【個人再生⑪】住宅資金特別条項を検討する場合の注意点は?

住宅資金特別条項を検討する場合の注意点を教えて下さい?

1 住宅資金貸付債権も再生債務者に対し再生手続開始前の原因に基づき生じている限り再生債権であり、再生手続開始による弁済禁止(民再85条1項)の対象となります。
もっとも、再生手続の開始後、許可決定確定前において、再生債務者は、一定の要件の下で、裁判所の許可を得て住宅資金貸付債権の弁済をすることができます(民再197条3項)。
したがって、要件を満たす限り、一部弁済許可の申立てをした上で住宅資金貸付債権への弁済を継続すべきです。
これを忘れて住宅ローンのみの弁済を継続してしまうと、場合によっては「重大な手続違反」となり不認可とされてしまう可能性がありますので注意が必要です(民再174条2項1号)。
2 裁判所による弁済許可の要件は、以下の3つです。
再生債務者の申立てによる
再生債務者が再生手続開始後に住宅資金貸付債権の一部を弁済しなければ、住宅資金貸付契約の定めにより、当該住宅資金貸付債権の全部又は一部について期限の利益を喪失することとなる場合であること
したがって、再生手続開始時にすでに期限の利益を喪失している場合や、開始後に、この許可弁済をしなかったことによりすでに期限の利益を喪失している場合には、裁判所は弁済の許可をすることはできません。
住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがあること 
3 再生債務者がこの条項を使って弁済を継続する場合、当初の住宅資金貸付契約の内容どおりに住宅ローンを完済することができる場合も生じ得ますが、その場合であっても、住宅ローンを当初の契約どおりに弁済する旨を再生計画に記載する必要があります。