Author Archives: 栗田 勇

本の紹介2226 人と競わない勉強法#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から9年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

著者は弁護士の方です。

早い段階から人生設計をし、目標に向かって準備をすることの大切さを再認識できます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

自分の能力など、多くの人が持っているものだろうと思う人は多いかもしれませんが、その通りです。しかしその能力と自分ならではの夢が結びつくと、同じような人はそういません。さらにあなたのネットワークや環境を加えると、決して同じ人間はいないのです。」(20頁)

そうなのです。

ビジネスは、全人格的な競技であることを忘れてはいけません。

知力も体力もネットワークもすべてが関係しています。

手持ちの武器を増やし、磨くとともに、それらを単体として評価するのではなく、掛け算をするのです。

そして、IQだけでなく、愛嬌もお忘れなく。

今後ますます人間としての魅力(かわいげ)が重要になってきますので。

不当労働行為321 組合脱退勧奨拒否後の自宅待機命令等の違法性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間がんばりましょう。

今日は、組合脱退勧奨拒否後の自宅待機命令等の違法性に関する裁判例を見ていきましょう。

大浜資材事件(大阪高裁令和6年12月5日・労判1337号16頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されているXらが、本件自宅待機命令が無効であると主張して、自宅で勤務する雇用契約上の義務のないことの確認を求めるとともに、本件勧告及び本件自宅待機命令がいずれも不法行為に当たると主張して、X1が345万8119円の、X2が361万8826円の損害賠償+遅延損害金の支払を求めた事案である。

原審は、本件訴えのうち自宅で勤務する雇用契約上の義務のないことの確認を求める部分を却下し、損害賠償請求をX1につき275万8119円、X2につき291万8826円及びこれらに対する前同様の遅延損害金の支払を求める部分に限り認容し、その余を棄却した。

Xらは、損害賠償請求の請求棄却部分を不服として控訴を提起するとともに、X1につき123万0370円、X2につき129万2176円及びこれらに対する遅延損害金を更に支払うことを求めて訴えを変更した。

【裁判所の判断】

1 Xらの控訴及びY社の控訴をいずれも棄却する。
2 Y社は、X1に対し、123万0370円+遅延損害金を支払え。
3 Y社は、X2に対し、129万2176円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 広域協がY社に対し、本件組合は法令や社会的ルールを守ることができない組織であると再認識したため、本件組合に加入している従業員に対し、速やかに脱退することを勧告するよう依頼するとの文書を交付したことが認められ、これを受けてY社が本件勧告を行ったとしても、本件勧告は、Xらに本件組合から速やかに脱退することを勧告し、本件組合の組織や運営に妨害の意思をもって介入するものであるから、労組法7条3号の支配介入に当たり、不法行為法上も違法であると解すべきである。

2 本件自宅待機命令は、Y社の主張によっても、本件組合での活動について内省の機会を与えるものというのであって、Xらは本件組合に加入していることに関連して自宅待機を命じられたものというべきである。そして、これによりXらの収入は減少するのであるから、本件自宅待機命令は、労組法7条1号の不利益取扱いに当たり、不法行為法上も違法である。

組合脱退勧奨は、不当労働行為に該当し、不法行為となりますのでやめましょう。

また、業務上の必要性がない自宅待機命令も不法行為となりますので注意しましょう。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介2225 東大医学部生が書いた頭がよくなる勉強法#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間お疲れ様でした。

今日は、本の紹介です。

今から13年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

いわゆる「頭がいい」人がどのような習慣を持っているのかを知ることができます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

天才と呼ばれることの多い、野球選手のイチロー選手は、試合が終わると必ずビデオで自分のフォームをチェックします。その真面目さにはアメリカの大リーガーたちも舌を巻きます。イチロー選手が圧倒的な強さを誇っている背景には、持ち前の才能だけではなく、物理的に多くの時間を野球に対して割いていることもあるのです。多かれ少なかれ、各界のトップで活躍する人たちというのは、才能に加えて、多大なる時間をその世界での活躍のために振り向けています。」(159頁)

