Author Archives: 栗田 勇

本の紹介2246 武器としての投資(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

サブタイトルは「AI時代を生き抜く資産とキャリアの築き方」です。

終始一貫して「オーナーシップ」の重要性について説かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私たちはしばしば『資産=お金と考えがちですが、本来の資産とはもっと多面的です。スキル、信頼、健康、時間、体力、人間関係、名声や信用-こうした無形の資産の積み重ねを含めて、私たち一人ひとりの『人生のバランスシート』は形づくられていきます。」(224頁)

資産には、有形・無形の両方があります。

有形資産にばかり目が奪われがちですが、資産は決して目で見えるものばかりではありません。

金融資産だけでなく、人生それ自体のBSを意識しながら人生設計をすると、時間やお金の使い方が大きく変わってくると思います。

10年、20年年上の方々を見るにつれ、有形・無形の資産を積み重ねてきた人と、そうでない人では、人生の後半戦の景色が残酷なまでに異なることを感じます。

すべては日々の積み重ねですので、一朝一夕にはいきません。

一発逆転を狙わず、日々、凡事徹底を繰り返すほかありません。

賃金302 運賃着服等を理由とする退職手当不支給処分の適法性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間お疲れ様でした。

今日は、運賃着服等を理由とする退職手当不支給処分の適法性に関する裁判例を見ていきましょう。

京都市(懲戒免職処分取消等請求)事件(最高裁令和7年4月17日・ジュリ1613号4頁)

【事案の概要】

本件は、Y市が経営する自動車運送事業のバスの運転手として勤務していたXが、運賃の着服等を理由とする懲戒免職処分を受けたことに伴い、Y市公営企業管理者交通局長から、Y市交通局職員退職手当支給規程8条1項1号の規定により一般の退職手当等の全部を支給しないこととするを受けたため、Y市を相手に、上記各処分の取消しを求める事案である。

原審は、上記事実関係等の下において、本件懲戒免職処分は適法であるとしてその取消請求を棄却すべきものとした上で、本件全部支給制限処分の取消請求を認容した。

【裁判所の判断】

原判決中Y市敗訴部分を破棄する。
前項の部分につき、Xの控訴を棄却する。

【判例のポイント】

1 本件規定は、懲戒免職処分を受けた退職者の一般の退職手当等について、退職手当支給制限処分をするか否か、これをするとした場合にどの程度支給しないこととするかの判断を管理者の裁量に委ねているものと解され、その判断は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したと認められる場合に、違法となるものというべきである(最高裁令和5年6月27日判決参照)。
本件着服行為は、公務の遂行中に職務上取り扱う公金を着服したというものであって、それ自体、重大な非違行為である。そして、バスの運転手は、乗客から直接運賃を受領し得る立場にある上、通常1人で乗務することから、その職務の性質上運賃の適正な取扱いが強く要請され、その観点から、Y市交通局職員服務規程において、勤務中の私金の所持が禁止されている(20条)。そうすると、本件着服行為は、Y市が経営する自動車運送事業の運営の適正を害するのみならず、同事業に対する信頼を大きく損なうものということができる。

2 また、本件喫煙類似行為についてみると、Xは、バスの運転手として乗務の際に、1週間に5回も電子たばこを使用したというのであるから、勤務の状況が良好でないことを示す事情として評価されてもやむを得ないものである。
そして、本件非違行為に至った経緯に特段酌むべき事情はなく、Xは、それらが発覚した後の上司との面談の際にも、当初は本件着服行為を否認しようとするなど、その態度が誠実なものであったということはできない。
これらの事情に照らせば、本件着服行為の被害金額が1000円でありその被害弁償が行われていることや、Xが約29年にわたり勤続し、その間、一般服務や公金等の取扱いを理由とする懲戒処分を受けたことがないこと等をしんしゃくしても、本件全部支給制限処分に係る本件管理者の判断が、社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものということはできない。
以上によれば、本件全部支給制限処分が裁量権の範囲を逸脱した違法なものであるとした原審の判断には、退職手当支給制限処分に係る管理者の裁量権に関する法令の解釈適用を誤った違法があるというべきである。

Xが公務員だから、でしょうか。

この事案でXは1211万4214円の退職手当等全額の支給がされなくなります。

バランスがとれているといえるでしょうかね。

一般企業で同種事案が発生した場合には異なる結論になるかと思います。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介2245 最強の集中術(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

気が散るモノで溢れかえっている中で1つのことに集中することは簡単なことではありません。

この時代にじっくり1冊の本を読み込むことができる人はそう多くはないように思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

