Author Archives: 栗田 勇

解雇128(エヌエスイー事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばっていきましょう!!

さて、今日は、「業務上の都合による」解雇に関する裁判例を見てみましょう。

ファニメディック事件(東京地裁平成25年7月23日・労判1080号5頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されていたXが、平成23年10月31日付でY社から解雇されたが、これが無効であると主張して、就労期間23年11月1日(解雇日翌日)から24年5月15日(雇用期間満了日)までの賃金合計149万5000円およびこれに対する遅延損害金ならびに不当解雇等による不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)として100万円およびこれに対する遅延損害金の各支払を求めた事案である。

なお、Y社は、金融系システムオペレーション、金融システム開発、研修サービス、翻訳業、労働者派遣業等を営む会社である。

【裁判所の判断】

解雇は無効

【判例のポイント】

1 ・・・特に、本件質問メールに対しY社が本件返信メールを送信するとともに本件契約終了説明書面を交付した事実によれば、Y社は、Xに対し、平成23年10月31日付けで本件雇用契約における雇用契約書6条4号の「やむを得ない会社の業務上の都合によるとき」により解雇する旨の意思表示をしたものと認められる。

2 Y社は、本件契約終了説明書面には、実際にはXの自己都合による就業終了であることが明記されている旨主張し、本件契約終了説明書面には、Y社としてはXを契約社員として雇用継続すべく、先般2案件を紹介したが、Xが契約社員として雇用を継続することに不安を感じていることを理由に辞退した旨が記載されているが、Xは、平成23年9月30日において、Y社からの2つの案件の紹介に対し、本件雇用契約の内容が不安であることを理由として同日時点でその諾否について回答できない旨を述べたことは認められるが、そのことをもって直ちにXからY社に対して本件雇用契約の合意解約の申込や辞職の意思表示がされたとは認められず、前記記載をもってXの自己都合による就業終了であることが明記されているとは評価できないというべきであるから、Y社の前記主張は採用できない。

3 平成24年2月頃、Y社からXに対し、双方の代理人弁護士を通じて、Xの再雇用が可能である旨の連絡をしたが、Xがこれを拒絶したことが認められるが、Y社の当該連絡はあくまでも平成23年10月31日付け退職を前提とした再雇用の申出であって、Xによる当該拒絶をもって本件雇用契約に基づくXの就労意思の欠缺を基礎付ける事実と評価すべきではない

4 本件解雇は、XがY社から紹介を受けた2つの紹介先を検討すらしないまま辞退したことを踏まえ、Y社においてXに就労意思がないものと判断したことに端を発していると認められるところ、Y社がXの就労意思ないし退職意思を慎重に検討しないまま本件解雇に至っているという点は相当でないものと認められるが、上記事実経過によれば、本件解雇日後の不就労期間の賃金が填補されることとなることを前提として、さらに慰謝料等の請求を認めるべき程の不法行為法上の違法性があるとまでは認められないというべきである。

上記判例のポイント3の視点は参考になりますね。

バックペイとは別に慰謝料を認めないのは、通常の裁判例と同様です。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介290 売る力 心をつかむ仕事術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間、お疲れ様でした。

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←先日、他士業の先生方と一緒に両替町の「武市」に行ってきました。

写真は「さよりの天麩羅」です。

あっさりとした白身です。お寿司で食べてもおいしいですし、このように天麩羅にしてもおいしいですね。

このお店は、料理がおいしいことに加えて、大将の対応がすばらしいです。

業界は違いますが、本当に勉強になります。 何度も行きたくなるお店です!

