Author Archives: 栗田 勇

本の紹介628 人は見た目が9割(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
人は見た目が9割 (新潮新書)

紹介した気になっていましたが、調べてみたらまだ紹介していませんでした。

帯には、「理屈はルックスに勝てない」と書かれています。

まさにそのとおりです。

ノンバーバル・コミュニケーションについてわかりやすく書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

同じ指示でも、Aさんが言えば従うが、Bさんが言っても従いたくない、ということは多い。内容より「誰が言ったか」の方が重要なのである。『伝達力』には能力や人格が問われるのである。ところが、その能力や人格は困ったことに『見た目』に表れるものなのだ。」(13頁)

これこそが「ノンバーバル・コミュニケーション」です。

否定したくなる事実かもしれませんが、これが真実です。

何を言うかももちろん大切ですが、それも大切なことは「誰が言うか」という点です。

同じことを言っても、他者の共感を得られる程度(=伝達力)は全く異なります。

この事実をまずは受け入れる必要があります。

Aさんが言っても聞き入れられないことを、Bさんが言うと聞き入れられる。

こんなことは日常生活や仕事ではよくあることです。

AさんとBさんの違いはどこにあるのか。 

決定的な違いはどこからくるのか。

必ず違いがあるのです。

不当労働行為161 団交における労組側出席者数を制限することの不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、学園が団交における労組側出席者を7名以内とすることを求め、労組がこれに応じないことを理由に団交を拒否したことが不当労働行為に該当するとした命令を見てみましょう。

学校法人暁星学園事件(中労委平成28年6月15日・労判1143号86頁)

【事案の概要】

本件は、学園が団交における労組側出席者を7名以内とすることを求め、労組がこれに応じないことを理由に団交を拒否したことが不当労働行為に該当するかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 従前の団交の態様や団交の開催場所の状況からして、組合側出席者の人数が団交の秩序に支障を及ぼしていたとまではいえず、24年11月27日団交に向けて議論する事項がある程度整理される状況にあったことにも鑑みると、組合側出席者が7名を超える8名で申入れにかかる議題に入ったとしても、客観的にみて、同団交の冒頭において、学園が人数制約の目的として主張する「効果的に、秩序をもって団交を行う」ことが期待できない状況にあったとはいえない

2 組合側出席者が8名であった24年11月27日団交の冒頭、学園が、組合側の出席者が7名以内でないと申入れにかかる議題には入れないと述べ、人数の制約を団交の議題に入る条件とする態度をとったことは、本件の事情に照らし、客観的にみて、「効果的に、秩序をもって団交を行う」ために上記のような条件を課す十分な理由があるとはいえず、合理的なものとは認められない

3 確かに、24年11月27日団交においては、組合が大声をあげたり、机を叩いたりするなど、紛糾する場面があった。
しかしながら、学園は、上記の紛糾する場面が生じる前である24年11月27日団交の冒頭から、組合側出席者が7名以内でないと議題には入れないと述べ、組合が受け入れる意思がないならば今日はここで終わりにすると発言している。
・・・そうすると、学園が人数を理由に団交を拒否するという態度を改めて、団交の議題に入った場合にも秩序ある団交が期待できない状況になっていたとはいえず、また、途中退席が組合側の交渉態度によってなされたともいい難い。

確かに組合側の人数の多さには意見を言いたくなることがあるのは理解できます。

ただ、今回の事案のように、7人と8人とで団交の状況が変わるかと言われれば、実際はそれほど変わらないでしょう。

それにもかかわらず、制限人数に固執してしまうと不当な団交拒否と評価されることがありますので注意が必要です。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介627 一勝九敗(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
一勝九敗 (新潮文庫)

