社会通念上相当であると認められるから、本件解雇は有効である。

内部告発をする場合には、告発を正当化するだけのエビデンスを用意しておかないと、立場が逆転しかねませんので注意が必要です。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

本の紹介1273 最大化の超習慣(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

日頃、堀江さんのYouTubeを見ている人にとっては、特に目新しいことは書かれていません。

昔ながらのライフスタイルが染みついてしまっている方は、何かのヒントになるかもしれません。

まあ、一度染みついてしまったライフスタイルは、そう簡単には消せませんが。

Old habits die hard.

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

この作業は必要か?この行為に意味があるのか?あなたのなかでふと湧き上がるその疑問はおおかた正しい。世のなかはあまりに形骸的な儀式に満ちている。」(113頁)

「なんとなく決まり事だから、何の意味があるのかよくわからないけど、とりあえずやっている。」

そんな「儀式」が多すぎます。

どれほどの時間を「儀式」に費やしているのでしょうか。

意味のない時間泥棒の儀式を1つ1つ排除することで、結果として、本当に必要なことに使える時間が増えるのです。

毎日毎日、時間がないと嘆いているみなさん、その仕事、作業、過程、本当に必要ですか?

そんなことに時間を使っていたら、あっという間に人生が終わってしまいます。

Life is shorter than you think.

不当労働行為287 会社とアドバイザリー業務契約を締結した社労士及び共済組合の行為が不当労働行為とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、会社とアドバイザリー業務契約を締結した社労士及び共済組合の行為が不当労働行為とされた事案を見ていきましょう。

オーダースーツSADAほか1社事件(宮城県労委令和2年9月26日・労判1258号88頁)

【事案の概要】

本件は、会社とアドバイザリー業務契約を締結した社労士及び共済組合の行為等が不当労働行為にあたるかが争点となった事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 B氏による脱退届用紙の配布は、Y社の指揮命令権の及ぶ昼礼の機会に、Y社がB氏と一体となって行っているものと評価でき、「使用者」による行為であると言わざるを得ない。
「使用者」が労働組合の脱退届用紙を配付して脱退を勧奨する行為は、脱退という組合員が自主的に判断して行動すべき事項(内部運営事項)に介入するものであり、X組合の団結力・組織力を損ねるおそれのある行為であるから、支配介入に該当する。

2 Y社がチェック・オフ停止の根拠としている脱退届は、Y社とB氏が一体となって脱退届用紙を配付して脱退を勧奨するという支配介入行為によって、A執行委員長を除く全組合員が署名したものである。この不当な支配介入行為によって署名された脱退届においては、組合員は自らの自由な意思でX組合を脱退したのか疑わしい状況であったことが認められる。
本件においては、Y社の不当な支配介入行為によって脱退届が提出されていたという特殊な状況であったことを踏まえると、Y社がチェック・オフの停止を行ったことは、X組合の弱体化を意図した一連の行為の一部であると評価でき、X組合の組織運営に支配介入しようとしたものと言わざるを得ない。

会社とアドバイザリー業務契約を締結した社労士の行為であったとしても、「使用者」による行為と評価されてしまうので注意しましょう。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介1272 人生を変える習慣のつくり方#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

5年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

もうタイトルそのまんまの内容です。

いかなる習慣を身に付けるかで人生は決まります。

断言していいでしょう。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

あなたを成長させてくれそうな人と一緒にいなさい セネカ『道徳書簡集』」(347頁)

習慣は伝染します。

誰の影響を受けたかによって、その後の人生が大きく変わります。

すなわち、誰と多くの時間を共有したかが極めて重要なのです。

親、学校や塾の先生、上司、友人、交際相手・・・・

だからこそ環境が与える影響は計り知れないのです。

子どもで言えば、親は選べませんが、せめて学校と友達は選んだほうがいいでしょう。

大人で言えば、会社と交際相手(結婚相手)は選んだほうがいいでしょう。

習慣とはすなわち、何を「当たり前」とするか、です。

日々の「当たり前」の積み重ねこそが、人生を形成しているのです。

解雇362 即戦力社員の試用期間満了後の本採用拒否の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、即戦力社員の試用期間満了後の本採用拒否の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

日本オラクル事件(東京地裁令和3年11月12日・労判ジャーナル120号2頁)

