本の紹介936 選ばれる条件(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは、「こうやれば、突き抜けられる」です。

毎日毎日、投げ出さずにやるべきことをやり続ければ、たいていのことはうまくいきますよ。

特に種も仕掛けもなく、継続できるかどうか、ただそれだけです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『技術力がある=選ばれる』という方程式は成り立たない。いつの時代も、予約帳の埋まった美容師が正義であり、そのための方法は、テクノロジー発展やその人がいるステージによって変化していく。時勢を読み、求められる価値を提供し続けることこそが、『選ばれ続ける人』になるための条件だ。」(206頁)

繁盛している同業者の悪口を言って傷の舐めあいをするのはやめましょう。

みっともないので。

お客さんに選ばれるには必ず理由があります。

嫉妬して悪口言っている暇があったら、うまくいっている理由を探りましょう。

そして真似をしましょう。

プライドだオリジナリティだってしょうもないことを言っているからいつまでたっても繁盛しないのです。

労働災害99 従業員の自殺と使用者の予見可能性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、障害者雇用枠採用社員の自殺と業務起因性等に関する裁判例を見てみましょう。

富士機工事件(静岡地裁浜松支部平成30年6月18日・労判1200号69頁)

【事案の概要】

本件は、知的障害及び学習障害を持つXが自殺したことにつき、亡Xの両親である原告らが、亡Xを雇用していたY社に対し、亡Xの自殺はY社による障害への配慮を欠く対応等が原因であり、Y社には雇用契約に基づく安全配慮義務違反及び注意義務違反があると主張して、債務不履行及び不法行為に基づき、原告ら各自に損害金4012万9773円+遅延損害金の支払いをそれぞれ求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件手順書も、一般的には作業内容を細分化して記載することで作業手順を覚える補助となり得るものと考えられるが、文章から意味を理解することが苦手なXにとっては、かえって混乱と困惑を来す原因となったものと解される。そして、プレス作業は、作業ミスが作業者の安全に直結するものであるところ、Xの上記投稿からは、Xが、安全面においても、本来プレス機での実習に心理的負担を感じていたことが窺える。
これらの事実からすれば、Xにとって、本件プレス機での実習が、その能力に比して過重であり、その心理的負荷は大きかったというべきである。そして、知的障害や発達障害を有する者は、その障害が原因で、頑張っても努力しても努力が報われず、できるようにならないため、無力感や劣等感、自己否定感を抱きやすく、ストレスへの耐性も他の人と比べて低いという見方もあって、鬱病や適応障害といった二次障害に陥りやすいとされていること、Xが自殺したのは、本件プレス機が停止する出来事があった日の翌日の通勤途中であったことを併せてみれば、Xがうつ病などの精神障害を発症していた可能性もないとはいえず、本件全証拠によっても業務以外に自殺の原因となる要因は見当たらないから、Y社の業務に対する心理的負荷がXの自殺を招いたものと推測される

2 たしかに、原告らが主張する②ないし④の事実は、Y社がXにとっての業務の過重性や心理的負荷を認識する契機となり得るものであったことは否定できないが、Xの自殺までプレス作業の実習開始から2週間、金型交換作業(段取り)の実習開始から1週間程度と短く、実労働日数でみるとさらに短いことに加え、Y社におけるXの様子に特段変わったところはなかったことからして、これらの事実をもって直ちに、Xの業務が自殺を招き、あるいは鬱病等の精神疾患や精神障害を発症させ得る業務上の心理的負荷になることを、Y社が予見すべきであったとは言い難い
以上のとおり、Y社には安全配慮義務及び注意義務の前提となる予見可能性があったとは認められない

業務起因性については肯定されましたが、予見可能性が否定された事案です。

労災発生時には、顧問弁護士に速やかに相談することが大切です。

本の紹介935 売らない売り方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

タイトルから推測できるとおり、ブランディングに関する本です。

ほんの少し工夫するだけで売り上げが2倍、3倍になるなんてことはよくある話です。

業種を問わず参考になる本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

小さな会社やお店が『独自化のポイント』を見つけるには、メインで提供する商品やサービスが、オンリーワンであることが一番てっとり早くなります。そのために有効な手段が『見せ方・魅せ方』を変えるということです。『見せ方・魅せ方』とは、言い換えると『見た目』『意味づけ』『提供方法』『演出』などのことです。同じ商品であっても、これらが変わると、お客さんに与える印象や期待感は大きく変わりストーリーが生まれます。」(191頁)