「物理的に多くの時間を野球に対して割いている」

結果を出している人たちの共通点は、もうこれに尽きるのではないでしょうか。

スポーツの世界に労働基準法が適用され、1日の練習時間が制限され、年次有給休暇の取得が義務付けられたとしたらどうなるでしょう。

勉強もまたしかり。

ワークライフバランスなんて本気で言っているトッププレーヤーは、スポーツに限らず、どの業界にも存在しない説。

解雇433 解雇無効判決後の自宅待機命令の違法性等(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 

今日は、解雇無効判決後の自宅待機命令の違法性等に関する裁判例を見ていきましょう。

西日本総合保険事件(福岡高裁令和6年6月25日・労判1337号79頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結したXが、Y社に対して、〈1〉雇用契約に基づき令和4年7月分から同年10月までの各月の未払賃金+遅延損害金の支払、〈2〉雇用契約に基づき令和4年11月から雇用契約終了までの間、毎月25日限り16万8000円の賃金+遅延損害金の支払、〈3〉雇用契約に基づき令和2年4月分から雇用契約終了までの間、毎月25日限り図書カードNEXT1000円分の交付、〈4〉賞与に係る期待権侵害(債務不履行又は不法行為)に基づき令和2年12月から雇用契約終了までの間の賞与相当損害金+遅延損害金の支払、〈5〉違法な自宅待機命令等(不法行為)に基づき慰謝料等及び同割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

原審は、上記〈2〉、〈3〉、〈4〉のうち、判決確定日の翌日以降に履行期が到来する部分について、将来請求に係るもので訴えの利益がないとして訴えを却下し、上記〈4〉のうち、令和2年12月から令和3年12月までのものについて訴訟上の信義則に反し不適法であるとして訴えを却下し、上記〈1〉の請求を認容し、その余の上記〈2〉のうち令和4年11月から令和5年1月までの賃金の一部及び遅延損害金の支払並びに同年2月から判決確定までの間の月額賃金16万8000円及び遅延損害金の支払を認容し、その余を棄却し、その余の上記〈3〉、〈4〉の請求及び上記〈5〉の請求はいずれも理由がないとして棄却した。

【裁判所の判断】

1 本件控訴及び附帯控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。
(1) 本件訴えのうち、本判決確定の日の翌日から毎月25日限り16万8000円及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員の支払を求める部分、本判決確定の日の翌日から毎月25日限り図書カードNEXT1000円分の交付を求める部分、令和2年12月25日、令和3年6月25日及び同年12月25日限り各10万8550円並びにこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員の支払を求める部分、本判決確定の日の翌日から毎年6月25日及び12月25日限り各10万8550円並びにこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員の支払を求める部分をいずれも却下する。
(2) Y社は、Xに対し、本判決別紙未払賃金一覧表の「未払賃金額」欄記載の各金員+遅延損害金を支払え。
(3) Y社は、Xに対し、令和6年4月から本判決確定の日までの間、毎月25日限り16万8000円+遅延損害金を支払え。
(4) Y社は、Xに対し、55万円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 当裁判所も、本件自宅待機命令は、当初は業務上の必要性があり、Y社に対する不法行為を構成するものではなかったと判断する。
しかしながら、Y社は、もともと令和4年7月中にはXに復職後の担当業務を伝える予定であったものであり、にもかかわらず令和5年6月30日時点で本件自宅待機命令は1年にも及んでいるもので、上記の事情があることを考慮しても、Y社としては、同日までには検討を済ませ、Xを復職させていて然るべきであったといわざるを得ない。
したがって、本件自宅待機命令は、令和5年7月1日をもって、業務上の必要性を欠く違法なものとなっており、Xの雇用契約上の地位を脅かし、その人格権を侵害するものとして不法行為を構成するに至っているといわざるを得ない。

2 本件自宅待機命令が不法行為に転化した令和5年7月1日以降、Y社は月額16万8000円の賃金を支払い続けていることなども総合考慮すると、令和5年7月以降、Xが本件自宅待機命令により被った精神的損害に対する慰謝料としては50万円が相当と判断する。また、弁護士費用としては5万円を認めるのが相当である。

業務上の必要性を欠く自宅待機命令は、仮に賃金を支払い続けていたとしても、不法行為となり得ますのでご注意ください。

日頃から顧問弁護士に相談をすることを習慣化しましょう。

本の紹介2224 資格試験「半年・独学」勉強法(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れ様でした。

