【遺産相続㉛】遺産分割協議の当事者とは?

遺産分割協議の当事者となるのはどのような人ですか。また、注意点があれば教えてください。

1 遺産分割の当事者になり得るのは、共同相続人です。
2 相続人の中に意思能力や行為能力(財産上の有利不利を判断する能力)に問題がる当事者がいるときには、成年後見の申立てが必要になります。
3 共同相続人中に行方不明者や生死不明者がいる場合は、不在者財産管理人(民25条)又は家庭裁判所の選任した財産管理人(民918条2項、3項)が遺産分割の当事者になりますが、遺産分割協議をするには家庭裁判所の許可が必要となります(民28条)。
4 共同相続人中に未成年者がいる場合には、その法定代理人である親権者が未成年相続人に代わって遺産分割協議を行うことになります。
親権者と未成年者とが共に共同相続人であり、親権者が未成年者の代理人としても遺産分割協議を行う場合には、親権者と子において利益が相反するので、特別代理人の選任を要します(民826条1項)。
また、親権者を同じくする複数の未成年者がいて、当該親権者がそれぞれの未成年者の代理人として遺産分割協議を行う場合、その一人の子と他の子との利益が相反するので、特別代理人の選任を要します(民法826条2項、最高裁昭和48年4月24日判決)。
利益相反行為につき、特別代理人を選任せず、親権者が自ら代理行為をした場合は無権代理行為となり、子が成年に達した後で追認しなければ、その行為の効力は本人には及びません。
5 共同相続人だけでなく、包括受遺者(民990条)や相続分の譲受人も遺産分割の当事者となり得ます。
相続分の譲渡人は、相続債務があるなどの場合は、当然に当事者の地位を失うわけではありません。
相続分の譲渡については、【遺産相続30】をご参照ください。