今日は、午前中は、新規相談が1件、債権回収の裁判が1件入っています。

午後は、新規相談が2件、裁判等の打合せが2件入っています。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は本の紹介です。
 売る力 心をつかむ仕事術 (文春新書 939)

著者は、言わずと知れたセブン&アイ・ホールディングスの鈴木会長です。

商売で大切にすべきことは何なのかがとてもわかりやすく書かれています。

顧客は経済合理性では動かないということがよくわかります。

業界に関係なく、おすすめですよ。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

経験的に『いい』と思われることはみんながやるから、結局、競合になってしまい、ますます厳しい状況になる。みんなが『いい』と思うことなどやる必要はなくて、むしろ、『そんなのだめだろう』と思うようなことに意味がある。みんなが賛成することはたいてい失敗し、反対されることはなぜか成功する。それはわたしの経験に限ったことではないようで、これまでお会いした方々も同様の経験をお持ちのようでした。」(88頁)

「みんなが賛成することはたいてい失敗し、反対されることはなぜか成功する」

何かを始めようとしているみなさん、是非、この言葉を胸に刻んでおきましょう。

最後まで信念を貫くことができた人こそが成功者になれるのだと思います。

周りに反対されたくらいでやめてしまうような弱い信念(そういうのはそもそも信念とは呼びませんが)では、何をやってもうまくいきません。

ちょっとつまづいただけで「もうだめだ」と思ってしまうのでしょう。

野村監督曰く、「『もうだめだ』ではなく『まだだめだ』と思え」。

王監督曰く、「努力は必ず報われる。もし報われない努力があるのなら、それはまだ努力とは呼べない」。

そういうことです。

不当労働行為85(サントス事件)

おはようございます。

さて、今日は、組合加入直後に自宅待機を命じた後、懲戒解雇したことの不当労働行為性について見ていきましょう。

サントス事件(神奈川県労委平成25年9月20日・労判1080号93頁)

【事案の概要】

Y社は、一般貨物自動車運送事業等を営む会社である。

Y社の従業員であるAおよびBが組合に加入したところ、Y社はAおよびBを自宅待機を命じた。

その理由としては、Aは8月配転および2月配転について取引先に内容を告知し、会社の人事労務管理について不満を述べたこと(A懲戒理由①)、上司である所長に暴言を吐き、脅迫したこと(A懲戒理由②)を、Bは物損事故について損害金を支払わず(B懲戒理由①)、事故の反省、謝罪をしないこと(B懲戒理由②)などをあげている。

Y社は、その後、AおよびBに対して懲戒解雇を通知し、その理由として、上記自宅待機の理由に付加して、自宅待機命令に反して出社を継続したこと(A懲戒理由③)をあげている。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Aが本件自宅待機命令を受けた後も本件懲戒解雇に至るまで出社を継続したのは、そもそも合理性を欠く本件自宅待機命令を認めない意思を表すためであり、また、Y社が自宅待機期間中にその理由を十分に説明していないことを併せ考えると、Aが出社を継続したことを本件懲戒解雇の理由とした③に合理性は認められない

2 Bが本件物損事故を起こし、会社の従業員に損害を与えたものの、その損害金を支払っていないことに争いはない。しかし、その損害金の支払についてBが同意したことを認めるに足りる証拠はなく、したがって、本件自宅待機命令及び本件懲戒解雇の理由である①に合理性は認められない

3 本件懲戒解雇は、A、B外2名による分会結成後間もなく両名同時に行われた結果、分会の中心人物であるAとBは社外に排除され、分会員が4名から2名に半減している。また、本件自宅待機命令及び本件懲戒解雇によって示された会社の分会に対する厳しい態度は、結成されたばかりの分会の勢力拡大に影響を及ぼしたものと推認することができる。したがって、本件自宅待機命令及び本件懲戒解雇は、分会の運営に対する干渉行為である。
・・・本件自宅待機命令及び本件懲戒解雇は、A及びBが組合員であること又は正当な組合活動をしたことを理由とする不利益取扱いであり、法第7条第1号に該当する不当労働行為であると判断する。

