Author Archives: 栗田 勇

不当労働行為58(横浜自動車学校事件)

おはようございます 

さて、今日は、スト予定日に出勤した組合員に対する賃金控除と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

横浜自動車学校事件(神奈川県労委平成24年8月8日・労判1055号94頁)

【事案の概要】

X組合は、Y社に対し、平成22年6月、次回団交で誠意ある回答がない場合は24時間ストを行う旨通告した。

また、X組合は、Y社に対し、次回の団交次第でストを回避する可能性もあると伝えた。

他方、Y社は、スト予定日に教習予定の教習生にキャンセルの電話連絡を開始し、X組合に対し、スト回避の通告を受けても、組合員の就労は認められないと伝えた。

X組合は、ストの前日、Y社にスト回避を通告した。しかし、Y社は、ストの前日回避は認められないとするとともに、キャンセルした教習生に組合員らが教習予約の電話をかけるなら、組合員の就労を認めると提案し(組合は、これに応じなかった)、さらに、同日夕刻、組合員31名の業務を「不就業」と記載した「勤務スケジュール表」を掲示した。

Y社は、スト予定日に出勤し業務を割り当てなかった組合員の同日分の賃金を控除した給与を支給した。

【労働委員会の判断】

賃金控除は不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 本件の場合は、確かにY社の今後の信用に関わるものとして、ストライキ当日の教習生のキャンセル作業を行ったことは不適切とはいえないとしても、それとストライキ回避後の組合員の就労を拒否することは別個の問題である。ストライキ当日に教習生が来校しない以上、Y社は組合員の就労を受け入れる意味がないとしても、それはY社のリスク回避の判断の結果であって、就労を拒絶する合理的な理由とはならないY社としては、組合員を受け入れて他の業務に就かせることも可能であり、仮に業務がなく賃金支払という負担だけが発生したとしても、それはY社の判断の結果として本来Y社が負うべきリスクがあり、組合員に負わせるべきものではない

2 なるほど、Y社は、組合がストライキ回避を通告した後に、組合に対して教習生への電話がけを手伝ってくれたら就労が可能となり得る旨を伝えているが、Y社の電話回線は8本しかなく、実際にストライキ回避後に組合員の協力を得て約150名の教習生に対し再予約の連絡をしたとしても、それ以前のY社による教習生へのキャンセルの連絡が12時間かかったという事実に鑑みれば、実際上の再予約は不可能だったといわざるを得ない。

3 以上のことからすれば、Y社による本件就労拒絶は、本来Y社が負担すべき組合員の就労受入れによる賃金支払を免れ、賃金喪失の不利益を組合員に負わせることを意図して就労を拒否するという、本件ストライキを計画したことに対する報復的な性格を否定できず、組合組織に打撃を与えることを意図して行われた不当労働行為に当たるといわざるを得ない

会社としては、とても厳しい判断です。

なかなか納得できないかもしれませんね。

教習生が来校しないときに、他の業務に就かせることも可能といいますが、実際、どんな業務があったのでしょうか? 

清掃とか・・・? 本来の予定されている業務でなくても、通常と同額の給与を支給しなければならないのでは、会社は納得できないでしょうね。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介151 「調べる」論 しつこさで壁を破った20人(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、税理士K山先生と、鷹匠の「TORATTORIA IL Paladino」にランチに行ってきました。

写真は、「あさり、ズッキーニ、なす、いんげんのピリ辛トマトソース」です。

久しぶりにイルパラに行きましたが、やっぱりおいしいですね。

お客さんがいっぱいな理由がよくわかります。 

K山先生、ご馳走様でした。

今日は、午前中は、東京高裁での裁判ですが、電話会議です

午後は、浜松の裁判所で離婚調停です

午後は、新規相談が1件入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
「調べる」論―しつこさで壁を破った20人 (NHK出版新書 387)
「調べる」論―しつこさで壁を破った20人 (NHK出版新書 387)