今日は、本の紹介です。

このような本を数冊読むと、王道の勉強法がわかってきますね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

何か目標を達成しようと決めたときには、それに対するお金の投資は惜しむべきではありません。とくに書籍代や知識を得るためにする投資は、長い目で見ると非常にいい自分への投資と考えることができます。」(54頁)

特に若いうちは、自己投資が最もリターンが大きいです。

株式投資と同様、まずはタネ銭をつくることがとても重要です。

人生の早い段階で、自分の商品価値を高めるための努力をする。

みんなが遊んでいるうちにがむしゃらに勉強し、猛烈に働く。

その結果、労働収入が増えていき、それをベースとして次第に自分以外の金融商品に投資をしていく。

FIREの「RE」には関心がなくても、「FI」を獲得している人たちの歩んできた王道です。

解雇432 調査協力指示違反等を理由とする普通解雇が有効された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 

今日は、調査協力指示違反等を理由とする普通解雇が有効された事案を見ていきましょう。

X社事件(東京地裁令和7年2月7日・労経速2589号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用され特定有料老人ホームの施設長等を務めていたXが、Y社に対し、雇用契約に基づき、①令和3年4月16日付でした同年5月30日をもって普通解雇する旨の意思表示が無効であると主張して、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、②本件解雇前に支払われた令和3年4月分及び同年5月分の給与につき、されるべきであった昇給がされなかったと主張して、支払われた賃金と昇給後の賃金との差額1万円(各月5000円)+遅延損害金の支払、③民法536条2項に基づき、本件解雇後の賃金(令和3年6月分から本判決確定まで。ただし令和3年から令和6年まで毎年4月に月額5000円の定期昇給がされたとした場合の賃金額。)及び賞与(令和3年夏季から令和5年冬季)+遅延損害金の支払を、それぞれ求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xの上記各業務命令違反行為のうち、特に本件調査協力指示違反については、Y社の従業員に対する安全配慮義務の履行を困難にするものと言わざるを得ず、企業秩序の維持に重大な影響を与えたといえる。また、本件立入禁止命令違反についても、これまで良好な関係を維持していた重要な取引先である本件医療法人及びXグループとの関係を破壊しかねないものであり、実際、Y社が、本件病院から、口頭での叱責にとどまらず、院長名義の書面での抗議を受けたことからしても、その影響が小さいとはいえない。
したがって、違反の程度が軽度であるとは到底いうことができない

2 また、Xは、Y社から本件訪問1に係る報告書の提出を求められた際、B専務に対し、激しい口調で「よくこういうメールが来れるなと。報告書出せと。親分(判決注:A会長)のこと助けに行ったのが。」、「Aも守れない人たちだったら辞めたらどうですか。」と述べ、本件訪問1はA会長の妻であるDの依頼でA会長を助けたのであるから何ら問題はなく、むしろ報告書を出すように命令する社長やB専務がY社を辞めるべきである旨の発言をし、その後、報告書を求める理由(本件病院で混乱が生じたと聞いており、今後、本件訪問1について病院側から詳細な説明を求められた場合の対応として必要であること)を説明した上で出した2度にわたる提出命令に対しても、「報告書を提出するのであればDに提出する」などと独自の見解を述べてこれを拒否した。
また本件立入禁止命令のわずか3日後に本件訪問2を敢行し、その理由として、A会長の親族から「A会長が快適に療養生活を送れるよう、医師及び看護師の医療的ケアの及ばない精神的なケアをするように個人的に依頼」されたと回答し、「貴社がその内容をあれこれ詮索すべき範疇を超えていると考えられます。」として、Y社が本件訪問を制限する理由もなければ、報告を求める権限もないとの考えに固執し、全く歩み寄りの姿勢を見せることがなかった