これも不当労働行為性が明らかな事例です。

上記命令のポイント3を読むだけで、会社の組合嫌悪の意思がよくわかります。

使用者側は、顧問弁護士の指示のもとで適切な対応をとることをおすすめします。

どんなときでも、信頼できるブレーンの意見に耳を傾けられる経営者でありたいですね。

本の紹介289 エメラルド・オーシャンな働き方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

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←先日、事務所の近くにある「雪有圭」に行ってきました。

写真は、表面を炙ったカマスで明太子と大葉を巻いたものです。

創意工夫の賜物です。 探究心に脱帽です。

おいしゅうございました。

今日は午前中は、新規相談が1件入っています。

午後は、藤枝の銀行で不動産売買の決済に立会い、その後、静岡の裁判所で裁判が2件入っています。

夜は、顧問先会社の経営者と打合せです。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は本の紹介です。

 エメラルド・オーシャンな働き方

レッド・オーシャン(競争の激しい既存市場)、ブルーオーシャン(競争のない未開拓市場)とも異なる「エメラルド・オーシャン」という新しい概念について紹介をしている本です。

要するに「競争のない既存市場」ということだそうです。

「レッド・オーシャン」「ブルー・オーシャン」という言葉は、ちょっと前に流行った言葉ですが、最近では、会話の中でこれらの言葉を用いるのは、少し恥ずかしいです。

「倍返し」とか「お・も・て・な・し」とか「おもてなっしー」(声高めで)とか「今でしょ」って言うくらい気恥ずかしいです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ビジネスを行うにあたり、多くの人は得をしたい、儲けたいという思いばかり強くなってしまい、損をする覚悟ができていない場合がほとんど(口では強がりを言っていても)なのです。誰だって得をしたい、儲けたい。一方で、痛い目にはあいたくない、損したくないと、身構えているわけです。しかし、身構えれば身構えるほど損することを多くの人は理解していません。なぜならば、損を恐れるということは、そこそこのレベルのもので手を打とうとすることを意味するからです。・・・二流、三流のもので周りを固めて、厳しい競争の中『稼げる』『成功できる』と思っていること自体NGです。そこそこのもので体裁を整えようとするから結果が出ない。結果が出ないから、また次のそこそこを探して失敗する・・・。」(179頁)

結構、痛いところを突いてきますね(笑)

「損してもいい」と思えるかどうか。 そう思える習慣ができているかは、確かに重要なポイントなのだと思います。

何か新しいことをやるときに、「損しないか」ということばかり考える癖がついている人は、なかなか一歩が踏み出せないのではないでしょうか。

損するかどうかなんてやってみないとわからないですし、そもそも判断基準が得するか、損するかという二択では、仕事をしていても、おもしろくもなんともありません。

やはりこれも習慣の問題なのです。心の。

労働時間32(レガシィほか事件)

おはようございます。

今日は税理士法人以外の会社も兼務する税理士の補助業務者に対する専門業務型裁量労働制の適用に関する裁判例を見てみましょう。

レガシィほか事件(東京地裁平成25年9月26日・労経速2194号20頁)

【事案の概要】

本件は、Y社ら双方に雇用されていたXが、Y社らに対し、時間外労働についての割増賃金の未払があるなどとして、割増賃金、遅延損害金、付加金等を求めた事案である。

Y社らは、Xには裁量労働制が適用されるなどと主張して争った。

【裁判所の判断】

裁量労働制の適用を否定
→Y社らに対し、約200万円の割増賃金の支払+20万円の付加金の支払いを命じた。

【判例のポイント】

1 労働基準法38条の3所定の専門業務型裁量労働制は、業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として厚生労働省令及び厚生労働大臣告示によって定められた業務を対象とし、その業務の中から、対象となる業務を労使協定によって定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使協定によりあらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度である。・・・ここで「税理士の業務」を専門業務型裁量労働制の対象と定めるが、ここで「税理士の業務」とは、法令に基づいて税理士の業務とされている業務をいい、税務相談がこれに該当すると解するのが相当である。