著者があらゆる業界の20人の人に話を聞いたことをまとめた本です。

内容自体は、あんまり「調べる」ことを中心とした内容にはなっていない気がします。

いろんな業界の話が聞けるという感じです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

知性の本質は、言葉をアウトプットすることにある。・・・高校までの勉強では、正確にインプットする能力が試されます。しかし、大学、そして社会で求められる知性はアウトプットの能力です。そこでは単に機械的に何かを学ぶだけでは足りません。就職活動でもエントリーシートに陳腐なことしか書けない人もいれば、人目を引く文章を書ける人もいる。この差はどこから来るのでしょうか。単なる知識や経験の差からではなく、むしろそれはアウトプットする能力の差から来ています。・・・言葉を使ってアウトプットすることで、はじめて自分の考えていることが明確になったり、ちゃんと物事を理解していなかったことがわかったりする。」(220~221頁)

哲学者の萱野稔人さんの言葉です。

「知性の本質は、言葉をアウトプットすることにある」 いいことばですね。

インプットは、アウトプットするために行うものです。

インプットをするときには、常に、アウトプットのことを考えながら行うわけです。

仕事等においては、知っているということそれ自体にはそれほどの価値はありません。

「知っていることをいかに表現するか」という視点がとても大切です。

もうこれは、日々の訓練しかないと思います。 ある日、突然、表現が上手になるものではありません。

それから、もう1つ。 逆の視点です。

有効なアウトプットをするためには、継続的にインプットをすることが必要になってきます。

「有効なアウトプットをするためにどのような知識を得る必要があるか」という視点もまた大切なのです。

インプットとアウトプットのバランスを常に意識するといいのではないでしょうか。

解雇87(クラブメッド事件)

おはようございます。

さて、今日は、勤務成績不良を理由とする解雇に関する裁判例を見てみましょう。

クラブメッド事件(東京地裁平成24年3月27日・労判1055号85頁)

【事案の概要】

Y社は、フランスのパリに本社を置く国際的なバカンスサービス会社の日本法人であり、国内および海外の系列ホテルへの送客業務およびこれに付随する一般観光等の企画、作成、販売ならびに斡旋等の各種業務を行う会社である。

Xは、平成2年、Y社に入社した。

Y社は、Xを勤務成績不良を理由として解雇した。

【裁判所の判断】

解雇は無効

【判例のポイント】

1 本件解雇は、Xの勤務成績不良を理由とする解雇であるところ、このような解雇については、当該労働者の勤務成績が単に不良であるというレベルを超えて、その程度が著しく劣悪であり、使用者側が改善を促したにもかかわらず改善の余地がないといえるかどうかや、当該勤務成績の不良が使用者の業務遂行全体にとって相当な支障となっているといえるかという点などを総合考慮して、その有効性を判断すべきと解するのが相当である。したがって、本件解雇に関する就業規則所定の解雇事由「技能、能力が極めて劣り、将来業務習得の見込みがないとき」という文言も、このような観点からその該当性が判断されるべきである。

2 ・・・以上を要するに、従前、Xの勤務成績が芳しくなかったことは否めないものの、サマー2010の期間に至って一定の向上をみたものであるから、もとよりその勤務成績が著しく劣悪であるとはいえないし、改善の余地がないということもできない。したがって、Xについて、Y社の就業規則所定の解雇事由「技能、能力が極めて劣り、将来業務習得の見込みがないとき」に該当するということはできないから、本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上も相当と認めることはできず、無効というべきである。

3 これに対し、Y社は、上記の成績の向上は、Xが受電回数を上げるため、特段の事情がない限り禁じられている時間外労働を連日行ったことによるものであり、X業務の能率向上によるものではなかった旨主張するところ、Y社の人事担当から各部門のマネージャーに時間外労働を禁じる内容のメールが送信されるなど、Y社において、時間外労働が禁止されていたことを裏付ける証拠も存する。
しかしながら、Xの上司は、Xの労働時間を把握し、その時間外労働の状況を認識していたと推認されるにもかかわらず、当時、それを問題視して禁止した形跡が認められないもので、このような事情に照らすと、実際、各部門において、真に時間外労働の禁止が徹底されており、他のスタッフが時間外労働を行うことなく業務を処理していたかについては、疑義があるといわざるを得ない。したがって、時間外労働を行っていたことをもって、Xの勤務能率が向上していなかったというY社の主張については、これを採用することができない。