ユニクロの柳井社長の本です。

ずっと本棚に眠っており、ようやく読むことができました。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

企業家十戒

1.ハードワーク、一日二十四時間仕事に集中する。

2.唯一絶対の評価者は、市場と顧客である。

3.長期ビジョン、計画、夢、理想を失わない。

4.現実を知る。その上で理想と目標を失わない。

5.自分の未来は、自分で切り開く。他人ではなく、自分で自分の運命をコントロールする。

6.時代や社会の変化に積極的に対応する。

7.日常業務を最優先する。

8.自分の商売に、誰よりも高い目標と基準を持つ。

9.社員とのパートナーシップとチームワーク精神を持つ。

10.つぶれない会社にする。一勝九敗でよいが、再起不能の失敗をしない。キャッシュが尽きればすべてが終わり。」(231~232頁)

従業員に求めていることではないので、鬼十則とは異なります。

まず最初に来るのが「ハードワーク」「一日二十四時間仕事に集中する」です。

ハードワークを常とする生活を送っていると、特にハードかどうかなんて意識しなくなってきます。

それが当たり前だから。

大切なのは、その状況を自らの意思で選択しているかどうかです。

同じハードワークでもやらされているのと率先してやるのでは、天と地ほど違うわけです。

絶対に負けないぞ!!という気持ちの強さがある人は底力があります。

底力こそ、土壇場でのぎりぎりの勝負に影響を与えるものなのだと確信しています。

解雇218 解雇から2年以上経過した賃金仮払いの仮処分申立て(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、賃金仮払仮処分申立却下決定が相当とされた裁判例を見てみましょう。

コンチネンタル・オートモーティブ事件(東京高裁平成28年7月7日・労経速2291号3頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社に対し、Y社がXに対して行った解雇が無効であるとして、労働契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることを仮に定めるとともに、1か月当たり73万2452円の月例給与として、平成26年7月から平成27年11月までの支給分に当たる合計1245万1684円及び同月12月以降毎月25日限り73万2452円を仮に支払うことを求める事案である。

【裁判所の判断】

抗告棄却

【判例のポイント】

1 Xは、不動産事業収入について、所得金額は36万6335円であって、家計に入ってくる収入は1か月3万0530円であると主張するが、不動産事業に係る経費には減価償却費などがあり、一概に所得金額が手取りの収入金額であるとはいえないところ、Xはその内訳について明らかにしていないことに照らし、Xの主張は採用しない
また、Xは、平成28年3月時点で、債権者世帯の預貯金額は269万円程度となっていると主張するが、本件解雇から既に2年以上が経過しているのであって、Xとしては、これまでの間、本案訴訟を提起することは十分可能な状態であったのであることに照らすと、Xの主張する前記事情を考慮しても、仮の地位を定める仮処分命令における保全の必要性の有無についての前記判断を左右するものではない

解雇から2年以上が経過していることを考慮し、保全の必要性を否定したものです。

その間に本訴を提起できたでしょ、ということです。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介626 逆転思考(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
逆転思考 400以上の新規事業から導かれた ありえない成功のルール

帯には「他の人とは逆を行かねばならない」と書かれています。

特に目新しさはありませんが、そのとおりです。

著者は、本の中で挑戦すること、失敗すること、適応することが大切だと説いています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

一生、競争を避けて生きるのは、競争を勝ち残っていくよりも難しいのではないでしょうか。いつかどこかで競争しないといけないのであれば、早くから競争に慣れ、正しい競争の仕方を覚えておくべきです。
現状を肯定したいだけのオンリーワンや、競争からの逃避であるブルーオーシャン探しは意味がありません。」(139~140頁)

ある意味、逆転思考です。

ブルーオーシャン探しを「競争からの逃避」と捉える発想、私は嫌いではありません。

ニッチな世界で生きるよりも激しい競争に晒される戦場で勝ち残る力を身につけたいと思ってしまいます。

やり方よりもあり方、すなわち、姿勢の問題でしょうか。

競争から逃げるという姿勢からは強さを感じることはできません。

強くありたいと思えば思うほど、厳しい道を選びたくなってしまうのでしょう。

派遣労働25 登録型派遣社員の地位確認請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、派遣労働者の派遣事業者に対する地位確認等請求に関する裁判例を見てみましょう。

セールスアウトソーシング事件(東京地裁平成28年6月21日・労判ジャーナル56号50頁)

