Author Archives: 栗田 勇

本の紹介57 「変える」は会社の毎日のお仕事(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 

さて、今日は、本の紹介です。
「変える」は会社の毎日のお仕事 成功し続ける企業のリブランディング戦略
「変える」は会社の毎日のお仕事 成功し続ける企業のリブランディング戦略

企業のブランディングに関する本です。

主な内容としては、題名のとおり、会社や商品の「ブランディング」や「ポジショニング」を変化させていくことの重要性が書かれています。

確かに長い間、うまくいっている会社は、少しずつ業務内容やサービスを変えてきています。

ただし、変化する方法や方向を間違えると、決してうまくいきません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・私たちの経験では、この『業界の常識』というのが本当にやっかい。『うちの業界では○○だから』は、他の業界に行ったら非常識であるということを、まずは認識しないと、ここは前に進みません。逆にいえば、そこが突破口です。
コンサルタントの立場から見ると、業界の慣例や会社の効率を重視するあまり、お客さまの真の『こうして欲しい』という気持ちがないがしろにされていることが、びっくりするほど多いです。右肩上がりの時代ならそれも見過ごされましたが、今はむしろ、お客さまは、そこを非常によく見ています。
」(102頁)

若手経営者は、「業界の常識」「業界の慣例」に惑わされずに前に進む勇気と決断力が必要です。

そうでないと、新しくないからです。

最初のうちは、なかなか受け入れられないかもしれません。

でも、新しいことを始める場合、最初のある一定の期間は、そんなもんです。

効果が出るまで少し時間がかかる、ということを理解していると、我慢できると思います。

あと少しがまんすれば、状況がかわるのに、そこまで我慢できず、途中で方針を変えてしまうのは本当にもったいないです。

弁護士業界でも同じことです。

依頼者や顧問先の会社が「こうして欲しい」という要望にどれだけ応えられるか。

まずは何が欠けているのか、何が求められるのかを知る必要があります。

これは、いろいろな分野の方からお話を聞くのが一番です。

近日中に、うちの事務所では、また新しいサービスを開始します。

8割のところまで準備が進んでいますので、あと少しです。

本の紹介56 金鉱まで残り3フィート(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は、本の紹介です。
金鉱まで残り3フィート
金鉱まで残り3フィート

ワタミの渡邉美樹社長監訳の本です。

根底に、ナポレオン・ヒルさんの思想が流れています。

この本は、おすすめです。 最近読んだ中では、ベスト3に入ります。

本の題名が示すとおり、「決してあきらめるな!」ということをいろんな表現で書かれています。

この本で、「いいね!」と思ったのは、こちら。

ベン・スイートランドという昔の作家の言葉に、『作家の成功とは旅の道のりであって、目的地ではない』というのがある。成功とは、ひとつのライフスタイルだ。生涯続くものだ。成功とは、自分の究極の目標を見出し、すべてを賭けてその目標を追い求めることをいうんだよ。」(49頁)

肝心なのは、あきらめることばかり考えている連中とつるまいないことだ。もうあきらめてしまおうかという気になったら、決してあきらめない人々と付き合いたまえ!エネルギーに触れればエネルギーが湧くものだ。だから、ともに過ごすにふさわしい人々と過ごし、信念をもつことだよ。」(160頁)

成功は、目的地ではなく、道のりだ、ライフスタイルそのものだ、という価値観は、斬新ですね。

成功を追い求めるのではなくて、追い求めている、その状態こそが「成功」だというわけです。

2つ目の言葉は、よく私もブログに書くことですね。

負のオーラが出ている人とは一緒に仕事をしたくありません。

エネルギーが吸い取られるような感じになってしまうからです。

一緒に仕事をするのなら、パワーがみなぎっている人としたいです。

不当労働行為32(秋田臨港事件)

おはようございます。 今日から3月ですね。

さて、今日は、組合委員長の配転と団交での発言に関する命令を見てみましょう。

秋田臨港事件(秋田県労委平成23年11月29日・労判1038号91頁)

