Author Archives: 栗田 勇

解雇149(芝ソフト事件)

おはようございます。

さて、今日は、暴言行為・業務命令拒否等を理由とする解雇に関する裁判例を見てみましょう。

芝ソフト事件(東京地裁平成25年11月21日・労判1091号74頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約を締結し、その後Y社から懲戒解雇さらには予備的に普通解雇されたXが、本件解雇は無効であると主張して、Y社に対し、労働契約上の地位の確認を求めるとともに、賃金及び不法行為に基づく損害賠償金等の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇は無効

不法行為は否定

【判例のポイント】

1 Xは、平成23年11月11日、A取締役に対し、暴言を吐いたことが認められるが、その余の日時においては、Y社主張事実を認めるに足りない。確かに、証拠及び弁論の全趣旨によれば、Xは性格的に激高しやすい面があることから、業務遂行中において、Y社代表者やA取締役に対しても、強い口調で自らの主張を述べることがあったこと、そのことが周囲のY社従業員に対して不安を感じさせることが窺えないではないが、Xの上記行為が本件就業規則第82条第3号、7号、8号に該当するとまでは認めることができない

2 暴言行為等については、懲戒解雇事由に該当する事実を認めることはできない。業務命令拒否については、同事由に該当すると言えなくもないが、前記認定にかかる事情の存する職務経歴書の提出拒否をもって懲戒解雇とすることは処分として重きに失するのであって、その余の手続面等について検討するまでもなく、本件懲戒解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上、相当なものとして是認することはできず、権利濫用として、無効と認めるのが相当である。

3 …しかし、前記4件について検討しても、Xの言動が主たる理由となって交渉や事業が頓挫したり、Y社に損害が生じたことは認めるに足りない。また、そのクレームの内容は、交渉過程での出来事が主なものであり、交渉相手の受け取り方という側面もあることを考慮すると、明らかにXに非があるとまで認めることは相当ではない。そして、Y社において担当した業務は上記4件にとどまるものではなく、Xは、多数の業務を担当していたことが認められるのであり、これらの業務について、成果を上げたかどうかはともかく、Xが担当した顧客の多くからクレームを受けたという具体的事実を認めるに足りない。また、C社の件は、同社とXとの間に訴訟が係属し、和解により解決していることからすれば、同社関係者の言動からXの営業能力等を否定的に評価することは相当ではない。これらの諸事情を考慮すると、前記5件等から、Xについて本件就業規則第19条第1項2号及び5号該当事由を認めることはできない。

4 本件解雇については、暴言行為が一部認められること、Xは、職務経歴書の提出という業務命令を拒否したこと、Xに対し、取引先等関係者から業務に関するクレームが複数寄せられていたことなどからすると、Y社において、懲戒解雇事由及び普通解雇事由にあたる具体的行為が存在しないことが明らかであるにもかかわらず、このことを承知しながら本件解雇に及んだとまで認めることはできず、本件解雇を不法行為とまで認めることはできない

5 Xは、本件解雇により、住宅ローンの支払が困難となり、やむを得ず自宅を売却せざるを得なくなったとして、同売却に伴って生じた損害の賠償を請求する。しかし、本件解雇が不法行為であるとは認められないから、上記損害賠償請求は理由がない。また、本件解雇とXの自宅の売却による損害との間に相当因果関係は認め難い
以上によれば、Xの損害賠償請求は理由がない。

まず、解雇が不法行為と認定されるケースがどのような場合であるかについて、上記判例のポイント4を参考にしてください。

また、会社としては対応が困難な従業員を解雇したくなる気持ちは理解できます。

最終的に金銭解決ができるのであればよいですが、必ず和解ができるとも限りません。

法的な対応としては限界を感じざるを得ません。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介350 一流役員が実践している仕事の流儀(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばっていきましょう!
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←先日、鷹匠の「器いろ」に行ってきました。

写真は、「朝霧ヨーグル豚とんかつ」です。

お肉は、レアの状態です。

この肉厚でありながら、しつこくないお肉、最高です。

今日は、午前中は、新規相談が2件入っています。

午後は、清水で行われる「第5回JOBコン」に参加します。 今年で3回目の参加になります。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は本の紹介です。
一流役員が実践している仕事の流儀

