Author Archives: 栗田 勇

賃金143 就業規則を変更して成果主義型賃金体系を導入する方法とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、就業規則の変更(成果主義型賃金体系導入)の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

東京商工会議所事件(東京地裁平成29年5月8日・労判ジャーナル70号36頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が、就業規則を変更し、年齢に応じて昇給する「年齢給」等を内容とする従来のいわゆる年功序列型賃金体系から、「役割給」等を内容とするいわゆる成果主義型賃金体系を導入したことについて、Y社の正職員であるXが、かかる就業規則の変更は従業員にとって不利益変更に当たり、合理性を欠き無効であると主張して、本件変更前の就業規則に基づく賃金を受給する地位の確認を求め、あわせて本件変更により具体的に減額された給与及び賞与部分について未払賃金が発生しているとして、その支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件では、制度変更がなければ事業継続ができないという意味での高度の必要性は認められないが、本件変更により制定された新賃金体系は、成果を上げることでそれに見合った賃金が支給され、従業員を含む職員全員に対し等しく昇級・昇給の可能性が与えられるなど公平性が確保され、制度変更の必要性に見合った相当なものであり、それと一体として改正された人事評価制度にも合理性があり、また、十分とまではいいがたい面はあるものの、激変緩和措置として経過措置が講じられ、不利益を受ける者に対する一定の配慮もされており、かかる観点からも変更された制度内容の相当性は認められ、また、Y社は、本件変更を進める過程で労働組合と交渉し、その意見も取り入れながら具体的な制度設計を行い職員に対しても丁寧に説明するなど、本件変更の合理性を基礎づける事情が認められ、さらに、本件変更が会社職員におおむね受け入れられている様子がうかがわれること等から、本件変更後の就業規則は、労働組合法10条の諸要素に照らし、その合理性を肯定することができ、従業員が本件変更後の就業規則に拘束されないことを前提とした本件各請求には理由がない。

裁判所はプロセスを重要な評価要素としていますので、不利益変更をする場合にはあわてず、やるべきことをしっかりやることがとっても大切なのです。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介762 武田双雲にダマされろ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
武田双雲にダマされろ~人生が一瞬で楽しくなる77の方法

ダマされたと思ってやってみてね、という内容です。

前向きに生きましょう、という本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

壁は自分の視野の狭さが作るものだって知ってるから。壁と感じた時ほど、新しい考え方、新しい自分を作り出すチャンス。そして壁が自分を客観視してくれる手助けをしてくれます。・・・ずっと勝ち続けられる種はありません。ずっと強いままでいられる者はいません。弱さを知り、弱さを克服するために必死にもがいた者だけが、新たなる進化を手に入れるのだと思います。」(171頁)

と思えれば勝ちです。

負けたときにどう対応するか、それこそが重要だと心に留めて、先に進むほかありません。

勝つときもあれば負けるときだってありますよ、そりゃ。

どれだけ必死にやっても結果が出ないことを知っているからこそ、結果が出なくても腐らず次に進めるのです。

勝ち方だけでなく、負け方を知っている人はとても強いですね。

解雇255 母が原告の帰宅時間を記録したメモに基づき残業時間を認定した事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、休職満了後の退職扱い無効地位確認等請求に関する裁判例を見てみましょう。

エターナルキャスト事件(東京地裁平成29年3月13日・労判ジャーナル70号50頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に正社員として雇用され、経理業務等を行っていたXが、Y社の代表取締役であるA、同社の従業員であるD及びEから違法な退職強要、配転命令及び雇用条件変更命令を受けたため、うつ病を発症し、休職を余儀なくされたと主張して、本件雇用契約に基づき、Y社に対し、Y社C営業所において清掃スタッフとして勤務する雇用契約上の義務のないことの確認、平成26年8月27日から本判決確定の日までの賃金月額23万円等の支払を求めるとともに、Y社及びAに対し、不法行為に基づく損害賠償として、各自慰謝料300万円等の支払、将来の退職強要行為の差止めを求めるほか、Y社に対し、同年1月9日から同年5月19日までの間の未払割増賃金合計約32万円等の支払、並びに労働基準法114条に基づく付加金約32万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