【事案の概要】

Y社は、自動車等の廃棄物処分業を営む会社である。

Y社は、全従業員を集めて、リーマンショックの影響から業績が悪化し、平成21年2月頃には人員削減が避けられないと述べ、賃金を引き下げ、人員削減を行った。

組合は、Y社の人員削減に反対し、一時金や労働時間などをめぐってY社と対立した。

平成22年4月、Y社は、組合委員長であって約1年間シュレッダープラントの保守・監視等の業務に従事してきたXに対し、タイヤ工場への配転を命じた。なお、Y社は、Xの配転理由は技術に乏しく、基本を無視した独善的かつ極めて危険な作業を漫然と行い、シュレッダープラントの担当者としては不適であるとしている。

同年5月18日に開催された団交において、Y社側出席者である代理人は、業務時間中に組合活動を行った組合員に対する懲戒処分を検討している旨発言した。また、同年8月6日に開催された団交において、会社代理人は、組合側出席者の発言に激昂して「コノヤロウ!!」などと述べた。

【労働委員会の判断】

配転命令は不当労働行為にあたる

団交における会社側出席者の発言は不当労働行為にはあたらない

【命令のポイント】

1 タイヤ工場は、再開して間もなく社内での位置づけも不確定で、また、同じ工場内で関連性はあると言うものの、シュレッダープラントで要求される技術水準は低く、シュレッダープラントで要求される高い溶接技術を活用するような部署でもない。Xは、自らの技術にこだわりと自負をもち、また、シュレッダープラントにとって欠くべからざる人間と認められていた。このような者にとっては、他の配転の例で会社が行ったような配慮も説明もなくタイヤ工場に配転された場合、労働条件低下等の経済的不利益はなくても、これを精神的不利益と受け止めるのも無理からぬものがある

2 Y社は、業務時間中や業務をしているものを対象に、許可無く組合活動を行うことは正当なものではないという見解を示し、そのような場合には懲戒処分の対象になることを予告すると共に、過去の事例に対する抗議の意思を示した「5月18日発言」は、この会社の考えを示す一連の流れの中で行われたものを、要約したものと言える。Y社は、組合活動と業務時間について、Y社の見解と対応を示したにすぎないと言え、仮に組合が別の見解を持っていたとしても、それは別途交渉を行うなどの余地はあるのであって、この発言が、組合が正当と考える組合活動を行っていてもなお、予期せず突然に懲戒処分になるおそれを抱かせるほど威嚇的なものとは認められない

3 「8月6日発言」は、確かに組合側出席者に対して悪態をついたもので不穏当とは言えるが、組合側にも、それが8月6日か8月3日のどちらであったかはともかく挑発するような発言があったのであるから、一方的にY社に帰責すべきかどうかには疑問がある。また、発言内容を検討しても、具体的に強制、威嚇、報復等を予告し、ないしはそのおそれを感じさせるものとは言えず、組合活動の自由を侵害し、その自主性を阻害するとは認められない。実際に、この発言のあった団交のわずか3日後には団交が開催され、上記発言がその開催の支障になった様子は窺えない。
以上の次第であるから、会社代理人が行った「5月18日発言」及び「8月6日発言」は、いずれも労組法7条3号には該当しない。

本件は、配転と団交での発言の2つが問題とされました。

団交での発言は、「会社代理人」が行ったようです。弁護士でしょうかね。

組合側の挑発に乗ってしまったのでしょうか。 挑発に乗っているようでは駄目です。

思うつぼというやつです。

交渉ごとですから、感情的な対応をする方が負けます。

すぐに感情的になる人は、交渉事には向いていないので、気をつけましょう。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介55 知恵-清掃員ルークは、なぜ同じ部屋を二度も掃除したのか(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。
知恵―清掃員ルークは、なぜ同じ部屋を二度も掃除したのか
知恵―清掃員ルークは、なぜ同じ部屋を二度も掃除したのか

タイトルがいいですね。 そそられてしまいます。

ルールに縛られず、知恵を使いなさい、という本です。

知恵とは、状況に応じて判断する能力をいうそうです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

仕事に最大の満足を見出すのは、自分の仕事を『天職』と見ている人たちだ。彼らにとって、仕事は人生で一番大事な部分で、仕事をしていることが嬉しく、自分のアイデンティティで生死にかかわるほどの場を占め、自分の仕事が世の中をよりよい場所にしてくれると信じ、友人や子どもにもこうした仕事に就くように勧める。自分の仕事が天職だという人は、仕事で大きな自由裁量をもつ。そしてその自由裁量をうまく使う知恵を備えていることが-意味のある仕事に必要な挑戦ややり遂げるために-高いレベルの満足を得るのに不可欠となる。」(364~365頁)