以前、このブログで紹介をしました「一流役員が実践している仕事の哲学」の続編です。

今回の本も、一流、二流、三流に分けて、あるべき考え方、振る舞い等を説明してくれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

チャンスがあってもそれをつかむ人とつかまない人がいます。もっと言えば、それがチャンスであることに気付かない人も多くいます。よくあるのが、自分の中で枠を作ってしまって選択肢を狭めている人。本当は『やり方』や『あり方』など、いくらでもあるはずなのに、自分の過去の実績と照らし合わせた結果、『なんだかリアリティがないな』と判断してしまうことです。・・・目の前に一段高いステージがあったら、迷わず上がっていきましょう。それが出世と成長のスパイラルのはじまりなのですから。」(173~175頁)

大きなチャンスにつながるお誘いを受けたときに、「自分にはまだまだ無理です・・」みたいなことを言う人、いますよね。

謙虚、謙遜が美徳とされる国で生活しているため、よくこのような発言を耳にします。

ものすごくもったいないですし、誘っていただいた方に失礼な気がしてしまいます。

一体、いつになったら、自分で「できる」と思うのでしょうか?

チャンスをチャンスと理解できず、自らその機会を放棄する人に、出世と成長の門を開くことはできません。

チャンスが来たときに躊躇せず手をあげられるように、日頃から一生懸命準備をするべきなのです。

暇があるから遊ぶのではなく、暇があるなら、自分の長所を伸ばすための準備をするのです。

プロとはそういうものだと思います。

解雇148(富士ゼロックス事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

さて、今日は、勤務成績不良などを理由とする中途採用者の普通解雇に関する裁判例を見てみましょう。

富士ゼロックス事件(東京地裁平成26年3月14日・労経速2211号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員として稼働していたXが、Y社から解雇されたことから、同解雇は、解雇権を濫用するものとして無効であると主張して、Y社との間で雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、Y社に対し、雇用契約に基づき、賃金、賞与の支払いを求め、併せて、不法行為に基づき、損害賠償金600万円の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇は有効

【判例のポイント】

1 Xは、事前に指示事項を明確に取り決めていたにもかかわらず、訪問営業の計画と行動報告を上司が確認することを目的として作成を指示された行動管理表の作成及びこれをめぐる上司への報告や連絡等について、何度となくこれを怠り、あるいは、なおざりな記載、対応をしていたものといえ、服務上の問題を強く生じていたといえるほか、これらが繰り返されていたことに照らせば、およそ改しゅんの情もみせていなかったといえる
上記説示の点に照らせば、Xは、銀座支店とNB第三支店に配属されていた平成21年10月から平成22年7月までの間に、多数の服務上、能力上の問題を生じていたこと、そして、警告書によるものやこれによらないものも含め、度重なる注意、警告等を受け、あるいは、職場環境を替え、研修も受け、自らの服務姿勢を改め、改善するといった機会も持ったのに、こうした服務上、能力上の問題はなお改まらない状況にあったことを指摘することができる。…本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合に当たるものとはいえない。

2 Y社人事部の社員が平成22年8月2日、本件解雇の解雇理由に関してXと面談をした際、同社員が、Xに対して信を措けなくなっている経過について話すくだりの中で、「身障者としては用済みですよ。」といった発言をしたことが認められる。
もっとも、同発言は、Y社が、Xの申告していた障害を踏まえてXの採用を決定していたものであるのに、Xが、認定に係る障害を変更させ、しかも、それがY社に対して特段の報告や連絡のないまま、Xの随意になされたものであったこと、以上の点を踏まえ、同社員において、そのような対応は問題ではないかと問題視する発言をしていたところ、Xが、「はあ、障害がなかったら用済みということなんですか。」などと申し向けたことに伴い、そのようなことであれば、Xの年齢等にかんがみXを採用するなどしなかったことを言明する趣旨で発言したものであることが、同証拠における前後の会話内容から明らかである。
そうしてみると、上記発言が、その措辞、表現において不適切であるとはいえても、上記の点にも照らせば、直ちに社会的相当性を欠くものとはいえず、不法行為が成立するとまでは認められない。

