Author Archives: 栗田 勇

労働時間(白井グループ事件)

おはようございます。

今日は、管理監督者該当性と変形労働時間制の適用に関する裁判例を見てみましょう。

白井グループ事件(東京地裁令和元年12月4日・労判ジャーナル99号40頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の亡Xの相続人らが、亡XがY社において時間外労働に従事し死亡したため、亡Xの相続人らが亡Xの雇用契約に基づき賃金支払請求権及び労働基準法114条に基づく付加金請求権を相続したとして、法定相続分に応じて、未払割増賃金元金約1700万円等並びに付加金約1171万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 Y社は、亡Xの管理監督者性が否定される場合には、一年単位の変形労働時間制の適用があると主張するが、Y社が労働者代表との協定により定めた適用対象者は、管理職を除く一般職であって、亡Xが含まれていたとはいえないことに加え、労基法上の管理監督者と会社の職制上の管理職は別であるから、労使協定において、労基法上の管理監督者性を否定されたY社の管理職を、変形労働時間制の適用対象者に含む合意をしたものとは認められず、また、明確な合意が認められないにもかかわらず、変形労働時間制の適用対象者に管理監督者性を否定された管理職を含むものと解することは、労働者に不利益な解釈を後付けで行うこととなって、変形労働時間制の適用に当たり労使協定等の締結を要件とした労基法の趣旨を没却するものであり、不相当であるから、亡Xには1年単位の変形労働時間制は適用されない。

2 亡Xは、管理監督者に当たらないため、時間外割増賃金が発生しているが、Y社は、法人格は異なるものの、亡従業員にA運輸の運転手の労務管理等の重要な職務を行わせていたこと、Y社を含むY系列各社全体において、167名中5番目の年収で処遇していたことなどを考慮すると、Y社が亡Xを管理監督者と扱っていたことに理由がないわけではなく、割増賃金の不払が悪質とはいえないから、Y社に付加金の支払を命ずることが相当とはいえない。

本の紹介1051(競争の科学)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

一番最初のページには「喧嘩に勝つのは、身体の大きな犬ではなく、闘争心の大きな犬である-ドワイト・D・アイゼンハワー」と書かれています。

喧嘩も仕事も同じです。

「なにくそ!」という闘争心がないとダメですわ。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

必要なのは、意欲に溢れる人だ。情熱のない人は、候補者として支援できない。求めているのは、朝起きて、”今日は、レンガの壁に頭から突っ込むのに最適な日だ。”と言い、翌朝も同じことを言える人間だ。」(128頁)

まあ、レンガの壁に頭から突っ込む必要はありませんが、闘争心とか意欲・情熱がある人を応援したくなるのはよくわかります。

情熱を注げないようなことに時間を浪費することはできるだけしたくありません。

不合理なこと、理不尽なことにストレスを感じながら、ただ時が過ぎるのをひたすら我慢するような生活は死んでもしたくありません。

自分の人生は自分で選択していいのですよ。

四六時中、自分が情熱を注げることだけに時間を使いましょう。

不当労働行為244(プリモパッソ事件)

おはようございます。

今日は、組合員2名を出勤停止の懲戒処分としたこと、懲戒解雇予告通知をしたことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

プリモパッソ事件(大阪府労委令和元年7月19日・労判1218号90頁)

【事案の概要】

本件は、組合員2名を出勤停止の懲戒処分としたこと、懲戒解雇予告通知をしたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 本件懲戒処分の理由として会社が挙げる根拠事実は、実質的に、両組合員の正当な組合活動であり、本件懲戒処分は正当な組合活動を理由とするものであったというほかない
会社は、両組合員に対し、非違行為及び懲戒の理由を実質的に通知していないものといえ、したがって、本件懲戒処分は、就業規則の規定に従わずに行われたものと言わざるを得ない
また、就業規則第77条に、懲戒処分に先立って必要な指導及びロ頭注意を行う旨規定されていることが認められるところ、会社が、本件懲戒処分の通知に先立って、両組合員に対し、何らかの指導を行ったと認めるに足る事実の疎明もない。これらのことからすると、本件懲戒処分は、正当な手続を欠いたものといわねばならない