・・・だからこそ自由裁量を骨抜きにし、知恵を脅かすルールやインセンティブに抵抗することが重要なのだ。だからこそ知恵を排除しようとしている機関を改革する必要があるのだ。」(371頁)

私は、今の仕事を「天職」かどうか、あまり考えたことがありませんが、仕事が大好きなのは間違いありません。

この本を読んでいると、今の仕事が天職なのかな・・・と思ってしまいます。 よくわかりませんが。

ただ、情熱を持って仕事をしていない人とは一緒に仕事をしたくありません。

顔つき、発言、決断力、実行力といった点で、パワーのある人とだけ一緒に仕事をしたいです。

そうでない方と仕事をすると、自分のパワーが吸い取られるような感じがしていますのです。

さて、この本では、あまりルールに縛られずに、「知恵」を使いなさい、と言っています。

私も、同じような意見を持っています。

ルールは、最低限を画するものであって、画一化を図ることが目的ではありません。

うちの事務所のスタッフには、かなり広い裁量を与えています。

スタッフが、自ら考えて、それでいいと思ったのなら、あまりうるさいことは言いません。

ルール通りにしか動けなくなると、ルールがない場合、あたふたしてしまうからです。

失敗しながら少しずつ向上していけばいいと思います。

最初から失敗を過度に恐れていると、びくびくしてのびのび仕事ができません。

・・・というのがうちの事務所の教育方針です。

有期労働契約25(鈴蘭交通事件)

おはようございます。

さて、今日は、60歳定年後の定時制乗務員の雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

鈴蘭交通事件(札幌地裁平成23年7月6日・労判1038号84頁)

【事案の概要】

Y社は、タクシー事業を営んでいる会社である。

Xらは、平成21年12月当時、定時制乗務員としてY社に勤務していた。

定時制乗務員に対する給与は、稼働率の50%という完全な歩合給であった。

Y社は、平成21年12月、書面をもって、Xらに契約期間満了を理由に雇止めとする旨通知した。

なお、X1は、正社員として14年間勤務した後、平成18年11月に満60歳の定年となったが、改めて定時制乗務員として労働契約を締結し、2回の契約更新を経ていた。

Xらは、本件雇止めは解雇権濫用法理により無効であると主張し争った。

【裁判所の判断】

雇止めは無効

【判例のポイント】

1 Y社が本件雇止めにおいて前提とした必要な人員削減数は、平成21年12月中旬時点での乗務員数と、その時点での車両数を20台減車した場合の必要な乗務員数を比較して決せられたものであり、乗務員の自然減が一切考慮されていないことは明らかである
しかして、本件事業譲渡による10台の減車のみでは、遊休状態にあった営業車を削減すれば足り、本件雇止めの必要は全くない。そして、新法減車は、平成21年12月の段階では減車の時期や台数は具体化していなかったのであるから、Y社としては、協議会での議論の推移や他社の動向、例年25名ほども出る自主的な退職者の状況を勘案しつつ、減車の時期と台数が具体化した段階で、必要な措置をとれば足りたはずである。平成21年12月の段階で、しかも自発的な退職者が出ることを一切考慮しないまま行われた本件雇止めは、必要性と合理性を欠いていたものといわざるをえない

2 現に、Y社においては、本件雇止めが完了した平成22年12月までに、24勤の乗務員22名が退職し、24勤者換算で29.5名が不足する状態になったのであり、結果的に見れば本件雇止めは、少なくとも余剰人員対策としては無意味であったことになる。この点、証拠中には、実際の自然退職者数がY社の想定より多かったとするものがあるが、Y社は、もともと自然数を全く考慮しなかったのであり、採用できない。