2 ・・・Y社らは、このような税理士以外の従業員による事実上の税務書類の作成等の業務について、実質的に「税理士の業務」を行うものと評価して、専門業務型裁量労働制の対象と認め得ることを前提に、Xに専門業務型裁量労働制が適用されると主張するものであると理解される(なお、Xによる業務が、税理士又は税理士法人が行うべき税務書類の作成等の業務でなく、単なる税理士の補助的業務であるというのであれば、そもそも実質的に「税理士の業務」を行うものと評価する前提を欠くといわざるを得ない。)。
しかしながら、・・・税理士以外の従業員による事実上の税務書類の作成等の業務を専門型裁量労働制の対象と認め得るためには、少なくとも、その業務が税理士又は税理士法人を労務の提供先として行われるとともに、その成果が当該税理士又は税理士法人を主体とする業務として顕出されることが必要であるというべきである。
これを本件についてみると、・・・専門型裁量労働制を適用することはできないというべきである。

3 Y社らは、いくつかの事情を摘出して、Xの割増賃金請求が信義則に違反する旨を主張するが、いずれの事情をもってしても、Xの請求が信義則違反であると評価するに足りない。
特に、Y社らは、Xが背信的意図に基づく機密保持義務違反行為に及んだことを強調するが、仮に、XにY社ら摘示の事実があり、それによりY社らが損害を被ったとしても、それをもってXの賃金請求が信義則違反である旨を主張することは、Xに対する債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求権を自働債権としてXの賃金債権を相殺するものにほかならず、賃金全額払の原則(相殺禁止の趣旨を包含する。)を定めた労働基準法24条1項本文の趣旨を潜脱するものであることが明らかである

4 Y社らは、労働基準法の規定に違反して、Xに対する時間外労働等についての割増賃金の支払をしなかったものであるところ、その違反の程度や態様については、専門業務型裁量労働制に係る法令の解釈適用を誤ったことに起因するものであり、必ずしも悪質であるとはいえない。他方、Y社らは、本件訴訟に至って以降、賃金全額払の原則を定めた労働基準法24条1項本文の趣旨を潜脱するものであることが明らかな主張を重ねるなどして、Xに対する未払割増賃金の支払をしようとしなかったという事情も存する。これらの諸般の事情を総合考慮すれば、本件においては、Y社らに対し、同法114条ただし書所定の期間内の付加金として、20万円の支払を命じるのが相当である。

相続関係でよく名前が出てくる税理士事務所の事件です。

税理士事務所では、税理士資格を持っていない従業員が、税理士業務を行っているところが多いと思いますが、労基法の文理解釈からすると、この裁判例の判断は妥当であるということになります。

労働時間に関する考え方は、裁判例をよく知っておかないとあとでえらいことになります。事前に必ず顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。

本の紹介288 ヒットの法則が変わった(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 2月に入りましたね。今週も一週間がんばっていきましょう!!__

←週末の朝は、いつも海までのジョギングから始まります。 往復2時間ジョギングをすると、かなり汗をかきます。

2時間、「無」になって走ると、かなりリフレッシュできます。

継続は力なり。

今日は、午前中は、破産事件の打合せが入っています。

午後は、遺産分割調停です。

夜は、富士へ移動し、子ども未来大学です。

子どもたちに弁護士の仕事についてレクチャーしてきます。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は本の紹介です。
 ヒットの法則が変わった いいモノを作っても、なぜ売れない? (PHPビジネス新書)

いいモノを作っても、なぜ売れない?」というサブタイトルからもわかるとおり、マーケティングの本ですね。

どうやったら、売れるのか、ということをいろんな例を出しながら解説してくれています。

模倣の重要性が熱く語られています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

模倣は決して簡単な作業ではない。成功したものを『成功したもの』と定義づけるためには、それなりの目利きも必要であり、また何が成功要素なのかを抽出することは同産業の業界人から見ても容易なことではない。だからこそ『成功要素を正しく模倣する』という、『創造的な作業』を生み出した模倣者たちは、自分たちのオリジナリティをスパイスのように軽くふりかけるだけで成功の果実を甘受することができる。」(111頁)