トライアスロンの世界選手権、アイアンマン大会で史上初の5回連続優勝を達成したマーク・アレンは、『あなたの原動力は何ですか』という問いにこう答えている。『何の大会であれ、勝つこと自体は添えものにすぎない。自分の力を把握し、今までの自分を超えることこそが、本当の成功なのだ』」(162頁)

成長・向上にフォーカスしている証です。

人生の本質的価値をどこに求めるかによって、その人の人生が決まるといっても過言ではありません。

正解・不正解ではありません。

自分の人生をどのように構築していくのかという純主観的な価値観・人生観です。

このことを、人生のできるだけ早い段階で意識できると、その後の人生設計が大きく変わってくると思います。

派遣労働35 派遣労働契約の雇止めが有効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、派遣労働契約の雇止めが有効とされた事案について見ていきましょう。

マイケル・ペイジ・インターナショナル・ジャパン事件(東京地裁令和7年5月27日・労経速2598号33頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と派遣労働契約を締結し、派遣先の業務に従事していたXが、
(1)XとY社の派遣労働契約が期間満了により終了したこと(雇止め)につき、Xにおいて派遣労働契約が更新されると期待することについて合理的な理由があり、また、上記雇止めは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当とはいえず、無効であるとして、Y社に対し、①労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、②上記雇止め後の未払賃金+遅延損害金の支払を求め、
(2)(1)の雇止めは、Xに対する不法行為に当たり、これによりXは精神的苦痛を被ったとして、Y社に対し、不法行為に基づき、慰謝料+遅延損害金を求め、
(3)Y社の社員であるAが、派遣先がXの業務遂行に問題がある旨言っているなどと虚偽の事実を記載したメールをXに送した行為は、Xに対する不法行為に当たり、これによりXは精神的苦痛を被ったとして、A及びY社に対し、不法行為及び使用者責任に基づき、慰謝料及びこれに対する遅延損害金の連帯支払を求め、
(4)前記(1)の請求に係る予備的請求として、前記(1)の雇止めにより1年間の雇用継続についてのXの期待権が侵害されたとして、Y社に対し、不法行為に基づき、上記雇止め後の残期間の賃金相当損害金+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 労働者派遣法は、派遣労働者の雇用安定のみならず、派遣先の常用労働者の雇用安定も立法目的とし、派遣期間の制限規定を設ける(労働者派遣法40条の2)などして上記目的の調和を図っており、同一の労働者を同一の派達先に長期間継続して派遣することは、常用代替防止の観点から、本来、労働者派遣法の予定するところではないから、派遣元と派遣先との労働者派遣契約の存在を前提とする登録型の派遣労働契約について、派遣ではない通常の労働契約の場合と同様に雇用継続
の期待に対する合理的な理由を認めることは、一般に困難であると解される。

2 本件では、X自身の不適切、不誠実な対応により、A社は、Y社との労働者派遣契約を更新しないと判断し、Y社とA社との労働者派遣契約が終了し、それに伴い、XとY社との派遣労働契約も終了するに至ったこと、Xの上記対応は、傷病により欠勤するときは派遣先に通知しなければならない
旨定めるY社の派遣社員就業規則に反するものと認められること、XとY社との派遣労働契約は
1回しか更新されておらず、XがA社で稼働した期間も合計2か月余りにとどまることも考慮すると、XとY社との派遣労働契約について、Xがその更新を期待することに合理的な理由があると認めることはできない。

上記判例のポイント1の考え方が根底にあるため、派遣社員の雇止め事案は、労働者にとっては相対的にハードルが高くなります。

日頃から労務管理については、顧問弁護士に相談しながら行うことが大切です。

本の紹介2244 竹中式マトリクス勉強法#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。

今から13年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

2008年に出版された本ですが、時代が大きく変わった今読んでも全く遜色ありません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

目標を立てたら、次は実現するための具体的な勉強計画を練る段階です。このとき重要なのが、すべての勉強に締切りを設定すること。もちろん、ゴールから逆算して計画を練るのです。」(50頁)

勉強も仕事も締切りを設定することに加え、できるだけ早く着手することと、日々の投下時間を増やすことがとても重要です。

当たり前のことかもしれませんが、大切なことはいつだって当たり前のことです。

当たり前のことを当たり前にやり続けることがどれほど大切で、どれほど大変か。

人生は習慣によって作られます。

人生の違いは、習慣の違いによるのだと確信しています。

解雇437 就業時間中、会社の制服を着用した状態で、外部から見える駐車場内において、社用車に接近した状態で放尿した運転手に対する解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、会社の制服を着用した状態で、外部から見える駐車場内において、社用車に接近した状態で放尿した運転手に対する解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