3 なお、乙第68号証によれば、事業譲渡と新法減車で17台の削減をした平成22年4月の段階では、遊休車両が0.5台となって、乗務員の過不足がほぼなくなり、その時点では本件雇止めが功を奏した形にはなっている。しかしながら、本件雇止めに伴い、Y社は乗務員募集を停止し、年末年始の繁忙期を、遊休車を抱えたまま、増員をしないばかりか、かえってXらを雇止めにすることで機会損失を増加させたのであり、札幌におけるタクシー事業の閑散期である4月に遊休車を最小化したとしても、これをもって本件雇止めの結果が合理的であったと評価することはできない。

4 以上によれば、本件雇止めは、利益の向上の見込みがあるとした判断に合理的裏付けが欠けていた上、新法減車の時期や台数が不確定な中、自然退職者が出ることを一切考慮せずに行われたものであり、必要性と合理性を欠くものであったといわざるをえない。これは、解雇であれば解雇権の濫用に相当するものである

5 Xらの労働契約が期間1年の有期雇用であるとのY社の主張を前提としても、解雇権濫用法理の類推によって、XらとY社との契約期間満了後における法律関係は、従前の労働契約が更新されたものと同様のものとなる(最判昭和61年12月4日判決)。このことは、本件雇止め後、再度契約期間が満了した後においても同様と解される。したがって、XらとY社とは、定時制乗務員としての地位を現在まで継続して有していることとなり、本件雇止め以降の得べかりし賃金についても、労働の提供はしていないものの、これは無効な本件雇止めをしたY社において責めに帰すべき事由があるので、これを請求することができる(民法536条)。

上記判例のポイント1や4を読むと、結論としてはこうなりますね。

有期労働契約は、雇止め、期間途中での解雇などで対応を誤ると敗訴リスクが高まります。

事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。

本の紹介54 ハーバードからの贈り物(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は、本の紹介です。
ハーバードからの贈り物 (Harvard business school press)
ハーバードからの贈り物 (Harvard business school press)

バーバード・ビジネススクールの教授の最終講義をまとめた本です。

10年以上前の本ですが、もう一度読んでみました。

複数の教授たちが、学生に伝えたいことを語っています。

この本で、「いいね!」と思ったのはこちら。

今一度、成功という言葉の意味を考え直してほしい。高い山の上に巨大な顔が刻まれなくても、リーダーになることはできる。成功したかどうかの尺度を、いかに履歴書を磨き上げるかではなく、あなたが周囲の人びとにどんな影響を与え、その人の生活にどんな変化をもたらしたかに置くことだ。成功という名の勲章に振り回れるのをやめ、あくまでも謙虚なリーダーでありつづけてほしい。」(43頁)

最近、私と同い年の社長に出会いました。 

表現方法は違えど、思っていることは驚くほど同じです。

同世代で、志の高い方に出会うと、嬉しくなります。

成功したかどうかの尺度は、「周囲の人びとにどんな影響を与え、その人の生活にどんな変化をもたらしたかに置く」。

周りの人たちに影響を与えるためには、「人間力」をつけなければいけません。

本の紹介53 カテゴリー・イノベーション(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。
カテゴリー・イノベーション―ブランド・レレバンスで戦わずして勝つ
カテゴリー・イノベーション―ブランド・レレバンスで戦わずして勝つ

コトラーさんの言うところの「ラテラル・マーケティング」に近い発想です。

本の帯にはこう書いてあります。

イノベーションで、既存カテゴリーの魅力をなくす新カテゴリーを創出し、それを代表するブランドになる。競争の激しい市場で、競争をせずに事業を成長させる唯一無二の新戦略論。

読んでみての感想ですが、「唯一無二の新戦略論」という程のことではありません。

要するに、題名にもなっているとおり、カテゴリーを再定義し、その上で、競合他社に対する参入障壁をつくるという戦略です。

問題は、いかにして、競合他社に対する参入障壁を構築するか、です。

答えは、この本に書いてあります。

いつも書いていますが、知識を持っていても、それを具体化する応用力と実行力がないと、結局、何も変わりません。

単なる物知りおじさんです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ブランドが将来的にもレレバンスを維持するためには、新しいカテゴリーあるいはサブカテゴリーと結び付く必要がある。そのカテゴリーの名前が出たときに、そのブランドが思い浮かぶようにするのだ。そのようなつながりやレレバンスが確立できていないと、ブランドはその新しいカテゴリーあるいはサブカテゴリーの定義に影響を与え、管理することはできない。顧客が購入を検討するときに、そのブランドが考慮される選択肢のなかで圧倒的に強い立場になるような強い結び付きは、競合企業にとって手ごわい障壁となる。」(292頁)

