Daily Archives: 2026年3月16日

解雇434 中途採用者の試用期間中の解雇の適法性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間がんばりましょう!

今日は、中途採用者の試用期間中の解雇の適法性に関する裁判例を見ていきましょう。

北野嘉哉事務所事件(東京地裁令和7年6月13日・労判1338号55頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と労働契約を締結していたXが、Y社に対し、Y社による解雇は無効であると主張して、〈1〉労働契約上の地位確認、〈2〉民法536条2項に基づく解雇後の賃金(月額83万3333円)の支払、〈3〉解雇前の未払賃金42万5927円の支払をそれぞれ求める事案である(遅延損害金は、月額賃金の支払日の翌日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による。)。

【裁判所の判断】

1 Y社は、Xに対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
2 Y社は、Xに対し、30万円+遅延損害金を支払え。
3 Y社は、Xに対し、令和5年9月以降、本判決確定の日まで、毎月25日限り、66万6666円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Y社は、Y社の営業社員には、これまでの職歴等から、既に富裕層の人脈を持ち、さらなる人脈形成が得意な者であることを求めていたところ、Xは、本件名簿を提出して、掲載者と信頼関係があり、営業をかけることができる旨述べたが、実際はそのほとんどが知人ではなく、Xには超富裕層を紹介できる人物との人脈などないことが判明したから、留保解約権の行使には合理的理由がある旨主張する。
そこで検討するに、Y社の事業内容、営業社員の業務内容、求人広告の記載内容及びXの履歴書の記載を総合すれば、Y社は、Xを含む中途採用する営業社員に対し、従前の職歴を生かす等して、富裕層との繋がりを有する人物に接触しての営業活動を期待していたことが認められる。
しかしながら、Xは、二次面接において、本件名簿に掲載された者に対し積極的なアプローチをしていく旨述べているものの、本件名簿の掲載者との関係についてどのような説明をしていたかは、本件全証拠によっても明らかではない
また、Y社代表者は、Xが実際に知人に営業資料を渡したことを確認した後に二次面接を実施した一方で、二次面接においては、本件名簿の掲載者に営業を行うことができるかという質問をするものの、掲載者とXとの人的関係については確認していない
以上によれば、Xが、本件名簿の掲載者との間に人的関係がある旨の説明をしたと認めるには足りないし、Y社にとっても、Xと本件名簿の掲載者との人的関係の存在及び内容が、本件労働契約を締結する上で必要な条件であったとも認められない
そうすると、Xが富裕層との折衝経験を持っていなかった又は富裕層の人脈を持っていなかったとしても、そのことをもって、「従業員として勤務させることが不適格」(就業規則4条2項)であったり、「業務に適性を欠く」(本件労働契約・2条2項2号)ということはできず、留保解約権行使の客観的合理的理由ということはできない。

バックペイの金額を考えると、被告会社としては、手痛い判決内容かと思います。

被告会社の求める内容は理解できるところですが、解雇事由として、従業員としての適格性を欠くといえるためには、もう少し厳密に特定しておく必要があったということなのでしょう。

実際はなかなか難しいと思いますが。

日頃から顧問弁護士に相談をすることを習慣化しましょう。