A東京事件(東京地裁令和6年10月4日・労経速2578号19頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約を締結したXが、Y社に対して、Y社のXに対する解雇が無効であると主張して、次の各請求をする事案である。
(1) 雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認
(2) 雇用契約に基づき、賃金286万3450円(令和4年11月分から令和5年3月分までの賃金)+遅延損害金の支払
(3) 雇用契約に基づき、令和4年12月から本判決確定の日まで、毎年6月30日及び12月31日限り、賞与16万円+遅延損害金の支払

【裁判所の判断】

1 解雇無効
→バックペイ

【判例のポイント】

1 〈1〉Xは、Y社から運転マナーを身に付けるよう指導を受けていたにもかかわらず、令和4年8月2日、就業時間中、やむを得ない事情もないのに、Y社の会社ロゴが記載された被告所有の本件車両に接近した状態で本件車両に尿が掛かる可能性が高いことを認識しながら本件行為を行った(本件行為は、軽犯罪法1条26号に該当する。)。その際、本件行為を目撃した第三者からAに連絡された。
〈2〉その後、Xは、Y社に対し、本件店舗のトイレがコロナ(新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため)で使用できなかったと説明したが、かかる説明は事実に反しており、このことをXも認識していた。
〈3〉Xは、Y社からの事情聴取等に当初は応じていたものの、同年8月26日及び同年9月9日の面談を欠席し、少なくとも同年9月9日の面談の欠席に合理的な理由は認められない。
〈4〉Xは、Y社において、1か月に1回以上洗車する旨の清掃ルールが定められていたにもかかわらず、同年4月から同年8月2日までの間、本件車両の定期的な洗車を行わず、また、本件車両内の清掃を少なくとも十分に行わず業務書類13枚等を散乱させた。

2 本件行為自体は1回の行為であり、同様の行為が複数回行われる中で本件行為が行われたと認めるに足りる的確な証拠はないこと、本件行為後、Xが複数回Y社との面談に応じ、Y社に始末書を提出し、X訴訟代理人弁護士を通じ協議の意向を示していたこと、Xが本件車両内の片付け等についてY社から指導を受けたと認めるに足りる的確な証拠がなく、本件車両内部に業務書類が存在したことをもって直ちに運転手としての就業に適しないとまでは認められないこと、Xが車外を清掃しないことにより本件車両を大きく汚損したと認めるに足りる証拠がないこと、Xの運転手としての業務について、遅刻や欠勤はなく、Xが与えられた業務を行い、他に特段の問題までは認められないことからすれば、Y社が主張するその余の事情を踏まえ検討しても、Xの勤務成績が不良で就業に適さず、又は、これに準ずる重要な事由があるとして、上記各解雇事由に該当するとまでは認めるに足りない。

3 仮にXが上記各解雇事由に該当すると認められたとしても、上記の事情に加え、本件行為が、第三者によりAに連絡される事態となったものの、本件行為当時に本件車両がBの名称が記載されたトレーラーを牽引しておらず、Bとの取引に影響を及ぼしていないこと、本件行為は故意に本件車両を汚損する行為であるが、本件車両の使用が困難になるなどしたという事情までは直ちに認められないこと、Xが本件車両の清掃等を怠ったことによってY社の業務に影響を及ぼしたとまでは認められないこと、Xが過去に懲戒処分等を受けたことがないことからすれば、Y社が主張するその余の事情を踏まえ検討しても、本件解雇が社会通念上相当であるとは認められない

諸般の事情からすれば、Y社がXを解雇すると判断したことは無理もないと思いますが、裁判所の判断は上記のとおりです。

解雇のハードルの高さがよくわかります。

日頃から顧問弁護士に相談をすることを習慣化しましょう。

本の紹介2243 コンサルタントの勉強法(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

仕事の成果に結びつかない勉強は、勉強ではない」と断言します。

あくまでビジネスで成功するために必要な勉強について書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

大切なのは、『トイレに入る』『電車に乗る』『エアロバイクにまたがる』というように、勉強をするのに最適な環境になったときに、すぐに勉強に入れるようにあらかじめ本や教材を用意しておくことだ。そして気持ちをすぐに、勉強モードに切り替えることも大事。」(89頁)