2 会社は、両組合員に対して解雇の予告を通知しているのであるから、本件懲戒解雇予告通知は、本件懲戒解雇を本件懲戒処分と一連の処分として通知したものとみることができる。
そうすると、本件懲戒処分が正当な組合活動をしたことを理由としたものであるから、本件懲戒解雇予告通知もまた、正当な組合活動をしたことを理由としてなされたものとみるのが相当である。
会社が、本件懲戒解雇予告通知に先立って、両組合員に対して非違行為及び懲戒の事由を通知したとは評価できず、また、本件懲戒解雇予告通知に先立って、両組合員に対して弁明の機会を付与したとも認めるに足る事実の疎明はない。したがって、本件懲戒解雇に係る手続は、正当性を欠いたものであったと言わさるを得ない。

懲戒処分をする際に適正な手続を踏むことは非常に初歩的な話です。

みなさん、気を付けましょう。

本の紹介1050(「自分で稼ぐ力」を身につける本)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

タイトルのとおり、副業や起業をする上での注意点や必要なマインドが書かれています。

一通り知っておくべきことが書かれているので、特にこれから独立する人は一読しておくといいと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

専門家への依頼というのは、その業務にかかる時間を買っているというアウトソーシング的な意味合いがあります。また、専門領域で自分自身のミスを防止するという点も重要です。専門家に頼まずに自力で作業していることを自慢する人がたまにいます。違和感を覚えます。代表者の時間は効果を最大化することに使うべきでしょう。」(199頁)

「お金がもったいない」と感じるのか

「時間がもったいない」と感じるのか

この考え方の傾向がその人の生き方、働き方を大きく左右します。

別にどっちでもその人の好きにすればいいのですが、私は完全に後者です。

自分の専門領域でないことは、できるだけ、他の人にやってもらいたいです。

そんなことまで自分でやっていたら、いくら時間があっても足りません。

限りある時間を無駄にしたくないのです。

労働者性30(思いやり整骨院事件)

おはようございます。

今日は、整骨院院長の雇用契約成立に基づく未払賃金等支払請求に関する事案を見てみましょう。

思いやり整骨院事件(大阪地裁令和2年1月17日・労判ジャーナル97号18頁)

【事案の概要】

本件は、柔道整復師であるY社の元院長Xが、「思いやりグループ」と称する本件整骨院を含む複数の事業所若しくは法人からなる集団の中で「総括」等と呼称される地位にある者に対し、主位的に、Xと総括の間に雇用契約が締結され、Xが総括経営に係る整骨院に勤務して労務を提供した旨主張し、未払賃金・未払時間外割増賃金・付加金等の支払並びに雇用保険資格取得届を怠ったという債務不履行に基づく損害賠償請求をした事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 総括は、Xから、高頻度かつ定期的に、本件整骨院の収支状況に関する詳細な報告書等の提出を受けるのみならず、さらに口頭での報告を受けていたことが認められ、この点は、総括のXに対する本件整骨院の業務に関しての指揮監督の存在を強くうかがわせるものであり、そして、Xが本件整骨院での業務に関与することによって得た収入は、売上高その他業績による変動がみられない「基本給」及び「交通費」名目での固定的な性質のもので、この点は、Xが労務提供の対価としての賃金を得ていたとの評価になじみやすいものといえ、また、Xが本件整骨院での業務に関与する契機となった求人情報は「正社員」若しくは「アルバイト・パート」を募集するもので、X自身「アルバイト勤務希望」と記載するなどした履歴書を作成したことが認められるところ、これはX及び統括がともに雇用契約の締結を念頭に置いていたことを推知させる事情にほかならず、また、Xが本件整骨院の院長を辞するに際しての「退職届」の作成は、他者に雇用されているとの意思を有していたことをうかがわせるものであるから、Xと統括の間には、業務委託契約ではなく、雇用契約が締結されたと認定することができる

