Author Archives: 栗田 勇

解雇245 職種限定合意と合併に伴う配転命令(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、職種限定合意の有無と合併に伴う配転・諭旨解雇の有効性等に関する裁判例を見てみましょう。

ジブラルタ生命(旧エジソン生命)事件(名古屋高裁平成29年3月9日・労判1159号16頁)

【事案の概要】

本件は、平成22年8月1日にAIGエジソン生命保険株式会社に入社し、平成24年1月1日にY社がエジソン生命を吸収合併する前は同社のソリューションプロバイダーリーダー(SPL)であり、同合併後は、Y社のライフプランコンサルタント(LC)(通常の営業社員)としての扱いを受けていたXが、Y社から同年6月20日付けで懲戒解雇されたことについて、本件懲戒解雇は無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに平成24年7月以降判決確定の日まで毎月25日限り賃金50万円+遅延損害金の支払いを求めるとともに、本件懲戒解雇は不法行為に該当すると主張して、慰謝料100万円及び弁護士費用50万円の合計150万円+遅延損害金の支払いを求めている事案である。

原判決は、Xの請求をいずれも棄却したところ、Xが控訴した。

【裁判所の判断】

原判決を取り消す。

懲戒解雇は無効

Y社はXに対し、150万円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 エジソン生命及びY社としては、上記4職種を提示しただけでこれに異を唱えずに応じる者についてはともかく、Xのようにこれに応じられない者に対しては、まずASP事業部の廃止が避けられない事情を十分に説明し、更にチーフトレーナー又は営業所長への移行とせめてA近辺(愛知、岐阜、三重など)の範囲に限った異動の可能性を提示するなど、4職種のうちの一部の労働条件を変容させたり、あるいは、営業部門以外の部署(例えば、人事部門、総務部門など)への配置換えを選択肢として示し又は勧めたりするように柔軟かつきめ細かな対応をすることは、その企業規模からして十分可能であったというべきであるにもかかわらず、少なくともXに対してはそのような応対は一切していない。
・・・以上述べたところによれば、Y社は、職種及び職場限定の合意があって、上記①ないし③の職種への移行に応じられず、応じないことが許容されるXに対し、その他の選択肢を一切示さないまま、Xをしてその最も意に沿わない職種であって、かつ、待遇面でも明らかに不利益となることが明白な④のLCとして取り扱ったことは、正当な理由のない配転命令がなされたものというべきであって、しかも、管理職から一般社員への懲罰的な降格人事とも解されるから、人事権の濫用として無効であるといわざるを得ない。

2 Y社は、合理的な理由のない本件懲戒解雇により、Xに対し、精神的苦痛を与えたものであるから、Xに対し民法709条、710条の不法行為責任を負うものと認められ、Xが営業社員であるSPの採用育成等に職種限定して合併前のエジソン生命に入社し、そのような業務を遂行していたにもかかわらず、営業職員にのみ適用され、Xには提出義務のないサクセスプランナーや直帰届の提出を強要するなどした上、人事権を濫用してXを合理的理由なくLCに配転する命令をし、理由のない厳重注意書や業務命令書の交付等を立て続けに行うなどした挙げ句、本件懲戒解雇に及んだという一連の経緯その他本件に顕れた一切の事情を総合考慮すれば、Xの精神的苦痛に対する慰謝料額としては、Xの請求額である100万円を下ることはなく、また、本件訴訟を遂行するに当たっては相当と認められる弁護士費用額も、Xの請求額である50万円を下ることはない。

上記判例のポイント1の判断は重要ですので参考にしてください。

職種や職場限定の合意がある場合、当然に配置転換ができません。

本人の同意が得られない場合、強引なやり方をすると今回のような結果になります。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介727 持たないヤツほど、成功する!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
持たないヤツほど、成功する!