4 Xは、Y社においては、全従業員に対し、基本給の2.5か月分の賞与が一律に支給されていたとして、本件解雇後も基本給の2.5か月分に当たる55万3750円の賞与請求権を有する旨主張する。なるほど、証拠によれば、Xに対し、2回にわたって上記金額の賞与が支給されていることが認められる。しかし、仮に、Xが主張するように、全従業員に対し2.5か月分の賞与が支給される事実が存したとしても、個別の雇用契約書や賃金規程等により、2.5か月分の賞与という点がXとY社との間の雇用契約の内容となっていたことを窺わせる証拠は存しない。したがって、Xが、本件解雇後も、Y社に対し、月例賃金のみならず賞与についても請求権を有するということはできず、他にこれを認めるに足りる的確な証拠はない。

勤務成績不良を理由とする普通解雇については、この裁判例でも示しているとおり、改善可能性が考慮されます。

一時的な成績不良をもって解雇をすると無効になる可能性が高いです。

もう1つ。

上記判例のポイント4は、参考になりますね。

賞与の請求は、実際には、なかなか認められません。

今回のケースのように、一律基本給の2.5か月分を支給されていたとしても、それをもって、契約の内容となるほど甘くはありません。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介150 変な人の書いた世の中のしくみ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます かなり寒くなってきましたね。 精神を鍛えるにはちょうどいいです。
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←先日、鷹匠の「つむらや」にお蕎麦を食べに行ってきました

写真は、「おにわそと」というセットです。

桜えびかき揚げ、生麩揚げ・鶏肉・椎茸煮、蕎麦もやし、かつおぶし、いその5種類のそばを少しずつ食べることができます。

たまに無性にお蕎麦を食べたくなるときってありませんか? 

事務所の近くにたくさんおいしいお蕎麦屋さんがあるので、最高です。

今日は、午前中は、裁判が2件入っています。

午後は、離婚調停1件と新規相談3件が入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
変な人の書いた世の中のしくみ
変な人の書いた世の中のしくみ

これまで読んだことがない斎藤一人さんの本を読んでみることにしました。

有名な方ですが、なぜかこれまで手に取ることはありませんでした。

特に理由はありませんが。 

「私が今、伝えたいことは全部書きました」と帯に書かれていたので、とりあえずこの本にしました(笑)

一人さん、自然体な感じがして、とても好印象です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

今の世界のしくみは、得をさせた人のところにお金が流れるようになってるんです。・・・今の時代で勝てる人というのは、人に得をさせることができる人なんです。会社に行けば会社を得させる。本を読んでいいことが書いてあれば、そのことを友達に教えてあげる。相手を得させることっていくらでもあるんです。
さらに、自分が知ってることを教えるのでも、愛想がよかったり、わかりやすかったりとか、いくらでも工夫ができるんです。ただ教えてくれる人より、教わりやすい人のほうがいいんです。だから、自分がお得な人間になれば、今の時代は正解なの。
」(123~124頁)

世の中のしくみをとてもわかりやすく書かれています。

このことがわかると、仕事や人間関係は、うまくいくようになります。

常に周りの人の「得」を考える。 

周りの人が喜ぶことをいっぱいする。

このように考えられる人のまわりには、同じように考える人が自然と集まってきます。

そうすると、周りの人が、自然に、自分の「得」を考えてくれるし、喜ぶことをいっぱいしてくれるようになります。

世の中のみんなが、「どうしたら、この人の喜ぶ顔が見られるんだろう」と考えながら生活できたら、最高ですよね。

不当労働行為57(京都府医師会事件)

おはようございます。 今年もラスト1か月ですね。 気合いを入れてがんばりましょう!!

さて、今日は、新会館への移転を機とする組合事務所・組合掲示板の貸与拒否と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

京都府医師会事件(京都府労委平成24年8月26日・労判1055号92頁)

【事案の概要】

Y社は、X組合と組合事務所および組合掲示板を貸与する旨の協定を締結し、旧会館内に事務所および掲示板を無償で貸与した。

平成18年頃、Y社は、新会館移転の方針を示し、X組合が新会館に組合事務所等を確保するよう要求した。

しかし、Y社は、20年12月、本件協定を21年6月末をもって解約すると予告した。

平成22年10月、新会館に移転したY社は、X組合に対して組合事務所の確保は困難であると通告し、組合掲示板を設置したが、X組合は、設置場所および大きさが要求と異なっているとして掲示板を使用しなかった。