すべてのビジネスは、ショービジネスですので、「見せ方・魅せ方」抜きには成り立ちません。

この本にも書かれているとおり、「見た目」「意味づけ」「提供方法」「演出」など、あらゆる要素でいかに見せるか(魅せるか)を考えるべきです。

ブランディングは、何冊か本を読んで考え方の基本を理解した後は、とにかく場数と応用力です。

0から何かを生み出さずとも十分効果のあるブランディングはできます。

他人に任せるのではなく、自分で試行錯誤を繰り返すことが大切です。

賃金167 育休取得者に対する昇給抑制の違法性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、育児休業取得労働者に対する昇給抑制の違法性に関する裁判例を見てみましょう。

近畿大学事件(大阪地裁平成31年4月24日・ジュリ1534号4頁)

【事案の概要】

Xは、大学等を設置、運営する学校法人であるY社との間で、平成24年、期間の定めのない労働契約を締結し、講師となった。

Xは、平成27年11月から平成28年7月まで育児休業をしたところ、Xは、平成28年度の定期昇給がなされず、同年8月の復職後における本俸においても従前の号俸のままであった。当時のY社の旧育休規程8条は、「休業の期間は、昇給のための必要な期間に算入しない。昇給は原則として、復職後12か月勤務した直近の4月に実施する」と定めていた。

そこでXは、Y社に対し、Y社がXが育児休業をした平成28年度にXを昇給させなかったことなどが、いずれも違法でありXに対する不法行為になる旨主張して損害賠償請求をした。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 給与規程12条に基づく定期昇給は、昇給停止事由がない限り在籍年数の経過に基づき一律に実施されるものであって、いわゆる年功賃金的な考え方を原則としたものと認めるのが相当である。しかるに、旧育休規程8条は、昇給基準日前の1年間のうち一部でも育児休業をした職員に対し、残りの期間の就労状況如何にかかわらず当該年度に係る昇給の機会を一切与えないというものであり、これは定期昇給の上記趣旨とは整合しないといわざるを得ない。そして、この点に加えて、かかる昇給不実施による不利益は、上記した年功賃金的なY社の昇給制度においては将来的にも昇給の遅れとして継続し、その程度が増大する性質を有することをも併せ鑑みると、少なくとも、定期昇給日の前年度のうち一部の期間のみ育児休業をした職員に対し、旧育休規程8条及び給与規程12条をそのまま適用して定期昇給させないこととする取扱いは、当該職員に対し、育児休業をしたことを理由に、当該休業期間に不就労であったことによる効果以上の不利益を与えるものであって、育児介護休業法10条の「不利益な取扱い」に該当すると解するのが相当である。
そうすると、Y社が育児休業をしていたXについて、旧育休規程8条及び給与規程12条を適用して定期昇給の措置をとらなかったことは、育児介護休業法10条に違反するというべきである。

2 給与規程12条による定期昇給は、年数の経過により基本的に一律に実施されるというものであることに照らすと、職務能力を反映した能力給というよりは、勤務年数に応じた年功賃金の考え方に基づくものと認めるのが相当である。そうすると、一部の期間に法律上の権利である育児休業をしたことによって、残りの期間の勤務による功労を一切否定することまでの合理性は見出し難い(なお、仮に、これを能力給であるとみるとしても、同様に、一部の期間に育児休業をしたことにより、現に勤務した残りの期間における職務能力の向上を一切否定することは困難であるといわざるを得ない。)。
また、育児休業以外の事由による休業の場合にも同様に昇給が抑制されるという事実があったとしても、Xは、上記のとおり本件育児休業をしたことを契機として昇給抑制による不利益を受けたといえるのであるから、本件育児休業とXの不利益との間の因果関係は否定されず、育児介護休業法10条の適用は妨げられない。