雇用契約上の義務のないことの確認請求は却下

雇用契約上の権利を有する地位確認は認容

未払賃金等支払請求、慰謝料請求は一部認容

未払割増賃金及び付加金請求は認容

【判例のポイント】

1 Xは、業務上の事由による傷病により就業できなくなったものであり、就業規則所定の「業務外の傷病」には当たらない上、労働基準法19条1項の趣旨に照らすと、休職期間満了に伴い当然退職扱いは許されないから、Y社のXに対する本件雇用条件変更命令の発令は認められないものの、Y社は、Xが休職期間満了に伴い退職したとして、本件雇用契約の終了を主張していることからすれば、XのY社に対する地位確認請求は、Xが、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求める限度で理由があり、Xは、本件退職強要行為2ないし4により、うつ病が重篤化して就労ができなくなったのであり、本件休職期間中の労務提供の不履行は、使用者であるY社の責に帰すべき事由によるものであるから、Xは、民法536条2項に基づき、Y社に対する賃金請求権を有する。

2 Y社は、Xが時間外労働をしていることについて認識しながら、特段これを禁止することなく、黙認しているような状況であったことからすれば、Y社のXに対する黙示の業務命令があったものと認められ、Xは、Y社に対し、業務に従事した時間について、時間外、休日及び深夜の割増賃金の請求をすることができ、また、残業時間一覧表は、Xの母がXからの帰宅の連絡を記録したメモを基にして作成されたものであり、入退館一覧表と必ずしも一致するものではないが、矛盾するところもなく十分に信用することができること等から、未払割増賃金は、合計約32万円となる。

上記判例のポイント2では、使用者の黙示の業務命令を認定した上で、残業時間について、Xの母がXからの帰宅の連絡を記録したメモに基づき認定しています。

使用者側で労働時間の管理をしっかりしていない場合には労働者側の何らかの記録に基づき認定されることがありますので注意しましょう。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介761 洞察力(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
洞察力――弱者が強者に勝つ70の極意

元ヤクルトの宮本選手の本です。

言うまでもなくこれまでの野球人生の経験談がベースとなっているものですが、業種を超えて、「洞察力」の重要さが伝わってきます。

非常に参考になる本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・ところが最近は、言われたことをやるだけの選手が増えてしまった。時代の変化なのだろうか。昔よりも真面目な選手が多いから、コーチに言われた練習はたくさんこなす。ところが1と言われたときに自分で2、3、4とは考えようとしない。5と言われれば、5まではやろうとするが、その先の6、7に考えを進めることができない。もっと自発的に考えれば結果が変わってくるのに、と思うことが多い。」(65頁)

よく言われることですが、大昔から「最近の若者は・・・」と年配の方に言われて続けているのです(笑)

いつの世もできる人はできるし、できない人はできない。 ただそれだけです。

どれだけ若かろうが、5と言われても、10、20まで考えを進めることができる人はいますし、どれだけ年を重ねようが、5と言われても、1もできない人だっています。

結果を出す人はいつの世だって、人よりも努力し、人と違うことをやり切っているのです。

解雇254 訴訟における主張内容も踏まえて解雇の有効性を判断した事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、就業態度・能率不良に基づく解雇無効地位確認請求に関する裁判例を見てみましょう。

日本コクレア事件(東京地裁平成29年4月19日・労判ジャーナル70号38頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で労働契約を締結していたXが、Y社から解雇されたところ、当該解雇は無効であると主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、当該解雇日以降の賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇は有効

