Author Archives: 栗田 勇

解雇435 出社義務の不履行を理由とする解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れ様でした。

今日は、出社義務の不履行を理由とする解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

セールスフォース・ジャパン事件(東京地裁令和7年1月15日・労判ジャーナル160号50頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約を締結して就労したが、解雇されたXが、Y社に対し、本件解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でなく無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、労働契約に基づき、未払賃金等の支払と求めるとともに、上記解雇が不法行為を構成し精神的苦痛を被ったと主張して、不法行為に基づき、慰謝料160万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Y社は、Xが本件雇用契約上、出社義務を負っており、その不履行のみでも本件解雇の合理的かつ社会通念上相当な理由となる旨主張するところ、出社義務の不履行については、その出社回数、履行状況に加え、メールや書面などを通じ、複数回にわたり改善が求められていたにもかかわらず改善しなかったこと、また、出社していないことによって、Xの業務に関連する複数の人物から多数の懸念点が示されていたことに照らし、その程度が著しいというべきであり、上記不履行の程度に加え、Xは、いわば即戦力として採用されたものであり、その職務経歴経験等を活かした業務遂行が期待され、このことはX自身認識するところでもあり、変動賞与等とは別に基本給(年間)約1400万円との待遇も受けていたことを踏まえれば、本件解雇には、客観的合理的な理由があり、また、社会通念上も相当であるというべきであるから、本件解雇は有効である。

つまり、出社義務の不履行のみで解雇できるわけではない、ということです。

裁判例の結論部分だけを抜き出して、対応を誤らないように気を付けましょう。

日頃から労務管理については、顧問弁護士に相談しながら行うことが大切です。

本の紹介2230 プロ技術者になる!エンジニアの勉強法(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

タイトルのとおり、対象者はエンジニアですが、それ以外の職種の方にも十分参考になる内容です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

どういう技術分野でも、『不易から流行へ』進むことは容易ですが、『流行』をいくら追っても、残念ながら『不易に至る』ことは容易ではありません。したがって、最初は時間を掛けているようであっても、『不易の部分を身につけたエンジニア』の方が、『流行のみで育ったエンジニア』に比べ、さまざまな状況変化に対しても、『潰しが効く』のです。」(74頁)

これ、まさにAIとの付き合い方にも通じるところがあると思います。

AI以前にひたすら時間を掛けて、非効率で泥臭い仕事をやり続けてきたことは、決して無駄ではなかったと心の底から実感します。

どんどん人間の仕事がAIに代替されていきますが、それもまた人生です。

It is what it is.

派遣労働34 派遣労働者の休業手当支払請求が認められた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間がんばりましょう。

今日は、派遣労働者の休業手当支払請求が認められた事案を見ていきましょう。

ピックル事件(東京地裁令和7年3月26日・労判ジャーナル163号46頁)

【事案の概要】

本件は、派遣元であるY社との間で労働契約を締結し、派遣先において就労していた派遣労働者が、令和5年3月分の賃金からの銀行口座振込手数料の控除は無効であるとして賃金等の未払があり、同年4月に就労することができなかったのはY社の責めに帰すべき事由(民法536条2項又は労働基準法26条)によると主張して、Y社に対し、主位的に、同年3月分の未払賃金、未払割増賃金、通勤交通費、4月分の未払賃金等の支払を求めるとともに、予備的に(主位的請求のうち同年4月分の賃金請求の全部又は一部が認容されることを解除条件に),同年4月分の休業手当等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

1 本件控訴は無効
→同年3月分の未払賃金等支払請求認容
2 未払割増賃金等支払請求認容
3 通勤交通費請求棄却
4 同年4月1日以降に就労することができなくなったことについて、Y社の責めに帰すべき事由によると認められないとして、未払賃金等支払請求(主位的請求)棄却、休業手当支払請求(予備的請求)認容