2 雇用保険の手続不履行による債務不履行責任の有無等について、Xは、本件整骨院の院長を務めている間、統括に対し、雇用保険資格取得届の手続をするよう求めた形跡は見当たらず、そのような取扱いを受け容れていたとみる余地があることに照らせば、統括に対して慰謝料の支払を命ずるまでの精神的損害が発生したと認めるには足りないから、債務不履行に基づく損害賠償には理由がない。

マッサージ店等は労働者性が争われやすい分野です。

業務委託契約を締結する場合には、その実態が雇用契約に近づかないように最新の注意をしましょう。

本の紹介1049(フルライフ)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

著者は、予防医学研究者の方です。

決して読みやすく、わかりやすい本ではありません(笑)

がんばって読んでいくとなんとなくわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

気軽に転職していろいろな経験を積むことが大事だと言いましたが、そうするには前提があります。いくつかの職を転々としながらも、どこか自分の得意な領域を見つけて、ハードワークを行い、圧倒的な成果を残すことです。」(142頁)

毎晩のように、今いる会社や上司の愚痴を言う生活を送っているくらいなら、どんどん転職したほうがいいでしょう。

一生、1つの仕事をし続ける義務なんてありませんので。

複業時代ですので、やりたいことを全部やればいいのです。

転職したければする。したくなければしない。

自分の人生なのですから、我慢などせず、生きたいように生きればいいのです。

賃金197(カキウチ商事事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、試用期間中における求人票との労働条件相違と差額賃金請求に関する裁判例を見てみましょう。

カキウチ商事事件(神戸地裁令和元年12月18日・労判1218号5頁)

【事案の概要】

本件は、Y社(運送事業者)の従業員(トラック運転手)であったXらが、Y社に対し、労働契約に基づき、未払賃金、未払割増賃金+遅延損害金並びに付加金+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 確かにXらがY社入社前に見たY社のホームページには大型ドライバーで月給36万円いじょうとの条件が記載されていたが、Y社が1月にハローワークに申し込んだ求人票には「基本給13万円~15万円、基本給+精務給+各種手当で35万円~」と記載されており、入社前の面接の際、A及びBが、基本給のみで35万円との説明をすることはにわかには考え難いこと、Xらは、Y社入社前、Y社と同業の会社に勤務し、運送会社の賃金体系を把握しており、X1も、基本給が月額35万円ではなく、手取りで月額35万円と認識していた旨を供述し、時間外手当等を含めないと月額35万円に届かないことを認識していたことからすると、Xらが基本給月額25万円であると認識していたものと認めることはできない

2 Xらは、8月7日の個別面談の際、Y社側から本件契約書1・2に署名するよう求められたので、十分に確認しないまま署名した旨供述するが、Xら及びCらは労働条件が採用面接時の説明と相違するとしてY社に抗議して本件説明会が開催され、そこでもY社側と労働条件についてやりとりをしているのであるから、Xらが労働条件に無関心なまま本件契約書1・2に署名したとは考え難く、Xらの上記供述はいずれも採用できない。

裁判所がいかに事実認定をするのかがよくわかりますね。

求人票の記載と入社面接時の説明が異なる事案は見かけますが、事実認定はケースにより異なりますので注意が必要です。

本の紹介1048(ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

まさにタイトル通りの内容です。

オリジナリティを出すためにどのようなことが必要かがよくわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

オリジナリティは不変の性質ではない。自由に選択できるものだ。リンカーンは生まれつき強気な性格だったのではない。対立をものともしない剛胆な性質がDNAに組み込まれていたわけではなく、意識的に論争を受けて立つ意志を身につけたのだ。」(52頁)

既存の能力だけを使うのではなく、みずから率先して新たな能力を開発し、自分だけの仕事を形成することができたのだ。・・・『自分の限界は、自分で設定していたにすぎない』ということに気がついたのだ。」(54頁)