千田さんの本らしいタイトル付けですね。

できるだけ無駄なものは持ちたくないという発想はとても共感できます。

マイホームを建てたいという願望は0ですね。死ぬまで賃貸でいいです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・運の良し悪しは顔で決まるというのだ。そして彼らは真剣な眼差しで『君は運のいい人間とだけ付き合うようにしなさい』と、異口同音にアドバイスしてくれた。つまり運のいい顔の持ち主とだけ付き合いなさいということだ。では運のいい顔とはどんな顔なのか。それは”陽”の顔だということだ。・・・何も難しく考える必要はない。パッと見た瞬間に、あなたが元気をもらえそうな顔があるだろう。それが陽の顔の持ち主だと考えていい。」(137~138頁)

こういう内容をバカにしてはいけません。

「運のいい顔」「運の悪い顔」というのは確かにあると私も思います。

決して男前とか美人とかそういう話ではなく、プラスのオーラが出ているのか、マイナスのオーラが出ているのかということです。

これは、決して「顔」に限った話ではなく、発する言葉もまさにそうです。

愚痴ばかりこぼしている人、人の悪口ばかり言っている人、「しんどい、面倒くさい、だるい」が口癖の人・・・。

こういう人と付き合ってはいけません。

自分の成長にとって何のプラスにもならないからです。

日々、時間を共にする人をちゃんと選びましょう。

不当労働行為179 社長の不適切発言と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、解雇された組合員の復職後の労働条件をめぐって対立するなかで、社長が労組を非難し、脱退を勧奨する発言を行ったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案を見てみましょう。

青林堂事件(東京都労委平成29年3月7日・労判1159号91頁)

【事案の概要】

本件は、解雇された組合員の復職後の労働条件をめぐって対立するなかで、社長が労組を非難し、脱退を勧奨する発言を行ったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 本件発言の内容や態様についてみると、A社長は、「全ての元凶は、ユニオンなわけよ。君がユニオン辞めれば、辞めれば、普通にみんな付き合う」「そういう可能性は、ないわけ。みんな君のことを嫌っているけど、それ以上にユニオンに対して、非常にアレルギー、アレルギーがある」と発言している。これらの発言は、直接的にXに対して向けられ、Xが組合員であることが労使紛争の原因であるとして、組合を非難ないし批判するものであると同時に、明らかに組合からの脱退を促す発言である。

2 また、発言当時の労使関係をみると、Xの解雇に関連した前件において、和解が成立した後、同人が復職したものの、復職後間もなく職務内容など労働条件を巡って再び労使紛争となり、本件申立てにつながっている。このように、本件発言は、Xの職務内容など労働条件について再び労使間で問題が発生し、対立関係が厳しくなる中で行われたものである。

3 さらに、発言当時の状況をみると、Xは、会社内における唯一の組合員であり、本件発言は、会社内においてXの勤務時間中、A社長のほかB専務や他の従業員が同席する中で行われた。そのような状況下において、会社代表者であるAが前記のような組合への非難や明らかな組合脱退勧奨発言をすれば、組合員として組合活動を続けることについて直截的な威嚇的効果があり、会社内において組合活動が阻害されるおそれは極めて大きいといえる。

4 以上のことから、使用者側の言論の自由を考慮しても、会社がその存在と内容について認めている本件発言は、組合の組織、運営や組合活動に悪影響を与えるものであることが明らかであり、組合の組織、運営に対する支配介入に当たる。

言っていいことと悪いことがありますね。

こんなこと、思っていても言っていいわけがありません。

何の得にもなりません。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介726 今日も残業する君とたった10分だけ働く僕(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
今日も残業する君とたった10分だけ働く僕 30代で億を稼ぐ、自由な働き方

著者は投資専門会社を香港で設立している方です。

私と同い年の方です。

本を読むと、毎日決まって1日10分だけ働いているわけではないようですが、キャッチーなタイトルをつけるとこういう感じになるのでしょう。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・とくに社会へ出ると、自分のポジションを把握することがことのほか重要になる。今の自分にできることとやらなければいけないことはもちろん、職場や人間関係も、今の立ち位置で問題ないのかを常に考えなくては、何事も上を望むことは難しい。」(36頁)

私もこの点は重要だと考えています。

社会や会社の中で自分がどのようなポジションにいるのかを把握する。

決して簡単なことではありませんが、試行錯誤していくうちにだんだんできるようになってきます。

その上で、自分の戦い方、戦う場所を考えるのです。

30代と40代で戦い方が変わってくるのは当然のことなのです。

私は現在39歳ですが、30代前半からずっとこのことを言い続けてきました。

30代は30代の戦い方がありますし、40代は40代の戦い方があるのです。

不当労働行為178 あっせん申請を理由とする団交拒否と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、通勤手当の減額、あっせん申請を理由に団交に応じないこと等が不当労働行為にあたるかが争われた事案について見てみましょう。