【労働委員会の判断】

組合事務所を貸与しなかったことは不当労働行為にあたる

要求とおりの組合掲示板を貸与しなかったことは不当労働行為にはあたらない

【命令のポイント】

1 Y社によるこのような便宜供与の廃止の目的、態様について検討すると、Y社は、組合事務所を貸与できない理由は、スペースが確保できなかったためであり、組合弱体化の意図によるものではないと主張する。確かに、Y社は設計担当の一級建築士に組合事務所の要望を伝えたが、延床面積が1割減少する中で全体から考えて設置は無理であると回答されたこと、Y社は、物品を新会館に収容しきれないため、賃料を支払って新会館外の倉庫に保管していることが認められる。
しかしながら、Xは設計前の段階から組合事務所の確保を申し入れてきたことが認められ、その意図さえあれば、単に要望として伝えるにとどまらず何らかの調整を行う余地はあったのではないかと考えられるにもかかわらず、設計担当の一級建築士に具体的に検討するよう指示をした形跡もうかがわれないこと、新会館移転後も空室はあり他の団体に対して新たに部屋の貸与を行った経過が認められること、また、Xは、書類等の収納スペースの貸与で足りる旨譲歩していたことが認められ、その程度のスペースの確保については、工夫の余地があるとあると考えられることからすれば、この主張は採用できない

2 そして、十分な説明も行わず、新会館においてXのためのスペースは一切認められないとの態度をとり続けていることに加えて、XとY社間においては平成7年から14年までの長期にわたる係争をはじめとする複数の救済申立て等の経過があったことや、団体交渉の中でY社側の出席者である理事らが「正直医師会と組合との関係が良好であるとはいいがたいよね」等と発言していたことが認められることも併せ考えると、Y社が組合事務所を貸与していないことは、Xを弱体化することも意図した法第7条第3号の支配介入に該当するものと判断される。

3 使用者が長期間継続した便宜供与を廃止した場合には不当労働行為に該当する可能性が生じるといえるが、Y社はXに対し、新会館においても、組合掲示板を貸与していることが認められ、Y社は便宜供与を廃止したとは認められないから、Y社の組合掲示板に係る対応は、法第7条第3号の支配介入に該当しないものと判断される。

組合事務所の貸与については、不当労働行為とされましたが、医師会とすれば納得がいかないところではないでしょうか。

単にスペースの問題ととらえると、当然、納得がいかないと思います。

理屈の上では、設計段階で、他のスペースを犠牲にしてでも、組合事務所を確保することを優先させるべきということになるのでしょうが、実際には、難しいところです。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介149 出稼げば大富豪(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。

出稼げば大富豪 (調子ぶっこきシリーズ)
出稼げば大富豪 (調子ぶっこきシリーズ)

アニキシリーズ第3弾です。

とにかく、全種類読んでみます(笑)

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

なんでもスピードやねん。金儲けもそうや。儲かる奴と儲からん奴の違いはスピードや。速い=儲かる。どないやこれ?」(80頁)

『億劫』っちゅうのを自分から取り除け。そして、やりまくる。10個に1個の失敗は忘れられる。だから、とっとことっとこやんねん。挑戦するサイクルを徹底的に早めるねん。思いついた瞬間=行動してる、みたいな。そしたら気づいたら成功してるわ」(208頁)

アニキ、いいこと言います。

決断のスピードを究極まで高めたいと思っています。

私自身、「思いついた瞬間=行動する」くらいの感覚で、すべての決断を瞬間的に行う訓練をしています。

瞬時に、コスト、リスク、メリット、デメリットを判断して、失敗したところで大したコスト、リスク、デメリットがないと判断した場合には、すぐ実行します。

もうほとんど直感に近いレベルです。

経験上、長く考えた結果出した答えが正しいとは限らないことからすれば、すぐに決めて動いた方が時間の節約になります。

結局のところ、決断力とは、リスクをとる力だと個人的には思っています。

失敗やリスクにびびっている人は、なかなか決断できません。

たいしたリスクでもないのに、さも大きなリスクかのように考えて、行動に移さないことほどもったいないことはありません。

すべては習慣です。 能力や性格ではありません。

解雇86(学校法人M学園事件)

