お知らせ【フランチャイズ契約㉕】フランチャイズ契約における違約金

フランチャイズ契約における違約金について教えて下さい。

1.フランチャイズ契約では、商標の使用方法、秘密保持義務、競業避止義務、その他の契約違反一般、フランチャイジー側の都合による中途解約等の場合に、違約金が発生する規定がおかれていることが多いです。

2.この違約金規定は、実際に、契約違反が発生した場合、フランチャイザーが当該行為により発生した損害額を立証する困難さを回避する目的があります(損害賠償の予定)。

3.このような違約金規定も原則として有効と解されています。裁判例の中には、ロイヤルティの60か月分の違約金を有効としたもの(大阪地判昭和61年10月8日、東京地判平成13年1月25日)や、加盟金の3倍額の違約金(1500万円)を有効としたもの(東京地判平成21年1月27日)もあります。

4.ただし、違約金の額があまりにも高額である場合には、公序良俗に反するとして、民法90条を根拠に一部が無効とされることもあります。

 たとえば、フランチャイジーによる営業秘密の不当開示が問題となったニコマート事件(東京地判平成7年2月27日、東京地判6年1月12日、東京高判平成8年3月28日)では、ロイヤルティの120か月分の違約金が定められていましたが、裁判所は、ロイヤルティの120か月分は高額に過ぎるとして30か月分まで減額しました。

5.また、フランチャイズ契約上の違約金規定が有効であるとしても、フランチャイジーの義務違反について違約金を課すほどの違法性は認められないと判断されることもあります(福岡高判平成19年7月19日)。

 フランチャイジーが違約金の支払義務を負うか否かは、当該違約金規定の趣旨、金額、義務違反の程度、フランチャイザー側の対応などの事情を総合的に判断することになります。

6.フランチャイジーが中途解約するに際して中途解約違約金を定める規定がある場合、通常は、それほど高額な違約金は定められていません。ロイヤルティの6か月~1年分程度が多いように思います。