3 さらに、本件調査に当たっても、Y社から、本件調査委員会が中立性及び公平性に配慮して組織されたこと、及びY社に安全配慮義務違反がなかったとの結論を得るためにはXによる事実・資料の提示が必要であることを説明され、協力を指示されたにもかかわらず、不公正な調査が行われているとの考えを変えることなく、本件調査委員会への協力を拒み、本件接触行為に至ったといえる。
このようなXの姿勢は、本件調査委員会による調査結果が出された後、Y社から、本件調査委員会の調査における言動やそれによってY社や役職員に与えた影響等について、どのように受け止めているかを回答するよう求められた際、「事前に関係者への接触については、株式会社Xより、禁止されていませんでした」、「お会いしてくれた方は自らの意思で応じてくれました。」、「私の言動が貴社や役職員へどのような影響を与えたのでしょうか。」と述べるなど、本件解雇に至るまで変わることがなかったと言わざるを得ない。
そうすると、Xは、今後も、Y社からの指揮命令に対し、自己の考えに固執し、歩み寄りをせず、これに従わない可能性が相当程度あると言わざるを得ない

4 さらに、Y社は、全従業員が60名程度の中小企業であり、東京本社(従業員8名程度)、本件秘書室、本件施設及び北海道A市にて営業する「グループホームX」で構成されているところ、Xが本件ハラスメント言動及び本件不適切言動をしたと認識している以上、Xを本件施設及び同様の介護施設である「グループホームX」に配置することはできず、本件秘書室も、本件病院が了承しないため、配属の可能性はない。そして、上記各業務命令違反はいずれも、Xを東京本社に配属し、社長及びB専務が上司として業務上の指揮命令を直接に及ぼす体制のもとにおいて生じたことからすれば、Xを配置可能な他の部署は見当たらず、配置転換によって解雇を回避することも困難であったと認められる。
そうすると、Y社において、今後も予想される、XがY社の指揮命令に従わないことによる業務上の支障を回避するために取り得る手段は乏しいものと評さざるを得ず、普通解雇という手段を選択することも、やむを得ないものであったと解される。

解雇事案においては、業務命令違反行為の悪質さのみならず、上記判例のポイント2、3のような視点も忘れないようにしましょう。

日頃から顧問弁護士に相談をすることを習慣化しましょう。 

本の紹介2223 一生モノの勉強法#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

今から9年前に紹介した本ですが、再度読み返してみました。

京大の鎌田先生の勉強法に関する本です。

いかに勉強時間を捻出するか、あらゆる勉強の基礎となる「読む力」の大切さ等が書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ノンフィクション作家の佐野眞一さんは、日本人に『読む力』が衰えていることを危惧しています。佐野さんによれば、『読む』というのは、ひとり読書にとどまらず、相手の気持ちを『読む』、あたりの気配を『読む』、将棋の手を『読む』ことにも通じているといいます。つまり『読む力』の減退は、単なる『活字離れ』などという次元を超えた由々しき問題であるということなのです。」(113頁)

読む力に限らず、書く力も、です。

AIの進化によって、私たち人間の基礎的な力は日々、衰える一方です。

もはやAIがないと何もできない、という時代になろうとしています。

人間がメイン、AIがサブというのはファンタジーで、実際はその逆です。

みなさんが思い描く10年後の未来は明るいでしょうか。

労働時間120 労働者が服務規律に定める時間外勤務手続きを履践していなかったとしても、使用者が労働者の時間外勤務について認識・容認していたことから、黙示の時間外勤務命令があったとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れ様でした。

今日は、労働者が服務規律に定める時間外勤務手続きを履践していなかったとしても、使用者が労働者の時間外勤務について認識・容認していたことから、黙示の時間外勤務命令があったとされた事案を見ていきましょう。

幸手市事件(さいたま地裁令和7年5月16日・労経速2589号40頁)

【事案の概要】

本件は、Y市の職員であるXが、Y市に対し、①時間外勤務手当の未払があると主張して、Y市職員の給与に関する条例に基づき、124万8592円(未払時間外勤務手当117万2324円と+遅延損害金、②労基法114条に基づき、付加金112万3683円+遅延損害金の各支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

