賃金298 株式会社の労働者に対する賃金未払いについて、代表取締役の任務懈怠を認め、会社法429条1項に基づく損害賠償責任を認めた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れ様でした。

今日は、株式会社の労働者に対する賃金未払いについて、代表取締役の任務懈怠を認め、会社法429条1項に基づく損害賠償責任を認めた事案を見ていきましょう。

MAGUMOほか事件(東京地裁令和7年3月31日・労経速2502号42頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の経営するラーメン店の営業に携わっていたXが、XとY社との間には雇用契約が成立しているところ、令和元年8月分から令和3年1月分までの賃金が支払われていないと主張して、①Y社に対しては、雇用契約に基づく未払賃金請求として、各支払を求め、また、②Y社の代表者であるY2に対しては、会社法429条1項の任務懈怠責任に基づく損害賠償請求として、各支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

 Y社は、Xに対し、596万1420円+遅延損害金を支払え。
 Y2は、Xに対し、540万円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 株式会社の取締役は、会社との委任関係に基づき、会社に対して、善管注意義務(民法644条)及び忠実義務(会社法355条)を負い、法令等を遵守して会社のため忠実にその職務を行わなければならないところ、労働基準法は、使用者に対して賃金の全額払いを義務付けている(労基法24条)。そして、本件において、Y2には、Xに対する1年半もの長期間にわたる賃金の未払につき任務懈怠があり、かつ、その点について少なくとも重過失があったと認められる。 

2 Y2には任務懈怠につき少なくとも重過失があり、会社法429条1項により、Xに生じた損害を賠償すべき責任を負うところ、Xが現時点まで未払賃金の支払を受けることができておらず、しかも、Yらが本件訴訟の追行を放棄したというべき経過もあることを踏まえると、本件においては、XがY社に対して未払賃金の支払請求権を有しているという点を考慮しても、Xには、未払賃金相当額(540万円)の損害が生じているというべきである

会社と代表者が各自、未払賃金相当額についての損害賠償責任を負うとされています。

すごいですね・・。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。