【判例のポイント】

1 Xは、使用者が従業員に対して通常求める姿勢である、上司の指示、指導等に素直に耳を傾け、上司の意見を取り入れながら円滑な職場環境の醸成に努力するなどといった点に欠ける面が顕著であるといえ、再三のY社からの指示、指導及び警告にかかわらず一向に改善の意欲も認められないことからすれば、XとY社との労働契約における信頼関係は、本件解雇時点においてもはや回復困難な程度に破壊されていると評価せざるを得ず、Y社としては、職場全体の秩序、人間関係への悪影響等に鑑み、職場内の規律維持等の観点から対応せざるを得なかったといえ、本件訴訟においても、Xは、自己の考え方に固執し続けており、このことは、本件解雇以前から職制を踏まえた行動をする意思がなかったことを推認させ、Xの処遇の困難性を示していること等から、Xについては就業規則所定の解雇事由「従業員の就業態度もしくは能率が、会社にとって著しく不適当であると認められた場合」に該当するものと認められ、本件解雇は、その権利を濫用したものとして無効であるとはいえない。

よく解雇事案で、上記判例のポイントのように訴訟中の主張を取り上げて、それも考慮要素とすることがありますので、留意しましょう。

あまりに突拍子もない主張を展開すると判決理由で使われてしまいます・・・。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介760 はたらくきほん100(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
はたらくきほん100 毎日がスタートアップ

お二人の著者が、仕事をする上で基本となる大切な考え方、姿勢について書かれています。

とても読みやすいです。

基本を身につけたい方にはおすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

どれだけ成功した人でも、1日の持ち時間は、みんなと同じ24時間。特別にその人だけ、使える時間が多いというわけではありません。持って生まれた才能や運もあるとはいえ、時間に関しては同じ条件。つまり、成功する人は時間の使い方が格段にうまいのです。限られた時間の中で、何をどう進めていくか、真剣に考えてみましょう。才能や運とは違い、時間の使い方は自分次第で、改善することができるのです。」(82頁)

1日のうち、SNS、ラインのやりとりにどれだけの時間を使っているのでしょうか・・・

「気分転換」という名のもとに1日何回自分の机から遠く離れた喫煙場所に向かい、たばこを吸っているのでしょうか・・・

成果を出すにあたり、あまりにも不必要でムダな行為が多すぎると思いませんか?

日々の習慣、積み重ねが1年、5年、10年と続いた後の成果がそのままその人の人生となることを受け止める必要があると思います。

セクハラ・パワハラ36 パワハラ・セクハラを理由とする懲戒解雇と相当性判断(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、パワハラ・セクハラを理由とした懲戒解雇処分が無効とされた裁判例を見てみましょう。

国立大学法人甲大学事件(前橋地裁平成29年10月4日・労経速2329号9頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で労働契約を締結していたXが、Y社によるXのパワーハラスメント及びセクシュアルハラスメント等を理由とする解雇は無効であると主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、賃金請求として平成27年1月1日から毎月17日限り58万1975円、期末手当及び勤勉手当の支払請求として平成26年12月10日から毎年6月30日限り114万6249円、毎年12月10日限り79万8393円及びこれらに対する各支払日の翌日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め、さらに、Y社がXに対する諭旨解雇処分を懲戒解雇処分に強行的に切り替えた行為により、意思決定の機会を奪われ、精神的損害を被ったと主張して、Y社に対し、民法709条に基づく損害賠償請求として、慰謝料100万円及びこれに対する不法行為の日である同年11月20日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

1 Xが、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
 本件訴えのうち、本判決確定の日の翌日から毎月17日限り58万1975円及びこれらに対する各支払日の翌日から各支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める部分、本判決確定の日の翌日から毎年6月30日限り114万6249円及びこれらに対する各支払日の翌日から各支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める部分並びに本判決確定の日の翌日から毎年12月10日限り79万8393円及びこれらに対する各支払日の翌日から各支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める部分をいずれも却下する。
 Y社は、Xに対し、平成27年1月1日から本判決確定の日まで毎月17日限り58万1975円及びこれらに対する各支払日の翌日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 Y社は、Xに対し、15万円及びこれに対する平成26年11月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

