本の紹介931 ウチら棺桶まで永遠のランウェイ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

kemioさんの本です。

帯には、「人生は環境じゃなくて、全部やり方次第だって私が証明する」と書かれています。

考え方が素晴らしいですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

自分のスケッチブックには自分で描いて 人のスケッチブックには落書きしないで。」(60~61頁)

自分の人生なのだから、好きなのように生きればいいのです。

他人がとやかく言う必要などないですし、それを聞く必要はもっとありません。

他人が言う「しなければならない」「すべきである」にとらわれることなく、自分の頭で考えて決めればいいのです。

自分のスケッチブックなのだから、自分で絵を描けばいいのです。

配転・出向・転籍38 配転命令の有効性の判断方法とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、配転命令無効確認に関する裁判例を見てみましょう。

石田プレス工業事件(東京地裁平成30年12月28日・労判ジャーナル87号85頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約を締結した従業員Xが、その勤務先をY社の埼玉工場に変更した配転命令を無効であるとして、埼玉工場に勤務する雇用契約上の義務のないことの確認を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、本件雇用契約において、Xの就業場所を本社とし、職種を事務的な業務に限定する旨の合意があったと主張するが、本件雇用契約が締結された当初、Xの就業場所は本社、職務は管理部における事務的な業務とされたこと、Y社において、埼玉工場に勤務する従業員は、主として製造に関連する業務に従事しており、本社に勤務する従業員は、主として事務的な業務に従事し、両者の採用方法は異なっていたこと、本件雇用契約は、Xが、父親の従事していた経理業務を引き継ぐことを想定して締結されたことを認めることができるが、これらの事実を総合しても、XとY社の間に、就業場所又は職務内容を限定する合意があったことを認めることはできない

2 Xは、本件配転命令は、権利を濫用して発せられたものとして無効であると主張するが、本件配転命令は転居を必ずしも要しないものであった上、本件配転命令後、Xが、その健康に悪影響を及ぼすような業務に従事するよう命じられたことを認めることができる証拠はなく、また、Xと顧問税理士の関係は非常に悪化し、他の従業員を介して書類の授受ややり取りをする状況が続いており、Xを経理担当者とすることにより、他の従業員の業務に支障が生じており、このような中で、Xは、注意や指導を受けていたにもかかわらず、所得税の過納付、現金出納帳や手形帳における誤記や未記載等を生じさせたほか、預金口座の残高不足を原因とする引落しの遅滞も生じさせ、Xの経理担当者としての適性に強く疑問を生じさせるものといわざるを得ず、Y社の役員会において、Xを営業の業務に従事させることが検討されたものの、コミュニケーション能力や人間関係のために、営業への異動は難しいとの結論に至っており、他にY社の本社において、Xに適した業務は見当たらず、これに対し、埼玉工場において、新たに従業員を繰り返し採用していたことからすると、人員を補充する必要性が生じていたことを認めることができるから、本件配転命令が、権利濫用に当たるということはできない。

解雇等に比べると、配転命令のほうがハードルが低いですが、それでも丁寧に合理性を主張立証する必要があります。

不当な動機目的と認定されないためには、やはりここでも事前準備がとても重要です。

実際の対応については顧問弁護士に相談しながら慎重に行いましょう。

本の紹介930 あなたの経験を仕事に変える技術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

著者がいかにしてプロのセミナー講師となったかについて惜しみなく書かれています。

セミナー講師になりたい人は是非読んでみましょう。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

テクノロジーの発達によって、今後も職業は無限に増え続けます。インターネットの発達によって、仕事の在り方は変わっていきます。可能性は無限大です。テクノロジーとインターネットを使いこなすことで、プライベートが充実するだけではなく、職業を増やすこともできるようになります。」(52~53頁)

職業だけでなく、仕事のやり方も大きく変わることは間違いありません。

毎日さまざまな情報に触れ、行動に移していく。

何の変わり映えもしないルーティンワークに染まることなく、変化を受け入れられる姿勢を持ち続けることです。

「●●はこうあるべきである」みたいな「べき論」を取っ払うことから始めることをおすすめします。

有期労働契約87 雇止めが有効と判断される場合とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間がんばりましょう。

今日は、雇止めの有効性が争われた裁判例を見てみましょう。

沢井製薬事件(大阪地裁平成30年12月20日・労判ジャーナル87号99頁)