正栄工業事件(岡山県労委平成29年3月23日・労判1159号88頁)

【事案の概要】

通勤手当の減額、あっせん申請を理由に団交に応じないこと等が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

通勤手当の減額は不当労働行為にあたらない

あっせんの申請を理由に団交に応じないこと、およびその後に行われた団交に誠実に対応しなかったことは不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 本件通勤手当の減額は、杜撰な事務処理による誤った計算に基づくものであるが、組合との継続合意事項を無視し、組合員を差別的に取り扱って組合の弱体化を図ろうとしたものとは認められず、労働組合法7条3号の不当労働行為があったとまですることはできない。

2 あっせんと団体交渉とは別個の行為であり、会社が労働委員会のあっせんを理由に団体交渉に応じないことは、基本的には正当な理由があるとは認め難い。

上記命令のポイント2は基本的なことですが、しっかりと押さえておきましょう。

訴訟、労働審判、あっせんを起こしたことは、団体交渉を拒否する理由にはなりませんので誤解なきように。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介725 オシム語録(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
Number PLUS オシム語録 人を導く126の教え (Sports Graphic Number PLUS(スポーツ・グラフィック ナンバー プラス))

オシム監督の発言をまとめたものです。

サッカーに関する教えなのですが、人生や仕事全般に通じる内容になっています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

サッカーのために、他のことを犠牲にしなければならない。それこそがプロフェッショナリズムだ。」(36頁)

毎日ココアやチョコレートを朝食で食べる生活に慣れてしまったら、いざそれを変えなければならないときに、止めるのは簡単ではない。」(128頁)

プロとして仕事をする以上、何かを犠牲にしなければならないことは一流のスポーツ選手を見ているとよくわかります。

スポーツ選手に限らず、すべての業種で「プロ」を名乗る方は、みな何かを犠牲にして結果を出しているはずです。

人が休んでいるときに努力を重ねる。

楽な生活ではないですが、凡人が結果を出すにはこれを続けるしかないと確信しています。

従業員に対する損害賠償請求6 会社の元従業員に対する多額の損害賠償請求と不当提訴(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、うつ病を理由に退職した社員に対する損害賠償請求と反訴請求に関する裁判例を見てみましょう。

プロシード元従業員事件(横浜地裁平成29年3月30日・労判1159号5頁)

【事案の概要】

本訴は、Y社が、Y社に勤務していたXが虚偽の事実をねつ造して退職し、就業規則に違反して業務の引継ぎをしなかったこと(Y社主張の被告の不法行為)が不法行為に当たるなどと主張して、Xに対し、不法行為に基づき、1270万5144円の損害賠償+遅延損害金の支払を求めた事案である。

反訴は、Xが、Y社ないしその代表取締役によるXへの退職妨害、本訴の提起及び準備書面による人格攻撃(X主張の原告の不法行為)が不法行為ないし違法な職務執行に当たるなどと主張して、Y社に対し、不法行為又は会社法350条に基づき、330万円の損害賠償+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社の本訴請求を棄却する。

Y社は、Xに対し、110万円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 訴えの提起は、提訴者が当該訴訟において主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものである上、同人がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たのにあえて提起したなど、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く場合に限り、相手方に対する違法な行為となる(最高裁昭和63年1月26日第三小法廷判決・民集42巻1号1頁)。本訴は、Xが虚偽の事実をねつ造して退職し、就業規則に違反して業務の引継ぎをしなかったというY社主張のXの不法行為によってY社に生じた1270万5144円の損害賠償を求めるものであるところ、前記認定したXのY社退職に至る経緯並びに前記に認定したY社退職後の就労状況に照らすと、Y社において、Y社主張のXの不法行為があるものと認識したことについては全く根拠がないとまでは断じ得ないとしても、前記に説示したとおり、Y社主張のXの不法行為によってY社主張の損害は生じ得ない。
そうすると、Y社主張のXの不法行為に基づく損害賠償請求権は、事実的、法律的根拠を欠くものというべきであるし、Y社主張のXの不法行為によってY社主張の損害が生じ得ないことは、通常人であれば容易にそのことを知り得たと認めるのが相当である。
それにもかかわらず、Xに対し、Y社におけるXの月収(額面約20万円)の5年分以上に相当する1270万5144円もの大金の賠償を請求することは、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くというべきである
したがって、Y社による本訴の提起は、Xに対する違法な行為となる。