おはようございます。

さて、今日は、労働契約書への書面拒否を理由とする解雇に関する裁判例を見てみましょう。

学校法人M学園事件(東京地裁平成24年7月25日・労経速2154号18頁)

【事案の概要】

Y社は、専門学校N医科学大学校等を設置し、これを運営する学校法人である。

Xは、視能訓練士の国家資格を有する者である。

Y社は、Xを労働契約書への署名拒否を理由として解雇した。

Xは、本件解雇は違法であり、これにより損害を被ったとして、不法行為による損害賠償請求をした。

【裁判所の判断】

本件解雇は不法行為にあたる。
→M学園に対し、約80万円の支払いを命じた。

【判例のポイント】

1 Y社は、試用期間中であるXに対し、本件規定に該当するとして、解雇予告通知書を交付することによりXを解雇する旨の意思表示をしている。Y社の就業規則には本件規定があるところ、Y社の上記所為は、試用期間中、使用者たるY社が本件規定に基づき留保していた解約権を行使する趣旨に出たものとみることができ、かかる認定を左右するに足る証拠はない。
もっとも、留保解約権の行使も、解約権留保の趣旨、目的に照らし、客観的に合理的な理由が存し、社会通念上相当として是認され得る場合にのみ許されるものと解される。

2 Y社が提示した契約書案では、平成23年1月24日までを試用期間とする旨の記載はあるものの、労働契約の期間について期間を定めないものとしており、賃金の額について試用期間中の賃金額である月額30万とするのみで、試用期間経過後の賃金について特段の条項が置かれているわけでもない。これによれば、X・Y社間の労働契約は、X・Y社間で新たに別途、労働契約書を作成しない限りは試用期間経過後の賃金額についても引き続き30万円とするものとして効力を有することになるとみることのできるものであったということができるのであって、XがCから重ねて受けていた労働条件に関する説明と沿わない点があったといわざるを得ない。
しかるところ、Xがこれを問題視する見地から訂正を求めたのに対し、Cは、試用期間が明記されているから上記賃金額が試用期間中のものであることは自ずと判断できる、みんなそれでやっているなどとしてこれに応じず、Xの申出を踏まえて真摯に契約書案の意味合い・内容の検討をし、あるいはしようとした形跡も窺われない。かえって、平成22年12月13日、Xが署名に応じないとみるや、用意させていた解雇予告通知書を交付している

3 ・・・以上の点に照らすと、上記解雇予告通知書に基づく解雇は、上記認定の経緯に照らし、早急に過ぎたものと評価せざるを得ないところであって、かつまた、Xが署名を拒んだのは、X・Y社間の賃金という労働契約の基本的要素に係る問題に出でたものであったことにも照らし、客観的に合理的な理由が存し、社会通念上相当として是認され得るものとみることは困難というべきである。
そして、以上の点に照らすと、少なくともY社に過失があったものと見ざるを得ない。してみると、他に的確な指摘のない本件においては、Y社は、不法行為に基づき、これによってXに生じた損害を賠償すべき責があると認めるが相当である。

4 Xは、以上のほか、本件解雇に伴い精神的苦痛を被ったとして慰謝料請求をしている。
しかしながら、解雇に伴う財産的損害の賠償のほか、精神的損害についてまでの賠償が認められるのは、解雇につき、財産的損害の賠償によっては慰謝するに足らない特段の事情の認められる場合に限られると解される。本件においてXに財産的損害の賠償を命じるべきことについては上記のとおりであるであるところ、・・・かかる指摘の点によっては上記特段の事項を肯認すべき事由があるとは評価し難く、これを認めるには足らない。したがって、Xの慰謝料請求は、これを肯認することができない

当然、この程度では、解雇は有効にはなりません。

今回は、地位確認を求めるのではなく、損害賠償を求めています。

個人的な感覚ですが、解雇事案では、地位確認と賃金請求という構成よりも、不法行為に基づく損害賠償請求という構成の方が、労働者側が得られる金額は少ない気がします。

このような理由から、労働者が復職する意思がなくても(ほとんどの場合、復職の意思はない)、前者の構成をとることになるのだと思いますがいかがでしょうか。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介148 成功へ導く言葉(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
写真 2012-11-12 20 25 54←先日、同級生の税理士と一緒に両替町の「岩生」に行ってきました