【事案の概要】

本件は、医薬品の製造販売等を目的とするY社との間で期間の定めのある労働契約を締結していたXが、平成29年4月1日以降の労働契約の更新を拒否されたところ、労働契約法19条により労働契約を更新したものとみなされるとして、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、労働契約に基づき、平成29年5月1日から本判決確定の日まで、毎月27日限り、約21万円の賃金等の支払を求めるとともに、Xの上司であったY社の従業員が長期間にわたり業務上の合理性なくXに仕事を与えなかった(安全への配慮を怠った)ため、Xがうつ病に罹患して精神的苦痛を被ったとして、債務不履行(民法415条)に基づき、慰謝料100万円等を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、勤務時間中、多数の従業員がいる中で、同僚の態度に怒って「なめとんのか」などと大声を発しただけでなく、詰め寄って両手でシャツの襟辺りを上に引き上げたのであって、殴るなどの行為には及ばなかったものの、無抵抗の者に一方的にそのような行為を行い、他の同僚に2人がかりで引き離されるまでそれを止めず、この点、eが舌打ちしたなど同人に全く非がないわけではないにしても、思わず声を荒げてしまったというだけであればともかく、更に詰め寄ってシャツの襟辺りを掴むといった身体に対する有形力の行使まで許容されるものではなく、明らかに過大な対応といわざるを得ず、これによって直接被害を受けたeの精神的ショックは大きく、また、このような事態を目撃した同僚が受けた衝撃も大きかったことは容易に推察されるから、本件暴行は重大なものであったといわざるを得ず、Xが本件暴行後に謝罪していること等を考慮しても、Xが本件契約の更新を期待することについて合理的な理由があるとはいえず、また、仮にその期待に合理的な理由があるとしても、Y社による本件契約の更新申込拒絶は、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であるといえる。

事案の程度としては雇止めの有効性に関する評価のしかたが微妙なケースがあります。

それでもなお、このまま契約を継続することはできないと判断する場合には、訴訟を覚悟しつつ雇止めもしくは解雇をせざるを得ないことがあります。

その場合は、事前の準備をしっかりして、訴訟に臨む必要があります。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介929 実験思考(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

株式会社バンクの光本社長の本です。

「世の中、すべては実験」とあるのように、考えたことを実験するといういわゆる「アウトプット力」が尋常ではない方です。

うまくいかなかったとしても、失敗とは微塵も思っていないのでしょう。

多く人が考えることでも、多くの人はそれを実行には移しません。まさにそこの差です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ぼくは今後、どんどん『思考停止』の時代になっていくと考えています。よって、『どれだけ思考停止させたまま、サービスを提供できるか』というのはすごく意識しています。・・・誰かが『あっちだ!』と言えば、何も考えずに動くというようなサービスが流行るはずです。脳を使わなくても生きていける時代がやってきます。」(175頁)

完全に皮肉的な内容ですが、真実です。

今でさえ、もはやほとんど思考せずに、多くのことを行っています。

ほんの少しでも考えさせるサービスは敬遠されます。

シンプルでわかりやすくて悩まないサービスしか求められなくなると思います。

ほんの少しの面倒くささも排除することが求められています。

不当労働行為221 協定破棄と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、労働者供給事業の日雇労働者の月13日稼働確保協定を破棄したことが不当労働行為といえないとされた事案を見てみましょう。

上組陸運事件(兵庫県労委平成31年1月24日・労判1198号80頁)

【事案の概要】

本件は、労働者供給事業の日雇労働者の月13日稼働確保協定を破棄したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にはあたらない

【命令のポイント】

1 B2営業所では、ここ数年大幅な赤字を計上していたところ、Y社は、正規乗務員の稼働率向上等を課題として収支改善に取り組んでいた。
しかし、X組合の組合員がB2営業所の業務量にかかわらず月13日以上就労していたことからすると、Y社は、B2営業所の業務量にかかわらずX組合の組合員の業務量を確保していたことになり、正規乗務員の稼働率が改善できない状況にあったと推認できる。
そうすると、B2営業所の経営状況に照らし、その収支改善のために13日確保協定を破棄したとするY社の主張には一定の合理性が認められる