【判例のポイント】

1 ・・・以上によれば、本件懲戒解雇は、同日の時点では、Xが退職願の提出の「勧告に応じない」と断定できないにもかかわらず行われたものであり、解雇手続が就業規則45条1項2号の規定に違反した違法な処分であると言わざるを得ない
もっとも、解雇手続に違法があっても、Xを諭旨解雇を経ずに直ちに懲戒解雇とすることが相当であるといえるだけの悪質な、あるいは多数の懲戒事由が認められるとか、既に諭旨解雇に応じるか否か検討する十分な時間を与えられていたなどの特段の事情があり、軽微な違法にとどまる場合には懲戒解雇は有効と解するのが相当である
本件懲戒解雇においては、そもそも全く懲戒事由が存在しないのに懲戒解雇したというような場合ではなく、諭旨解雇から懲戒解雇への切替えが不相当であったに留まる。諭旨解雇か懲戒解雇かにより、退職金の支給の有無などの経済的待遇の違いが生じる余地はあっても、いずれにしても、Y社の教職員としての地位を喪失させる処分という点では異なるところはない。
したがって、Y社としては、Xが勧告に応じれば諭旨解雇として、勧告に応じなければ懲戒解雇として、XのY社の教職員としての地位を喪失させる処分をするという結論自体に変わりはなかったものである。そうすると、平成26年11月20日の本件懲戒解雇の手続が違法であったとしても、Y社は、Xが諭旨解雇の勧告に応じるのに十分な時間が経過した後、日時を改めて、懲戒解雇することになるだけであるから、本件懲戒解雇における手続的瑕疵は軽微なものであったというべきである。

2 Xは、訴訟の段階で平成25年8月29日に行われたXを対象者として行われた聞き取り調査の結果であるハラスメントに係る事実確認調査書に記録されていない事実を懲戒事由として事後的に追加することは許されず、Y社が本件懲戒解雇の懲戒事由として主張できるのは、処分説明書に処分事由として記載されている限度にすぎないと主張する。
確かに、使用者が労働者に対して行う懲戒は、労働者の企業秩序違反行為を理由として、一種の秩序罰を課するものであるから、具体的な懲戒の適否は、その理由とされた非違行為との関係において判断されるべきものである。したがって、懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は、特段の事情のない限り、当該懲戒の理由とされたものでないことが明らかであるから、その存在をもって当該懲戒の有効性を根拠付けることはできない(最高裁判所平成8年9月26日第一小法廷判決・集民180号473号)。
もっとも、懲戒当時に使用者が認識していた非違行為については、それが、たとえ懲戒解雇の際の処分説明書に記載されていなかったとしても、処分説明書に記載された非違行為と実質的に同一性を有し、あるいは同種若しくは同じ類型に属すると認められるもの又は密接な関連性を有するものである場合には、それをもって当該懲戒の有効性を根拠付けることができると解するのが相当である。
前記のとおり、Y社は、平成25年8月6日以降、J助教、C講師、K助教及びE研究員からXの言動に関する申述書の提出を受け、また、同月29日以降、X、B講師ら5名及びE研究員に対して、それぞれ聞き取り調査を行っているところ、Y社主張欄記載のハラスメントは、いずれもY社が上記各手続により認識するに至った行為であるということができ、処分説明書に記載された非違行為と実質的に同一性を有し、あるいは同種若しくは同じ類型に属すると認められるもの又は密接な関連性を有するものであるということができる。よって、別紙主張証拠対照表のY社主張欄記載のハラスメントは、いずれも本件懲戒解雇の有効性を根拠付けることができるというべきであり、Xの上記主張は採用できない。