成績不良や能力不足を理由とする解雇の場合には、上記判例のポイント1のように、教育・指導をし、改善の機会を与えてあげることが必要です。

解雇事案に限りませんが、裁判所は、プロセスを重視しますので、「いろいろやったけど、改善しなかったので、やむなく解雇しました」ということを明らかにする客観的証拠を用意しなければなりません。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介349 こうして、思考は現実となる(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。
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←先日、先輩の税理士と一緒に鷹匠にある「Venti Due」に行ってきました。

写真は、定番の「マリナーラ」です。

このもちもちっとした生地がたまりません。

この生地を敷ふとんにして寝てみたいです。

今日は、午前中は、示談交渉が1件入っています。

午後は、新規相談が1件入っています。

夜は、社労士の先生方を対象としたセミナーです。

今回のテーマは、「重要判例から読み解く賃確法6条の解釈のポイント」です。

しぶいテーマですが、いつかどこかでちゃんと勉強しておくべき論点です。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は本の紹介です。
こうして、思考は現実になる

「思考は現実化する」というあまりにもよく知られている表現について、この本では、9つの方法を通して説明をしています。

思考の重要性を説く本はたくさんありますが、この本も同じ路線です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私たちは、『足りない』ことに対する心配や不平に、エネルギーの大部分を使ってしまっている。時間が足りない。運動が足りない。食物繊維が足りない。ビタミンEが足りない。給料が足りない。・・・この『足りない』という思い込みが、もしかしたら間違っているかもしれないなんて思いもよらない。むしろ、『足りない』という感覚が私たちの存在の核になっている。いつも不満を抱えながら、人生のすべてを『足りない』というレンズを通して見ている。」(259頁)

よく使う例えとして、コップに入っている水を見て、「まだ水がこれだけある!」と解釈するのか「もう水はこれだけしかない・・・」と解釈するか、という問題と同じです。

水の量は同じなのに。

事実それ自体に意味などないのです。

事実に意味を与えるのは、自分自身の解釈です。

「もう水はこれだけしかない」と解釈する人は、どんな場面でも「ない」というマイナス面に着目し、不満をもらし、自分が不幸であると嘆きます。

水の量は同じなのに。

私は、事実そのものが幸福感を与えるのではないと思っています。

幸福感を与えるのは、自分自身の解釈です。

それは、時に、単なる強がりやこじつけである場合もあるかもしれません。

でも、解釈の習慣こそが幸福感を与えることを知っている人は、他人に何と解釈されようと、それは他人の解釈であり、自分には関係がない(どうしようもない)と割り切ることができます。

このことに気づいている多くの人は、どんな状況においても、自分から「あえて」不幸になる選択(解釈)をすることはありません。

だって、そんな解釈をするメリットも必要もないからです。

解雇147(ザ・キザン・ヒロ事件)

おはようございます。 

さて、今日は、タクシー乗務員に対する整理解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

ザ・キザン・ヒロ事件(東京高裁平成25年11月13日・労判1090号68頁)

【事案の概要】

本件は、タクシー運送事業を営むY社の足立営業所に、タクシー乗務員として勤務していたXらが、Y社がXらに対して行った整理解雇は解雇権を濫用した無効なものである旨主張して、Y社に対し、それぞれ労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、未払賃金及び遅延損害金の支払いを求めた事案である。

なお、一審(さいたま地裁平成25年7月30日)は、Xらの地位確認請求をいずれも認容した。

【裁判所の判断】

控訴棄却
→整理解雇は無効

【判例のポイント】

1 本件解雇当時のY社の経営状況からみて、人員削減を含む抜本的な経営再建策を実行する必要性があったとは認められるものの、経営を再建するために直ちに事業の一部を売却して現金化するほかない状態にあったとまで認めることは困難であるから、足立営業所に勤務する乗務員の全員を解雇するほどの必要性があったということはできない
したがって、Y社の上記主張は、採用することができない。