2 給付金は、日雇労働被保険者が失業した日の属する月の前2月間に印紙保険料が通算して26日分以上納付されているときに支給されるところ、13日確保協定によって確保される就労日数と、給付金の支給要件を満たすために必要な就労日数が一致しており、また、X組合は、X組合の組合員の就労日数を月13日確保することで、X組合の組合員が給付金を受給できると認識していた。
しかし、同法の目的は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図ること等であるところ、13日確保協定に基づく給付金の受給は、同法が定める日雇雇用保険制度の制度趣旨から逸脱するものであったとの疑念は拭えない。このため、13日確保協定が、日雇雇用保険制度の制度趣旨に抵触する問題を内包していたとのY社の主張は首肯できる。
よって、その是正のため、Y社が13日確保協定を破棄したことには、一定の合理性がうかがえる。

3 以上のことからすると、Y社が13日確保協定を破棄したことには、B2営業所の収支改善及び法令抵触問題の是正という相応の理由があり、X組合の組合員であるが故をもってなされた不利益取扱いに当たるとはいえないので、労組法第7条第1号に該当しない。
また、X組合の存在を嫌悪し、その弱体化を企図して行われたことをうかがわせる事情は認められないので、労組法7条3号に該当しない。

上記のとおり、使用者の行動に客観的合理性が認められる場合には、不当労働行為にはなりません。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介928 人生を変えるアウトプット術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

久しぶりに千田さんの本です。

サブタイトルは、「インプットを結果に直結させる72の方法」です。

私もよくセミナーで言うことですが、インプットは仕入れなので、アウトプットしなければ時間やお金が無駄になってしまいます。

アウトプットしてこそインプットが生きるのです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私は本を読む際にはビビッ!ときた箇所すべてに付箋を貼っている。そして付箋を貼った部分をすべて実際に試している。成功しようと失敗しようとお構いなしに、試した部分から順に付箋を外していく。・・・これまで私が読んできた本の数を考えると想像を絶するほどの量を行動に移してきたことになる。その結果、今、ここにいる。」(31頁)

どれだけ本を読んで、どれだけセミナーを受けても、行動に移さなければ、本を読んだ時間、セミナーを受けた時間は無駄になります。

仕入れたら、ちゃんと売り上げにする。

このサイクルが確立していると、仕入れに要した時間が無駄になりません。

本を読むことは手段であって、目的ではありません。

あくまでもプロセスの一部にすぎないということを強く意識することが大切だと思います。

労働災害98 脳梗塞発症に基づく会社の損害賠償責任(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、脳梗塞発症に基づく会社に対する損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

フルカワ事件(福岡地裁平成30年11月30日・労判ジャーナル86号52頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社及びその代表取締役であるAに対し、Xが脳梗塞を発症し、後遺障害が残ったのは、Y社におけるXの業務に起因するなどと主張して、Y社に対しては民法415条に基づき、Aに対しては会社法429条1項に基づき、損害賠償金の一部として約1億円等の連帯支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求の一部認容

【判例のポイント】

1 Xは、本件疾病の発症前6か月間に、月平均174時間50分の時間外労働を行っており、恒常的に長時間労働に従事していたといえるうえ、本件疾病の発症前1か月間にも、150時間15分の時間外労働を行っているところ、医学的に、特に、発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間から6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合には、業務と発症の関連性が強いと評価できるとされていることが認められるから、本件疾病発症前6か月間におけるXの労働時間は、本件疾病の発症と強い関連性を有する程度の著しい長時間労働であったといえ、また、本件店舗の店長であったXは、自己及び本件店舗の目標を達成するために、相応の精神的緊張を伴う業務に従事していたというべきであるから、この点でも、Xの業務は、長時間労働とあいまって本件疾病の発症の要因となり得るものであったといえること等から、Xの本件疾病は、Xの動脈硬化が、過重な業務に伴う負荷によりその自然経過を超えて悪化したことによって発症したものとみるのが相当であり、Y社におけるXの業務と本件疾病の発症との間には、相当因果関係が認められる

2 Xの本件疾病の発症は、Xの基礎疾患(高血圧及び高脂血症並びにこれらに起因する動脈硬化)が、Y社における過重な業務に伴う負荷によりその自然経過を超えて悪化したことによるものであり、高血圧及び高脂血症は本件疾病の主因とされており、特に高血圧は最大の危険因子とされていること、しばしば喫煙者にみられる多血症も本件疾病の危険因子とされていることによれば、Xの上記基礎疾患については、肥満も寄与していると考えられることからすると、Xの基礎疾患の存在が本件疾病の発症の重要な原因の一つであったといえるから、Y社にXの損害の全部を賠償させることは公平を失するというべきであるが、他方で、本件疾病発症当時におけるXの動脈硬化の自然経過による増悪の程度は明らかではないことに加え、Y社におけるXの業務の過重性の程度や、Xの業務に対するAの関与の内容及び程度をも考慮すると、Y社及びAの賠償すべき損害の額を定めるに当たり、2割を減額する限度で本件既往症の存在をしんしゃくするのが相当である。