【判例のポイント】

1 Xが令和5年4月1日以降に就労することができなくなったのは、本件派遣先から、Xの業務の遂行状況に照らして着台不可である旨連絡があったことを契機とするものであり、本件派遣先からその旨判定されたこと自体は、Y社に起因するものではなく、Y社は、上記連絡を受け、Xに対し、他の派遣を紹介しており、Xの就労を継続させるべく一定の努力をしたといえるから、Y社の責めに帰すべき事由を認めるに足りる事情ではないから、本体において、本件労働契約及び取引上の社会通念に照らして、Xが4月1日以降に就労することができなくなったことについて、Y社の責めに帰す
べき事由による(民法536条2項)と認めるには足りず、Xは、Y社に対し、同日以降の賃金を請求することはできない。

2 Xが4月1日以降に就労することができなくなったのは、本件派遣先からの連絡を契機とするものであり、Xに本件労働契約上の債務不履行があったと認めるに足りる証拠はないことを考慮すれば、使用者側に起因する事情によるものというべきであって、Y社の責めに帰すべき事由によると認めるのが相当であるから、Y社は、Xに対し、平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払う義務を負う。

民法536条2項と労基法26条の要件の違いがよくわかりますね。

日頃から労務管理については、顧問弁護士に相談しながら行うことが大切です。

本の紹介2229 開成番長の勉強術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

試験勉強に限らず、あらゆる勉強に通じる内容です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

しかし読んで『なるほど』と共感できた部分があれば、ぜひそれを今日から生活の中に取り入れてみて欲しいと思います。面白そう、使えそうと思ったものはまず実行してみることです。思うだけで終わってしまうか実行に移せるか、これは大きく違います。簡単そうに見えるけれどなかなか踏み出せない第一歩を踏み出すこと、これが自分の生活を改善するチャンスとなるのです。」(216頁)

これも完全に習慣の問題です。

セミナーを受けても、受けっぱなしでは時間とお金の無駄遣いです。

読書もセミナー受講も、いわば仕入れですから、売上を上げなければ意味がありません。

人生は、日々の小さな習慣の積み重ねによって作られています。

解雇434 中途採用者の試用期間中の解雇の適法性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間がんばりましょう!

今日は、中途採用者の試用期間中の解雇の適法性に関する裁判例を見ていきましょう。

北野嘉哉事務所事件(東京地裁令和7年6月13日・労判1338号55頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と労働契約を締結していたXが、Y社に対し、Y社による解雇は無効であると主張して、〈1〉労働契約上の地位確認、〈2〉民法536条2項に基づく解雇後の賃金(月額83万3333円)の支払、〈3〉解雇前の未払賃金42万5927円の支払をそれぞれ求める事案である(遅延損害金は、月額賃金の支払日の翌日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による。)。

【裁判所の判断】

1 Y社は、Xに対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
2 Y社は、Xに対し、30万円+遅延損害金を支払え。
3 Y社は、Xに対し、令和5年9月以降、本判決確定の日まで、毎月25日限り、66万6666円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Y社は、Y社の営業社員には、これまでの職歴等から、既に富裕層の人脈を持ち、さらなる人脈形成が得意な者であることを求めていたところ、Xは、本件名簿を提出して、掲載者と信頼関係があり、営業をかけることができる旨述べたが、実際はそのほとんどが知人ではなく、Xには超富裕層を紹介できる人物との人脈などないことが判明したから、留保解約権の行使には合理的理由がある旨主張する。
そこで検討するに、Y社の事業内容、営業社員の業務内容、求人広告の記載内容及びXの履歴書の記載を総合すれば、Y社は、Xを含む中途採用する営業社員に対し、従前の職歴を生かす等して、富裕層との繋がりを有する人物に接触しての営業活動を期待していたことが認められる。
しかしながら、Xは、二次面接において、本件名簿に掲載された者に対し積極的なアプローチをしていく旨述べているものの、本件名簿の掲載者との関係についてどのような説明をしていたかは、本件全証拠によっても明らかではない
また、Y社代表者は、Xが実際に知人に営業資料を渡したことを確認した後に二次面接を実施した一方で、二次面接においては、本件名簿の掲載者に営業を行うことができるかという質問をするものの、掲載者とXとの人的関係については確認していない
以上によれば、Xが、本件名簿の掲載者との間に人的関係がある旨の説明をしたと認めるには足りないし、Y社にとっても、Xと本件名簿の掲載者との人的関係の存在及び内容が、本件労働契約を締結する上で必要な条件であったとも認められない
そうすると、Xが富裕層との折衝経験を持っていなかった又は富裕層の人脈を持っていなかったとしても、そのことをもって、「従業員として勤務させることが不適格」(就業規則4条2項)であったり、「業務に適性を欠く」(本件労働契約・2条2項2号)ということはできず、留保解約権行使の客観的合理的理由ということはできない。