「そのカテゴリーの名前が出たときに、そのブランドが思い浮かぶようにする」というところがミソですね。

弁護士業界で考えてみましょう。

取扱分野でカテゴリーを捉えると、「交通事故といえば」「離婚といえば」「相続といえば」というカテゴリーで、一番初めに思い浮かぶ事務所をつくるということです。

これはとてもわかりやすいです。

取扱分野以外にもカテゴリーを捉えることができます。

例えば、「無料法律相談をやっている法律事務所といえば」「ワンストップで解決してくれる法律事務所とは」「価格が他とは比較にならない程安い法律事務所とは」などが考えられます。

このようなカテゴリーの中で、ご相談者が真っ先に思い浮かぶようにならなければいけません。

問題はここからです。

どのようにして、ブランドをつくり、継続的に維持していくか、です。

ここが大きなポイントであり、アイデアの出しどころですね。

ここでは、私の考えは書きません。

うちの事務所で実際にやっていきますので、それをご覧ください。

毎日、アイデアがあふれてきます。

事務所スタッフのみなさん、僕の思いつきに付き合ってくれて、本当にありがとう。

賃金42(あけぼのタクシー事件)

おはようございます。

さて、今日は、解雇期間中の賃金の中間収入に関する最高裁判決を見てみましょう。

あけぼのタクシー事件(最高裁昭和62年4月2日・労判506号20頁)

【事案の概要】

Y社は、旅客運送事業を営む会社である。

Xらは、いずれもY社にタクシー乗務員として雇用された従業員である。

Xらは、タクシー従業員で構成する労働組合の執行委員長や書記長であった。

Y社は、中傷ビラの配布等を理由として、昭和51年8月、Xらを懲戒解雇した。

Xらは、本件解雇の無効と解雇期間中の賃金等の支払を求めた。

第1審は、本件解雇は、不当労働行為で無効と判断し、解雇期間中の賃金については、平均賃金の6割分を確保してそれ以外の賃金分(平均賃金の4割分および一時金)からの中間収入控除を認めた。

これに対し、控訴審は、懲戒解雇の無効は維持しつつ、平均賃金の4割分からの控除のみを認めて一時金からの控除を否定した。

Y社は、上告し、一時金について、使用者は労働基準法26条による支払義務もないので中間収入控除につき限度額の適用は受けず、全額が損益相殺の対象となるべきであると主張し争った。

【裁判所の判断】

破棄差戻し

【判例のポイント】

1 使用者の責めに帰すべき事由によって解雇された労働者が解雇期間中に他の職に就いて利益を得たときは、使用者は、右労働者に解雇期間中の賃金を支払うに当たり中間利益の額を賃金額から控除することができるが、賃金額のうち労働基準法12条1項所定の平均賃金の6割に達するまでの部分については利益控除の対象とすることが禁止されているものと解するのが相当である

2 したがって、使用者が労働者に対して有する解雇期間中の賃金支払債務のうち平均賃金額の6割を超える部分から当該賃金の支給対象期間と時期的に対応する期間内に得た中間利益の額を控除することは許されるものと解すべきであり、中間利益の額が平均賃金額の4割を超える場合には、更に平均賃金算定の基礎に算入されない賃金(労働基準法12条4項所定の賃金)の全額を対象として利益額を控除することが許されるものと解せられる

3 そして、賃金から控除し得る中間利益は、その利益の発生した期間が右賃金の支給の対象となる期間と時期的に対応するものであることを要し、ある期間を対象として支給される賃金からそれとは時期的に異なる期間内に得た利益を控除することは許されないものと解すべきである。

4 中間利益の控除が許されるのは平均賃金所定の基礎になる賃金のみであり平均賃金算定の基礎に算入されない本件一時金は利益控除の対象にならないものとした原判決には、法律の解釈適用を誤った違法があるものといわざるを得ない。

