Daily Archives: 2020年10月15日

不当労働行為253 組合員の自宅を訪問し退職勧奨したことと不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、会社の代表取締役がスト中の組合員2名の自宅を訪問し、退職を勧奨する発言を行ったことが不当労働行為とされた事案である。

エム・ケイ運輸ほか事件(大阪府労委令和2年1月7日・労判1223号102頁)

【事案の概要】

本件は、会社の代表取締役がスト中の組合員2名の自宅を訪問し、退職を勧奨する発言を行ったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 B社長は、スト中であった組合員個人の住居を訪問して退職勧奨を行っており、また、請求書兼相殺通知書に記載されていた損害賠償請求権と社会保険料立替分支払債務の対当額での相殺について、送付元の代理人に直接、異を唱えたり、訴訟を提起するといった対応をしないまま、かかる言動を行っていることから、本件言動における退職勧奨は、組合員の動揺を誘い、組合活動に悪影響を及ぼす支配介入に当たるとみるのが相当である。
さらに、7.11言動において、B社長は、これ以上言われても、とりあえず組合に確認する旨述べたE組合員に対し、「これ言うてもわからんのか。自分も大の大人やろ。子どもも嫁はんもおって、確認するって自分らあんなアホに確認して何すんねん。お前、おかしいやろ。あんなアホみたいなやくざみたいな・。」と言ったことが認められ、E組合員が組合に確認しようとしたことを非難し、組合を侮辱する発言をしたと判断することができる。

2 以上のとおりであるから、B社長らが、事前の連絡なく、スト中の本件組合員らの住居を訪問し、本件組合員らに対し、退職を勧奨する発言をしたことは、会社による組合に対する支配介入であって、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である。

使用者側は労働組合法(特に7条)の理解をしっかりする必要があります。

何はやってよくて、何をやると不当労働行為になるかというレクチャーを顧問弁護士からしてもらうことをおすすめします。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。