本の紹介1094 複業の思考法(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

シリコンバレー発スキルの掛け算で年収が増える複業の思考法」というタイトルです。

シリコンバレーの会社でソフトウェアエンジニアとして勤務されている方の本です。

シリコンバレーでの仕事の様子等も書かれており、刺激になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

おそらくあなたは、100年も働きたくないんじゃないですか?私は100歳まで働くなんて、まっぴら御免です。早くリタイアして、南の島で一日中サッカーをしていたい。みなさん、自分に正直になりましょう。ラクをして豊かに暮らしたいなら、そういう生き方ができるように、キャリアを構築すればいいだけの話です。」(32頁)

人によって人生設計は異なりますが、この本の著者と同じように、早期リタイアを望んでいる方は、早い段階からそのような経済的準備をしていますね。

寿命がますます延び、年金がほとんどあてにならない状況から、通常は、働く期間はどんどん伸びていきます。

フローからストックへいかに移すか。

この発想がないと、早期リタイアは実現しません。

忙しさに流され、気が付いたら年老いていたなんて人生は送りたくありません。

自分の人生なのですから、生きたいように生きればいいのです。

賃金200 賃金減額についての労働者の同意の効力(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、賃金総額の25%減額への同意が労働者の自由な意思に基づくものでないとされた裁判例を見てみましょう。

O・S・I事件(東京地裁令和2年2月4日・労経速2421号22頁)

【事案の概要】

本件は、XがY社に対し、Y社は、Xを雇用していたが、Xがセクハラ等をしたとして、賃金を減額し、さらに、Xが行方不明となり連絡が取れなかったことにより退職したものとみなされたとしてXの就労を拒んだと主張して、雇用契約に基づき、①雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認(請求1)、②平成27年10月支給分の未払賃金(減額前の24万円から既払金を控除した残金1万7142円)及び同年11月分支給から平成30年3月支給分までの賃金(24万円の29か月分696万円)の合計697万7142円+遅延損害金の支払(請求2)、③平成30年4月から本判決確定の日まで弁済期である毎月10日限り賃金24万円+遅延損害金の支払(請求3)を求めるとともに、④会社法350条又は不法行為に基づき、慰謝料200万円+遅延損害金の支払(請求4)を求めた事案である。

【裁判所の判断】

XがY社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

Y社は、Xに対し、131万9994円+遅延損害金を支払え。

Xのその余の請求をいずれも棄却する。

【判例のポイント】

1 労働契約の内容である労働条件は、労働者と使用者との個別の合意によって変更することができる。しかし、使用者が提示した労働条件の変更が賃金に関するものである場合には、当該変更を受け入れる旨の労働者の行為があるとしても、労働者が使用者に使用されてその指揮命令に服するべき立場に置かれており、自らの意思決定の基礎となる情報を収集する能力にも限界があることに照らせば、当該行為をもって直ちに労働者の同意があったものとみるのは相当でなく、当該変更に対する労働者の同意の有無についての判断は慎重にされるべきである
そうすると、賃金の変更に対する労働者の同意の有無については、当該変更を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく、当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度、労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様、当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして、当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも判断されるべきものと解するのが相当である(最高裁平成28年2月19日判決)。

2 本件契約書の内容は、Xを機能訓練指導員手当1か月1万円が支給される業務から外してその支給を停止するばかりでなく、その基本給を1か月23万円から18万円に減額し、賃金総額を25%も減じるものであって、これによりXにもたらされる不利益の程度は大きいというべきである。他方、Y社代表者はXに対し、本件合意に先立ち、XがY社に無断でアルバイトをしたとの旨や本件施設の女性利用者から苦情が寄せられている旨を指摘したのみであるといい、Y社代表者の陳述書や本人尋問における供述によっても、Y社代表者がXに対して上記のような大幅な賃金減額をもたらす労働条件の変更を提示しなければならない根拠について、十分な事実関係の調査を行った事実や、客観的な証拠を示してXに説明した事実は認められない
以上によれば、Xが本件契約書を交付された後いったんこれを持ち帰り、翌日になってからこれに署名押印をしたものをY社代表者に提出したという本件合意に至った経緯を考慮しても、これがXの自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するものとは認められない