まあ、そういうことです。

和解で終わる場合は、ここまでの話は出ないですが、判決まで行くと、中間利益の控除の問題が出てきます。

労働事件では基本中の基本ですのでしっかり押さえておきましょう。

詳しくは顧問弁護士からレクチャーを受けましょう。

本の紹介52 マーケティング10の大罪(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は、本の紹介です。
マーケティング10の大罪
マーケティング10の大罪

コトラーさんの本です。

10年程前の本ですが、今読み返しても、全く古さを感じさせません。

題名からもわかるとおり、この本では、「マーケティングでは、こういうことをやっちゃだめよ」ということを掲載し、その対処法が解説されています。

コトラーさんの本は、これまでも何冊か読んできましたが、私のような素人が読んでも、とてもわかりやすいです。

事務所の経営をしている上で、非常に参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

これまでは『ニーズを見出し、ニーズを満たす』ことがマーケティングだとされてきた。このような企業は市場主導型企業(market-driven firm)ということができる。だが、無数の製品があふれ、ほとんどのニーズが満たされた現在、マーケティングの直面する課題は、いかにして新たなニーズをつくり出すかということである。この難問に挑む企業は市場先導型企業(market-driving firm)と呼ぶことができよう。・・・市場先導型企業は新たな価値提案と新たなビジネス・システムを創出することで、業界に革命をもたらす。 ・・・競合他社の多くが、新たに登場した価値提案を模倣するだろう。だが、ビジネス・システムを模倣しようとしても、たいていは失敗してしまうものだ。」(160~161頁)

私の当面の目標は、静岡県において、栗田勇法律事務所を「市場先導型事務所」にすることです。

法律事務所として、これまでになかった新たな価値提案と新たなビジネス・システムを創出していきたいです。

話がでかくなりすぎているように思いますが、目標なんて、こんな感じでいいと思っています(笑)

うちのスタッフとなら、できる気がします。

よくブログに書いているのですが、若手弁護士全員が、「業界に革命をもたらす」くらいの勢いで仕事をしなければいけないと思っています。

年齢や経験の壁を軽く越えるくらいの情熱を持って、仕事をしていきたいと思います。

本の紹介51 巨大企業に勝つ5つの法則(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は、本の紹介です。
巨大企業に勝つ5つの法則 (日経プレミアシリーズ)
巨大企業に勝つ5つの法則 (日経プレミアシリーズ)

なんだかそそられる題名です。

巨大企業に勝つ5つの法則が本の表紙にいきなり書かれています(笑)

一、 誰もが「無理だ」と主張することを実行する

二、 身の丈を超える目標を掲げる

三、 劣勢であることを強みにする

四、 「変人」を重視する

五、 サムライをリーダーにする

5つ目の法則は、中身を読まないとなんのことかわかりませんが。

この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

結局のところ、意思決定の迅速化を実現するうえでの要は、最終意思決定権者の意思決定のあり方にかかっている。つまり、いかにしてこの最終意思決定権者が腹をくくれるかにある。」(180頁)

リーダーが腹をくくれるかどうかは、責任を取る、腹を切る覚悟があるかどうかである。つまり、その人が武士であること、サムライであることに帰結する。決断はリーダーの仕事である。」(181頁)

自分がトップになって仕事をしていると、「決断」することがいかに重要であるかがよくわかります。

決断力がある人と仕事をしていると気持ちがいいです。

優柔不断な人と仕事をしていると、じれったくなってきます。

こういう人とはあまり一緒に仕事をしたくありません。

決断力があるかどうかは、決定する権限を与えれば、すぐにわかります。

その決断が正しいかどうかは問題ではありません。

後から、あのときの決断が正しかったかどうかがわかるだけです。

この本でも書かれていましたが、決断力と経営の迅速化は密接に関連しています。

手前味噌ですが、現在の私の事務所では、何か新しいことを始める際、決断から実行までがめちゃくちゃ早いです。

これ以上、早くすることは不可能ではないかと思うくらい早いです。

また、スタッフがとても優秀なので、私が「これ、やりたい!!」と言うと、たいてい実現してくれます。

今のスタッフとなら、できないことなど存在しないのではないかと思っています。

私自身の能力はたかが知れていますが、事務所全体の力は、相当なものだと自負しています。

みなさんを幸せにできるように、今日も、仕事、がんばります。