セクハラ・パワハラ95 上司のセクハラ及びパワハラに基づく損害賠償請求が一部認められた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、上司のセクハラ及びパワハラに基づく損害賠償請求が一部認められた事案を見ていきましょう。

キャドワークス事件(東京地裁令和6年4月19日・労判ジャーナル153号34頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのない雇用契約を締結していたXが、A社及びA社の元代表取締役Yに対し、Yからセクハラを受けたとして損害賠償を請求するとともに、休職期間満了による自然退職の効力を争い、地位確認等を求めた事案だる。

【裁判所の判断】

YらはXに対し、110万円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 Yは、配偶者がいながら、Xに対し、異性として好意を抱いていることを伝え・・・、Xから否定的な返答を受けた後も、二人での旅行、オペラ鑑賞、登山及び寿司といった、業務とは無関係の外出に繰り返し誘い、Xは二人での外出を断っていた・・・ものである。これらの行為は、A社の代表者という立場から、部下であるXに対し、A社の代表者と従業員という関係を超えた交際を求めるものであり、要求を断った場合の職場での不利益を懸念させ、Xの職場環境を害する行為である。さらに、Yが、A社の従業員にXとの関係を問い質したこと・・・は、Xに交際を求めることと相まってXの職場環境を害する行為であり、Xに従業員との関係を問い質したことは、Xを困惑させ不快感を与える行為である。

2 Yは、Xに対する好意から、Xから拒否されているにもかかわらず交際を申込み、他の従業員にXとの関係を問い質す等してXの職場環境を悪化させ、さらに本件展示会でのG及びXの対応に苛立った挙句、業務の適正な範囲を超えてXにYや取引先への不合理な謝罪を命じ、Xに不快感や屈辱感を与えたものであり、こうしたYの一連の行為は、Xの人格権を侵害する違法な行為であり、不法行為に該当するというべきである。

3 Yの不法行為の内容や期間、頻度に加え、Xが適応障害を発症したこと、その他本件に顕れた一切の事情を考慮すれば、Xの精神的苦痛を慰謝するための慰謝料額は100万円、弁護士費用はその1割の金額として10万円と認めるのが相当である。

上司・部下の関係において、上司が部下に対して恋愛感情を持つと、最後はこうなってしまいます。

今に上司部下間恋愛禁止法ができるのではないかとすら感じます。

労務管理に関する抜本的な改善については顧問弁護士に相談の上、適切に対応しましょう。