バックペイの金額を考えると、被告会社としては、手痛い判決内容かと思います。

被告会社の求める内容は理解できるところですが、解雇事由として、従業員としての適格性を欠くといえるためには、もう少し厳密に特定しておく必要があったということなのでしょう。

実際はなかなか難しいと思いますが。

日頃から顧問弁護士に相談をすることを習慣化しましょう。

本の紹介2228 本当に頭がよくなる1分間勉強法#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。

13年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

反復継続すること、習慣化することの大切が説かれています。

勉強も運動も大切にすべき「基礎」は同じです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

本当は、勉強だけでなく、スポーツも仕事も人生も、すべてのものごとが、『できるかできないかではなく、継続してやり続けることができるかできないかの勝負』なのだと思います。」(198頁)

途中で投げ出さずにやり続けられるかどうか。

もう本当にただそれだけの話です。

やり続けていれば、いろんな気づきがあり、その都度、修正・改善していくことによって向上する。

言うは易く行うは難し。

だからこそ差がつくのです。

それも指数関数的に。

配転・出向・転籍60 出向命令の有効性と自由な意思に基づく同意(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、出向命令の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

図書館流通センター事件(東京地裁令和7年6月26日・労経速163号2頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であって令和2年7月1日から現在までa株式会社へ在籍出向しているXが、Y社に対し、Xのa社への出向は、XとY社との間の本件に先立つ訴訟で成立した訴訟上の和解の履行として、同日から令和5年6月30日までを出向期間とする出向命令に基づき行われたものであるが、その後の同年7月1日から令和8年7月25日までに出向期間を延長して再度された出向命令は、権利を濫用したものとして無効であると主張し、現在、a社において勤務する労働契約上の義務のないことの確認を求めるところ、これに対してY社が、Xのa社への出向はX、Y社及びa社の間で令和2年7月1日に成立した個別の出向合意に基づき現在まで有効に行われていると反論するとともに、仮に令和5年7月1日以降の出向がXの指摘する再度の出向命令に基づくものであったとしても、同命令は権利を濫用したものとはいえず有効であると反論し、Xの上記確認請求を争う事案である。

【裁判所の判断】

請求認容

【判例のポイント】

1 本件同意書は令和2年7月1日付けであるものの、Y社からXへの本件同意書の交付は、Y社の人事部長であるBによって本件辞令1と同時にXに行われていたものであって、しかも、その交付時に、Bは、Xのa社への出向に関して、出向期間が無期であることを含め、出向期間に関して特段の説明を行っていなかったことが認められる。出向期間の有無やその長さは出向する労働者にとって重要な要素であることに加え、Y社において、「出向期間は当年7月1日から令和5(2023)年6月30日までとするが、延長することがあるものとする。」との記載がされた本件辞令1をXに交付しておきながら、前件和解の履行として、Xとの間で、敢えて本件辞令1の上記記載と異なる内容として出向期間を無期とする個別の出向合意をするのであれば、単に本件同意書の契約期間欄の「2020年7月1日~」との表示のみならず、出向期間を無期とすることについての十分な説明を尽くした上でXの同意を得なければならないところ、Y社においては、本件同意書の上記交付時を含め、本件訴訟に至るまで、Xのa社への出向期間が無期であることの説明をしたことはなかったことが認められる。
そうすると、仮にY社において前件和解に至る経緯の中で出向期間を無期とすることがXとの間で共通認識となっているとの認識があったとしても、XがそのようなY社の認識を理解して自由な意思に基づく同意として本件同意書に署名及び押印をしたとは認められない
したがって、XとY社及びa社との間で、Xのa社への出向に関し、本件同意書により、本件辞令1の出向期間の記載と異なった無期の出向合意が成立したとは認めることができない。