オリジナリティは、意識的に努力した結果を指すのであり、生まれつき備わっている性質ではありません。

つまり、オリジナリティは自分でコントロール可能なものなのです。

どのようなオリジナリティでも自分で自由に選択できるということを理解し、日々その準備をする。

やっている人は当然のようにやっています。

自分の限界なんて設定しているようでは話にならないのですよ。

不当労働行為243(光明土地改良区事件)

おはようございます。

今日は、組合員の未払残業代を議題とする団交において、未払残業代が発生していないとする理由を具体的に説明しなかったこと、および同人のタイムカードの写しを提供しない理由を説明しなかったことがいずれも不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

光明土地改良区事件(大阪府労委平成31年1月11日・労判1218号92頁)

【事案の概要】

本件は、組合員の未払残業代を議題とする団交において、未払残業代が発生していないとする理由を具体的に説明しなかったこと、および同人のタイムカードの写しを提供しない理由を説明しなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

いずれも不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 29.7.20団交において、組合が、A2組合員の未払残業代が発生していない根拠として、管理監督者であること、固定残業代として既に支払っていること、残業は一切していなかったことの3点しか考えられないが、どれに当たるのか尋ねたのに対し、Y社は、残業に必要な手続を踏んでいないことを付け加え、4つとも当てはまる場合もあると思う旨等回答していることが認められる。
Y社は、上記をもって誠実な回答を行った旨主張するが、法人は、そもそも残業代を支払っていない旨答えており、残業代を支払わなかった理由を具体的に答えることが可能であったのだから、一般論で、しかも4つとも当てはまる場合もあると思うなどと答えたことをもって、誠実に対応したということはできない

2 29.7.20団交において、Y社が、給与規程に基づき残業手当を支払わず、管理職手当を支払っている旨述べたことに対し、組合は、①給与規程には、管理職手当について、固定残業代を含む旨の記載は一切なく、何を根拠に法人が固定残業代と言うのか不明である旨、②管理職手当等が固定残業代には当たらないという認識であるが、残業代を請求するにしても、きちんと計算をして請求したいと考えている旨等述べていることからすると、29.7.20団交で、組合は、本件タイムカードの写しを要求する根拠を具体的に述べていると解するのが相当である。
組合は、本件タイムカードの写しを要求する根拠を具体的に説明しているといえるにもかかわらず、Y社が、本件タイムカードの写しを提供すべき理由を理解できないと繰り返すだけであったことは、組合の主張に対して、提供できない理由を具体的に説明したとみることはできず、Yのこのような回答は不誠実といわざるを得ない

3 29.7.20団交において、Y社が、A2組合員の未払残業代が発生していないことについて具体的な説明を一切行わなかったこと及びA2組合員のタイムカードの写しを提供できない理由の説明を行うことなく、A2組合員のタイムカードの写しの提供を拒否したことは、誠実な対応を通じて合意達成の可能性を模索する誠実団交義務を尽くしたとはいうことができないことから、不誠実団交に当たるといえ、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。 

会社側が「タイムカードの写しを提供すべき理由を理解できない」という主張を繰り返しているようですが、全く生産的ではなく、また、このような主張が認められる可能性はゼロです。

本の紹介1047(サードドア 精神的資産のふやし方)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

サードドアとは、「成功への抜け道」を指しています。

一読しても、著者が言いたいことがすぐにわかる本ではありません(笑)

根気強く読んでいく本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

小さな決断によって、誰もが人生を大きく変えることができる。みんなが並んでいるからと何となく行列に加わり、ファーストドア(正面入り口)の前で待つのも自由だ。行列から飛び出して裏道を走り、サードドアをこじ開けるのも自由だ。誰もが、その選択肢を持っている。これまでの旅で学んだ教訓が1つあるとすれば、どのドアだって開けられるということだ。」(435頁)

みんなが並んでいるから自分も並ぶという発想では、群れから抜け出すことはできません。

みんなが右に行くなら、自分は左に行ってみるのです。

日々の小さな決断がやがて習慣となり、その総体が人生となります。

何事にも縛られず、自由に生きたいと思うであれば、自分に力をつけることです。

その準備を毎日コツコツやり続けるしかありません。