【事案の概要】

本件は、コンピュータ・ソフトウェアの研究、開発等コンピュータ・ソフトウェア関連の事業を行う会社であるY社と通信業界の専門家である「テレコム・イノベーション・アドバイザー」として雇用契約(年収1560万円、試用期間3か月)を締結して入社したが、試用期間満了時に解雇された元従業員Xが、Y社に対し、解雇は合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合に当たると主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認などを求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 テレコム・イノベーターの職責は、専門知識に基づき、通信業界の顧客の役員・部長級の社員と、技術革新について議論し、Y社が提供するソリューションの営業につなげていくことであり、そのためには、相手の意見・考え方を理解した上で、通信業界における深い知識に基づいて、海外における業界の最新動向に関する情報を提供し、議論を進めることが必要であり、そのために必要なコミュニケーション能力は、相当に高度なものであることが推認される

2 客観的にその存在が裏付けられているXのコミュニケーションにおける問題は、Xが、以上のテレコム・イノベータ―に必要とされるコミュニケーション能力を有していないことを端的に明らかにするものであるといわざるを得ない。

3 本件雇用契約により留保された前記解約権は、試用期間中の執務状況等についての観察等に基づく採否の最終決定権を留保する趣旨のものであると解されるから、その解約権の行使の効力を考えるに当たっては、当該観察等によってY社が知悉した事実に照らして検討する必要があり、本件雇用契約締結までにY社が知っていた事実については考慮することができない
・・・以上のようなXの問題は、応募者と採用面接担当者という役割が明確にあり、その職歴からすれば、Xも対応に慣れていたことが推認される採用面接において、Y社が知ることは不可能であったと認められる。

即戦力を期待され、高額の給与で中途採用された従業員の場合、解雇のハードルは下がります。

また、試用期間における解約権の行使に関する考えたについて、上記判例のポイント3を確認しておきましょう。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

本の紹介1271 不条理な会社人生から自由になる方法(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

本の内容はとってもおもしろいですが、特にタイトルの方法が書かれているわけではありません。

日本の会社での働き方がいかに国際競争力を喪失させているかがわかりやすく書かれています。

なお、会社人生が不条理だと感じるのであれば、退職するのが一番手っ取り早い方法であるのは言うまでもありません。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

あらゆる仕事で高い専門性が要求されるようになるなかで、『ゼネラリスト』としての経験しかないサラリーマンが、必要な知識やスキルを獲得できないまま年功序列で役職を与えられています。そうなると、『この仕事をやりとげるだけの能力が自分にはない』と思いつつも、誰にも不安を打ち明けることができず、上司や同僚、部下、クライアントの視線に戦々恐々としながら日々をやり過ごすようなことになりかねません。」(271頁)

数年に1度、部署異動が行われ、その分野のことがだんだんわかってきた頃に、また新たな部署に配属されるというゼネラリスト養成コースの場合、ある特定の分野の専門性を高めることは至難の業です。

逆に言えば、大量のゼネラリストが養成される中で、ある特定の分野において際立った専門性が発揮できる人材は、引く手あまたになるでしょう。

需要と供給の関係から言えば当然のことです。

「あなたは何ができる人ですか?」

という問いに、あなたは答えを持ち合わせていますか?

賃金224 基本給減額の合意が無効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、基本給減額の合意が無効とされた事案を見ていきましょう。

グローバルサイエンス事件(大阪地裁令和3年9月9日労判ジャーナル118号30頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのない雇用契約を締結していた元従業員Xが、Y社に対し、未払賃金等の支払を求め、XがY社から解雇されたことについて、本件解雇が違法無効である旨主張し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、労働契約に基づく未払賃金等の支払を求め、民法702条1項所定の事務管理に基づく費用償還請求として、Y社の事務に係る立替金約7万円の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効

未払賃金等請求一部認容

立替金等支払請求認容

【判例のポイント】

1 賃金減額合意について、Y社は、令和2年1月23日にXに対して退職勧奨をしたところ、Xはこれを拒否し、「給与は18万円でよいので、どうか働かせてください、営業成績は必ず改善します」と懇願し、Y社はこれを了承したと主張するが、そうすると、Xの賃金減額の申出は、29万円から18万円という大幅な減額であってXに対して大きな不利益を与えるものであるところ、Y社による退職勧奨の影響を受けてされた申出であるから、その不利益の大きさ及び減額に至る経緯に照らしてXの自由な意思に基づいてされたものとはいえないから、Xの基本給を29万円から18万円に減額する旨の合意があったとは認められない。

仮にXから懇願されたという事情があったとしても、判例のポイント記載のような事情があると、裁判所としては、自由な意思に基づいた合意とは認めてくれません。

会社としては対応方法が悩ましいところです。

賃金の減額をする場合には、事前に顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。