『イノベーターが獲得できるイノベーションの現在価値は2.2%』であり、実に市場の98%は模倣者や追随者によって生み出されている」(111頁)

模倣の重要性については、いろんな本に書かれていることです。

成功者の成功要素を正しく模倣することがポイントになるわけですが、それには一定の技量が求められるという話です。

これって、見方を変えると、人のいいところを見つけるということになりませんか。

普段から、人のあら探しばかりしている人と、人のいいところを見つけようとしている人では、模倣力も変わってくる気がします。

成功者を見て、素直に「僕もこの人のようになりたい」と思えるか、ということです。

いいものをいいものとして真正面から評価できる人でありたいです。

成功者への嫉妬で溢れかえっている中で、純粋に「あの人はすごい」と言える素直さが大切なのだと思っています。

また、別の角度ですが、仮に一定の成功を収めたとしても、そこで立ち止まっていると、すぐに模倣者に追い抜かれてしまいます。

常に改良を重ねていくという意識、すなわち、向上心を持ち続けることが大切なのです。

不当労働行為84(ひめじや事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

さて、今日は、組合加入直後の解雇と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

ひめじや事件(大阪府労委平成25年8月7日・労判1079号174頁)

【事案の概要】

平成24年4月7日、Y社従業員Xは、組合に加入し、同月13日、Y社に対して、労働組合に加入している旨を告げた。

同年5月16日、組合執行委員長が、Y社に電話をかけて、同月18日にY社を訪問し、団交申入書を提出したい旨を告げた。

同月17日、Y社は、Xに対して、「就業規則第38条の規定により」同日付で解雇する旨の通知書を交付し、Xが具体的な理由の説明を求めても、守秘義務違反、公私混同と回答するのみであった。

団交においても、Y社社長は、具体的な解雇理由を説明しなかった。

同月28日、Y社はXに対し、「経理担当者として知った秘密をしばしば漏えい、勤務中にしばしば私用電話」などと記載した解雇理由通知書を交付した。

【労働委員会の判断】

Xを解雇したことは不当労働行為に該当する

【命令のポイント】

1 ・・・以上を総合的に判断すれば、Y社は、平成24年4月13日にX組合員から労働組合への加入を告げられたことを契機に、同組合員に始末書の提出を求めたり、秘密裏に録音を行うなど、同組合員を解雇するための準備を始めたところ、同年5月16日になって電話で2日後にX組合員の組合加入が正式に通告されることを知り、組合の関与により解雇が困難になる以前にX組合員を解雇してしまおうとして、同月17日に、合理的で説得力のある解雇理由がないにもかかわらず性急に本件解雇を行ったのであり、解雇理由通知書についても解雇理由を後付け的に整理したと推認することができる

2 以上のことを総合すれば、本件解雇は、X組合員が組合に加入したことを知ったY社が、それを嫌い、X組合員を会社から排除することを企図して行われたものと判断せざるを得ず、労働組合法7条1号に該当する不当労働行為である。

わかりやすい不当労働行為ですね。

気持ちはわからないではないですが、このようなやり方では、事態を悪化させるだけなので、おすすめはしません。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介287 逆襲弁護士 河合弘之(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

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←先日、小鹿にある「篤」に行ってきました。

写真は、松葉カニの身とミソを混ぜたものです。

そもそもこのカニ自体の甘みが尋常ではありません。 さすが、こだわりまくっています。

めちゃうまでした!!