2 民事訴訟においては、裁判を受ける権利の行使として自由な主張立証活動が保障されなければならず、その主張立証行為の中に相手の名誉等を損なうような表現が含まれていたとしても、相手を誹謗中傷する目的の下にことさら粗暴な表現を用いた場合など、著しく相当性を欠く場合でない限り、不法行為を構成するものではないと解するのが相当である。
これを本件について見るに、「XがY社を欺くために躁うつ病のふりをしている。」との準備書面の記載は、まさに、Xが躁うつ病であるという虚偽の事実をねつ造して退職し、業務の引継ぎを行わなかったとする、本件訴訟におけるY社の請求内容そのものである。また、「Xが躁鬱病という病を選んだ理由は他にもある。それは、①Xの母は、長期間に渡り鬱病を罹患しており、自殺未遂の経験もある。その母親をやはり長期に渡り間近で見ていたので、一番安易にマネが出来ること、②最近の社会現象ともなっているメンタル性の病であれば、簡単に業務から離れ易いこと、などが挙げられる。そして見事に鬱病を演じきっただけでなく、挙げ句の果てに、Y社やY社の顧客を納得させる理由(診断書の提出)の説明責任すら放棄したのである。」との準備書面の記載も、Xが躁うつ病のふりをしているとのY社の主張を裏付けるために、その主張内容に即して記載されたものであると認められる。
そうすると、後者の記載にはいささかX及びXの母への配慮に欠ける面があるにしても、著しく相当性を欠くものとしてXに対する不法行為を構成するに足る違法性を有するものとはいえない。なお、Xの母への人格攻撃に関するXの主張は、権利主体が異なるため、失当である。

上記判例のポイント1は、完全に返り討ちにあった状態です。

濫訴として訴えの提起自体が不法行為にあたることは労働事件ではそれほど多くありませんが、本件では必要以上に大きな金額を請求したこともあり肯定されています。

特に使用者が労働者を訴える場合には感情的にならず冷静に判断することが求められます。是非、顧問弁護士に相談をしましょう。

本の紹介724 ムダの片づけ方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
ムダの片づけ方

あらゆる意味で「ムダ」の片付け方を説いています。

つまり、机の上だけではなく、ムダな考え方、ムダな人間関係をいかに排除するかということです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

あなたのデスクの上の物を捨てると、あなたに対する上司の評価はガラリと変わる。なぜなら、上司はデスクの上が美しい部下を信用するからだ。あなたが上司になったことを想像してみよう。デスクの上が物で溢れ返っている人間に、頼み事をするだろうか。・・・とても怖くて、そんな部下には頼み事はできないはずだ。デスクの上が美しいということは、もうそれだけで実力なのだ。」(86~87頁)

部下のみなさん、みなさんも上司になればわかります(笑)

机の上がごちゃごちゃな人は、心に余裕がないんだろうな・・・と推測してしまうのです。

日々大量の仕事を処理しなければならないのはみんな同じです。

そんな中でも、ある人の机の上はいつ見ても美しいってこと、ないですか?

もうそれだけで「この人、仕事ができるな」と思ってしまいます。

忙しいのはみんな同じです。

言い訳を探している時間があるのなら、その時間で机をきれいにしましょう。

すべては習慣の問題です。

解雇244 業務消滅を理由とする整理解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、業務消滅を理由とする整理解雇を有効と認めた裁判例を見てみましょう。

H協同組合事件(大阪高裁平成29年2月3日・労経速2316号3頁)

【事案の概要】

本件の本訴は、Y社の従業員であったが、平成26年3月20日に解雇されたXが、解雇は無効であるとして、①労働契約上の地位の確認と、②平成26年2月21日から判決確定まで(将来分を含む)毎月15万円の賃金+遅延損害金の支払を請求する事案であり、

反訴は、Y社が、Xに対し、Xは、平成23年7月から平成26年1月まで、労働契約に含まれていないと知りながら、通勤費等の名目で毎月5万円を利得したとして、不当利得返還請求権及び悪意の受益者に対する利息請求権(民法704条)により、155万円+遅延損害金の支払を請求する事案である。