3 確かに、Xは、本件教室の教授という立場にありながら、本件教室の構成員であるC講師、J助教、K助教に対し、複数回にわたってパワーハラスメント及びセクシュアルハラスメントを行ったものであり、その他にもXのB講師ら5名に対する言動は、直ちに懲戒事由に該当するものではないとしても不適切といわざるを得ないものが相当程度含まれていることは既に説示したとおりである。Xが平成24年11月1日付けで本件教室に着任してから平成26年11月20日に本件懲戒解雇がなされるまで、E研究員を除く全ての構成員が退職ないし異動をしており、B講師、C講師、J助教及びK助教が何らかの精神疾患に罹患する結果に至っていることは決して軽視できるものではない
しかし、前記で説示のとおり、本件で提出された証拠によっては、Y社が主張する非違事由のほとんどが懲戒事由に該当するものとは認められないものであり、Xの懲戒事由に該当するハラスメントの内容及び回数は限定的である。その上、Xのパワーハラスメントはいずれも業務の適正な範囲を超えるものであるものの業務上の必要性を全く欠くものとはいい難いし、また、Xのセクシュアルハラスメントが殊更に嫌がらせをする目的に基づいてなされたものとはいえないことからすれば、Xのハラスメント等の悪質性が高いとはいい難い。また、C講師が、平成24年5月12日に起立性調節障害、不安緊張状態の診断を受けた後、欠勤を余儀なくされたような事情はないし、K助教は、平成25年5月16日、神経症により約2週間の自宅療養を要する旨の診断を受け、欠勤するに至っているものの、証人尋問においては、欠勤した理由について、医師から「病欠をすることで相手の出方が変わるかもしれないし、とりあえず一度様子をみてはどうか」と言われた旨を供述しており、神経症により直ちに就労が制限される状態であったということができないことも考慮すべきである。さらに、Xは、過去に懲戒処分を受けたことがあることをうかがわせる事情はないし、本人ヒアリング結果等において、ハラスメントの一部を認め、反省の意思を示していたことも認められる。
そうすると、教職員に対する懲戒処分として最も重い処分であり、即時に労働者としての地位を失い、大きな経済的及び社会的損失を伴う懲戒解雇とすることは、上記懲戒事由との関係では均衡を欠き、社会通念上相当性を欠くといわざるを得ない

相当性の判断で拾われていますね。

担当する裁判官によっては解雇を有効とする可能性もあるのではないでしょうか。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

本の紹介759 こだわらない練習「それ、どうでもいい」という過ごしかた(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
こだわらない練習: 「それ、どうでもいい」という過ごしかた

タイトルがとてもいいですね。

私の性格にぴったりです。

いろんなことにこだわりすぎて自滅してしまう方にはおすすめです。

まあ、この本を読んでもそう簡単に性格は変わりませんけどね(笑)

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

この世の中には、本当にどうでもいいはずのことが、満ちあふれています。・・・その程度の、しょせんはやがて変化してゆくものに執着することによって、何が起こるのか。そう、自らのこだわりに合う人や物に触れると『快』を感じ、こだわりに合わない人や物に触れると『不快』を感じるように、この心が歪んでゆくのです。」(4頁)

だからこそどうでもいいことにこだわらないのがいいのです。

そうすれば、不快なことが減りますので。

この本にも書かれているとおり、世の中、本当にどうでもいいこと、正確にはどちらでもいいことで満ち溢れています。

執着せず、とらわれずに生きていれば、たいしたことで不快に感じることがなくなります。

行雲流水。

ほんの少しの大切なものだけを大切にし、あとはどうでもいいのです。

セクハラ・パワハラ35 長年にわたり仕事を与えなかったことに対する慰謝料額(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、在職中長年にわたって仕事を与えられなかったことにつき損害賠償請求を認めた裁判例を見てみましょう。