妥当な結論だと思います。

同様の制度を採用している会社は気を付けましょう。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介934 10年後の仕事図鑑(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

堀江さんと落合陽一さんの共著です。

これから先、社会がどのように変わっていくのか、それに伴い、私たちの「仕事」はどう変わっていくのかが書かれています。

これだけ社会が激変している以上、今までの仕事がそのまま変わらないなんてことはあるわけがありません。

どう生きるかを今から考えて準備・行動することがとても大切です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

神戸にある寿司屋『寿志 城助』の卵焼きがめちゃくちゃ美味しいのだが、レシピはパティシエのスイーツ作りにルーツがあるそうだ。様々な料理を『研究』した上で、たどり着いた作り方なのだという。こうした事例をみれば、むしろ修行期間を長く積めば積むほど型にはまり、『それしか作れない』事態が起こるのではないか。」(67~68頁)

ここでも大切なのは、「業界の常識」とか「暗黙のルール」みたいなものにとらわれないことです。

そこから抜け出せなくなってしまうからです。

「〇〇はこうあるべきだ」という型を無視することで、これまでになかった新しいサービスが生まれます。

それによって業界の人からは嫌われるかもしれません。

でも、そんなこと別にいいじゃない。

それによって顧客が喜んでくれるなら。

人生は短いのです。

最初から最後まで誰からも批判をされないように一切枠からはみ出さない仕事をして、何が楽しいのでしょう・・・。

そんな生活、息が詰まりそうで僕にはできません。

不当労働行為222 労組加入労働者の大幅な賃金減額と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、労組に加入したゴルフ場レストラン料理長の賃金を大幅に減額して支給したこと等が不当労働行為にあたるとされた事案を見てみましょう。

朝日ゴルフ事件(大阪府労委平成30年7月13日・労判1198号84頁)

【事案の概要】

本件は、労組に加入したゴルフ場レストラン料理長の賃金を大幅に減額して支給したこと等が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Xの平成27年12月分以降の月額賃金の減額は、組合とY社の間に相当程度の対立関係がある中で行われ、しかも、その理由において合理性が認められず、手続においても、不自然な点がみられるのであるから、組合を嫌悪して行われたものと推認することができる。
したがって、X組合員の平成27年12月分以降の月額賃金が減額となったことは、Y社による組合員であるが故の不利益取扱いに当たるとともに、組合に打撃を与えるために行われた組合に対する支配介入にも当たり、労働組合法7条1号及び3号に該当する不当労働行為である。

2 Y社は、自宅待機命令解除後のX組合員の担当業務について、合理性を欠く理由で、調理業務と無関係で必ずしもX組合員が担当する必要のない清掃業務を提案し、組合がこれを受け入れないと分かるや、今度は、組合及びX組合員が拒否することを承知の上で、組合が既に要求として撤回したはずのマスター室勤務を提案しているのであるから、かかるY社の対応は、X組合員のレストラン料理長としての復職をあくまでも求める組合の要求に応じないための対抗策としてなされたものとみざるを得ない
Y社がX組合員をレストラン料理長の職務に復帰させず、平成28年3月1日以降の担当業務として清掃作業及びマスター室勤務の業務を指示したことは、組合員であるが故の不利益取扱いであると言わざるを得ず、労働組合法7条1号に該当する不当労働行為であるとともに、組合員を不利益に取り扱うことによって組合の活動を委縮させるものであるから、組合に対する支配介入であり、労働組合法7条3号に該当する不当労働行為である。

3 X組合員が、平成28年5月19日にY社が調理部門に配置することを受諾して以降出社していないことも、自宅待機命令解除後、Y社に届出等をすることなくAで勤務していたことも、やむを得ないというべきであって、正当な理由がないとまではいえないのであるから、X組合員のこれら行為を根拠に平成28年3月1日以降の出社拒否に正当理由がないとするY社の判断は、合理性のないものであったと言わざるを得ない
以上のことを併せ考えると、本件解雇は、組合を嫌悪してなされた組合員であるがゆえの不利益取扱いと言わざるを得ず、労働組合法7条1号に該当する不当労働行為である。
また、本件解雇は、組合の存在を軽視する行為であることに加え、それによって、2名で構成する分会の分会長であるX組合員がY社の職場からいなくなったのであるから、組合に打撃を与えるものであって、組合に対する支配介入にも当たり、労働組合法7条3号に該当する不当労働行為である。