これからますます労働人口が減っていく一方で、仕事の量は減らない以上、労働時間の規制をしたところで、このような事件がなくなることはありません。

世の中から「納期」という概念がなくならない限りは、長時間労働を永遠になくならないのではないでしょうか。

本の紹介927 人生を変える筋トレ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

NHK「みんなで筋肉体操」でおなじみの谷本道哉さんの本です。

大袈裟ではなく、筋トレをすると人生が変わります。

これほど経済的、健康的、時間的にコスパの良いスポーツを私は知りません。

書かれている内容自体はいたってシンプルかつ基本的なことですので、これから筋トレをはじめようと考えている人が読む本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

自分のお腹を見てみてください。おへその横、脇腹あたりの肉を指でつまんでみてください。それが今の“本当のあなた”です。本気を出す以前に、痩せるため、健康のためのぬるい運動すらできていない現実がそこにあるのです。過去の栄光にすがったところで、内臓脂肪の1gも減りません。筋肉だって1gも増えません。向き合うべきは過去の自分ではなく、“今の自分”です。」(43頁)

手厳しいですが、真実です。

しかもこのことは誰もが理解していることです。

わかってはいるけど、始められない。続けられない。

そうこうしているうちに、人生は終わってしまいます。

年を重ねるごとに運動をする時間は減っていきます。

忙しいのはみんな一緒です。

あとはやるかやらないか。ただそれだけ。

セクハラ・パワハラ53 わいせつ行為とレピュテーションダメージ(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、わいせつ行為等に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

佐賀県農業協同組合事件(佐賀地裁平成30年12月25日・労判ジャーナル86号42頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元職員Xが、在職中、Y社の組合員による研修旅行に随行した際、Xからわいせつ行為を受けたため心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したとして、Y社に対し、債務不履行(労働契約上の安全配慮義務違反)に基づく損害賠償として、約2441万円等の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件事件の中核である行為(2)は、組合員であるAが、部会の研修旅行の際、Xの宿泊する部屋を深夜に1人で訪れ、入室させるよう求め、これに応じたXと室内で話をしていた際、30分ほどが経過したところで、いきなりXに抱き付いてキスをし、口の中に舌を入れ、着衣内に手を入れて乳房を揉み、着衣内に顔を押し込んで乳房を舐め回し、ショーツの上から臀部を撫で回すなどのわいせつ行為をしたというものであり、他方、Y社の予見可能性を基礎付ける出来事としてXが主張するのは、Y社の組合員が部会の研修旅行中に昼間から飲酒の上、移動のパスの中でXの脚を触り、背後からXに抱き付いて胸に手を当てた、全裸でサービスをするコンパニオンを懇親会に呼んだ等というものであるが、上記の出来事に係る行為者は、いずれもAではないし、行為(2)は、行為を抱いていた女性の部屋で、深夜2人きりになったことを奇貨として及んだわいせつ行為であり、部会の研修旅行に係る営農指導員としての業務の遂行に内在又は随伴する危険が現実化したものと評価することは困難であり、また、Xが主張する出来事が本件事件を予見させるものであったとは認められないから、本件事件について、Y社に予見可能性があったということはできない

2 職員でないAに対し、Y社が実効性のある措置を講ずることには困難な面があるところ、Y社は、内部的に、Aが、Xに対し、被害賠償を行う措置を講じており、Xは、懇親会にコンパニオンを呼ぶこと自体をやめるべきであるというが、部会の行為に係る意思決定は部会自身が行うのであり、研修旅行・懇親会の内容について決定するのも部会自身であるから、コンパニオンを呼ばない等の懇親会に係る監督・指示・決定の権限がY社にあるとは認められず、Y社の職員は、事務委託契約に基づき、部会の研修旅行に随行するにすぎないから、随行を要しないとするのは、再発防止に向けた措置として、より現実的なものというべきであること等から、本件事件に関し、Y社に事後措置義務違反があったとはいえず、農協に安全配慮義務違反があったとは認められないから、Xの請求は理由がない。

請求棄却とはいえ、使用者側のレピュテーションダメージは計り知れません。

それにしてもどんな研修旅行やねん・・・

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。