2 Y社は、足立営業所の従業員全員を解雇することを前提として、K社との間で事業用自動車譲渡契約又は事業譲渡契約を締結し、特段の解雇回避措置を採ることなく本件解雇を実行したものであり、本件解雇後、事業譲渡先であるK社にXらを含むY社の乗務員の情報を提供して雇用の要請をしたり、解雇された従業員の一部に対してK社への就職を勧誘するなどしたとしても、Xらの雇用確保のための措置として十分なものであったとはいえず、結局、Y社において解雇を回避するための十分な措置を採ったということはできない。
したがって、Y社の上記主張は、採用することができない。

3 本件解雇当時、Y社の経営を再建するために直ちに事業の一部を売却して現金化するほかない状態にあったとまで認めることが困難である以上、本件解雇における解雇人員の選定基準が合理的なものといえないことは、前記のとおりである。
したがって、Y社の上記主張は、採用することができない。

4 Y社が、K社との間で自動車若しくは事業の譲渡契約を締結し又はそのための交渉をしながら、それについて説明することなく突然足立営業所の従業員全員に対し解雇通告をしたこと、その後の説明会においても、事業譲渡について一切言及することなく抽象的な解雇理由に言及するに留まったこと、組合からの団体交渉の要求にも応じていないことなどに照らし、本件解雇について十分な説明・協議が行われたと認めることができないことは、前記のとおりである。
したがって、Y社の上記主張は、採用することができない。

整理解雇の要件(要素)を満たさないという判断です。

上記判例のポイントの1についてですが、会社とすれば、会社再建のため、やむを得ず事業譲渡をしたのだと思いますが、裁判所は、足立営業所の従業員全員を解雇するほどの必要性は認めませんでした。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介348 物を売るバカ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。
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←先日、名古屋の経営者の方と七間町の「こはく」に行ってきました。

写真は、「煮込みハンバーグ」です。

今まで牛テールの煮込みがメニューにありましたが、牛テールの高騰を受けて、煮込みハンバーグに変更となりました。

しかし、おいしさに変わりはありませんでした。

ソースのうまさが際立っていました。 おいしゅうございました。

今日は、午前中は、労働事件の裁判が1件入っています。

午後は、婚費調停が1件、名古屋で顧問先の経営者との打合せが1件入っています。

夜は、静岡に戻り、6事務所合同の暑気払いです。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は本の紹介です。
物を売るバカ 売れない時代の新しい商品の売り方 (角川oneテーマ21)

この本のサブタイトルは「売れない時代の新しい商品の売り方」です。

コピーライティング、マーケティングの本です。

商品の品質がよければ、それだけ勝手に売れるという時代ではないことを前提にしています。

では、何を売ればいいのか?

そのヒントがこの本には書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

同業者なら誰でも知っているような事実や当たり前すぎて誰も伝えてこなかった事実を、他社にさきがけて訴求すると、最初に伝えた商品に独占的で永続的な栄誉がもたらされる」(15頁)

これ、意味わかりますか?

業界の常識にどっぷり浸かっていると、知らぬ間に、顧客が考える「常識」との差が生まれてしまうことを言っています。

業界としては「当たり前」すぎて、みんな、それを売りにしても仕方がないと考える。

でも、実は、業界の外にいる顧客にとっては当たり前ではない事実があるのです。

それをアピールするだけで、差別化が図れることもあるのです。

あとは、やるかやらないか。 それだけです。

労働時間38(ワールドビジョン事件)

おはようございます。 

さて、今日は、元従業員らの事業場外みなし時間制適用の可否について見ていきましょう。

ワールドビジョン事件(東京地裁平成24年10月30日・労判1090号87頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されていたXらが、労基法37条所定の時間外労働を行ったとして、Y社に対し、時間外手当等の請求をした事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、X1に約120万円、X2に約70万円、X3に約120万円、X4に160万円を支払え。

