おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。
今日は、ITシステムにスケジュールを登録していたこと等を考慮して事業場外みなし制の適用を否定した事案を見ていきましょう。
ファミリーテック事件(東京地裁令和7年1月17日・労経速2587号33頁)
【事案の概要】
本件は、Y社と雇用契約を締結していたXが、Y社に対し、以下の各金員の支払を求める事案である。
(1) 雇用契約に基づき、割増賃金801万6858円(令和3年12月分から令和5年8月までの割増賃金)+遅延損害金
(2) 労基法114条の付加金として、673万6848円+遅延損害金
(3) 雇用契約に基づき、246万9820円(令和4年2月分から令和5年8月分までの未払賃金238万3600円、同年6月から同年8月までの立替金8万6220円の合計)+遅延損害金
【裁判所の判断】
Y社は、Xに対し、106万2646円+遅延損害金を支払え。
【判例のポイント】
1 Xは、始業時に工事現場に直行することが多いものの、Xを含む従業員のスケジュール(原告については、工事名、業務の内容及び場所)が、事前にサイボウズに登録されており、変更がある場合はその旨を記入することになっていた。また、Y社は、Xを含む、現場にいる従業員に携帯電話等で連絡することができたことに加え、従業員が使用する携帯電話に位置情報共有アプリである本件アプリが入れられており、Y社は、従業員の位置情報を把握することができた。Xは、現場から直帰することもあるが、その回数は多くなく、多くはY社本社に帰社し、業務を行っていた。
これらの事情によれば、Xが事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難い場合(労基法38条の2第1項本文)に該当するとはいえず、Xに事業場外みなし労働時間制が適用される旨の被告の主張は採用できない。
2 XとY社の間で、本件雇用契約とは別に、業務委託ないし請負契約が締結されていなかったと認められ、営業報酬は、Xの本件雇用契約における労務の提供による対価としての賃金と認めるのが相当である(なお、Y社代表者は、営業報酬がXの業務上の成果に応じて支払われる歩合であるかのような供述もするが、営業報酬について、Xの労働給付の成果に応じて一定比率で定められている仕組み等が存在したと認める証拠はないから、営業報酬は、労働基準法施行規則19条1項6号の「出来高払制その他の請負制」の賃金であるとは認められない。)。
上記判例のポイント1と同様の理由から事業場外みなし労働時間制の適用が否定されている事案は枚挙に暇がありません。
安易にみなし労働時間制を導入することはやめましょう。
日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。