労働者性31(学校法人信愛学園事件)

おはようございます。

今日は、幼稚園園長の労働者性に関する裁判例を見てみましょう。

学校法人信愛学園事件(横浜地裁令和2年2月27日・労判ジャーナル98号12頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が経営する幼稚園において、1年間の有期契約を複数回更新しつつ勤務してきた元園長Xが、Y社から契約の更新拒絶をされたことについて、Y社に対し、XとY社との契約は労働契約であり、更新拒絶には客観的合理性がなく無効である上、Xは期間の定めのない労働契約への転換の申込みをしたと主張して、労働契約に基づき、期間の定めのない労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに本判決確定までの賃金及び賞与等の支払を求め、Y社から違法な更新拒絶をされた上、Xの更新拒絶についての議論が行われた学校法人の理事会において、出席理事からXの人格権を侵害する発言があり、その後の団体交渉が不当に打ち切られたなどと主張して、不法行為に基づき、慰謝料30万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

労働者性肯定

雇止めは無効

損害賠償請求は棄却

【判例のポイント】

1 Xは、本件幼稚園の予算や職員の人事について、常に理事長又は理事会の承認を得る必要があり、その職務の内容及び遂行方法からすれば、学校法人の指揮監督下において、本件幼稚園の園長として勤務していたものというべきであり、また、Xは、固定残業手当及び賞与名目の金銭の支給を受けており、報酬の支払形態等について他の従業員の賃金と大きく異なるところがあったとも認められないから、Xが支払を受けた報酬は、Y社の指揮監督の下に労務を提供したことの対価であったというべきであり、このことは、Xについても源泉徴収及び社会保険料の控除がされていることによっても裏付けられ、そして、XとY社との間で1年ごとに取り交わされた契約書等の書式には、勤務場所や勤務条件の記載があり、これらが実態と異なっていたことをうかがわせる事実も認められないから、Xの勤務場所は、本件幼稚園と指定されていて場所的な拘束性が認められる上、Xも他の職員と同様の勤務時間の拘束を受けていたことなどが認められることからすれば、XとY社との間の契約の性質は、労働契約であったと認めるのが相当である。

上記判例のポイント記載の契約内容であれば労働者性が肯定されることは容易に想像できますね。