【判例のポイント】

1 Y社は、Xらは営業職であって勤務時間については自己責任で決めていたものであって、労働時間を算定し難いものであるから、労基法38条の2第1項による事業場外みなし規定の適用があると主張するが、Xら提出にかかる出勤表には、Y社事務所に出勤した場合の始業時刻、終業時刻のみならず、外勤により直行、直帰した場合の場所のみならず時刻(出発等の時刻と思われる。)等についても記載されているものであって、Y社が、従業員からこれらの出勤表の提出を受けることにより、Xらの労働時間を管理していたことは明らかである。この点に加え、Y社において、Xらの労働時間の算定が困難であることを基礎付ける事情についてそれ以上の主張、立証がないことに照らすと、Xらに労基法38条の2の事業場外みなし規定が適用される旨のY社主張を採用することはできないというべきである。

2 Y社は、残業については事前申告がなされた場合にのみ時間外手当が支払われることになっていると主張するが、正社員雇用勤務規則にも、明確にかような事前申告制を定める規定は存在しないことからすれば、Y社の主張を採用することはできない。
また、出勤表から認められる時間外労働の状況に照らすと、Xらの残業は恒常的な状況にあり、Y社もこのような状況を当然認識していたと認められるにもかかわらず、それを禁止したり抑制することなく推移した結果、そのような状態が継続していたものと認められるもので、Xらは、Y社の黙示の業務命令の下で時間外労働等を行っていたと認めるのが相当であって、この点からもY社の主張を容れる余地はない。Y社は、Xらの労働時間についてはその自主性に任せていたものであるとも主張するが、使用者には、従業員の労働時間を管理すべき義務があることにも照らすと、その自主性に委ねていることを理由に、時間外手当等の支払義務を免れると解することはできない

最高裁の考えからすれば、出勤表で労働時間を管理できていた以上、事業場外みなし労働時間性の適用を肯定することは難しいでしょうね。

また、使用者側とすれば、上記判例のポイント2は参考にすべき点ですね。

「自主性に任せていた」との主張は、使用者が労働時間を把握する義務を負っていることからすると、なかなか難しいわけです。

労働時間に関する考え方は、裁判例をよく知っておかないとあとでえらいことになります。事前に必ず顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。

本の紹介347 グローバルエリート(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 8月に入りましたね。今年もあと5か月です。
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←先日、昭和町にある「博」に行ってきました。

写真は、「海鮮丼」です。

宝石箱や~。 いつもいつもおいしゅうございます。

ご馳走様でした。

今日は、午前中は、離婚訴訟が1件入っています。

午後は、新規相談が2件入っています。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は本の紹介です。
グローバル エリート 世界で成功する英語力とビジネス力を身につける方法

サブタイトルは「世界で成功する英語力とビジネス力を身につける方法」です。

英語の学習法についてさまざまな視点からポイントを解説してくれています。

著者が日本語をどのようにしてマスターしたのか、という経験談も書かれており、非常に参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

スポーツでは、いつも同じトレーニングをしていて、踊り場(行きどまり)にぶつかることがあります。語学勉強でも、同じ種類の勉強だけだと効果が薄くなり、踊り場に着いてしまうことがあります。この壁にぶつかったときの対策として、スポーツではcross-training(別の筋肉を使うために、普段行っているスポーツと違ったものを行う)があります。・・・有名な例では、バスケットボールをきわめたようなスーパー・スターのマイケル・ジョーダンが、ゴルフに熱中したり、プロ野球にも挑戦しました。彼によると、野球の経験によって、自分のバスケットボールがさらによくなったそうです。」(111~112頁)

この感覚って、スポーツだけに限りませんよね。

料理人でも、フレンチをやっていた人が、和食に転向した場合、それまでやっていたフレンチの技術や経験が無駄になるかといえば、そんなことはないはずです。

また、和食の料理人だからこそ、あえて、洋食を食べに行ってみるということも無意味だとは思えません。

何かを究めようとする場合、あえて、その道を一度外れてみるという余裕や視野の広さが求められるのではないでしょうか。

違う分野で培った応用力を、自分の得意分野に活かす。

この発想を持つだけで、日常生活の過ごし方が変わってきますよね。

有期労働契約49(F社事件)