方法論で言えば、こういうことになります。

もっとも、この時代、やり方それ自体はみんな容易に知ることができます。

成果の差は、「知っている・知らない」の差ではなく、「やるか・やらないか」の差なのです。

やる気がない人は方法論を知ろうとしないですし、知る機会があっても素通りするのが世の常です。

人生を「成長・向上」という視点で組み立てているかどうか、なのだと思います。

労働時間122 1年単位の変形労働時間制の適用が否定された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れ様でした。

今日は、1年単位の変形労働時間制の適用が否定された事案を見ていきましょう。

ヤマダ工業事件(東京地裁令和7年6月27日・労判ジャーナル165号30頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、退職後、Y社に対し、時間外労働等に対する割増賃金が支払われていないと主張して、雇用契約に基づき、未払割増賃金並びに労基法114条に基づき、付加金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 1年単位の変形労働時間制を実施するためには、労使協定を書面で作成し、これを締結する必要があり、この労使協定において、〔1〕対象労働者の範囲、〔2〕対象期間、〔3〕特定期間、〔4〕労働日及び労働日ごとの労働時間の特定、〔5〕労使協定の有効期間について定めておかなければならないが(労働基準法32条の4)、労働者への影響が大きいことから、いったん特定された労働日を対象期間の途中で変更することは許されないと解されるところ、従業員代表との間で1年単位の変形労働時間制に関する労使協定の締結自体はされているものの、Xは、かかる労使協定によって労働日とされていない法定休日や所定休日に多数勤務している実態があり、労働基準法32条の4が求める労働日等の特定の要件が満たされているとはいえないから、Y社における1年単位の変形労働時間制は無効といわざるを得ず、Xに1年単位の変形労働時間制を適用することはできない。

変形労働時間制の運用は、みなさんが考えているよりも大変です。

どれほどの会社がちゃんと運用できるのでしょうね。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介2242 本気ではじめる大人の勉強法(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

日常生活に勉強が組み込まれている人が、意識的にやっていることをまとめた本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

仕事だけでは、知識、経験が分散してしまう。教育研修やセミナーなどのoff-JTは、これまでの仕事を整理し、理論家、体系化していくことができ、ステップアップには不可欠である。仕事で学ぶのがフローで、教育がそれをストックにする。」(20頁)

OJTとoff-JTは車の両輪のため、どちらが欠けてもいけません。

両者のバランスが大切です。

毎日、早朝と寝る前にインプットの時間を設けることを習慣にするといいですね。

加えて、多忙な中においても、定期的にセミナーに参加したり、自分のメンターと話をする等して、知識と意識のブラッシュアップを図る必要があります。

すべては「習慣」です。

賃金301 トラック運転手の乗務手当の固定残業代性及び出来高払制賃金該当性が否定された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、トラック運転手の乗務手当の固定残業代性及び出来高払制賃金該当性が否定された事案

東輪ケミカル事件(福岡地裁小倉支部令和7年3月27日・労判ジャーナル161号20頁)

【事案の概要】

本件は、第1事件において、Y社と雇用契約を締結してトラック等の運転手として稼働してきたA、B及びCが、Y社に対し、雇用契約に基づく未払割増賃金及び労働基準法114条所定の付加金等の支払を来め、第2事件において、Aらが、Aらの組合活動を理由に、令和4年1月からAらに長距離及び休日の乗務を割り当てず、時間外労働をさせない措置を執った会社の行為は不当労働行為(労働組合法7条1号、3号)であり、Aらは、令和4年1月分以降の各月の賃金と時間外労働をしていた令和3年12月分までの賃金との差額相当額の損害を被り、全国一般労働組合福岡地方本部は組合活動に対する無形の損害を被ったと主張して、Y社に対し、不法行為に基づく損害賠償等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

未払割増賃金一部認容

損害賠償等請求認容

【判例のポイント】

1 乗務手当との名称からは時間外労働の対価が含まれることが明らかでなく、給与明細にも乗務手当に時間外労働の対価を含む旨の記載はないから、雇用契約上,乗務手当時間外労働分が時間外労働の対価として支給されていたとは認められず、乗務手当は、時間外労働分も含め、全額が基礎賃金に算入される。

2 乗務手当の出来高払制賃金への該当性について、Y社が、各給与期間の走行距離と1km当たりの単価、これに応じて算出された同期間の乗務手当支給額を記載した就業明細書(計算書)を運転手らに毎月交付していたことに照らせば、走行距離に応じて乗務手当を支払うことが雇用契約の内容となっていたというべきであるから、乗務手当は、その金額を、出来高払制賃金(労基則19条1項
6号)として、基礎賃金に算入すべきである。

上記1は、固定残業制度の基本中の基本ですので、しっかりと押さえておきましょう。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。