1 Y社は、Xに対し、118万9195円+遅延損害金を支払え。
2 Y社は、Xに対し、付加金107万5198円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Xは、令和元年6月頃にも担当業務の処理に困難を来してA社会福祉課長に相談し、C主席主幹にXの担当業務の一部を引き取ってもらったことがあったが、業務負担軽減効果は一時的なものにとどまったこと、A社会福祉課長は、Xの記入のある休日登庁簿に承認印を押印することなどを通じ、Xの休日登庁の状況を把握していたと考えられ、また、令和2年3月の期末面談の際も時間外勤務命令簿によって命じられた時間外勤務の多さをXに指摘していることからすれば、Y社は、この頃までにはXが業務を遂行する上で他の職員と比較して多くの時間外勤務を要する傾向があることを認識していたものと認められる。
そして、Xの請求期間である令和2年度も、B社会福祉課長は、申し送り等によりXの上記勤務傾向を把握していたと考えられ、時間外勤務命令簿によって命じたXの時間外勤務の長さや休日登庁簿の確認を通じてXの週休日等における登庁状況を認識していたことはもちろん、日常的なXの勤務状況を事実上認識していたと考えられる。これにもかかわらず、Y社は、Xについて、業務軽減対策をとるなどの対応をしていないのであって、時間外勤務命令簿によって命じられた以外の時間外勤務についても、これを認識して容認しており、Xに対しては黙示の時間外勤務命令があったものと認めるのが相当である。
以上によれば、Xは、命令権者の指揮命令下において、時間外勤務を行ったものと認められるから、時間外勤務手当が発生することとなる。

これでは、黙示の時間外勤務命令が認定されてもやむを得ません。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介2222 東大×ハーバードの岩瀬式!加速勉強法#2(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から9年前に紹介した本ですが、再度読み返してみました。

勉強法にとどまらず、人生全般についての著者の考え方が書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『キャリアとは偶然の積み重ねで構築されていくものであり、そのつどチャンスだと思うことに全力で向かっていく過程こそがキャリアだ』と捉えるのです。」(155頁)

いわゆる「プランド・ハップンスタンス」(Planned Happenstance:計画された偶然性)というやつです。

久しぶりに聞きました(笑)

年を重ねて、過去を振り返ると、この理論がよくわかります。

目の前で起こる「偶然」をチャンスだと思えるかどうか。

そのチャンスを掴めるかどうか。

そのための準備を日頃からしているかどうか。

この過程こそが「キャリア」なのです。

賃金298 株式会社の労働者に対する賃金未払いについて、代表取締役の任務懈怠を認め、会社法429条1項に基づく損害賠償責任を認めた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れ様でした。

今日は、株式会社の労働者に対する賃金未払いについて、代表取締役の任務懈怠を認め、会社法429条1項に基づく損害賠償責任を認めた事案を見ていきましょう。

MAGUMOほか事件(東京地裁令和7年3月31日・労経速2502号42頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の経営するラーメン店の営業に携わっていたXが、XとY社との間には雇用契約が成立しているところ、令和元年8月分から令和3年1月分までの賃金が支払われていないと主張して、①Y社に対しては、雇用契約に基づく未払賃金請求として、各支払を求め、また、②Y社の代表者であるY2に対しては、会社法429条1項の任務懈怠責任に基づく損害賠償請求として、各支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

 Y社は、Xに対し、596万1420円+遅延損害金を支払え。
 Y2は、Xに対し、540万円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 株式会社の取締役は、会社との委任関係に基づき、会社に対して、善管注意義務(民法644条)及び忠実義務(会社法355条)を負い、法令等を遵守して会社のため忠実にその職務を行わなければならないところ、労働基準法は、使用者に対して賃金の全額払いを義務付けている(労基法24条)。そして、本件において、Y2には、Xに対する1年半もの長期間にわたる賃金の未払につき任務懈怠があり、かつ、その点について少なくとも重過失があったと認められる。 

2 Y2には任務懈怠につき少なくとも重過失があり、会社法429条1項により、Xに生じた損害を賠償すべき責任を負うところ、Xが現時点まで未払賃金の支払を受けることができておらず、しかも、Yらが本件訴訟の追行を放棄したというべき経過もあることを踏まえると、本件においては、XがY社に対して未払賃金の支払請求権を有しているという点を考慮しても、Xには、未払賃金相当額(540万円)の損害が生じているというべきである

会社と代表者が各自、未払賃金相当額についての損害賠償責任を負うとされています。

すごいですね・・。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。