上記命令のポイント2のような配転命令は、元の業務と配転先の業務との関連性、配転命令の合理性等から不当な動機目的を認定されないように注意しなければなりません。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介933 小さな会社の社長の戦い方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

資金力もマンパワーもない会社がどうやって戦えばいいのかが書かれています。

多額のコストをかけずにいかに収益を上げるかを考えるヒントになります。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

成功しない人はとにかく『手段』に固執します。自分が考えた方法へのこだわりが強く、それ以外は受け付けない、やりたくないというタイプです。『お客さんはほしいけど、駅前でチラシなんて配るのは自分の流儀に反する』『よい方法だとは思うけれど、私はこの方法でしかやらない』こういう手段にこだわる人はまず成功しません。伸びる人はみな、手段に対して非常に素直です。『なるほど、じゃその方法を試してみよう』といった感じで、手段への柔軟さが際立っています。」(194頁)

そうかもしれませんね。

こうあるべきだ、みたいな理想が強いと手段に固執しがちですが、結果が出るなら手段なんてなんだっていいのです。

うまくいきそうな方法を試してみて、だめならやめればいいのです。

前例がないだの業界の常識だの言っている人の忠告を聞かないところからはじめるのが一番手っ取り早いのではないでしょうか。

前例がないからこそやるのです。

業界の常識に反するからこそやるのです。

解雇302 パワハラによる精神疾患罹患と診断書の評価(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、勤務成績不良等を理由とする解雇に関する裁判例を見てみましょう。

ピーエーピースタジオトリア事件(東京地裁平成30年12月26日・労判ジャーナル87号89頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結して就労していたXが、Y社から解雇されたことについて、同解雇は客観的合理的理由を欠き社会通念上も相当と認められず解雇権の濫用に当たり無効であると主張して、Y社に対し、労働契約上の地位確認を求めるとともに、雇用契約による賃金請求権に基づき、解雇後の賃金等の支払並びに会社代表者による暴言、執拗な退職勧奨、上記解雇等がXに対する不法行為に当たるとして、同不法行為によって被った精神的苦痛に対する慰謝料として200万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効

慰謝料20万円認容

【判例のポイント】

1 Y社は、年2回各従業員に対し改定の理由を説明して納得してもらった上で給与額を増減しているもので、Xに対しても、アミューズメント事業の売上が上がっていないこと等の理由を説明して、納得を得た上で減額したものであるとし、本件給与減額1については、Xの同意があるものであって有効である旨主張するが、Y社代表者は、電話によるXへの叱責の後、同意書等も取り付けることなく翌月からXの給与額を減額したものであって、この間に、Xの真意に基づく給与減額に対する同意があったことをうかがわせる事情は認められないから、本件給与減額1は無効というべきである。

2 本件雇用契約締結後のXの業績が、会社就業規則20条1項(1)所定の解雇事由に当たるといえるほど不良であったということはできず、また、勤務態度等について検討するに、Xにつき会社就業規則20条1項(2)の解雇事由に当たるということはできないこと等から、本件解雇については、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上も相当と認められないものであって、解雇権の濫用に当たるというべきであり、労働契約法16条により無効と認められる。

3 Y社代表者が面談の際に激昂してXに対してした各発言はXに対する不法行為に該当するものであって、Y社は、会社法350条、民法709条により上記不法行為によりXに生じた損害につき賠償すべき責任を負うところ、Xの損害についてみるに、Xは、診断書及び診療録を根拠に、Y社代表者の発言により適応障害に罹患した旨主張するが、X主張に係るY社代表者の言動には違法とまではいえないものや、その言動自体が証拠上認めるに足りないものも多く含まれていることからすれば、同診断書及び診療録の記載をもって、Y社代表者の不法行為となる言動によってXが適応障害に罹患したとは直ちに認めることはできないが、他方、Y社代表者の同発言内容に照らすと、これにより、Xが相応の精神的苦痛を被ったことは否定できないところであるから、Xの精神的苦痛に対する慰謝料としては20万円と認めるのが相当である。

