【個人再生⑦】清算価値保障原則とは?

清算価値保障原則とは何ですか。


1 個人再生事件では、破産事件となった場合の清算価値(その算定は、破産の換価基準と同様の方法で行います)以上の弁済をしなければなりません(民再231条1項、174条2項4号、241条2項2号)。
これを清算価値保障原則といいます。
この場合、換価に要する費用や、自由財産の拡張などは原則として考慮しません。
これは、不確定な要素を考慮するのは相当ではないという考えによります。
2 破産法における否認対象行為がある場合、たとえば、偏頗弁済がある場合など、破産事件では否認対象とされる財産は、清算価値の計算にあたっては、流出した金額を清算価値に上乗せして計画案を作成する必要があります。
住宅ローンについて一部弁済許可を受けないまま弁済していた事例で、その支払い分も清算価値に計上して計画案を策定したケースもありますので、注意が必要です。
3 不動産の清算価値の評価については、原則的に時価評価と被担保債権額の比較によります
なお、共有物件であるからといって当然に低額で評価するものではありません。
親族の土地を使用貸借で借用し、その上に建物を所有している場合、土地の利用権については、底地価格の10%程度を清算価値として算定している例が多いようです。
4 清算価値の基準日は、再生計画認可決定の時点です(民再236条、242条)。
したがって、再生手続申立て後、再生計画認可決定までに財産に大きな変動が予想される場合は、それを織り込んだ再生計画案を立案する必要があるので、注意が必要です。