お知らせ【フランチャイズ契約⑮】商品購入先の指定

フランチャイザーのフランチャイジーに対する商品購入先の指定について教えて下さい。

1.フランチャイズチェーンとしての水準と統一性を維持するためには店舗で使用する商品や原材料は、フランチャイザーが定める品質や基準を満たさなければなりません。

 そこで、フランチャイズ契約上、フランチャイザー自身が一定の品質の商品を調達・製造してフランチャイジーに直接供給するか、フランチャイザーが信頼できる仕入先を指定・推薦する旨の規定を置くことが多いです。

2.このように、フランチャイズ契約において、商品や食材の購入先をフランチャイザーや特定の業者に指定することも原則として有効とされています。

 フランチャイズ契約上、商品や食材の購入先指定が定められている場合に、フランチャイジーがそれに違反することが、契約解除事由に当たるとした裁判例もあります(東京地裁平成13年1月25日判決)。

3.他方で、商品等の原価は店舗経営に直接反映されるので、商品等の仕入先についての過度な制限は、フランチャイジーの営業の自由を制限することになります。そのため、「フランチャイズ・ガイドライン」では、チェーンとしての統一性の維持や営業秘密の保護の必要性を超え、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える過度な制限は、優越的地位の濫用、抱合わせ販売等、拘束条件付取引など独占禁止法に抵触するとしています。

4.独禁法に抵触するか否かについては、フランチャイザーとフランチャイジーの関係や取引の事情、拘束の状況などを総合的に考慮して個別的に判断されますが、フランチャイザーとしては、以下の点に注意する必要があります。

 すなわち、仕入先等を指定することについて正当な理由が必要です。例えば、ラーメン・チェーンの秘伝のスープなどは当該チェーンの営業秘密や消費者がもつチェーン・イメージに強く関わることから、その製造元や購入先を限定することには正当な理由が認められます。このほか、一括大量購入によるスケール・メリットや安定した供給ルートの確保、商品の品質、トレーサビリティの維持なども正当な理由を支える要素になります。

5.なお、独禁法に反する行為が私法上も直ちに無効になるわけではありませんが、違法行為の目的、その態様、違法性の強弱、その明確性の程度等に照らし、当該行為を有効として独禁法の規定する措置に委ねたのでは、その目的が充分に達せられない場合には、公序良俗に違反するものとして民法90条により無効となる場合があります。