【事案の概要】

本件は、労働者派遣事業者であるY社との間で雇用契約を締結した派遣労働者Xが、その雇用契約に雇用期間の定めはなく、仮に雇用期間の定めがあったとしても、労働契約法19条により更新されて現在まで存続しており、未払賃金があるなどと主張して、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認並びにその雇用契約に基づく未払賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

地位確認請求は棄却

未払賃金等支払請求は一部認容

【判例のポイント】

1 X・Y社間の雇用契約はいわゆる登録派遣であり、本件契約書上も、派遣社員として雇用する契約であること、派遣期間は平成26年9月30日までであること、契約更新は派遣先の判断基準によることがそれぞれ明記されているうえ、派遣労働者が利用した「ショットワークス」は、短期や単発のアルバイトや派遣社員向けの求人情報サイトであったことが認められること等から、派遣労働者が10月以降の雇用継続を期待していたとしても、その期待に合理的理由があるとは認めがたく、労働契約法19条所定の他の要件について検討するまでもなく、X・Y社間の雇用契約が更新されたものとみなすことはできないから、X・Y社間の雇用契約は9月30日をもって雇用期間満了により終了しており、現在まで存続しているとみる余地はないから、派遣労働者の地位確認請求には理由がない。

2 Xは9月後半も本件契約書所定の労務を提供する意向を示していたが、Y社はこれを拒否し、Xの労働債務の履行が不能になっていたと認められること等から、Y社は、派遣労働者に対し、9月16日から30日までの賃金を支払うべき義務を負い、同期間の賃金額については、9月1日から15日までの賃金と同額の7万2800円をもって相当である。

上記判例のポイント1については労働者側にはハードルが高い論点ですね。

一方、判例のポイント2については妥当な判断です。

派遣元会社も派遣先会社も、対応に困った場合には速やかに顧問弁護士に相談することをおすすめします。

本の紹介625 心構えが奇跡を生む(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。
新版 心構えが奇跡を生む

ナポレオン・ヒルさんの本です。

タイトルがいいですね。

まさにすべては心構え次第ということです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

かつてエイブラハム・リンカーンは次のようなことを言った。
『私がみたところ、幸福の度合いとは、気持ちの持ちようでほぼ決まってしまうようだ』
個人差というものはそんなに大きいものではない。そのわずかな差が大きな違いのもととなる。その『わずかな差』というのが心構えだ。つまり積極的なのか、それとも消極的なのか、ということだ。」(247頁)

勝敗を分けるのは、どんな時も、日々のほんのわずかな差の積み重ねです。

「わずかな差」を意識し、日々、それを継続できるかどうかがすべてです。

決めたことは必ずやる、という心の習慣をつけることが最も大切です。

楽な道は選ばないという心構え

自分の力を弱める道は選ばないという心構え

このような心構えがあるからこそ、つらいときに踏ん張れるのです。

競業避止義務20 競業禁止合意に基づく損害賠償請求が棄却された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、競業禁止合意に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

リンクスタッフ事件(大阪地裁平成28年7月14日・労判ジャーナル56号31頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が元従業員に対し、両者間では退職後一定期間は同業他社に就職しないこと等を内容とする競業禁止の合意があったにもかかわらず元従業員はこれに違反した、元従業員は他の退職従業員と共謀してY社の事業の妨害を図ったなどとして、債務不履行ないし不法行為に基づき、損害賠償を請求した事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 退職後の競業禁止の合意は、労働者の職業選択の自由を制約するから、その制限が必要かつ合理的な範囲を超える場合は公序良俗に反し、無効であるところ、元従業員はいわゆる平社員にすぎないうえ、Y社への在籍期間も約1年にすぎず、他方、競業禁止義務を負う範囲は、退職の日から3年にわたって競業関係に立つ事業者への就職等を禁止するというものであり、何らの地域制限も付されていないから、相当程度に広範といわざるを得ず、Y社は、業務手当の中には、みなし代償措置である2200円が含まれているとも主張するが、元従業員は、業務手当の中には、みなし代償措置が含まれているとの説明を受けたことはないと供述しているうえ、仮にこれが代償措置として設けられているとしても、その額は、元従業員の在籍期間全部を通じても総額で3万円ほどにすぎず、上記のような広範な競業禁止の範囲を正当化するものとは到底言えず、本件誓約書による競業禁止の範囲は合理的な範囲にとどまるものとはいえないから、公序良俗に反し無効であり、競業禁止の合意に基づく請求は理由がない。