ここでも「自由な意思に基づく同意」の有無という判断枠組みが用いられています。

配転命令を行う場合には、事前に顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。
 

本の紹介2227 品川嘉也の右脳勉強法(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

非常に実践的な勉強方法や記憶する際のコツが書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

脳は情報を作り出す器官ではなく、情報を捨てる器官である。そのためには、一つのテーマで多くの情報に接する必要がある。その中から自分が必要とする情報を選ぶのはまさに右脳の直観。・・・ふだんから問題意識を持っていることで、多くの情報に接していても、すぐに自分のアンテナに引っかかる、つまり必要とする情報を選ぶことができる。」(25頁)

同じ情報に触れていても、それを入手する人とそのまま素通りしてしまう人がいます。

これは能力というよりかは、物事に対する関心・興味の有無なのだと思います。

同じセミナーを受けても、同じ本を読んでも、受け手・読み手によって感じ方・捉え方は十人十色です。

同じような環境にいても人によって結果はまるで違うことの証左です。

有期労働契約131 1年間の有期雇用契約の試用期間該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、1年間の有期雇用契約の試用期間該当性に関する裁判例を見ていきましょう。

TBWA HAKUHODO事件(東京高裁令和7年4月10日・労判1338号5頁)

【事案の概要】

Xは、令和4年3月1日から、Y社において、雇用期間を1年間、年俸450万円(月額37万5000円)とする契約社員として勤務していた(本件労働契約。本件労働契約の雇用形態、労働条件等については、後記のとおり争いがある。)。XとY社は、令和5年1月頃以降、本件労働契約の更新について交渉していたが、合意に至らなかった。その後、Xは、本件労働契約における雇用期間が満了した令和5年3月以降も引き続きY社において就業していたが、同年7月11日以降は就業していない。
本件におけるXの請求の要旨は次のとおりである。
(1) 本件主位的請求
本件主位的請求は、Xが、本件労働契約における1年間の期間の定めは試用期間を定めたものであり、本件労働契約は期間の定めのないものであって、試用期間経過後の令和5年3月1日からは正社員相当の賃金である年俸600万円(月額50万円)の請求権を有すると主張して、Y社に対し、
〈1〉年俸600万円で期間の定めのない労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、
〈2〉賃金支払請求権に基づき、令和5年7月分から本判決確定の日までの賃金月額50万円+遅延損害金の支払並びに
〈3〉令和5年3月分から同年6月分までの未払賃金合計50万円(月額賃金50万円と同37万5000円の差額の4か月分)+遅延損害金の支払を求めたものである。
(2) 本件予備的請求1
本件予備的請求1は、Xが、民法629条1項により本件労働契約は期間の定めのない労働契約として更新されたと主張して、Y社に対し、
〈1〉年俸450万円で期間の定めのない労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、
〈2〉賃金支払請求権に基づき、令和5年7月分から本判決確定の日までの賃金月額37万5000円+遅延損害金の支払を求めたものである。
(3) 本件予備的請求2
本件予備的請求2は、Xが、仮に民法629条1項による更新後の労働契約が1年間の期間の定めのあるものであるとしても、令和5年3月以降は労働契約法19条2号に基づき引き続き更新されている、又は仮に民法629条1項による更新自体が認められないとしても、本件労働契約は令和5年3月1日頃に明示若しくは黙示の合意により1年間の期間の定めのある労働契約として更新されており、令和5年3月以降は労働契約法19条2号に基づき引き続き更新されていると主張して、Y社に対し、
〈1〉労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、
〈2〉賃金支払請求権に基づき、令和5年7月分から本判決確定の日までの賃金月額37万5000円+遅延損害金の支払を求めたものである。

