不当労働行為245 懲戒処分をする際にとるべき適正手続とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、組合員2名を出勤停止の懲戒処分としたこと、懲戒解雇予告通知をしたことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

プリモパッソ事件(大阪府労委令和元年7月19日・労判1218号90頁)

【事案の概要】

本件は、組合員2名を出勤停止の懲戒処分としたこと、懲戒解雇予告通知をしたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 本件懲戒処分の理由として会社が挙げる根拠事実は、実質的に、両組合員の正当な組合活動であり、本件懲戒処分は正当な組合活動を理由とするものであったというほかない
会社は、両組合員に対し、非違行為及び懲戒の理由を実質的に通知していないものといえ、したがって、本件懲戒処分は、就業規則の規定に従わずに行われたものと言わざるを得ない
また、就業規則第77条に、懲戒処分に先立って必要な指導及びロ頭注意を行う旨規定されていることが認められるところ、会社が、本件懲戒処分の通知に先立って、両組合員に対し、何らかの指導を行ったと認めるに足る事実の疎明もない。これらのことからすると、本件懲戒処分は、正当な手続を欠いたものといわねばならない

2 会社は、両組合員に対して解雇の予告を通知しているのであるから、本件懲戒解雇予告通知は、本件懲戒解雇を本件懲戒処分と一連の処分として通知したものとみることができる。
そうすると、本件懲戒処分が正当な組合活動をしたことを理由としたものであるから、本件懲戒解雇予告通知もまた、正当な組合活動をしたことを理由としてなされたものとみるのが相当である。
会社が、本件懲戒解雇予告通知に先立って、両組合員に対して非違行為及び懲戒の事由を通知したとは評価できず、また、本件懲戒解雇予告通知に先立って、両組合員に対して弁明の機会を付与したとも認めるに足る事実の疎明はない。したがって、本件懲戒解雇に係る手続は、正当性を欠いたものであったと言わさるを得ない。

懲戒処分をする際に適正な手続を踏むことは非常に初歩的な話です。

みなさん、気を付けましょう。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。