おはようございます。
今日は、グループホームの従業員の懲戒解雇を有効した事案について見ていきましょう。
社会福祉法人B会事件(千葉地裁令和7年3月21日・労経速2591号26頁)
【事案の概要】
本件は、Y社との間で労働契約を締結していたXが、Y社がした懲戒解雇は解雇権を濫用したもので無効である旨主張し、Y社に対し、以下の請求をするものである。
(1) 労働契約上の権利を有する地位にあることの確認
(2) 賃金請求権に基づき
ア 解雇に先立つ自宅待機命令後の未払賃金として令和4年7月分及び8月分の合計50万4000円(月額25万2000円)の支払
イ 解雇後の未払賃金として令和4年9月分から令和5年1月分の合計75万6000円(月額は25万2000円の6割)の支払
ウ 上記ア、イの各支払日からの遅延損害金の支払
エ 令和5年2月分以降の賃金として、令和5年3月から本判決確定の日まで、毎月25日限り25万2000円+遅延損害金の支払
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 本件では、Y社主張の懲戒解雇事由が認められるところ、Y社は、令和3年5月申立てに係る本件仮処分事件において、本件報告書により、勤務時間中の私的行為や食品の紛失を含むXの問題行動を指摘して、上記懲戒解雇事由に該当する行為について問題視していることを明確に伝えており、これに対して、Xは事実を認めなかったこと、令和3年10月の団体交渉に同様の指摘をするも、証拠を出すように求めて、事実を認めない態度に終始したこと、令和4年1月の団体交渉においても、同様の態度であって、「テレビを見たことはない」と明確に虚偽の回答をしたことが認められる。
Xは問題行動があることを再三指摘されながらこれがないと主張し、現認の上指摘されたことがあってもそれ自体を否定し、録画等の客観証拠の証拠がなければ指摘すること自体を名誉毀損であるとして相手を糾弾する態度に終始し、防犯カメラ映像が確認された後のXの対応を見ても、不合理な弁解を展開し、食事の試食やお菓子の持ち出しについてはI氏に責任を転嫁する方向に弁解を変遷させている。このようなXの対応を見ると、Xの基本的な姿勢につき指導・教育により改善をすることを期待し難く、短くない期間にわたって非違行為を継続してきたこと、この期に及んで反省をしていないことを踏まえると、本件懲戒解雇が重きに失するもので懲戒処分としての相当性を欠くものとはいえない。
懲戒解雇の相当性判断にあたっては、懲戒解雇事由に対する当該労働者の反省の態度の有無、弁解の不合理さ等も斟酌されますので、油断は禁物です。
懲戒解雇をする場合には事前に顧問弁護士に相談をすることを習慣化しましょう。