今日は、午前中は、労働事件の裁判が1件入ってます。

午後は、労働事件に関する民事調停が1件、新規相談が2件入っています。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は本の紹介です。

 

逆襲弁護士 河合弘之

さくら共同法律事務所の河合先生に関する本です。

河合先生というと、原発訴訟を思い浮かべてしまいますが、いろんな有名な事件に関わっているんですね。

勉強になりました。おすすめの本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

弁護士は、自分を見失ってはいけない。怒るとしても、怒ったふりでなければならない。本当に怒りの心情がわいてしまえば、度を失い、我を忘れ、適切な弁護ができなくなる。河合は、つねにそう考えている。そのため、いつも冷静だ。極端にいえば、相手が仕掛けてきたならば、相手の弁護士を憎む思いよりも、むしろ、感謝する気持ちでいっぱいである。
〈ありがとう。おもしろい事件を起こしてくれて、ありがとう。そのおかげで、ぼくには、やり甲斐のあるいい事件がやってくる。ついでに報酬も入ってくる。本当に、ありがとう〉」(257頁)

弁護士にもいろいろなタイプがあり、感情剥き出しの人もいれば、いつも冷静な人もいます。

好戦的な人もいれば、平和な解決を望む人もいます。

正しい、間違っているではありません。

自分がこうあるべきだと思う弁護士になればいいのだと思います。

また、難事件を扱うことに、後ろ向きな弁護士と意欲的な弁護士にも別れるように思います。

問題なのは、このような弁護士のタイプが、顧客(相談者、依頼者)からわかりにくいということです。

取り扱っている分野は概ねホームページ等でわかりますが、その弁護士のタイプまではわかりませんよね。

普段から弁護士と接する機会が多い場合にはともかくとして、そうでない場合には、自分が納得できる弁護士にあたるまで、いろんな弁護士に相談してみるしかないのでしょうかね。

食べログで評判がいいラーメン屋さんに食べに行っても、ぶっちゃけ、そんなにおいしいとは思わないこともあります。 結局、好みは人それぞれということです。

労働災害70(岡山県貨物運送事件)

おはようございます。

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←先日、SEの会社の経営者と沓谷にある「岩市」に行ってきました。

写真は、「太刀魚ねぎま」です。

おそば屋さんですが、一品料理がとってもおいしいお店です。

お店の場所が中心地より少し離れていますが、いつも混んでいます。 みんなおいしいお店を知っているわけです。 おいしゅうございました!

今日は午前中は、横浜の裁判所で財産開示の期日が入っています。

午後は、静岡に戻り、新規相談が3件、不動産に関する裁判の準備のための現地確認が入っています。

夜は、社労士の先生方を対象とした勉強会です。

今回のテーマは、「重要判例から読み解く組合による街宣活動等の差止請求のポイント」です。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は、過重労働・パワハラによる新卒社員の自殺と損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

岡山県貨物運送事件(仙台地裁平成25年6月25日・労判1079号49頁)

【事案の概要】

本件は、Y車のC1営業所に勤務していたXらの長男Xが、連日の長時間労働のほか、上司のAからの暴行や執拗な叱責、暴言等のいわゆるパワーハラスメントにより精神障害を発症し、平成21年10月7日に自殺するに至った(当時22歳)と主張して、遺族である原告らが、Y社に対しては安全配慮義務違反の債務不履行又は不法行為によろう損害賠償請求権に基づき、Aに対しては不法行為による損害賠償請求権に基づき合計約1億2000万円を請求した事案である。

【裁判所の判断】

Y社に対し、合計約7000万円の支払を命じた。

Aに対する請求は棄却

【判例のポイント】

1 Xは、ただでさえ新入社員として緊張や不安が多く、強い心理的負荷が掛かっている中で、本件自殺5か月前(入社約1か月後)から、月100時間程度かそれを超える恒常的な長時間時間外労働に従事させられ、本件自殺3か月前には月129時間50分にも上る時間外労働に従事させられ、さらには、そのような長時間労働に対して労いの言葉を掛けられることもなく、ただミスに対してAによる叱責のみを受け、将来に向けた明るい展望が持てなくなっていったことがうかがわれるのであって、総合的にみて、Xには業務により相当程度に強度の肉体的。心理的負荷が掛かっていたものと認めることができる