原判決は、Xの請求の一部を認容し、Y社の請求を棄却したので、Y社が控訴をした。

【裁判所の判断】

原判決を以下のとおり変更する。

Xの請求をいずれも棄却する。

Y社の請求を棄却する。

【判例のポイント】

1 本件労働契約は、Y社にはXに従事させる業務が存在しないことを前提に、Xを協同組合員の工場に派遣し、協同組合員のミキサー車乗務や車両誘導等の現場立会業務に従事させ、協同組合員が支払う対価を賃金に充てることを内容とするものであるところ、平成25年には協同組合員からの派遣依頼がほぼなくなり、将来的にも派遣依頼を受けることは期待できない状況に陥っていたのであるから、本件解雇には客観的合理的理由があるといえる

2 Y社は、建交労と、Xの「職員の身分・処遇に影響を及ぼす恐れのある場合」には建交労と事前に協議するとの協定を結んでいるところ、本件解雇予告にあたり建交労と事前に協議をしていないし、少なくとも平成26年1月18日以降は、建交労からの団体交渉の申入れを正当な理由なく拒否し、ようやくもたれた同年2月28日の団体交渉においても、Y社は、整理解雇ではなく労働契約の解約であるとして、実質的な協議をしないまま解雇している
しかし、建交労は、Xが平成17年1月に甲社に雇用される時からこれに関与し、XがY社の専務理事を退任した際には、Y社が、Xに従事させる業務が存在しないことや経済的逼迫を理由に、再雇用を拒否していたにもかかわらず、Y社に強く働きかけ、協同組合員に派遣させてでもXを雇用させたものである。そして、建交労は、Y社が平成25年4月に解雇予告通知を行った際には、団体交渉によりこれを撤回させるなどしており、前回の解雇予告の撤回後のY社及びXの状況に変化がないことも理解していたはずである
建交労は、Xの雇用から本件解雇予告に至る経緯や、解雇の必要性、合理性、解雇回避努力、人選の相当性等についてY社が一貫して主張する内容等、すなわち、Y社との協議(団体交渉)においてY社が説明するであろう内容を知悉しており、これに対する建交労の主張も前回の解雇撤回時の団体交渉における説明と同様になったことからすれば、Xもその内容を承知していたことが推認できる。そして、前回、解雇を撤回したにもかかわらず、改めて本件解雇予告をしたことは、Y社において、今回は解雇予告を撤回する意思がないことを示しているものであり、他方、建交労も、本件解雇予告の撤回以外の円満解決に向けた具体的方策を提示していない
これらの事情を総合すると、Xとの協議や交渉は、平成26年2月28日の団体交渉で行き詰まり、進展の見込みがなかったといえるから、Y社は、本件解雇予告前に建交労と事前に協議をせず、その後も、必ずしも誠実に協議をしたとはいえないものの、この点を考慮しても、本件解雇は社会通念上相当なものではない(解雇権を濫用したもの)とまではいえない

一審と控訴審で判断が分かれているとおり、ぎりぎりの判断です。

特に上記判例のポイント2の判断は、担当裁判官の考え方1つで変わり得るところなので、この裁判例を実務に活かすということはなかなか難しいです。

こういう判断もありうるよ、という程度ですかね。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介723 コピーキャット(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
コピーキャット―模倣者こそがイノベーションを起こす

模倣をポジティブに捉え、いかに模倣すべきかを説いています。

いろいろな例が挙げられており、とてもわかりやすいです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

冷静に考えれば、真似をしている時期の企業は競争力も強い。逆に他社が真似をしているとこぼす側は落ち目であることが多い。」(194頁)

我流は駄目だ、生きている時間が少ないから。先例から教訓を学ぶ」(200頁)

「模倣者こそがイノベーションを起こす」というサブタイトルからもわかるとおり、他社のいいところをどんどん模倣していこうということです。

最初から我流だと時間がかかりすぎるのです。

真似をして、形を少し変える。

こんなことはいつの時代もどこの業界でも行われていることです。

1から10まで我流なんて時間がもったいない。

時間がいくらあっても足りません。

真似をして、形を少し変える。 これでいいのです。