競業避止義務についての判断としてはスタンダードなものです。

この分野の裁判は、会社側に分が悪いですね。

訴訟の是非を含め、対応方法については事前に顧問弁護士に相談しましょう。

本の紹介624 「言葉」があなたの人生を決める(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
「言葉」があなたの人生を決める

アファメーションに関する本です。

アファメーションに関する本はいくつもありますが、その中でもこの本はとてもわかりやすく書かれており、おすすめできます。

もはや意識せずに自然とアファメーションの考え方ができている人にとっては再確認できる本です。

「言葉」が人生を決めるということですが、大げさではなく、まさにそのとおりです。

適切な言葉なくして適切な思考などあり得ないからです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

かつてオリンピックに出場した高跳びの選手で、『背面飛び』に最初に挑んだディック・フォスベリーという選手がいます。彼は国際大会で、バーを後ろ向きで飛び越えた最初の選手でした。そのころ、陸上のコーチたちは子どもたちに『この選手の真似をしちゃだめだ。彼は変わり者だから』といっていました。
しかし、最近では、どの選手を見ても背面飛びです。
1954年までは、誰もが1マイル(約1600メートル)を4分未満で走るのは不可能だと思っていました。ところが、ロジャー・バニスターがその壁を破りました。その後の4年間に、4分の壁は40回以上も破られました。
なぜでしょう?
ランナーたちが4分を切るのは可能だとわかったからです。」(56頁)

これは、「現状から抜け出したければブリーフシステムを変えろ!」という章で書かれている内容です。

ブリーフは、「信念」という意味で使われています。

おそらくビリーフ(belief)と記載したほうがわかりやすいように思います。

何を達成するかは、ほとんどの場合、何を信じるかによって決まる」(50頁)とも言っています。

自分はその目標を達成できるに値する人間だと信じられるか。

信じることを支えているのは、きっと、日々の圧倒的努力にほかならないのでしょう。

日々の圧倒的努力をすることなしに、どうやって自分のことを信じることができるでしょうか。

不当労働行為160 使用者が自ら示した条件に固辞し、それ以外では団交に応じないとしたことが不当労働行為とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、使用者が自ら示した条件に固辞し、それ以外では団交に応じないとしたことが不当労働行為とされた命令を見てみましょう。

国立大学法人東京学芸大学事件(東京都労委平成28年7月19日・労判1141号91頁)

【事案の概要】

本件は、使用者が自ら示した条件に固辞し、それ以外では団交に応じないとしたことが不当労働行為に該当するかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社は日本語を話せない組合らが通訳者を手配すべきであると主張し、組合らはLLRで話すことのできないY社が通訳者を手配すべきであると主張するが、団体交渉で使用する言語を一義的に決めることができない本件にあっては、団体交渉で使用する言語を話すことのできない側が通訳者の手配に要する全ての負担を負うべきものということもできない。

2 以上の点に加えて、団体交渉のルールは労使の合意で決定するのが原則であることをも勘案すると、本件労使間においては、円滑な団体交渉を行うため、団体交渉における使用言語及び通訳者の手配に関するルールについて、労使双方に合意形成のための相応の努力を行うことが求められていたというべきである
したがって、組合らが上記合意の形成に向けた相応の努力を行っているにもかかわらず、Y社がそのような努力を行わず、団体交渉が円滑に行われる状況に至らなかった場合には、原則として、Y社は、正当な理由のない団体交渉拒否を行ったものと評価すべきである。

使用者側は、上記命令のポイント2を十分に理解しましょう。

ユニオンからの要求をなんでもかんでも拒否するだけが団交対策ではありません。

最低限の団交のルールを知り、柔軟に対応することが求められているのだと考えましょう。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。