Daily Archives: 2025年10月3日

労働災害118 同僚の暴行による傷害に基づく療養補償給付等不支給処分が認められた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、同僚の暴行による傷害に基づく療養補償給付等不支給処分が認められた事案を見ていきましょう。

国・豊橋労基署長事件(名古屋地裁令和6年9月11日・労判ジャーナル154号38頁)

【事案の概要】

本件は、A社の期間従業員であったXが、業務に従事中、同僚のbに顔面を殴打され、これにより右眼角膜裂傷及び虹彩脱出の傷害を負い、療養及び休業を余儀なくされたと主張して、豊橋労基署長に対し、労働者災害補償保険法に基づき、療養補償給付及び休業補償給付の支給を請求したところ、同署長が業務と本件傷害との間に因果関係が認められないとして、これらを支給しない旨の各処分をしたため、労働者が、国に対し、本件各処分に違法があるとして、その取消しを求めた事案である。

【事案の概要】

請求認容

【裁判所の判断】

1 Xは、同僚のAとパレット作業を開始し、他方、bは、同時刻頃、同僚のBとトレイ作業を開始し、Xが、休憩を終え、パレット作業に戻ろうとした際、bは、Xに対し、パレット作業からトレイ作業に交代するよう指示をしたが、Xが、これに応じなかったため、Xの対応に憤慨したbとの間で、口論(本件口論)となり、そこで、Aが、Xとbとの間に入り、これを仲裁したところ、Xとbは、一度離れ、その後間もなく、bは、Xに再び近づき、Xに対し、その顔面を左拳で1回殴る暴行を加え、これにより、労働者は、右眼角膜裂傷及び虹彩脱出の傷害(本件傷害)を負った本件暴行の経緯によれば、bは、Xに対し、パレット作業からトレイ作業に交代するよう本件指示をし、Xがこれを断ったことを契機として本件口論となり、その後、本件暴行を至ったものであり、本件傷害は、Xが業務に従事している場合において、bの故意に基づく本件暴行により本件傷害を負うに至り、そして、本件暴行がbのXに対する私的怨恨に基づくものとも、Xの自招行為によるものともいえず、本件傷害は、Xの業務に内在する危険が現実化したものであって、業務上のものであると認められるから、本件傷害について業務起因性を否定し、労働者の療養補償給付及び休業補償給付の各請求について支給しないとした本件各処分は、判断を誤るものであり、Xの請求は、理由がある。

業務に起因しているといえば起因していますね。

これで会社が安全配慮義務違反を問われたらえらいことですが・・・

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。