Daily Archives: 2025年12月10日

配転・出向・転籍59 配転命令の拒否による解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、配転命令の拒否による解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

スターフェスティバル事件(東京地裁令和7年1月31日・労経速2588号19頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社に対し、本件部署への配置転換命令が無効であると主張し、本件部署において勤務すべき労働(雇用)契約上の義務のないことの確認を求めるほか、本件部署において勤務しないことを理由とする解雇が無効であると主張し、労働(雇用)契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、毎月末日限り39万4835円の賃金等及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

1 Xの訴えのうち、XがY社のKitchenSuccess 部バイヤーグループにおいて勤務すべき労働契約上の義務のないことの確認を求める訴えを却下する。
2  Xのその余の訴えに係る請求をいずれも棄却する。

【判例のポイント】

1 本件配転命令に至った経緯についてみると、本件部署の人員配置の状況および担当業務の状況を踏まえると、新たにアルバイト従業員を雇用するのではなく、社内にいる人員を異動させたほうが経済的に合理的であると判断し、本件配転命令を行ったことがまったく不合理ということもできない。そして、本件部署は、Y社に設けられた部門の1つであって、特段に転居等を要せず、本件配転命令によってXの賃金が減額されることもないのであって、その不利益も著しいものとはいえない。一方、Xは、システム開発にあたってコミュニケーション力を要するY社のWEB 統括部・プロダクト開発部における業務に十分に適応しておらず、人事評価も下位にとどまっていたのであって、本件部署の人員補充の対象として選定したことに不合理な点は見当たらない

2 本件配転命令は有効であるから、Xは、本件配転命令に従って本件部署において勤務し、業務に従事すべき養務を負うものというべきである。
しかしながら、Xは、本件部署に出勤せず、Y社の業務に従事しなかったものであり、Y社から令和5年1月31日付けで和4年12月27日以降の正当な理由のない欠勤について厳重に注意するとともに、本件部署の指示に従って業務に従事するよう求める「厳重注意書」を送付されたにもかかわらず、その後も本件部署に出勤せず、業務に従事しなかったものと認めることができる。
以上の経緯に照らすと、本件解雇は、客観的に合理的な理由に欠けるところはなく、社会通念上も不相当であるということはできないから、無効であるということはできない。

配転命令に応じなかった際に会社がとるべき対処法がわかりますね。

配転命令を行う場合には、事前に顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。