写真は、カキフライ。カキは、フライで食べるのが一番おいしいと思います。

ジューシーでおいしかったです。

今日は、午前中は、刑事裁判の判決が1件、裁判が1件、家事審判が1件入っています。

午後は、新規相談が1件、外部法律相談、裁判の打合せが2件入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
成功へ導く言葉 (East Press Business)
成功へ導く言葉 (East Press Business)

少し前の本ですが、もう一度読んでみました。

久しぶりに読むと新鮮ですね。

昔読んだ本をもう一度読み返すと、当時の記憶がうっすら蘇ってきます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

皆さん、多く申すまでもなく、お互いの人生というものは、たった一回かぎりであります。二度も三度も生まれかわって、繰り返すことはできない。
である以上はですよ、現在の人生はたった今から、でき得るかぎり、完全な状態で生かさなければいけません。
」(98~99頁)

「完全な状態」とはどのような状態なんでしょうね。

私は、「フルパワーで」「悔いなく」「思ったとおり」といった意味で捉えました。

人生は、1回かぎりで、しかもそれほど長くはありません。

あっという間に1週間が過ぎていくのと同じように、あっという間に5年、10年が過ぎていくんだと思います。

のんびり、ゆっくりと、毎日、温泉に入って、散歩して・・・みたいな生活にも、若干あこがれますが、そういうのは、老後の楽しみにとっておきます。

毎日、毎日が、真剣勝負です。

気力、体力が衰え、真剣勝負ができなくなったら、一線から退こうと思います。

この10年でいけるところまで行ってみようと思います。

賃金53(京都市・京都市教委(酒気帯び運転)事件)

おはようございます。

さて、今日は、懲戒免職でなされた退職金不支給処分に関する裁判例を見てみましょう。

京都市・京都市教委(酒気帯び運転)事件(東京地裁平成24年2月23日判決・労判1054号66頁)

【事案の概要】

本件は、京都市教育委員会が、京都市立中学校教頭であったXに対し、Xが酒気帯び運転をしたこと等を理由として、懲戒免職処分及び一般の退職手当の全部を支給しないことを内容とする退職手当支給制限処分を行った。

Xは、懲戒免職処分はやむを得ないとしながらも、本件処分については、裁量権の濫用である等と主張し、本件処分の取消しを求めた。

【裁判所の判断】

退職手当不支給処分を取り消す

【判例のポイント】

1  退職手当の法的性格は、一義的に明確とはいえず、退職手当制度の仕組み及び内容によってその性格付けに差異が生じ得るが、一般的に、沿革としての勤続報償としての性格に加えて、労働の対償であるとの労働者及び使用者の認識に裏付けられた賃金の後払いとしての性格や、現実の機能としての退職後の生活保障としての性格が結合した複合的な性格を有していると考えられる。そして、本件における退職手当も、算定基礎賃金に勤続年数別の支給率を乗じて算定されていること、支給率がおおむね勤続年数に応じて逓増していること、自己都合退職の場合の支給率を減額していることなどに照らすと、これらの3つの性格が結合したものと解するのが相当である。

2 本件条例13条は、退職手当管理機関が退職手当等の全部又は一部を支給しない処分をするに当たっては、当該退職をした者が占めていた職の職務及び責任、当該退職をした者の勤務の状況、当該退職をした者が行った非違の内容及び程度、当該非違に至った経緯、当該非違後における当該退職をした者の言動、当該非違が公務の遂行に及ぼす支障の程度並びに当該非違が公務に対する信頼に及ぼす影響を勘案すべきであると定めており、このような広範な事情について総合的な検討を要する以上、退職手当支給制限処分をするか否か、するとしていかなる程度の制限をすべきかは、平素から内部事情に通じ職員の指揮監督に当たる退職手当管理機関の裁量に委ねられていると解すべきである。
そのため、退職手当管理機関が上記裁量権を行使して行った退職手当支給制限処分は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められる場合でない限り、その裁量権の範囲内にあるものとして、違法とならないものというべきである。
したがって、裁判所が退職手当支給制限処分の適否を審査するに当たっては、退職手当管理機関と同一の立場に立って当該処分をすべきであったかどうか又はいかなる処分を選択すべきであったかについて判断し、その結果と処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、退職手当管理機関の裁量権の行使に基づく処分が社会通念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法であると判断すべきものである(最高裁昭和52年12月20日参照)。