国立大学法人H大学事件(神戸地裁平成29年8月9日・労経速2328号23頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の職員であったXが、在職中長年にわたって仕事を与えてもらえず、差別的な扱いを受けるなどの嫌がらせをされて精神的苦痛を受けたと主張して、Y社に対し不法行為または債務不履行に基づき550万円の損害賠償+遅延損害金を請求する事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、50万円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキンググループ」の平成24年1月30日付け報告書は、職場のパワハラの概念とその行動類型を次のように説明している。当裁判所もこれを適切なものとして採用することとする。

2 業務上の合理性がないのに、Y社がXに対し長年にわたって仕事をほとんど与えず、研修も受けさせなかったこと、学術情報チーム所属当時に輪番制の事務を割り当てなかったことは、パワハラにあたる。これはXの校務員としての雇用関係上の人格的利益ないし労働者としての人格的利益を侵害する不法行為を構成する。
・・・Y社が成立する前の大学は国の行政機関であったし、Y社も政府からの出資を資本金とし、税金等でまかなわれる政府からの交付金を財源としている。給与は職務の対価であるから、特定の職員に対し長期間にわたりほとんど仕事をさせないでおきながら給与を支給し続けることは、国民に対する背信行為であり、許されるはずもない

3 Xは病気休職から復職した平成10年4月から、学術情報チームにおいて継続的に仕事が与えられ、開館準備行為、書架整理作業を順次割りあてられるようになった平成23年3月頃までの間、約13年間にわたって上記のパワハラを受けた。平成16年にうつ状態、平成17年に自律神経失調症、平成22年に混合性不安抑うつ反応と診断されており、このパワハラがXの精神状態に与えた影響は小さくない
他方、Xは平成9年の減給処分直後から複数回職務遂行上の指導を受けたにもかかわらず、職務に精励し他の職員との人間関係を改善するための努力を十分にしなかった。上記のとおり平成23年春頃以降、Xへの対応は改善されたにもかかわらず、同年8月には学術情報課長に土下座や長時間の正座をさせるなどの強要等の事件を起こしている。Xの粗暴な言動や職場における不届きなふるまいは平成9年の減給処分の理由となった出来事においてすでに顕著に現れており、その後も上司に対して不穏当な発言をするなどしているから、Xが扱いにくい職員であったことはまちがいないXに仕事を与えることをXの上司に躊躇させた原因がX自身にあるのは否定できないトラブル防止のために職員に仕事を与えないという措置を長時間にわたってとることが許されないことはすでに述べたとおりであるが、慰謝料額の算定においてはこのような事情も十分に考慮すべきである。

上記判例のポイント3を読む限り、Xにも相応の原因があったようです。

慰謝料の金額自体は、毎度同じく高額にはなりません。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

本の紹介758 お金持ちが肝に銘じているちょっとした習慣(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
お金持ちが肝に銘じているちょっとした習慣

成功者たちの習慣をまとめた本です。

実際はさまざまな人がいるので一概には言えないところですが、素直な気持ちで参考にすればよいと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『約束の時間さえきちんと守れない人間など、信頼できない』
ビジネス社会では、こう厳しく判断されてしまうことも胸に刻んでおくべきだ。
もう1つ、遅刻はクセだということも知っておこう。遅刻する人は、どんなに気をつけているつもりでも、なぜかいつも遅刻するのだ。・・・『いつも少し遅刻をしてしまうことが多い』という人は、決めるところをきちっと決められないルーズな性格なのだと自覚すべきだ。」(127~128頁)

「遅刻はクセだということも知っておこう」

間違いないですね(笑)

みなさんも思い当たる人、いませんか?

こういう人は早晩相手にされなくなるので放っておいてもどうってことはありません。

会食等の場に遅刻してくる人は、相手のことを重視していないからこそ遅刻をするのです。

「仕事が忙しくて・・・」と言い訳をするのを聞いたことがあります。

私の感覚ですが、待ち合わせの時間に余裕をもって来ている人のほうが仕事ができるので、おそらく遅刻してくる人よりも仕事は忙しいはずです。

たかが5分の遅刻、されど5分の遅刻なのです。