【労働者派遣④】派遣契約が反復継続された場合の派遣労働者の地位

労働者派遣契約が反復継続された後に期間満了となった場合、その派遣労働者は派遣元事業者や派遣先会社に対して何らかの請求ができますか。

1 ご質問のケースは、裁判上、派遣労働者が派遣元事業主に対して労働契約の更新拒否は無効であると主張して労働契約上の地位の確認を求め、他方で、実質は、派遣先会社の労働者としての地位にあったという主張をすることが多いです。
2 この点については、労働者派遣は一時的・臨時的な労働力の使用を認めるというものであり、長期の雇用を予定してはならないとする法の趣旨からしても、労働契約が反復継続されたことによって更新拒否が無効になるわけではないと考えられます。
また、労働者派遣という仕組みを使って派遣先として指揮命令をしてきた以上、たとえ指揮命令関係にあったとしても派遣先と派遣労働者との間に雇用関係は認められないと考えられます。
3 近時の裁判例においても、同様の判断がなされています。
例えば、マイスタッフ事件(東京高裁平成18年6月29日判決)では、派遣元事業主に登録し、6か月の労働契約を締結して、派遣先で就労し、契約を4回継続し、5回目は更新を拒絶されたので派遣契約が終了したという事案です。なお、登録型であるため労働契約も終了しています。
このような事案で、派遣労働者Aは、派遣元事業者Bに対して労働契約の更新拒否は無効であること、派遣先会社Cに対する黙示の労働契約が成立している旨の主張をしました。
これに対して、裁判所は、AのB、Cに対する請求をいずれも棄却しました。
また、伊予銀・いよぎんスタッフサービス事件(高松高裁平成18年5月18日判決)においても、登録型の派遣労働者(雇用期間13年以上)が派遣元事業主に対して雇用関係存在確認、雇止め無効を主張し、他方で、派遣先会社に対して黙示の労働契約の成立、賃金支払い請求をした事案について、裁判所は派遣労働者の請求をいずれも棄却しました。