Daily Archives: 2019年11月7日

セクハラ・パワハラ56(学校法人弘徳学園事件)

おはようございます。
75日目の栗坊トマト。実がどんどん大きくなってきています!

今日は、降格処分とハラスメントについて争われた裁判例を見てみましょう。

学校法人弘徳学園事件(神戸地裁豊岡支部令和元年7月12日・労判ジャーナル91号20頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の事務局長であったXが、Y社から受けた降格処分は理由のない無効なものであり、これにより賃金及び賞与を減額されたことに理由はないとして、雇用契約に基づく減額賃金及び賞与等の支払を求め、また、Y社に対し、上記降格処分の通知の際の亡学長のXに対する発言がハラスメントないしハラスメントに類する違法行為なのに、Y社のハラスメント防止委員会がXの苦情申立てに対応しなかったとして、職場環境保存義務違反による雇用契約の債務不履行による損害賠償として慰謝料50万円、また、Y社の准教授であるBが、Y社に対し、亡学長がBに対してした教授会での叱責等の言動がハラスメント行為なのに、Y社のハラスメント防止委員会がBの苦情申立てに対応しなかったとして慰謝料50万円を求め、Y社及び亡学長の承継人らに対し、亡学長の行為が業務指示の範囲を超えるものでかつBに専門外の講義をさせることがハラスメント行為であるとして、慰謝料50万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

降格処分は有効

ハラスメントに基づく損害賠償請求は一部認容

【判例のポイント】

1 Xは、本件降格処分を告げられた際、亡学長から「納得できなければ裁判でもすればいい。裁判すれば、ここには居られなくなる」と言われ、かかる言動がハラスメントに当たると主張するところ、亡学長の言動は、Xが本件降格処分を不服として裁判をすれば、Xが職務上の何らかの不利益を被るかもしれないという恐怖心を与えるものであり、Xが本件降格処分についての裁判を提起するという正当な権利の行使を躊躇せしめるものであり、ハラスメントに当たるといえるが、もっとも、Xは、本件訴訟を提起したことで、Y社において、特に不利益を被っていないこと、Y社も、亡学長の言動を不適切と判断して、譴責の懲戒処分をしたことが認められることから、Xの被った精神テック痛は、大きいとまではいえないから、これを金銭的に評価すれば、10万円が相当である。

2 亡学長が、新入生歓迎会のしおりについて、教授会でBを叱責したことについてはハラスメントに該当し、Bは、精神的苦痛を受けたといえるところ、Bは、亡学長の言動について、ハラスメントとして苦情申立てをしたが、Bが申立ての方式を誤解していたとはいえ、Y社による対応が何もなされていないことから、Bの精神的苦痛は回復されていないといえるが、もっとも、Bは、亡学長の叱責をうけた直後は心理面について要診療とされるような状態であったが、診療は受けておらず、その後は、正常な状態に戻ったことが認められ、これらの事情を踏まえれば、Bの精神的苦痛は大きいとはいえず、金銭的に評価すれば、10万円が相当である。

金銭的なダメージよりもレピュテーションダメージを気にするべきです。