賃金201(オレンジキャブ事件)

おはようございます。今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、賃金控除が不法行為に該当しないとして、損害賠償請求及び不当利得返還等請求が棄却された事案を見てみましょう。

オレンジキャブ事件(大阪地裁令和2年2月12日・労経速99号30頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されて稼働していた元従業員らが、Y社に対し、Aが、Y社に対し、Y社がAの賃金から「貸付金」「貸付利息」「共済会費」「持帰り分」「特別車」の名目で控除したことがY社の不法行為に当たるとして、不法行為に基づく損害賠償等の支払、Bが、Y社に対し、Y社がBの賃金から、「特別車」「共済会費」の名目で控除したこと、「お年玉」「無事故手当」を支給しなかったこと、Y社の常務取締役から嫌がらせを受けたことがY社の不法行為に当たるとして、不法行為に基づく損害賠償等の支払、Cが、Y社に対し、Y社がCの賃金からCが入居していた「α荘」の家賃として1万円を超えるきんがくを控除した部分が不当利得に当たるとして、不当利得の返還及び「α荘」の敷金として5万円を支払ったが、「α荘」の退去後返還されないとして、同敷金の返還等を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Y社による賃金からの控除がY社による不法行為に当たるか及び損害額について、「貸付金」「貸付利息」名目での控除について、Y社が、わざわざ従業員の支給明細書に「貸付金」「貸付利息」と記載し、所長に指示して現金での精算を行わせていたと認めるに足りる的確な証拠は認められず、またその必要性も認め難いから、Y社による「貸付金」「貸付利息」の名目での控除が、Aに対して詐術を用いて交付すべき金員の支払を免れていたことに当たり、Aに対する不法行為を構成するとはいえず、さらに、Y社による「納金不足分」「持ち帰り分」の名目での控除が、Aに対して詐術を用いて交付すべき金員の支払を免れていたことに当たり、Aに対する不法行為を構成するとはいえず、そして、「共済会費」「特別車」名目の控除について、従業員に対する賃金支払の際に控除することができる旨の労使協定が締結されていること等から、Y社が、「特別車」の名目で賃金から控除した行為が、Aに対する不法行為を構成するとはいえない

2 毎月1万円を超える家賃控除が不当利得に当たるか及び敷金返還請求権の存否について、Y社は、入居者の賃金から「α荘」の家賃分を控除した上、入居者に代わって「α荘」の家主に支払っていたのであるから、Y社に利得が発生しているとは認められず、Cは、「α荘」の敷金が40万円であり、これをY社が立て替えて支払った、入居者8人で分割して5万円ずつの敷金について分割して給与から控除された旨供述するが、立替えに係る借用証書には、5万円の趣旨が「礼金」であると記載されており、Cの「敷金」との供述とは矛盾し、礼金であれば高額に過ぎる旨のCの主張を踏まえても、Y社が立て替えた5万円が「敷金」、すなわち返還の約束のあるものであるとは認め難いから、Cの敷金返還請求は理由がない。

事実認定の問題ですので、一般化しづらいですが、基本的には賃金から控除は慎重に行われるべきです。理由なく賃金から何らかの費用を控除するとトラブルになるので避けましょう。