3 以上の次第で、本件契約書の作成によっても、そこに記載された本件合意の内容へのXの同意があったとは認められないから、本件雇用契約に基づく賃金を基本給18万円のみに減額するとの本件合意の成立は認められない。

労働条件の不利益変更に際し、労働者の同意の効力が問題となることはよくあります。

同意書がありさえすればよいという発想が誤りであるということがよくわかる裁判例だと思います。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介1093 コンタクトレスアプローチ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは「テレワーク時代の営業の強化書」です。

コロナ以降、打合せの大半はZoom等により行われるようになったため、移動時間の無駄が大幅に削減されました。

営業もこれからはダイレクトなコンタクトが減っていきますので、やり方を変えていく必要があります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

最初にきっぱり断言しますが、営業会議のほとんどは『不要』です。私は『無駄の温床だから、いらない!』とまで感じています。当社は設立以来かれこれ30年になりますが、営業担当者を全員集めて行う営業会議を開いたことがありません。その時間がもったいないし、そもそもやる意味はあるのか、ということです。」(155頁)

いつも言っておりますが、世の中の会議の大半は無駄ですから。

その中でも特に無駄なのは、毎週とか毎月行われる定例会議です。

議題があろうがなかろうが開かれるあれです。

もはや会議をすることが目的になっていますので。

どれだけの時間を無駄にしているのでしょう。

幸い、私はそのような会議とは無縁の生活をしていますので関係ないのですが、組織というのは本当に無駄が好きですね。

保守的な会社であればあるほど、無駄だらけです。

会議に参加する時間があるなら、ジムで筋トレするほうがはるかに有意義です。

不当労働行為255 請負契約を締結する作業者の労組法上の労働者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、Y社と請負契約を締結してY社の計器工事に従事する作業者は労組法上の労働者に当たり、同人らの加入する労組の申し入れた団交に応じないY社の対応が不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

ワットラインサービス事件(東京都労委令和2年2月4日・労判1225号104頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と請負契約を締結してY社の計器工事に従事する作業者は労組法上の労働者に当たり、同人らの加入する労組の申し入れた団交に応じないY社の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 計器工事作業者は、ア Y社の計器工事の遂行に不可欠な労働力として、会社組織に組み入れられており、イ Y社が契約内容の主要な部分を一方的・定型的に決定しており、ウ 計器工事作業者に支払われる報酬は、労務提供に対する対価としての性格を有しており、エ 個々の業務の依頼に対して、基本的に応ずべき関係にあり、オ 広い意味でY社の指揮監督の下に労務の提供を行っていると解することができ、労務の提供に当たり、一定の時間的場所的拘束を受けているということができる一方、カ 事業者性が顕著であるとはいえない。
これらの事情を総合的に勘案すれば、計器工事作業者は労組法上の労働者に当たることは明らかである。

2 Y社は、労組法上の労働者に当たる計器工事差御者を組織する組合の団体交渉申入れに応ずべき立場にあるところ、Y社が団体交渉事項を拒否する正当な理由は認められないのであるから、組合が申し入れた団体交渉にY社が応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。

労組法上の労働者性に関する判断です。

上記命令のポイント1の考慮要素を理解しておきましょう。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介1092 自信の法則(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

物事をうまく進めるために「自信」の存在は極めて重要です。

自信はいかにして手に入れるのかが書かれています。

自信がある人は、無意識にやっていることですが。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私たちはよく、大きな障害を乗り越えて勝利をおさめた人の話を耳にする。そういう話を聞くと勇気が出てくるが、それは自分よりはるかにすぐれた能力の持ち主なのだと思ってしまいやすい。だが、彼らに共通しているのは、すぐれた能力ではなく粘り強さなのだ。」(50頁)