3 そもそも懲戒免職処分は、非違行為をした者に職員としての身分を引き続き保有させるのが相当かという観点から判断されるのに対し、退職手当は、通常であれば退職時に支払われる一時金を支払うのが相当かという観点から判断されるものであって、懲戒免職処分と退職手当の不支給は論理必然的に結びつくものではない(この観点からすると、両者を結び付けていた平成20年法律第95号による改正前の退職手当法の規定は相当性を欠いていたということができる。)。そして、退職手当が同時に賃金の後払いとしての性格を有することに照らすと、懲戒免職処分を受けて退職したからといって直ちにその全額の支給制限まで当然に正当化されるものではないことは明らかであり、その全額の支給制限が認められるのは、当該処分の原因となった非違行為が、退職者の永年の勤続の功をすべて抹消してしまうほどの重大な背信行為である場合に限られると解するのが相当である

4 Xの飲酒量が多く、本件非違行為が極めて危険かつ悪質であること、夫婦関係の不和という動機に酌量の余地は皆無であること、Xは中学校教諭でかつ管理職の立場にあって、本件非違行為が職務に与える悪影響は大きいことから、退職手当が相応に減額されることはやむを得ないが、他方、Xは27年間教員として勤務して学校教育に多大な貢献をし、本件によって懲戒免職処分を受けるまで処分歴はないこと、本件非違行為は酒酔い運転ではなく酒気帯び運転にとどまり、職務行為とは直接には関係のない私生活上のものであること、本件事故の結果も幸い物損にとどまっているうえ、被害者と示談をして被害弁償を行っていること、これらの事情に照らすと、本件非違行為がXの永年の勤続の功績をすべて抹消するほどの重大な背信行為であるとまでは到底いえず、本件退職手当全部支給制限処分は社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められるので、違法であり、取り消されるべきである

退職金の不支給もしくは減額については、いつも相当性の判断が悩ましいです。

事前に必ず顧問弁護士に相談の上、対応することをお勧めいたします。

本の紹介147 奇跡を起こす7つの習慣(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます 3連休は、ゆっくり仕事ができました。

また一週間がはじまりましたね。11月最後の一週間ですが、今週もがんばっていきましょう!!
写真 2012-11-21 18 38 44
←先日、顧問先の社長と奥さまと一緒に「博」に行ってきました

親方が、お刺身1つ1つがいかにすごいかを自慢してきます(笑)

実際、めちゃうまです。 自慢するだけのことはあります。

今日は、午後から東京で住宅紛争セミナーに参加します

住宅関連会社が顧問先に多いので、一生懸命、勉強してきます

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、本の紹介です。
ー今日から始まる成功ストーリーー奇跡を起こす7つの習慣
ー今日から始まる成功ストーリーー奇跡を起こす7つの習慣

歯科医師の井上先生の本です。

井上先生の本、3冊目です。何冊か読むと、著者の考え方がわかります。

とにかく前向きで、勉強熱心です。 とても共感を覚えます。

いつか会ってみたいものです。 ・・・と言っていると本当に会えるものなのです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『人生が思うようにいかない』と言っている人に限って、よくよく観察してみると、実際にはあまり努力していないケースが多いのです。そういう人は、自分に与えられた人生の課題に対して、根本的に『自分にはムリ』だと思ってしまっており、より高みを目指して成長しようとしていません。自分は所詮はちっぽけな存在であることを理解せず、他者から学ぼうという姿勢も欠けています。そもそも、生きている世界が狭いということも認識していないのです。」(65頁)

なかなか厳しい意見ですね。

私の感覚でも、結果が出ない場合、努力が足りないことが理由であるのが9割だと思っています。

残りの1割は、努力のしかたが間違っているという場合です。

一生懸命やっているけれど、結果に結びつかない場合、力を入れるところを間違えている場合があるということです。

いきなりがむしゃらになるのではなく、まずは冷静にゴールを見据え、そこへ辿り着くためには必要なことを探ることが必要です。

「努力は報われる」は、正確には、「正しい努力は報われる」なんでしょうね。