2 Xは、本件自殺3か月前には月129時間50分にも上る時間外労働に従事し、また本件自殺5か月前から月100時間程度かそれを超える恒常的な長時間の時間外労働に従事していたことに加え、内容的にも肉体的・心理的負荷を伴う業務に従事し続けたこと、さらにはAによる叱責や新入社員としての緊張や不安がXの心理的負荷を増加させたことによって、相当程度に強度の肉体的・心理的負荷が継続的に掛かった結果、平成21年9月中旬頃に適応障害を発病し、適応障害発症後も引き続き長時間の時間外労働への従事を余儀なくさせられ、適応障害の状態がより悪化する中で、同年10月6日、午後出勤の前に飲酒をするという問題行動を起こし、これがAを初めC1営業所の従業員に知られるところとなったことにより、Xの情緒を不安定にさせていた解雇の不安が増大し、それまでに蓄積した疲労と相まって、Xは正常な認識、行為選択能力及び抑制力が著しく阻害された状態となり、自殺したものであり、このような経過及び業務以外に特段の自殺の動機の存在がうかがわれないことからして、本件自殺はXの業務に起因するものであったと認めるのが相当であるから、本件自殺と業務との間には相当因果関係があるということができる。

3 Y社は、Xが飲酒をして出勤し、その報告も怠ったことでAから叱責を受けるに至り、自ら命を絶ったという本件の経緯を考慮すれば、相当の過失相殺がされるべきである旨主張する
この点、確かに、飲酒をした上で車を運転して出勤したというXの行動は、社会的にも相当に非難されるべき問題行動であり、Y社が運送会社であるということからすればなおさらその問題性を重視すべきものである。しかしながら、・・・出勤前の飲酒は、適応障害を発症したことによる問題行動と評価できる。そして、業務の負荷以外の私的な出来事や個体側の要因に起因してこのような問題行動に至ったとはいえないことからすれば、Xの当該問題行動それ自体が、Y社の業務に起因して発病した適応障害の症状の一つであると評価すべきであり、同種の業務に従事する労働者の個性の多様さとして通常想定される範囲を外れたXの性格により、このような問題行動に至ったとは評価できず、これをXの過失として評価することはできないというべきである。

時間外労働時間がこれだけ多いと、それだけで労災と判断され、また、会社の安全配慮義務違反を認定される可能性が高いといえます。

労働の質が争点となる事案に比べると、労働の量が争点となる事案は、労働者側に圧倒的有利です。

使用者側としては、従業員の労働時間が過大になっていないか、常に配慮すべきです。

本の紹介286 ジェフ・べゾスはこうして世界の消費を一変させた(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は本の紹介です。

 ジェフ・ベゾスはこうして世界の消費を一変させた (PHPビジネス新書)

アマゾンのトップの言葉をまとめた本です。

アマゾンのすごさはここで書くまでもありませんね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

利益は出ていません。出そうと思えば出せますけどね。利益を出すのは簡単です。同時に愚かなことでもあります。我々は今、利益になったはずのものを事業の未来に再投資しているのです。アマゾン・ドット・コムで今利益を出すというのは、文字どおり最悪の経営判断だと言えます。」(215頁)

普通の人が言ったら、単なる負け惜しみです(笑)

短期的な利益よりも長期的な利益を重視していることがよくわかります。

こういう発想を持っていると、ちょっと利益が出ただけで、プライベートでじゃんじゃんお金を使ってしまうということもないのでしょうね。

うまくいっているうちに、次の手を打つ。

うまくいっているこの状態がずっと続くわけではない。

こういうことを冷静に考えられる人が経営者に向いているのでしょうね。