すなわち、「継続する力」の有無こそが最も重要な力ということです。

自信をつけるために必要なのは、途中で投げ出さずに続けること。それだけです。

それ以外の方法でどうやって自信を持てばいいのでしょうか。

結果が出るまで続ければ、結果は必ず出ますよ。

結果が出る前にやめちゃうから結果が出ないのです。

不当労働行為254 使用者側代理人の発言と不誠実団交(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、勤務態度および勤務成績不良を理由に組合員1名を解雇したこと及び団交におけるY社の代理人弁護士らによる不適切な発言が不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

フォーラム事件(大阪府労委令和2年3月13日・労判1225号103頁)

【事案の概要】

本件は、勤務態度および勤務成績不良を理由に組合員1名を解雇したこと及び団交におけるY社の代理人弁護士らによる不適切な発言が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社が解雇理由証明書で示した5つの解雇理由については、X組合員の勤務態度及び勤務成績が不良であり、かつ、それらが解雇というY社から排斥すべき程度に重大なものであったと認めることができず、したがって、本件解雇には合理的な理由があるとまではいえない。
Y社は、X組合員の勤務成績や勤務態度を組合加入前から問題視し、それを理由に退職を求めていたものの、組合が未払残業代の支払い要求、パワハラへの抗議、他の社員分の残業代請求と、組合活動を活発化させた時期に本件解雇の予告に踏み切ったとみるのが相当である。

2 30.7.6団交におけるY社の代理人弁護士らによる6月12日の段階では団体交渉の申入れが行なわれていない旨の発言及び組合の権限をめぐるやり取りの際の一連の対応は不誠実というほかなく、かかるY社の対応は、労働組合法7条2号に該当する不当労働行為である。

団交に参加した使用者側代理人の発言によっても、不誠実団交と評価されますので注意が必要です。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介1091 将来の夢なんか、いま叶えろ。(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

堀江さんの新しい本です。

いつもながら、計画を立てている暇があったら、どんどん行動しようというメッセージが書かれています。

PDCAなどといった眠たいことをやっているほど人生は長くありません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

目標とか計画とか、順序立てて踏んでいく必要なんてない。やりたいことにゼロ歩でアクセスできるなら、それがベストのはずだ。僕は、計画なんて立てない。目標も持たない。・・・戦略的に段階を踏んでマーケットを押さえていくような計画性は、実践では役に立たない。どうせスタートしたら、計画どおりになんか進まないのだ。」(58~59頁)

そのとおり。

事業計画なんてくその役にもたちませんから。

銀行からお金借りる時に、しかたなしになんとなくやっつけで作っているだけですから。

1年後、どうなるかなんてやってみないとわからないじゃないですか。

計画とか何年後の目標とか、もうほんとどうでもいいですから。

やりたいことをやりたいときにやりたいようにやればいいのです。

うまくいかないならそのときに修正すればいいだけの話。

解雇332 新規採用をしつつ整理解雇は許されるか?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、教諭らに対する整理解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

学校法人明浄学院事件(大阪地裁令和2年3月26日・労判ジャーナル101号24頁)

【事案の概要】

本件は、Y学校の専任教諭であった元教諭X1・2が、Y学校による整理解雇が無効であるとして、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、労働契約に基づき、平成30年4月から令和元年12月まで毎月20日限り、X1については月額約33万円、X2については月額約29万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

整理解雇は無効

【判例のポイント】

1 平成30年2月頃までには、専任教諭2名が懲戒解雇され、専任教諭8名が希望退職に応じ、また、平成30年3月に定年退職予定者1名がいる状況であり、さらに、Y学校の人員削減方針の対象者には常勤講師も含まれるところ、平成30年3月には常勤講師7名が退職となっており、そのために同月頃、新たに13名を採用していることからすると、本件各解雇の予告を撤回してXらの雇用を継続することができなかった理由も見当たらないから、Xら2名を解雇する人員削減の必要性まであったのか否かについては疑問があり、人件費の削減は、解雇に至らなくても教諭らの給与額を削減することによっても達成することができたのに、Y学校はXらに対し、保健体育教員として在職したまま給与を減額する提案を行っておらず、さらに、Y学校が本件各解雇に先立ち、常勤講師の更新の可否を検討したなどの事情も見当たらないから、人員削減の対象として保健体育教員を選択する人選の合理性が認められず、また、Y学校が十分な解雇回避努力を行ったとも認められないから、本件各解雇は、客観的かつ合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められない。