おはようございます。 7月も終わりですね。早いですね。

さて、今日は、私用電話・メール、上司に対する反抗的態度等を理由とする店舗の雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

F社事件(大阪地裁堺支部平成26年3月25日・労経速2209号21頁)

【事案の概要】

Xは、Y社に雇用期間1年の嘱託社員として雇用されていたところ、Y社から雇用契約の更新を拒絶されたため、その雇止めには解雇権濫用法理が準用され、かつ、その雇止めは、Y社が、Xの所属する労働組合及び執行委員長であるXを嫌悪し、同組合の弱体化を図るという不当な目的でしたものであり、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でないから、解雇権を濫用した無効なものであると主張して、Y社に対し、雇用契約上の地位を有することの確認を求めるとともに、雇止め後の平成25年から判決確定の日まで、賃金25万円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却
→雇止めは有効

【判例のポイント】

1 本件雇用契約は、契約期間を3か月間、9か月間と明確に定めて更新され、3回目以降の更新は、一貫して契約期間を1年間と明確に定めて更新されている。また、契約の更新手続の態様からすれば、嘱託社員としての雇用契約については、一般に、毎年、契約期間が明記された契約書が嘱託社員に送付され、当該嘱託社員がこれに署名押印して返送する手続が繰り返されており、Xの場合も同様であると推認される。 これらの事情に照らすと、本件雇用契約が期間の定めのない労働契約に転化したものであるとか、更新を重ねることによりあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していたということはできない

2 しかしながら、Xにおいて、本件雇用契約が継続すると期待することに合理性が認められる場合には、期間満了によって本件雇用契約が当然に終了するものではなく、雇止めには相応の理由を要すると解するのが相当である。 ・・・以上によれば、本件雇止めについては、解雇権濫用法理が類推適用されると解するのが相当である。ただ、雇用契約が期間の定めのない契約に転化したり、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在している場合と比較して、本件雇用契約における雇用継続の期待を保護する必要性は相対的に低いといえるから、本件雇止めの理由としては、それ程強いものが要求されるのではなく、一応の相当性が認められれば足りると解するのが相当である

3 ・・・以上によれば、本件携帯電話を用いたメール送受信や電話の大半には業務関連性がなく、勤務時間中に送受信されたメールや電話が相当数に上ることも勘案すると、Xは、本件携帯電話の貸与を受けるに際し、遵守事項を確認したにもかかわらず、勤務時間中に私事を行うなどしたと認められる。また、C、D及びEらに対する言動も、業務私事の拒否や無視、上司に対する暴言や反抗的態度等、従業員としての忠実義務に反するものであると認められる。・・・そして、このような非違行為の内容及び程度に加え、XがY社から二度にわたり警告を受けていることなどを踏まえると、不当労働行為目的等の特段の事情がない限り、Xの上記非違行為は、本件雇止めの相当な理由となり得ると解するのが相当である

使用者側のみなさんは、上記判例のポイント2についての考え方を参考にしてください。

雇用継続に関する合理的期待を保護するケースでは、雇止めに関する判断基準が若干緩くなるようです。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介346 君の思いは必ず実現する(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。
君の思いは必ず実現する

稲盛さんの本です。

たまに稲盛さんの本が無性に読みたくなります。

原理原則を重んじる経営哲学に触れられるからでしょうか。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人生では能力よりも熱意と考え方のほうがずっと大事です。たとえ能力が劣っていても、一生懸命に努力を重ね、人々のために何かをしたいと考える人の方が、能力に優れているものの、努力もせず、人間として誤った考え方を持った人よりずっといい結果が出ます。ちょっと能力が劣っているからといってあきらめてはいけません。ひたむきな努力と正しい考え方はきっとあなたを大きく育ててくれます」(154頁)

「うさぎとかめ」、「アリとキリギリス」の話を思い出しますね。

情熱を持って、正しいと思うことをやり続ける人というのは、本当に強いですよね。

世の中は、そういうひたむきに努力している人を放っておきません。

必ず手を差し伸べてくれる人が現れます。

くさらず、あきらめずに日々、努力を怠らないことが大切なのだと思います。