解雇314(ナカムラ・マネージメントオフィス事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は試用期間中の解雇に関する裁判例を見てみましょう。

ナカムラ・マネージメントオフィス事件(大阪地裁令和元年6月18日・労判ジャーナル92号30頁)

【事案の概要】

本件は、Y社で勤務していたXが、Y社から解雇されたが、同解雇は無効であるなどと主張して、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、賃金及び賞与等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効

【判例のポイント】

1 Y社は、オーク会の理事長及びC事務長が、平成30年1月31日、Xと面談して解雇を通告したが、Xは、「はい」とだけ述べ、Y社との間の雇用契約の終了自体について異議を述べていなかったから、Xは、同日をもってY社を合意退職した旨主張するが、Xは、平成30年1月19日、C事務長から退職勧奨を受け、同月30日、C事務長に対し、賞与の支払がない限り退職勧奨を受け入れない旨伝えたが、オーク会の理事長は、同月31日の面談の際、賞与の支払について、これを拒否していること、同面談において、オーク会の理事長は、C事務長に対し、解雇の手続を取ること、Xに内容証明を送ること、解雇を行う際は録音を取ること等を指示し、実際に、Xは、C事務長から、同日解雇通知書を受け取ったこと、XはY社から、同年2月1日、郵送で同内容の書面を受け取り、同月6日には、解雇理由通知書の送付まで受けていること等の事実を併せ鑑みると、Y社は、Xを解雇したものと認めるほかなく、同年1月31日のやり取り全体を踏まえても、Xが、Y社を合意退職したものと認めることはできない

2 平成30年1月19日付け又は平成30年1月31日付け解雇予告による解雇の有効性について、Y社によるXの試用期間中の解雇、すなわち、留保した解約権の行使に客観的合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められるか否かについて検討するところ、「コミュニケーション能力の欠如」に関しては、直接体験した者の供述等これらを認めるに足りる的確な証拠がなく、また、「業務遂行能力の欠如」に関しては、Xが、Y社の注意にもかかわらずXがミスを繰り返したといった事情も認め難いこと等から、留保解約権の行使においては、通常の雇用契約における解雇の場合よりもより広い範囲における解雇の自由が認められてしかるべきであることを踏まえても、本件雇用契約に基づく労務の提供に不足があるとしてXを解雇すること(留保した解約権を行使すること)に、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であるとは認められないから、Y社によるXの解雇(留保解約権の行使)は、無効であり、また、Xは、Y社から就労を拒否されている状況にあるから、解雇日以降も、Y社に対し、賃金の支払を求める権利を有する。

コミュニケーション能力の欠如や業務遂行能力の欠如といった理由で解雇する場合には、それを裏付ける事実を立証することが大変です。

事前の準備なく解雇をしてしまうとこのような結果となってしまうので注意してください。