原審は、Xの主位的請求について、〈1〉Xが、Y社に対し、年俸450万円(毎月37万5000円)の支払を受ける期間の定めのない労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び〈2〉賃金支払請求権に基づき、令和5年7月から本判決確定の日まで、毎月25日限り、37万5000円及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年3%の割合による金員の支払を求める限度で認容し、その余の主位的請求を棄却した(予備的請求1及び同2の各請求は、いずれも、認容された主位的請求の範囲内の請求である。)。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 Y社が、Xに対し、本件労働契約の試用期間中である令和5年2月28日までに、本件労働契約について1年間の期間の定めのある契約として更新することを申し入れたことは認められるものの、これをもって、Y社が本件労働契約において留保された解約権を行使したと認めることはできない(なお、Y社がXに対して、契約期間について定めのある雇用契約書を交付したのは、上記試用期間経過後の同年3月1日以降のことである。)。
かえって、Xは、令和5年3月1日以降同年7月10日までの間、引き続きY社において就業していたことが認められるのであって、客観的に合理的な理由が認められる状況にもないことも考慮すると、Y社が、試用期間中に留保された解約権を行使したとは認め難いと言わざるを得ない。
したがって、Xが、Y社に対して、本件労働契約の試用期間の満了前に、本件労働契約における留保解約権を行使した事実を認めることはできない。

2 (原審:東京地裁令和6年9月26日)
本件においては、〈1〉Y社において、従前、正社員として採用する者に対しても、原則として最初の1年間は契約社員として期間の定めのある労働契約を締結し、この期間が経過した時点で適任と認められた者に限り、期間の定めのない労働契約を締結して正社員として雇用するという採用方法をとっており、これを変更した令和元年5月以降も、一定の場合には上記と同様の採用方法をとることが可能であったこと、〈2〉本件オファー面談の際、Y社の人事局長であったCが、Xに対し、本件労働契約における1年間の期間の定めが試用期間を設けるものであり、1年後には正社員となる旨の説明をしたこと、〈3〉Xは、これを踏まえて内定を受諾し、もって本件労働契約が成立したことが認められる。
これらの事情からすると、本件労働契約における1年間の期間の定めについては、Xの適性を評価・判断する趣旨・目的で設けられたものと認められるから、上記期間は、契約の存続期間ではなく、試用期間であると解するのが相当である。
したがって、本件労働契約については、1年間の試用期間中における解約権が留保された、期間の定めのない労働契約であるというべきである(最高裁昭和48年12月12日、最高裁平成2年6月5日参照)。

有名な論点ですが、上記判例のポイント2は非常に重要ですので、しっかりと押さえておきましょう。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に有期雇用契約に関する労務管理を行うことが肝要です。

本の紹介2226 人と競わない勉強法#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から9年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

著者は弁護士の方です。

早い段階から人生設計をし、目標に向かって準備をすることの大切さを再認識できます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

自分の能力など、多くの人が持っているものだろうと思う人は多いかもしれませんが、その通りです。しかしその能力と自分ならではの夢が結びつくと、同じような人はそういません。さらにあなたのネットワークや環境を加えると、決して同じ人間はいないのです。」(20頁)

そうなのです。

ビジネスは、全人格的な競技であることを忘れてはいけません。

知力も体力もネットワークもすべてが関係しています。

手持ちの武器を増やし、磨くとともに、それらを単体として評価するのではなく、掛け算をするのです。

そして、IQだけでなく、愛嬌もお忘れなく。

今後ますます人間としての魅力(かわいげ)が重要になってきますので。