整理解雇をしつつ、新たに採用をするとなりますと、多くの場合、整理解雇の必要性が否定されてしまいます。

そのようなケースでは、解雇回避努力も不十分なことが多いので、いずれにせよ解雇は無効となります。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介1090 企業化する士業と、勝者のメンタリティ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

国内最大級の士業グループの経営者について取材した内容が書かれています。

タイトルのとおり、士業の事務所がどんどん企業化し、拡大していく様子がわかります。

私は真逆をすすんでいますけどね(笑)

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

大事なのは、私どもの仕事の目的は、依頼された業務を完成することではないということです。その仕事を通じて顧客との信頼関係を確立することです。その判断基準が、顧客が新しい顧客を紹介してくれたかどうかです。仕事の完成ではなく、仕事を通じて、信頼関係を確立する事が目的です。仕事は手段にすぎないのです。仕事の成功とは、ひとりの顧客から複数の顧客を紹介していただくことなのです。顧客満足をきちんと勝ち得たかどうか、士業の成功はこれだけだと思います。」(217頁)

特に士業に限った話ではありません。

あらゆる仕事にあてはまります。

仕事を通じてどれだけファンをつくれるか、ということです。

ただ、なんとなく目の前の仕事をこなすだけでは、仕事自体が目的となってしまいます。

仕事はあくまでも手段であるという意識を持つことが大切なのだと思います。

労働時間65 勉強会への参加は労働にあたる?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、勉強会の労働基準法上の労働時間性に関する裁判例を見てみましょう。

前原鎔断事件(大阪地裁令和2年3月3日・労判ジャーナル101号38頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのない雇用契約を締結していたXが、Y社から普通解雇されたが、同解雇は無効であると主張して、地位確認及び未払賃金等の支払を、Y社の従業員らからパワハラ行為を受けたと主張して、不法行為(使用者責任)に基づく損害賠償等の支払を、時間外労働を行ったが、割増賃金が支払われていないと主張して、未払割増賃金等の支払を、それぞれ求めた事案である。

【裁判所の判断】

地位確認請求棄却

損害賠償請求棄却

割増賃金支払請求一部認容

【判例のポイント】

1 確かに、「勉強会」は、本件組合の提案を受けて開催されるようになったものではあるものの、Xに対する指導内容等を振り返ることを内容とするものであるから、Xが参加せずに開催されることはそもそも予定されておらず、また、Xは、D取締役が入社した平成20年の時点において、既に、Y社の従業員らから、なかなか仕事の技術が身に付かないと認識されていたものであり、Xが「勉強会」に参加せず、その後も技術が身に付かないままであれば、Xの賃金や賞与の査定如何にかかわるのは明らかであり、加えて、Y社の就業規則には、「会社は、従業員に対し、業務上必要な知識、技能を高め、資質の向上を図るため、必要な教育訓練を行う」、「従業員は、会社から教育訓練を受講するよう指示された場合は、特段の事由がない限り指示された教育訓練を受講しなければならない」と規定されていることをも併せ鑑みれば、Xが「勉強会」に参加する時間は、Y社の指揮命令下に置かれている時間、すなわち労働基準法上の労働時間に該当すると解するのが相当である。

勉強会、研修会の労働時間性については昔から争点となってきましたが、いまだに訴訟上問題となります。

参加が任意なのか、(事実上も含め)強制されていたのかが基本的な判断基準となります。

労働時間に関する考え方は、裁判例をよく知っておかないとあとでえらいことになります。事前に必ず顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。