上記判例のポイント1のようなケースでは、同意が真意に基づくものか否かが判断の対象となります。

また、判例のポイント3のように診断書が提出されているとしても、客観的事情と合致しない場合には、裁判所は診断書記載のとおりには認定しないことを押さえておきましょう。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介932 「ホットケーキの神さまたち」に学ぶビジネスで成功する10のヒント(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

この本読んで、ホットケーキが食べたくならない人っているのかなーっていう本です。

同じ「ホットケーキ」でもこれほどまでに広がりを持たせることができるんだなーって思います。

勉強になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・だから、ビジネスで成功するには、差別化にこだわりつづけなければなりません。『美味しい』にしても『美しい』にしても、『そこそこ美味しい』『そこそこ美しい』では、やがてお客さまは、ほかに逃げてしまいます。・・・『めちゃめちゃ美味しい』『めちゃめちゃ美しい』『めちゃめちゃ安い』・・・『めちゃめちゃ』こそが、真の差別化のキーワードなのです。」(177頁)

差別化を図るときに気を付けないといけないのは、差別化が手段ではなく目的化してしまうことです。

顧客が求めていない奇を衒ったサービスで差別化を図ったところで意味はありません。

単なる自己満足です。

かゆいところに手が届く今までになかった「何か」で差別化を図るのが本筋だと思います。

派遣労働27 派遣先との労働契約成立の是非(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、派遣先との労働契約成立の是非に関する裁判例を見てみましょう。

エヌ・ティ・ティ マーケティングアクト事件(大阪地裁平成31年2月22日・労判ジャーナル87号69頁)

【事案の概要】

本件は、A社から派遣された派遣労働者の形態でY社において就労していたXが、Y社に対し、XとY社との間には労働契約が成立しており、Y社とA社との間の労働者派遣契約は偽装されたものである等と主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、損害賠償請求をした事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 XとA社との間に労働契約が成立していることに加え、A社において平成28年2月24日付けでXのY社への派遣に係る派遣元管理票が作成されていること、同年3月2日以降、Xの多言語通訳・翻訳センターでの就労に関し、Y社からA社に対して派遣料が支払われていること、以上の点を併せ鑑みると、同日から4月1日までの期間に係る派遣先通知書が同年5月9日付けで作成されていること等のXが主張する事実を踏まえても、Y社とA社との間に、同年3月2日までに労働者派遣契約が成立していたことが認められるというべきであり、XとY社との間に、Y社の面接を受けた日に労働契約が成立したとは認められない

2 Xは、Y社やA社の行為が、(1)職業安定法44条及び労働基準法6条に違反し、(2)職業安定法が原則禁止する職業紹介に該当し、(3)労働者派遣法26条6項に違反し、(4)不当労働行為に該当し、もって労働者は人格権を侵害された旨主張するが、(1)の点について、XとY社の就労関係は労働者派遣法に基づく労働者派遣に当たり、職業安定法44条が禁止する労働者供給事業には該当せず、労働基準法6条にも違反しないし、(2)の点について、少なくとも、A社がY社に対して求人の申込みをした事実を認めるに足りる的確な証拠はないから、Y社の行為が職業紹介に当たるとは認められず、(3)の点について、本件面接及びその後の一連のY社の行為は、労働者派遣法26条6項の趣旨に反するものの、不法行為法上の違法性は認められず、(4)の点について、不当労働行為に当たるとは認められないから、Y社やA社の行為について、X主張に係る不法行為が成立するとは認められない。

この類型の訴訟は、いつもチャレンジングなものです。

派遣元会社も派遣先会社も、対応に困った場合には速やかに顧問弁護士に相談することをおすすめします。